ロスト・スペラー 21

1創る名無しに見る名無し2019/11/15(金) 18:38:53.75ID:2nCOUSfN

179創る名無しに見る名無し2020/01/13(月) 18:58:09.67ID:BixmOVcP
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180創る名無しに見る名無し2020/01/13(月) 19:00:08.69ID:BixmOVcP
体が2つあれば


象牙の塔にて


カティナ・ウツヒコのB棟掌握計画は着々と進行していたが、彼女は自らの権力を、
誇示する事はしなかった。
偶に『予言』して、人を驚かせる程度である。
少し彼女の知る情報を話せば、頭の良い禁呪の研究者達は、勝手に「事実」を推測して、
恐れてくれる。
それだけで彼女は満足だった。
次第にカティナの興味は一向に行動の予測が付かない、カーラン博士に移りつつあった。
ヒレンミ・ヒューインの研究室に所属しながら、彼女は暇があればカーラン博士への連絡や雑用を、
進んで引き受けた。
これは象牙の塔の職員にとっては、大変有り難い事だった。
先ず、カーラン博士が好きと言うか、得意な人が居ないのだ。
誰も彼もカーラン博士の相手は苦手。
しかし、カティナの行動は当然不審がられた。
詰まり、ヒレンミがカーランを一方的にライバル視しているのだから、何か裏があるのだろうと。
例えば、カーランを監視しているのだとか、或いは、カーランに取り入ろうとしているのだとか……。
そんな人の噂を聞かない振りして、今日もカティナはカーラン研究室に連絡書類を届けに行く。

181創る名無しに見る名無し2020/01/13(月) 19:01:50.31ID:BixmOVcP
 (今日のカーラン博士は、どんな姿をしているかな?)

大体、B棟の事は把握しているカティナだが、カーランだけは彼女の予想の範囲に収まらない。
彼は気紛れな上に、頭の回転が速いので、常人の行動パターンが当て嵌まらない。

 「カーラン博士、失礼します」

B棟の地下研究室の戸をカティナが叩くと、丸で幽霊の仕業の様に、戸が独りでに開く。
「入れ」と言う合図だ。
今日のカーランは下半身を植物に変えていた。
彼の足元からは白い根が無数に生えている。
戸を開けたのは、彼の根の1本だった。
カーランはカティナを見ようともしない。
カティナは、そっと連絡書類をカーランの横に置く。
対するカーランの反応は……。

 「書類入れに」

彼の言葉は何時も要点だけ。
その他の無駄な言葉が一切無い。
時には必要な補助の言葉も無くなるが……。
カティナはカーランの指示通りに、書類入れに連絡書類を入れる。

 「用があるなら言い給え」

緩慢な所作でカーランの様子を窺いながら行動するカティナに対して、彼は苛付いた口調で言った。

 「その下半身は、どうされたのかと……。
  具合は如何ですか?」

 「機能を知りたいのか?」

 「ええ、まあ」

182創る名無しに見る名無し2020/01/13(月) 19:05:25.80ID:BixmOVcP
カーランはカティナに下半身の機能を説明した。

 「見ての通り、これは植物の地下茎だ。
  目的は光合成。
  これによって不眠不食の活動を行える」

 「本当に?」

 「生成可能な糖質の少なさが問題点だが……。
  最近、漸く十分な量を確保出来る様になった」

カーランの下半身の根の大部分は、壁沿いに地下室の天井に向かって伸びている。
恐らく、その先は地上に出ているのだろう。
カーランは何時も新しい体を試している。
全ては効率的な活動の為だ。
カティナはカーランの発言から、事実を推測する。

 「詰まり、地上で十分な光量を確保出来るだけの面積を占めたのですね?」

 「ああ」

自分の体の改造も厭わないカーラン博士を、カティナは見習いたいとは思わないが、その狂人振りは、
研究に対する情熱と真摯さの証拠でもある。
C級の研究者達も自分の体を改造するが、あれは実験に耐える為に、既存の技術を利用して、
より優れた肉体を得ているだけ。
効果も効率も不明な物を試す積もりは無い。
カーラン博士こそが本物の狂人なのだと、カティナは思っている。
ヒレミンがカーランに勝てないのは当然だとも。
では、自分ならカーラン博士に勝てるのか?
カティナは自信が無い。
どれだけ自分が巧みになっても、カーランになら負けるかも知れないと思う。
それは彼女には彼の様な純粋な狂気が無い為だ。

183創る名無しに見る名無し2020/01/14(火) 18:39:32.02ID:x09+dAqa
何時までも研究室に留まっているカティナに、カーランは告げた。

 「用が無いなら出て行ってくれ。
  君は暇なのか?」

 「いえ……、ああ、はい、少し」

カティナは一度否定しようとして、考え直して肯定した。
暇だと言うのは間違っていない。
最近は興味のある研究テーマに出会えていない。
誰も彼も自分の研究テーマを抱えていて、その手伝いをカティナはしているが、果たして、
自分は何の研究をしたいのかと問われると、答えられない。
カティナは優秀ではあったが、それだけの人間でもあった。
詰まり、彼女自身の独創性だとか、熱情が無いのだ。
与えられた指示は的確に熟すし、方針が定まっていれば、直ちに解決への道筋を示せる。
だが、それだけだ。
そんな彼女の悩みを読んだかの様に、カーランは言う。

