遺された人にとんでもない苦労をかける

近年は相続をめぐる訴訟が激増しているといいます。
また、親が亡くなった後、子どもが親の銀行口座からお金を引き出そうとしたら拒否されたとか、親が生前に加入していたサブスクリプションサービスなどを解約したいのに暗証番号が分からない、そもそもどんなサービスに加入しているのかが分からない、といった話もよく耳にします。

トラブルの内容はさまざまですが、ここで言えることはただ一つ。
身辺整理をしないまま死ぬと、後に遺された人たちにとんでもない苦労をかけることになる。
本来やらなくていいはずの手続きのために、膨大な時間や労力を割かせることになってしまうのです。

父の死後の私がまさにそうでした。2006年に脳出血で倒れた父は半身不随になり、2年後の2008年に亡くなりました。
そこから相続の諸手続きをするにつれて、「あのときこうしていれば」と思うことが続出しました。
たとえば相続税です。
脳出血による半身不随で要介護となった父は、弟の家よりも部屋数が多い我が家で引きとることになりました。

1人増えた分、生活費は上がり、父は父でインターネットや新聞を契約していましたが、当時は一つ屋根の下で暮らしている、しかも障害を抱えた老親から生活費を受けとるという発想はありませんでした。