浴室1/3


シャワーを浴びていて、目を瞑った時、急に怖くなった事は無いだろうか。
誰かが後ろに立っている気がして。或いは、目の前に―


その日はいつもと何も変わらない日だった。
大学で授業を受け、サークルへ顔を出しそのまま飲み会へ。
フラフラとした足取りで家にたどり着いた時にはもう、時計の針は夜中の2時を少し過ぎてしまっていた。
明日も朝から予定があった事を思うと、少し気が滅入ってしまう。
とりあえず風呂に入る事にして、俺は浴室へ向かった。
服を脱ぎ、風呂椅子に腰掛ける。
軽くシャワーで身体を流してからシャンプーを手に取る。
俺はこの頭を洗っている瞬間がたまらなく好きだ。1日の疲れを、精神的な物まで洗い流している気がしてしまうのだ。目を閉じてそれを噛みしめていると

ふと、何者かの気配を感じた。
いや、感じたというには少し希薄過ぎるかもしれない。
「いる気がした」と言うのが一番しっくりくるかもしれない。