 「君は手が足りないと言っていた。
  それをテーマにしては、どうだ?」

 「腕を増やすのは……」

カティナは苦笑いする。
カーランの様に多生物の腕を生やしたり、増やしたりするのは、受け入れ難かった。
その反応に、カーランは眉を顰める。

 「言葉を額面通りに受け取るな。
  私が研究中に思い付いた、傀儡魔法に類する分身の技術がある。
  君になら扱えるかも知れない」

184創る名無しに見る名無し2020/01/14(火) 18:40:02.31ID:x09+dAqa
カーランは座した儘でマジックキネシスの魔法を唱えると、離れた書棚の引き出しから、
数枚の報告書を取り出して、カティナに渡した。
そこに書かれている呪文を読んで、彼女は納得する。

 「これは……マリオネットの技術?」

マリオネットとは四大魔法競技の一だ。
人形を操って、その芸術性を競う。
しかし、多くのマリオネットの魔法は、「特定の行動を取る」事を前提としている。
例えば、術者の行動を真似たり、事前に組み込んだ術式の通りに動かしたりと、柔軟性が無い。
人形を自由に動かす場合には、逆に術者の自由が制限される。
カーランの報告書の魔法陣は、人形に自分の人格を転写しながらも、自分と意思を通じさせ、
全く肉体が2つあるかの様に扱う技法だった。
しかし、これは精神に掛かる負荷が大きく、実用には適さないと書かれている。
同じ仕事を2人で行えば、労力も時間も半分になると言うのは、数学上の理論。
そして2人分の労力と時間の合計は、1人で完遂させるのと変わらない。
魔法を使って2人になれば、更に魔法の分だけ足される。

 「確か、B級の研究者には珍しく身体に障害を持った者が居た筈だ。
  名前は確か……、ハンセロトワーン。
  どこの研究室だったかまでは憶えていないが、行き詰まったら彼の助言を受けると良い」

カティナ自身は他者の助言を受ける事は無いと思っていたので、カーランの発言は自分の実力を、
見誤っているか、侮っている物だと受け取った。

 「有り難う御座います」

文句は言わずに、カティナは有り難く報告書を受け取って、退室する。
カーランから貰った報告書の魔法が、どの程度の物かは、実際に使ってみないと判らない。
実用に適さない程、精神に掛かる負荷が大きいと既に書かれているのに、試さずには居られない。
カティナも象牙の塔の立派なエラッタ共の一人なのであった。

185創る名無しに見る名無し2020/01/14(火) 18:41:43.72ID:x09+dAqa
カティナがカーランの研究室から、魔法実験の報告書を持って帰った事に、ヒレンミ室長は、
良い顔をしなかった。
自分の部下が、ライバルの研究を引き継ごうと言うのだから。
しかし、カティナは次の様に言い訳した。

 「これはカーラン博士が物になる事は無いと思って、放棄した研究です。
  仮令、『唾付き』であっても、それを完成させる事が無意味だとは思いません」

「唾付き」とは即ち、一度人が手を付けた物と言う意味だ。
既に先駆者が居る為に、革新的、独創的とは言い難いが、途中で放棄されたのであれば、
これを完成させる事は、放棄した者以上の優秀さを持つ事の証明にもなる。
ヒレンミはカティナの主張を黙って受け入れた。
実際、カティナは優秀だったので、それを遣り遂げるかも知れないと思った。
そしてカティナは初めて、「自分の研究」に没頭する事になる。
先ず、彼女は自分の分身を用意しなければならない。
生きた体の調達は無理なので、取り敢えずは人形で試す事になる。
魔法によって人形に自分の人格を移植するのだ。
だが、人形の作成は職人業である。
他者の手を借りなければならない。
これまでカティナが地道に集めて来た、B棟に関する情報があるので、職人を探すのは容易だ。
その職人の名は……ハンセロトワーン。

 (成る程、こう関わって来るんだ……)

早速カーラン博士の言う通りに、カティナはハンセロトワーンの助言を受ける事になる。
ハンセロトワーンは実際に奇妙な人物だった。
否、象牙の塔で奇妙でない人物は居ないのだが……。
彼は両腕と片脚を欠いた者だった。
それ自体は普通の事。
象牙の塔の者ならば、日常的に手足を欠く位の覚悟は必要である。
欠損はB級禁呪の研究者達の優れた再生魔法によって補われる。
それが先天的であれ、後天的であれ。

186創る名無しに見る名無し2020/01/15(水) 18:47:09.32ID:qpYJ9YjZ
詰まり、象牙の塔に居る者は、精神は別として、肉体に欠損を抱えた儘と言う事が無い。
もし欠損があるなら、意図して自らに不利な障害を維持している事になる。
生まれた儘の体を大事にしたいと言う思いは誰にでもあるが、ハンセロトワーンの場合は、
少々事情が複雑だった。
彼の個人的な事情は今は措くとして、彼は変人揃いの象牙の塔でも、変人扱いされている。
自ら不利な状況に留まり続けるのだから、変人と言えば変人なのだが、外から見れば、
どちらも同類だろう。
カティナは自分の人形を求めて、モノソス研究室のハンセロトワーンに会いに行った。
ハンセロトワーンは禁呪の研究者であると同時に、義体技術者である。
彼は普段、義手義足を装備して過ごしている。
それも機械的な物では無く、魔法的な物だ。
詰まり、義手義足を魔法で動かしているのである。
彼の研究テーマは、人体と義体の置換。
最終的には義手義足だけでなく、完全な義体を作成して、自分の体の代わりにする事を、
目指している。
それが可能になれば、人間は肉の体に拘る必要が無くなる。
モノソス研究室全体での研究テーマが「人体の製作」なので、その流れでハンセロトワーンは、
今の研究を始めた。
否、その為に彼はモノソス研究室を選んだのだ。
とにかく、カティナはハンセロトワーンに会って、人形の作成を依頼した。
ハンセロトワーンは驚いた顔で応える。

