少も火葬にする事ハ、至極の大悪事。〔中略〕我身ハ父母のかたミなれバ、我身をも火葬にさせぬ筈。火葬に
せよといふハ、まよひの遺言あれバ、必火葬にせよと
きつと遺言に言あるとも、火葬にせぬがよく、是誠の孝行なり。

アゲクニハ浮屠火葬ノ説行レテヨリ、人子ノ手ニカケテ親ヲ火アブリニシテモ、ナントモナイ風俗ニナリタルゾ。嘆コトナラズヤ。



養斎は火葬をもっとも忌むべき世の習俗と定め、門弟がこれをとり行うことがないよう注意を喚起しつつも、

ここに述べられるように養斎は、正しい喪祭儀礼をとり
行うことは「天道」に叶うがゆえ「学徳も繁昌」という効
用を生じ、反対にとり行わないならば災いをもたらすと説
いている。さらに一言するなら、先に論じた火葬批判に関
しても養斎は、 「火葬の天罰」
と火葬の習俗
に流されてしまえば「天罰」が下るという脅し文句を付加
している。すなわち養斎は、 「天道」という人口に膾炙し
たタームを用


かし、もとより『家礼』に即した儒礼の教条的な意味での
実践が、中国・朝鮮社会にあっても不可能に近かったこと
を鑑みれ