少年Aと少女Bは高校の天文部の部室で星空を見ていた
少女Bの曖昧な天文知識に対し的確に答える少年A
少女Aは高校には来ていたが部室に引き籠っており、クラスメイトである少女Bは少年Aに会いに部室に通っていた
「もうすぐ夏休み。来たくないのは分かるけど、あと一週間の辛抱なんだからクラスにも顔を出したら?」と少女Bは言った
少年Aは「うん」とそっけなく答える
そして帰り際、少年Aは少女Bに「終業式の日、式には出ずに部室に来て待っていてほしい」と言った

その夜、少女Bは偶然にも地球に墜落した宇宙人を助ける
そしてお礼として『一度だけ時間を巻き戻し過去をやり直せる装置』を貰う
宇宙人は「過去をやり直すという事がどういう事かよく考えて使ってほしい」と言って去って行った

そして終業式の日
少女Bは部室で少年Aを待っていたが、少年Aは一向に来ない
「告白の言葉でも考えているのだろうか」と考えていると、体育館の方が騒がしい事に気付く
部室を出ると、生徒たちが慌てた様子で走っていた。中には血を流している者もいる
尋ねると、少年Aが体育館で銃を乱射して暴れ出したのだという
驚きながらも自分の手元に『過去に戻る装置』がある事に気付く少女B
これで一時間、いや、昨日まで時間を戻せば少年Aを止める事が出来る
だが少女Bはそれを実行しようとしたところで思い留まり、涙を流した

クラスで少年Aがどういう扱いを受けているのか少女Bは分かっていた
その上で「一週間の辛抱だから」と言ったのは少女Bである
一週間辛抱した上で少年Aが出した答えが“これ”なのだ
それなのに、告白されるのだろうと浮かれていた自分が彼を止められるはずもなく、止めて良いはずもない

少女Bは時間を戻さなかった
体育館に行く事もなく家に帰り、『過去に戻る装置』は捨ててしまった