 「肉体を2つ……?」

 「はい。
  お願い出来ませんか?」

 「いや、済まない。
  吃驚してしまって。
  何とも贅沢だなと」

187創る名無しに見る名無し2020/01/15(水) 18:48:01.88ID:qpYJ9YjZ
忙しい人間が冗談めいて「幾つも体が欲しい」と言う事を、カティナは本気で実行しようとしている。
ハンセロトワーンは、それを好意的に捉えた。

 「しかし、面白いね。
  実に夢がある」

 「どう言う意味の『面白い』でしょうか?」

カティナが困った顔で問うと、ハンセロトワーンは実に楽しそうに返す。

 「最近の禁呪の研究者達は夢が足りない。
  それこそ冗談を本気にする様な。
  頓智を働かせる前に、やはり正攻法で物事に打付かってみるべきだよ。
  誰も彼も『人形』と言うと、自分の道具だと考えてしまう。
  自分の体では無い、使い捨ての消耗品だとね。
  特に、この象牙の塔では、自分の体であっても……。
  しかし、君は違う訳だ」

 「私自身は、そう違うとは思いませんが……」

 「ああ、君は大した事だとは思っていないだろう。
  その辺は感覚の違いだ。
  改まる必要は無い」

ハンセロトワーンは一つ咳払いをして、カティナに答えた。

 「喜んで協力させて貰おう。
  当然、共同研究者には、僕の名前を入れてくれるんだろうね?」

 「はい、それは勿論。
  貴方無くしては、出来ない訳ですから」

 「はは、嬉しい事を言ってくれる」

188創る名無しに見る名無し2020/01/15(水) 18:49:12.36ID:qpYJ9YjZ
それからカティナはハンセロトワーンと、新しい人形の仕様に就いての協議を始めた。

 「分身と言うからには、人型にするんだろう?」

 「はい」

 「細かい仕様とか、既に決めているのかな?」

 「いえ、未だ……。
  考え自体はありますが、どこまで実現可能か判らないので……」

 「大雑把でも良いから、ここで決めておこう」

 「はい」

 「それで、どんな人形をお望みかな?」

 「出来れば、私と同じ様な……」

 「それは体形とか、重さとか、『使用感』も含めて全部?」

 「使用感?」

 「義体を使わない人には解らないかな?
  詰まり、生身と全く変わらない感覚で使える様な――と言う事だよ」

 「可能なんですか?」

 「時間は掛かるし、君自身の協力も必要になる。
  それでも良ければ」

ハンセロトワーンの口振りからは、相当精巧な人形が製造可能な様だった。

189創る名無しに見る名無し2020/01/16(木) 19:15:52.55ID:ZhbLfQKa
カティナは思案する。
自分の体と同じ積もりで動かすなら、それは同じ材質で、同じ質感、使用感の方が良いだろう。
だが、全く同じ肉体があると言うのは、少し気持ちが悪い。
やはり「自分」は自分1人だけで良いのだと言う思いがある。
しかし、彼女はカーラン博士の事を思い浮かべた。
恐らく、彼なら迷わない。
本気でカーランを越える積もりなら、ここで躊躇っては行けない。
人間的に何か大事な物を捨てる事になろうとも、それが象牙の塔では当たり前なのだから。
だから、『禁呪』の研究者なのだ。

 「私と同じ物を造って下さい」

ハンセロトワーンは一度確認を求めた。

 「『同じ』って、本当に同じ?」

 「はい」

 「その儘、血と肉で造るって事?」

 「無理でしょうか?」

禁呪の研究者に対して、「無理」は禁句だ。
そう言われては引き下がれない。

 「無理では無いけども……」

 「では、お願いします」

強気に言うカティナに、ハンセロトワーンは忠告する。

 「でも、手入れが大変だよ。
  生物(ナマモノ)だから腐らない様にしないと。
  自分で管理出来るのかい?」

190創る名無しに見る名無し2020/01/16(木) 19:16:52.45ID:ZhbLfQKa
 「手入れとは、詰まり、食事とか、普通の人間が行う諸々の事でしょうか?」

カティナの問に、彼は大きく頷く。

 「そう、君は実質、2人分の体を1人で管理する事になる」

負荷が大きい筈だと、カティナはカーランの報告書にあった事の意味を理解した。
知識は体感を伴い、納得に至る。
これが象牙の塔のエラッタ共が考える理想だ。
故に、カティナは頭で考えるだけでなく、実際に体験してみなければならない。

 「やります」

 「その意気や良し。
  では、細胞を採取して培養を始めよう。
  但し、出来上がるのは、君と全く同じ体ではない。
  恐らくは、君が取り得る、或いは取り得た標準的な肉体になる。
  適度な栄養と運動によって、一般的な成長を遂げた姿だ。
  よって、全く同一の物を期待されると、少し困る」

 「はい、分かりました」

 「『人形』の方に余り入れ込まない様に」

 「はい」

 「人形は飽くまで人形だ。
  脳には神経を通じた呪文による制御機構が集中している。
  しかし、これは自発的、自律的な活動をする物では無い事を、了解しておいてくれ」

