5歳頃、真冬の寒い日に犬の散歩をしようと犬に首輪をつけていると、「おいで」と声が聞こえた。
犬と一緒に玄関を出るとまた「おいで」。あたりを見回しても雪が降り続けるだけで人影は見えない。また「おいで」と声がした。
きょろきょろしながら足を進めると「こっち」「おいで」と声が繰り返すので、犬と一緒に雪をかきわけてついてゆく。
住宅街からどんどん離れた場所へ場所へと進み、鬱蒼とした森が見えてきた。
なんだか足を止めないといけない気がして森の入口で止まると、普段大人しい犬が唸り始めた。
それでも「おいで」「おいで」と声が続くので森に入ろうとすると犬が急に吠え始め、リードを引っ張って帰ろうとするのでそのまま家に引き返した。
成人した今は誰もいない場所で声が聞こえるや声についていったら森にたどり着く、なんてことは一切ない。

ただ数日前に、また森に呼ばれる夢を見た。
夢の中に恋人もいて、日本屋敷の庭で私が「誰かが呼んでる」と言うと突然「行かないでくれ、どうしても行くなら自分もついていく」と悲しそうに腕を掴んでしがみついてきたので一緒に森に行った。
結果的に恋人と一緒に森に入ったが、とくに何も起きなかった。ただ恋人が一言だけ「誰かがいる」と言っただけだった。
ただそれだけの夢、なんだけど、恋人がなんで私をあんなに森に行かせたくないのか、森に何があるのか・・・。
地元の噂では、某少女死体遺棄事件の遺体の一部がその森に捨ててあったとか、私自身が本当なら双子だったと親に言われたことがあるので色々と考えてしまう。