リフティングをサッカーの技術に繋げる上で重要なのが、姿勢です。

よく、フリースタイルフットボールが上手い人は、サッカーは出来ないと言われます。

元々、サッカーが上手で、フリースタイルを始めた人は、それなりに上手いでしょうが、サッカー未経験からフリースタイルを初めて、サッカーが上手くなる人が少ない事から、その様に言われているのかも知れません。

もちろん、例外もいるでしょうし、全体の事を言っている訳ではありません。

しかし、多くの人がそう思うには、それなりに理由があるのでしょう。

まず、ひとつとして、フリースタイルの上達に力を注いでしまう、と言う事があるでしょう。

サッカーの技術にリフティングを繋げるには、高く蹴り上げたり、スピンをかけたり、様々なリフティングを練習した方が良いのですが、フリースタイルを上達させるには、腰より低い位置の小さめのリフティングを完璧にする方が重要です。

この小さめのリフティングが1万回出来ても、サッカーの試合でのボールタッチが、劇的に高まった、と言う実感が無い場合が多いです。

もちろん、例外もあります。

しかし、私は小さめのリフティングが1万回出来た時より、10メートルほど蹴り上げたボールを楽々次のリフティングに繋げる技術が出来るようになってからの方が、試合でのボールタッチ、特に浮き球やライナー性の速いボールのトラップが上達した実感がありました。

サッカーのボールコントロールで難しいのは、遠くから来るボールと速いボールです。

腰から下の小さめのリフティングでは、これらを疑似体験出来ません。

高く蹴り上げたボールをリフティングし続ける技術は、ボールの落下速度も加わり、かなりスピードを持ったボールをコントロールする事になります。

また、落下点に素早く入る目も養われます。さらに、正確に蹴り上げる事自体が、浮き球のボレーの正確さを高める事にも繋がります。

フリースタイルの上達に、この10メートルリフティングを一生懸命やる人は少ないでしょう。

つまり、フリースタイルを練習する事が、あまりサッカーの上達に生きないと、言われてしまうのは、フリースタイルの上達に必要なボールタッチは、種類が少ない事が原因です。

また、トリックを失敗しないように練習していくと、膝下の動きは固定的になります。

YouTubeでディエゴマラドーナのリフティング動画を見て、フリースタイルの上手な人と比べると、膝の使い方の柔らかさが全然違います。

しかし、フリースタイルは正確にトリックを繰り出す事が重要なので、その膝の使い方は間違っていないと思います。

しかし、サッカーに繋げるのは、マラドーナのリフティングです。また、マラドーナは小さめのリフティングもしますが、ほとんどが腰より高いリフティングをしています。

リフティングの打点が高いと、背中を丸めなくてもリフティングが出来ます。ルックアップが重要なサッカーにおいて、背中を丸めてしまうのは、大きなマイナスです。

リフティングを感覚系、技術系の練習だと考えると、実際の試合で取りたい姿勢で行いたい所です。フリースタイルだと、リフティングを正確に行うために、ボールを上から覗き込みます。

これが、背中が丸まってしまう事に繋がります。フリースタイル、特に脚回しが上手な人のリフティング中の姿勢と、マラドーナのリフティング中の姿勢を比べてみて下さい。

マラドーナも、小さめのリフティングをする時や、脚を回すトリックをやろうとしている時は、背中を丸めています。

もちろん、スポーツとして、フリースタイルを楽しむのは、良いと思うし、上手になればカッコいいですが、この様な点から、サッカーの上達には、違ったアプローチが必要になります。

このスレの皆さんは、自分がやっているリフティングが、それ自体が楽しいスポーツとして行っているのか、いずれサッカーに繋げて行きたいのか、考えると良いと思います。

もちろん、絶対に考えなければいけないなんて事はありませんし、一生懸命何かを練習する事は、尊い事です。しかし、目的を達成する為には、それなりのアプローチが必要なのです。