 「はい」

191創る名無しに見る名無し2020/01/16(木) 19:17:34.29ID:ZhbLfQKa
 「所で、具体的に、どうやって管理する積もりなんだ?」

そう聞かれたカティナは、平然と答えた。

 「常時、接続する予定ですので、特に管理方法は考えていません」

 「大丈夫なのか?
  万一の時に備えて、保存設備が必要にならないか?」

 「その場合も、自分で何とか出来ます」

 「それなら良いけども……。
  余り他人の迷惑にならない様に」

 「はい」

ハンセロトワーンは心配しているのだろうが、好い加減に執拗いとカティナは感じ始める。
だが、それ以上の忠告は無く、彼はカッターを持ってカティナに言った。

 「腕を出してくれ」

言われた通りに、カティナは右腕を差し出す。
皮膚の一部を切り取って、そこから全身を再生させるのだが、彼女はハンセロトワーンの指先を、
凝視した。
カティナの腕に触れる彼の指は、全く人形の様だ。
表面こそ樹脂で覆って柔らかく見えるが、中身は線維の芯に、木の骨組み。
カティナは疑問を抱いて問う。

 「その手は……指先の感覚はあるんでしょうか?」

 「ああ。
  義手だから、そう感度は良くないけれど」

192創る名無しに見る名無し2020/01/17(金) 18:32:18.53ID:m/dCtLCX
細かい作業をするのに、感度の悪い指先では不利では無いかと、彼女は疑問に思った。
ハンセロトワーンはカティナに予告する。

 「少し痛いよ」

 「はい」

彼の持つカッターがカティナの腕に刺さり、素早く円を描く様に皮膚の一部を抉り取る。
的確で素早い作業。
その瞬間の痛みは大きくないが、後から少し痛くなり、血が溢れ出す。
カティナは魔法で直ぐに傷を治療した。
傷は瞬く間に塞がる。
ハンセロトワーンは抉り取った細胞を培養液で満たされた瓶に入れる。

 「汚染が無く、順調に行けば、1箇月後には完成します」

 「分かりました」

正直、長いとカティナは思ったが、人体を複製するのだから、その位は仕方が無いと割り切った。
急かして失敗してしまっても困る。
その間、カティナは何時も通りの日常を過ごして、時々ハンセロトワーンの所に、様子を窺いに行く。
1週間で片腕が完成し、2週間で胸部が、3週間で胴が、4週間で全身が出来上がる。

 「未だ完成していないんですか?」

 「君は意外に急っ勝ちなんだな。
  これは側(ガワ)だけだから。
  中身は未だ完成していないよ。
  残りの2週で仕上げる」

 「ああ、そうなんですか……」

193創る名無しに見る名無し2020/01/17(金) 18:33:08.74ID:m/dCtLCX
(唯一大陸の1週間は5日で、1箇月は6週間)

194創る名無しに見る名無し2020/01/17(金) 18:33:49.82ID:m/dCtLCX
カティナは水槽の中の分身を見た。
外見はカティナに似ている。
自分の細胞から造ったのだから、当たり前と言えば、当たり前。
もう2週間後には、この体を第2の体として、扱わなくてはならない。
理論的には、不可能では無い。
これまでカティナは複数の作業を同時に行う練習をして来た。
例えば、複数のペンを魔法で動かしながら、自分の手でも筆記をしたり、全く別の事をしたり。
それでも、2つの体を動かす事に比べて、どうなのかは分からない。
片方が遊んでいる間に、片方で仕事が出来ると言う事なのだが、果たして、そう上手く行くのか?
重要な事は、2体が独立した意思を持っている訳では無く、精神を共有すると言う事だ。
カティナは他の研究中に、小さなマリオネット人形を動かして、密かに予行練習を始めた。
だが、それも所詮は人形遊び。
どんなに複雑な動きをさせた所で、実際に精神が宿っている訳では無い。
そして遂に1箇月が過ぎて、カティナは新しい自分の体を迎える事になった。
水槽の前で、彼女はカーラン博士の報告書にあった呪文を試す。

 「I1EE1・EG4K3F4・I1N5・E1E1A5……」

カティナの意識は、水槽の中の人形と同調を始めた。
直後、彼女は呪文を中断して、激しく咳き込む。
ハンセロトワーンはカティナを心配した。

 「どうしたんだ?」

 「……い、いえ、水の中だったので、息が出来なくて……」

 「成る程。
  培養液から出しておこう」

彼は水槽の蓋を開けて、カティナの分身の体を水から引き上げる。

195創る名無しに見る名無し2020/01/17(金) 18:34:59.90ID:m/dCtLCX
今まで水槽の中で培養されていたので、分身は裸だ。
しかし、B棟の研究者は人の裸体如きで動揺したりはしない。
基本、見慣れている。
B棟の研究者が人の体を見る時は、先ず健康状態を気にする。
異性を見る時は、先ず精神から見ると言う、これぞ『心の人<シーヒャントロポス>』の鑑。
中身の無い人形に欲情する事は、あり得ないのだ。
余談は措いて、ハンセロトワーンはカティナの分身の肺から、水を抜いた。
人形の体は呼吸を始め、丸で寝入っている様。
カティナは改めて呪文を試す。
今度は上手く同調出来た。
人形の方のカティナは、立ち上がる……が、同時に彼女は情報量の多さに困惑する。
体は2つ、精神は1つと言うのは、彼女が想像していた以上に、複雑で気持ちが悪い。
普通の体と、濡れた裸の体が、カティナの中で同居している。

