山ではないけど、山林を拓いて造られた自然公園で不思議なものを見た

4月から異動でその自然豊かな公園の側に通勤するようになった
んで、定時上がりなら未だ明るい時節になったので、公園の中を散策がてら帰ることにした
その公園はかなり広くて、芝生の広場や季節の花園やテニスコートなんかもあるけどちょっと外れると
人の手が余り入ってない雑木林だらけで、好奇心にかられて人もろくに通らないそんな場所をずんずん進んでいった
半ば朽ちたアスレチックゾーンを見下ろす場所で一休み
そこから先は、杉林の中をかろうじて小道が通っている本当に鬱蒼とした山道
暗くもなってきたし、さあどうすっぺなーと思いながらメロンパンかじってたら、何か音がする

何だべ?と近くの雑木林を見たら、1本の杉の木が揺れている、枝が、じゃなくて木全体が
幹がミッシミッシ音を立てて揺れていて、でも絡みつくかのように密生している他の木は小枝1本も揺れてない
その杉の木だけ、もちろん風だって吹いてない(微風くらいはあったかな?)
木の根元を人か何かの獣が揺らしてるのかとも思ったけど、そんなものも居ない
変なこともあるもんだなぁと、その時はそう思っただけだった

道があるからには、どこかへ通じているんだろうとその鬱蒼道を進んでみることにした
真っ暗になる前にどっか拓けた所に出るといいなぁと思いながら歩いてたら
「ヴーウゥーッ」って、うなり声みたいな音がした
まさか獣?いや、風が木の枝を揺さぶってそんな音がしたのかもと思い直してまた進む
2回目「ヴゥーウゥーッ」

その瞬間、踵を返して全速力で走った。不味いっ!って頭が思うより先に体が反応した
走りながら、生物の先生が熊は下り坂が苦手っていうのを思い出してさっきのアスレチックまで駆け下りひたすら広場目指して一直線
追いかけてくるものは無かったけど、何かがあそこに居たことだけは確かだと思う
この辺りは、去年の今頃熊が出て地方紙にも載った場所、その熊は未だ捕まっていない

うなり声の主はともかく、あの1本だけ揺れていた杉の木が気になっている
あれは、もしかして「進むな」という何者かの警告だったんじゃないかな、と今頃思っている
1本だけ揺れる木について、何か知っている人はいないかとここに書いてみました