中学のときの彼女がそうでした。
オレは陸上部で短距離だけは早かったけど、球技と水泳はダメ。
バレー部の彼女は万能で、テニス、バレー、バスケ、水泳とすべてが得意。
よくオレは負かされましたが、彼女にとってはそんなオレに短距離だけで負
けるのが我慢ならなかったようで、よく勝負を挑まれ、オレに負けると露骨
に悔しがっていました。
で、ある日、1500m勝負を挑まれました。オレは陸上部だし、走りなら負けな
いと余裕で対戦したつもりだったのですが、彼女は相当に準備してきたみた
いで、そこはやはり彼女も鍛えた筋肉の持ち主ですから、1キロを越えたあた
りであっさり抜き去られ、大差で負けてしまいました。
オレは見学していた陸上部の後輩女子からも冷たい視線を浴びました。
その時から、彼女は「陸上でも私のほうが上なんだからね、××クンは私をも
っと尊敬しなさい」と自慢げに言うようになりました。
別れたいまも、友達としてたまに会うとそう言って冷やかされます。
いまでも短距離なら負けないはずなんだけどな。
でも勉強も彼女のほうがずっとできて名門校に受かったし、オレは彼女を心か
ら尊敬してる! 別れたくないいい女でした。