 「ふ、服を着ないと……」

そうカティナが言うと、人形の方も同時に全く同じ言葉を喋る。
堪らず、彼女は精神を元に戻した。
人形のカティナは倒れて動かなくなる。
ハンセロトワーンは彼女に問い掛けた。

 「又、何か不具合でも?」

 「いえ、これは……慣れるまで大変そうです」

 「その体、自分で管理出来そう?」

そう聞かれて、カティナは返答に困る。
恐らくは、持て余す。
十分に慣れるまでは……。

196創る名無しに見る名無し2020/01/18(土) 19:22:53.52ID:uiZeeBRs
しかし、諦めると言う選択肢は彼女の中には無かった。
ここで折れては、禁呪の研究者を名乗る資格が無い。
精神が分裂して、狂ってしまっても、幸い象牙の塔では再生出来る。
カティナは自分の分身になる予定の人形を背負って、ヒレンミ研究室に帰って来た。
同室の研究員達は、興味津々でカティナの人形に就いて尋ねる。

 「これが例の人形?」

 「はい」

 「誰が造ったの?」

 「ハンセロトワーンさんです」

 「あの義体君?
  しかし、よく出来ているね」

 「余り構わないで下さい」

数点も経てば、研究員達は興味を失って、自分達の研究に戻る。
カティナは小実験室に篭もって、独りで魔法の練習をする事になった。
念の為、先輩のヘイゼントラスターロットに、実験後の様子が奇怪しかったら検査して欲しいと、
頼んでおく。
初日の結果は捗々しくなかった。
どうしても、体が2つある感覚に慣れない。
確かに、カーラン博士の報告書通り、精神に掛かる負荷が大きい。
自分の体と分身とで、別の行動を取らせる事も困難だ。
同一の動作をさせる事なら、何とか出来そうなのだが……。
それではマリオネットと変わらない。

197創る名無しに見る名無し2020/01/18(土) 19:23:36.10ID:uiZeeBRs
カティナは少しでも人形に慣れる為に、人形と並んで歩く事にした。
全く同じ動作をさせる事なら、直ぐに慣れるだろうと判断しての事。
最初から完璧には出来ないから、先ずは簡単な事から、それから高度な技術を試せば良い。
こうしてカティナは2人での生活を始めた。
眠る時に同調を切り、朝は1人で早起き。
これからの生活の準備を始める。
取り敢えず、隣に並んで同じ行動が出来る様に、何から何まで、もう1人分を隣に並べる模様替え。
どうしても並んでは無理な事は、片方を眠らせている間に、もう片方で済ませる。
本体で人形分の朝食を用意。
出来上がったら、人形を起こして、同調生活の開始。
何よりも、体が2つある事に慣れなければ始まらない。
仕事中も2人。
但し、何時も同じ行動をさせる訳には行かないので、用の無い時は眠っていて貰う。
本体が一所懸命に働いている横で、分身は突っ伏して眠っている。
そんな生活を数日続けた。
ある日、カティナはヘイゼントラスターロットに言われる。

 「そうしていると、姉妹みたいだね」

 「姉妹?」

カティナと人形は同時に応える。
未だ2つの体で別々の行動を取らせる事は出来ていない。
だが、体が2つある事には慣れて来た。

 「そうそう、手の掛かる妹が居るみたいな感じ。
  見た目も似ているしね」

カティナと人形は、お互いの顔を見合う。
鏡映しと言うには、微妙に似ていない2人だが、姉妹と言われれば、そんな感じはする。

 「妹ですか……。
  お兄ちゃんなら居るんですけど」

198創る名無しに見る名無し2020/01/18(土) 19:24:44.70ID:uiZeeBRs
小さく笑うヘイゼントラスターロットに対して、カティナは眉を顰めて言った。

 「でも、姉妹と言う風には見れませんよ。
  どちらも私なんですから。
  体が2つあるだけで、比喩でも何でも無く、心は1つなんですよ」

カティナは2つの体で同じ事を言う。
これは他者には理解し難い感覚だ。
2つの体で心が1つを、後天的に体得するのは難しい。
共通魔法では一般的な「感覚を共有する」、「体を思う様に動かす」のとは、訳が違う。
約2月後、カティナは体が2つある生活にも慣れて来たが、相変わらず、同時に別の行動をさせ、
2つの体を有効に使う事は出来なかった。
人間の脳は、そう言う風には出来ていないのだ。
この儘では進展は望めないとカティナは悩み、一層脳を改造してしまおうかとも思う。
カティナの精神は1つの体では不足だが、2つの体では余ってしまう。
自分の腕が何本か増える位が、丁度良かったのだ。
しかし、カティナに何の進展が無かった訳でも無い。
彼女は2つの体で別の本を読む事位は、出来る様になっていた。
ヘイゼントラスターロットは読書中のカティナに問う。

