子供のころは病弱で、体育は見学が多かった。
ウンチなのが劣等感だった。いじめられた。
  女に馬鹿にされた。

 許せないのは野球部の顧問をしていた体罰理科教師。
あだ名をつけて、クラスの面前で俺を馬鹿にした。
 そこで勉強系でがんばった。ある程度は見返した。

 三十過ぎて、車椅子の友達ができた。彼の家に通って介護していた。
六十キロある彼を車椅子から抱えておろして、着替えさせたりできるようになるために、
十キロのダンベルを買った。はじめは5回しか上げられなかった。
毎日朝晩五回やった。一週間に一回ずつ増やしていった。
だんだん力がついて、週ごとに増やす回数を多くしていって、
百回できるようになった。
 
 ホームセンターでパイプなどを買って来て、
手作りでぶら下がり健康器をつくり、懸垂を始めた。
五十回できるようになった。

 テニスも楽しんでいた。
この段階で、運動音痴と馬鹿にするやつはひとりもいなくなった。
 
 事故で腰を痛めてヘルニアになった。
運動はぜんぜんやらなくなった。
仕事一筋に生きて見返した。
リストラでやめた。
手術をした。
最悪だった。
引きこもりになった。
どんどん太ってきた。
世間に対して攻撃的になった。

 これではいけないとジムに行った。
ジムの古顔たちは、
見下げるような目で俺のことを笑っていた。
このデブのウンチのおっさんと・・・
 
 しかし俺は休まなかった。
がんがん鍛えた。

 はじめは笑っていたやつらも、
だんだん見る目が変わってきた。

 今は公園でサーキットトレーニングをして走り、
苦手でもプールで泳いでいる。まだかなづちだけれど、
だいぶ泳ぎらしくなってきた。

苦手はいつか克服できると思う。
まだ障害はあるけれど、(腰のヘルニア)
そこに負担のかからないように気をつけてやっている。

 だめな自分だった。
その気になるまで、時間はかかった。
いろいろできない理由を並べているうちは何をやってもだめだった。

 でも本気をだすと、誰だって変われると思う。
おっさんだって変われたんだから・・・