「アイザック・アシモフを読んだ男たち」ウィリアム・ブリテン
 「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」という、ミステリの巨匠たちの作品へオマージュを捧げた短編集に収録。

アシモフの「黒後家蜘蛛の会」というミステリ・シリーズの愛読者たちが、
街の百貨店が出した賞金付きの暗号問題に同じように取り組むことに。
それぞれに意見を出すが、すべて外れ。
結局は彼らに給仕をしていた男が謎を解いて賞金も手に入れる。

話自体はアシモフのそれと同じような流れなんだけど、
愛読者なら絶対に無視できないはずの、本家で常に謎解き訳を務める給仕を完全に無視する流れが、
オチのために無理やりそうしているようにしかみえない。
最初の方で、その給仕が知り合いで頭もいいことをメンバーが示唆してるのに、謎解き段階で完全に無視するのは
黒後家蜘蛛の会シリーズの愛読者たちという設定では、絶対におかしい。

この短編集では他に「コナン・ドイルを読んだ男」でも、重要なキーワードが
ドイルのホームズものには出てこず、ドラマで有名になったものだったりして
オマージュを捧げるにしても雑だなあという印象で、後味が悪かった。