 「何を読んでいるんだい?」

 「これは人工精霊作成実験の報告書で――」

 「こちらは副脳の実験報告書です」

カティナが本体と分身で別に答えたので、ヘイゼントラスターロットは驚いた。

 「もう完全に2つの体を別々に動かせる様になったの?」

199創る名無しに見る名無し2020/01/19(日) 18:25:50.15ID:mRfnTH4U
2人のカティナは互い違いに答える。

 「そんな事はありません」

 「これは最初から出来ていました」

 「片方に何かをさせている間、もう片方には何もさせない」

 「それだけの事です」

 「同時に別の言葉を喋らせるのとは違いますから」

 「腹話術みたいな物ですね」

そうなのかとヘイゼントラスターロットは頷く。

 「成る程ね。
  でも、2冊の本を同時に読めているじゃないの」

 「読むだけなら、前から出来ていました」

 「これは格好が付く様になっただけです」

 「所詮、見せ掛けだけですよ」

カティナの返答は少し捻くれていた。
実験が思う様に進んでいないのだろうと、ヘイゼントラスターロットは同情する。
その苦しさは同じ研究者だから解る。
予想通りの結果が得られない、技術が進歩しないと言う事は、常に成果を求められる研究者には、
とても辛い事だ。

200創る名無しに見る名無し2020/01/19(日) 18:26:23.94ID:mRfnTH4U
それから1箇月後……。
カティナは誰も気付かない内に、少しずつ分身の動作を進歩させた。
先ず、無意識に行える動作であれば、分身にも容易にさせられる事に気付く。
呼吸、歩行、咀嚼嚥下、それに加えて、普段は手癖で行っている様な事も。
簡単な動作に限られるが、そうした事から少しずつ慣らして行って、複雑な動作にも慣れる計画。
その内に、段々と分身にも愛着が湧く。
初めは、管理が面倒なだけの荷物だったが、今では完全に、もう1人の自分だ。
しかし、第三者からは大きな変化が分からない。
カティナは敢えて進歩を口にせず、何も変わらない振りをした。
形から入ると言う名目で、分身に自分と同じ格好をさせ、敢えて見分けが付かなくする。
分身はカティナと殆ど同じだったので、一見して本人か分身人形か判らない。
その内に、独立させると言う名目で、分身と離れて行動する様になる。
普段は無意識で行える動作だけをさせて、何かあれば本格的に意識を移す。
こうした事を始めて又1箇月後、カティナの意識は本体からも分身からも離れて、宙吊りになる。
どちらの体も余り意識させずに動かす事が可能になったのだ。
そして重要な価値のある情報だけを記憶する事になった。
肉体のカティナは本体も分身も、生気が抜けた様になり、精神のカティナは何時も2つの肉体を、
俯瞰している。
それこそマリオネットの様に。
彼女の当初の計画とは違ったが、これは新たな方向性とも言えた。

201創る名無しに見る名無し2020/01/19(日) 18:27:02.59ID:mRfnTH4U
そして、カティナは3体目の体を持てるのでは無いかと考え始めた。
彼女は久し振りに本体に意識を戻し、分身と一緒にハンセロトワーンに会う。

 「カティナさん、もう2つの体には慣れたのかい?」

 「ええ。
  予想とは少し違う形になりましたが……」

カティナが2体目を得てから、半年が経過している。
彼女はハンセロトワーンに3体目の製作を依頼する。

 「そこで2つ目の分身を造って欲しいのですが……」

その依頼にハンセロトワーンは目を剥いた。

 「2体目!?
  大丈夫なのか?」

 「恐らく、そう苦労はしないと思います」

浅りと答えたカティナに、ハンセロトワーンは難しい顔をして告げる。

 「……君の噂は聞いているよ。
  最近の君は、呆っとしていて危なっかしいと」

 「ああ、それは……。
  2つの体を同時に扱う為に、肉体とのリンクは最小限に止めている為です」

 「えっ?
  それは本当に大丈夫なのか?」

ハンセロトワーンは本気でカティナを心配してたが、当の本人は何とも思っていない。

202創る名無しに見る名無し2020/01/20(月) 18:31:57.56ID:HaSpZrsl
2つの体を同時に扱っている時のカティナは、半精霊化している。
このカティナは現実の空間を越えて、離れた2つの体の間に、同時に存在している。
「存在している」と言うのは、空間的な場所を表すのでは無い。
カティナは未だ、2つの体を同時に扱う際の、自分の所在――「居場所」に関して、自覚的では無い。
意識と言う物の在処に就いて、彼女は深く考えていないのだ。
どちらの体にも意識が宿っていないと言う事が、どう言う事なのかを……。
それに気付いた時、カティナは最大の禁忌を知るだろう。
即ち、『現生人類<シーヒャントロポス>』の肉体と精神は別個の存在で、分離可能な物だと言う事に。
将来の話は扨措(さてお)き、カティナは複数の肉体を持つ事に前向きだった。

 「大丈夫です。
  今の所、大きな問題は起きていません」

 「将来は起きるかも知れない」

 「その時は、その時です。
  ここには『頼りになる』人達が居ますから、そう心配していません」

肉体や精神が毀損しても、B級禁呪の研究者達が居れば、復活は容易である。
そこに関しては、カティナは絶大な信頼を置いている。
それはハンセロトワーンも同じなので、多少痛い目を見るのも経験かと納得して、見過ごした。

