あきという人の、「エルハンブルグの天使」という漫画。
中世風のファンタジーで、後味悪いというより切なくてもやもやする系。

悪辣な城主を倒し、新たな王としてエルハンブルグ城にやってきた覇王マディス。

マディスの親友である剣士ラルヴァンは美しい「天使」が城に入ってきたマディスの額にキスをするのを見る。
「おまえ、頭に天使がくっついてるぞ」
と教えてやるが、マディスには「天使」の姿が見えない。
「とびきりの美人だ」と言うと、見えないマディスは悔しがるが、
それを笑いながらもラルヴァンは少し含みのある様子。

ラルヴァンには昔から「天使」や「精霊」が見えていたが、
彼らが選ぶのはいつもマディスのほうだった。
実際には剣も馬術も、実力はラルヴァンの方が優れているし、
戦でマディスが勝ってこられたのもラルヴァンがいたからだ。
それなのに、「天使」はいつもマディスを選ぶ。
他の者には見えないからこそ、
「世界が心の底から『おまえは劣っている』と言っているのが見える」ラルヴァンは、
マディスに対する嫉妬と劣等感を心中に秘めていた。