ド田舎の大学に通っていた頃、友人Aが週末の夜にやってきた
面白い所見つけたから車で出かけよう、ただし4人で4台とのこと
最初は意味が分からなかったが、Aがやたらwktkしてたのと着いてからのお楽しみということだった
どうせヒマだったしまあいいかと思って、Aを先頭にB,C,俺の順でツーリング

国道から山間の県道へ分岐し、やがて人家や街灯もまばらになってきた
この辺りにはダムとキャンプ場があり、俺らも肝試しやバーベキュー等で何度か訪れたことがある
だからある程度の土地勘はあるつもりだった
すると「こんな道あったか?」という所で先頭のAがウィンカーを出した

車一台がやっと通れるほどの獣道、轍が二本、中央部分は草が生い茂り、両サイドはまるで木のトンネル
そんな道とも思えぬ悪路をチンタラと10分ほど進むと、途端に視界がパーッと開けた
しかも雑草が顔を覗かせているものの、路面はアスファルト
碁盤の目のように正確に区分けされた土地だけがあり、人の気配は全く感じられない
工業団地か新興住宅街として区画整備された後に頓挫したのではないか、とAの予想

こんなものを見せつけられて大人しくしているバカ学生ではない
リアルニューラリーXごっこに始まり、最速ラップ、ドリフトとあらゆる反社会的行為を楽しんだ
最後の方はAが予め用意してあった花火を
バカ4人がバカ話に夢中になっていると遠くの方からなにやら声が聞こえた
最初は気のせいかと思ったんだが、4人とも顔を見合わせたことから空耳ではないと判断
なのでよーく耳を澄ませると、、、

「うるせーんだよ!静かにしろ!ブッ殺されてえのかあ!!」

今度ははっきりそう聞こえた
みんな一斉に車を急発進し、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した
その後ファミレスに集合して語るも、もしかして人が住んでいたのでは?という何ともスッキリしない結論に

数か月後、その真偽を確かめるために今度は一台で、明るい時間帯に再訪を試みた
ところが県道から曲がる例の獣道がいくら探しても見つからない
卒業してからも時々この話題になるが、あれは一体何だったのだろうといつも首を傾げてしまう (おわり)