 「そこまで言うなら、新しい物を用意しよう。
  所で、3体目を持つ計画もあるのかな?」

 「ええ、持てるだけ持っておきたいです」

持てるだけと聞いて、ハンセロトワーンは呆れ果てた。

 「限界を試す気なのか?」

203創る名無しに見る名無し2020/01/20(月) 18:33:24.93ID:HaSpZrsl
 「それの何が悪いんでしょうか?」

カティナの応答は平然としている。
禁呪の研究者としては珍しくは無い性格。
寧ろ、エラッタとしては一度は自分の限界を見ておく物だと言う。
致命的な『誤り』、『欠陥』を抱えている事を意味するエラッタが、象牙の塔では名誉になる。
死後の事が知りたければ、一度死んでみろと平然と言え、又、実行出来るのがエラッタなのだ。
象牙の塔では己の命よりも、未知を知る事の方が価値がある。
エラッタ共は「死ぬ気でやれ」「死んだら生き返らせてやる」と言う。
その情熱は世界の全てを知るまで、終わる事が無い。
知識として知っていても、それを体得するまで飽き足らないのだから、熱が冷める事も無い。
カーラン博士が不老不死に魅入られる訳である。
その不老不死ですら、最終的な目標では無く、全てを『知る』為の物に過ぎない。
外界から見た象牙の塔は、正に魔窟、魔界なのだ。
しかし、ハンセロトワーンも半分エラッタの様な物なので、カティナの心が解らない訳では無い。

 「取り敢えずは、2体目で満足してくれ」

 「ええ、何事も1つずつ。
  基本ですよね」

 「一度細胞は取ってあるから、もう君から採取する必要は無い。
  緊急事態に備えて、私は私の研究に関与した他人の細胞を、全て保管している」

 「悪用はしていませんよね?」

カティナは冗談めかして問う。
ハンセロトワーンは堂々と答えた。

 「どう悪用すると言うのか?
  ここでは隠し事なんか出来ないし、ここで価値のある物は真実だけだ」

204創る名無しに見る名無し2020/01/20(月) 18:34:06.40ID:HaSpZrsl
それから1月後、カティナは2体目の人形を手に入れる。
そして……僅か1年で、カティナは5人に増えた。
同時に、全てのカティナから嘗ての怜悧さが失われ、半ば寝惚けた様な状態になった。
それは『本体』が存在しない為だ。
他者の研究を手伝いはするが、行動は完全に受け身。
「本当のカティナ」が、どこに居るのか、それは誰にも判らない。
どれが本物のカティナなのかも。
基本的に他者に興味を持たない象牙の塔の者は、同時に多数存在するカティナを区別しなくなった。
もしかしたら、カティナ自身も区別していないのかも知れない。
どのカティナが何番目かを知るのは、ハンセロトワーンのみである。
その事を誰も異常とは思わない、象牙の塔は魔界である。

205創る名無しに見る名無し2020/01/22(水) 13:57:19.00ID:XbQSv6a+
そういえば、夜の人とかひっそり生き続けてたようなものの中には、
世界再生の際に誰からも思い出してもらえず消滅した奴もいるのだろうか……

206創る名無しに見る名無し2020/01/22(水) 18:43:39.23ID:l4bBizmg
>>205
完全に孤立すると言う事は中々難しいので大丈夫だと思います。
思い出すと言うのもファジーな感覚で記憶の片隅にでも残っていれば良いので。
意識は動物にもありますし、人が動植物を思い出せば、その動植物からも連鎖的に存在が再現されます。
良い思い出じゃなくても良いので、悪い記憶でもイメージでも、とにかく誰かや何かの記憶に残っていれば。
中には完璧に閉じた存在もあるでしょうが、そうなってしまうと、もう居ても居なくても同じなので……。

207創る名無しに見る名無し2020/01/25(土) 22:36:25.98ID:EKbqGwmS
過去スレを見てたが、設定では遊牧民もいるのか
唯一大陸って思ったより広いな

208創る名無しに見る名無し2020/01/28(火) 18:58:51.77ID:Tczrbno/
唯一大陸の広さは北アメリカ大陸より少し大きい位のを想定しています。
人口2億5000万と言うのも、その辺を参考にした記憶があります。
馬車鉄道で何日駅とあるので、唯一大陸が1周何キロメートル相当か、一応は算出可能です。
実際は線路の外周部もあるので、もっと広くなりますが……。
舞台となっている星は唯一大陸以外は殆ど海で、唯一大陸が表面積の約20分の1と言う設定だった筈です。
北は極地で南は熱帯なので、相応の広さだと思います。
……本当かな?
厳密に計算すると違うかも知れません。


現実の大陸にも様々な人種や生活習慣がある様に、唯一大陸でも私達が考える「標準的な生活」を営まない人達は居ます。
魔導師会と言う組織は、グラマー地方を除いて政治機能を持っていないので、基本的には現地の決定が優先されます。
魔導師会の役割は争いや行き過ぎがある時に、仲裁する程度です。
大体の集落に、魔導師会の者が1人か2人は配置されている物ですが、居ない所もあります。

209創る名無しに見る名無し2020/01/29(水) 18:47:11.80ID:tc8J+L1n
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210創る名無しに見る名無し2020/01/29(水) 18:49:10.09ID:tc8J+L1n
人間に戻る


ポイキロサームズの後日談


第一魔法都市グラマー 禁断共通魔法研究特区 禁断共通魔法研究所 通称「象牙の塔」にて


反逆同盟との戦いが終わった後、ポイキロサームズは象牙の塔に集められた。
そこで人間の体を与えようと言うのだ。
執行者達の監視の下、ポイキロサームズは象牙の塔の研究者達の診察を受ける。
蛇男のヤクトスだけは既に診察を受けた後だったが、仲間達と共に再度診察を受けた。
以前はカーラン博士だけだったが、今回は大勢のB級禁断共通魔法の研究者の好奇の目に晒されて、
好い気分はしなかったが、それも人間の体を得る為だと耐えた。
B棟の研究者達は「患者」を前に、好き勝手な事を言う。

