寝技主体で試合する格闘技・ブラジリアン柔術。
 ルール上、柔道のように立ち技の投げ一本や押さえ込み一本がないため、勝負の大部分が寝技での関節技勝負になる。


 普段どんなに体力があろうが運動神経がよかろうが、それは日常立って歩いたり走ったりしている時の話で、寝転んだ状態での攻防技術を知ってないと、それを知っている者に文字通りオモチャにされる。
 寝技を学ぶ、ということは、たとえば赤ちゃんがハイハイしていた時に戻り、そこから「二足歩行・二足運動」とは別の運動技能を学ばなければならない。
 つまり、寝技訓練のスタート地点では、誰もが日常の運動能力を殆ど問われない「ゼロ地点」に引き戻される。
 そこでは、二足運動とは別の、寝技特有の攻防の定石や手順をより深く、継続して学んだ者が強い。
 寝技は素質無用、練習量が全て、とまで言い切られているのはそのためである。