あんなところに登るなんて非常識すぎる、なんで周りの人は注意しないんだろう…
変なおばさんに関わるのが嫌でみんな避けているだけかもしれないけど、なんとなく避けているというよりは見えていないって感じだった。おばさんの近くを通った参拝者も、おばさんには目もくれていなかった。ああ、幽霊なんだなって思った。
そういう幽霊の類はジロジロ見ないほうが良いって思ってたから極力見ないよう努めたのだけど、やっぱり気になっちゃってちょくちょくおばさんをチラ見していた。
で、ある時おばさんとがっつり目があった。目があってからはおばさんはずーっと私を凝視していた。身体は動かさず、首だけを動かして私を目で追っていた。
流石に怖くなって、お参りも済んで他の参拝者と話し込んでいた両親に「お腹空いたから早く帰りたい」と愚図ったら、立ち話も早々に切り上げすぐに車を出してくれた。
私は我先にと車に乗り込み、窓から恐る恐るおばさんを見た。まだこちらを見ていた。駐車場はおばさんから見てほぼ真後ろにあるのに、首だけをこちらにぐりんと向けて私のことをじーっと見ていた。普通の人間じゃありえない首の可動域だった。