 「これは完璧に動物ですね……」

 「動物に人間の魂を?」

 「いや、それが記憶は抜いて、人格だけを……」

 「記憶と人格って分けられる物か?」

 「事実、そうなっているんだから」

 「人格から記憶を復元出来るかも」

 「それってA棟の分野と違うか?」

そんな訳で、この珍しい「患者」の治療の為に、象牙の塔が全体が動く事になった。

211創る名無しに見る名無し2020/01/29(水) 18:51:06.12ID:tc8J+L1n
ポイキロサームズの肉体は完全に動物で、人間の物では無い。
脳の構造が人間に近くなっている以外は、人間らしい形跡が無い。
その脳でさえ、人間の物では無いのだ。
B棟の研究者達は感心するばかり。

 「これは凄い。
  この肉体は製造された物だよ。
  製造者は余程、動物の肉体の構造に詳しいんだろう。
  動物の肉体を基礎にして、半分人間の様に動かせる様にするとか、並大抵じゃない」

 「ああ、我々は生命体を創造する時に、どうしても機能や効率を考えてしまう。
  態々こんな事をするとは暇人か、それとも独特な趣味者か?」

 「それが噂の反逆同盟らしい」

 「あぁ、暇人で趣味者だったか……。
  いや、しかし、これ程の腕があれば、真っ当に活かす道もあった筈だが……」

 「世間は常識に煩いですからねぇ。
  真っ当になれなかったんでしょう」

 「執行者も何かと違反違反だしな」

 「やあ、僕等は象牙の塔に入れて良かったですよ」

 「ああ、全く。
  ここなら好きなだけ実験と研究が出来るからな」

狂った研究者達は、執行者を前にして、その不満を平然と吐く。
執行者達は呆れるばかりで、腹も立たない。
相手は狂人、怒るだけ損だ。

212創る名無しに見る名無し2020/01/29(水) 18:52:20.66ID:tc8J+L1n
ポイキロサームズのアジリアは、耐え兼ねて零した。

 「それで結局、人間には戻れるのか、戻れないのか、瞭りしてくれないかな?」

それを聞いて禁呪の研究者達は小さく笑う。
笑われるとは予想しておらず、アジリアは怒った。

 「何故笑う!?」

 「戻ると言う表現は適切では無いかなぁ」

 「それの何が可笑しい!」

 「いや、気を悪くしないで欲しい。
  皆、笑いに飢えているんだ。
  少しでも道理に合わない事が、可笑しくて仕方が無い」

アジリアは理解不能な理屈に益々憤るも、執行者が彼女を宥める。

 「落ち着いて下さい。
  奴等は一寸頭が奇怪しいんです。
  真面に相手をしていると、身も心も持ちませんよ」

研究者達は執行者の失礼な言い方にも、全く気分を害さない。
平然と聞き流して、ポイキロサームズに告げる。

 「これからA棟の心理分析の専門家に診て貰うから、人間の体にするのは、その後だよ。
  彼が到着するまで、適当に寛いで待っていなさい。
  中々直ぐには終わらないと思うからね」

 「今までのは、君達をどうするか話し合っていたんじゃなくて、暇潰しに駄弁っていただけさ。
  そう言う訳だから、肩の力を抜いて、楽にしていなよ」

執行者達もポイキロサームズも、その対応に脱力した。
そして改めて、碌でも無い連中だと思うのだった。

213創る名無しに見る名無し2020/01/30(木) 18:46:33.71ID:UcZzkjLg
約1角後に、A級禁断共通魔法研究者のユーメロ・リヴラゾンが到着する。
彼は心理魔法の専門家で、人の深層心理を読む事に長けている。
人の体に現れる反応、小さな仕草、表情、言葉、あらゆる行動から、人の心を読む。
彼はポイキロサームズと一対一で、様々な心理テストを行った。
身長は、どの位から「高い」「低い」と思うのか?
体重は、どの位から「重い」「軽い」と思うのか?
収入は、どの位から「多い」「少ない」と思うのか?
空間は、どの位から「広い」「狭い」と思うのか?
年齢は、どの位から「若い」「年寄り」と思うのか?
年代は、どの位から「最近」「昔」と思うのか?
人は何事も自分を基準に考える物である。
意識的にでも、無意識にでも。
小さな引っ掛かりから、人物像を推定するのだ。
加えて、嘘を封じる魔法で、誤魔化す事も出来ない。
個人的な情報が多く含まれる為に、一対一と言う形式になった。
可能であれば、モデルとなった人物を特定する。
しかし、問題は本来の自分を思い出したとして、社会的に受容されるかと言う所。
そして、もし受容されたとしたら、元の生活に帰りたいかと思うかと言う所。
ユーメロはアジリアに問う。

 「何か夢を見たりはしませんか?
  それも一度や二度では無く、よく見る夢です。
  全く同じ夢では無くとも、類似したパターンの夢を見るとか」

アジリアは答えた。

 「あります。
  家族の夢です。
  夫と、子供が2人……。
  そう言う夢を、よく見ました」

 「成る程、失踪届を当たってみましょう」

214創る名無しに見る名無し2020/01/30(木) 18:48:19.99ID:UcZzkjLg
小さな情報でも積み重なれば、個人を特定出来る。
言葉遣いを取っても、僅かな訛りや、聞き慣れない表現等で、出身地が絞り込める。
しかし、本人には自覚が無い物だから、とにかく言葉を引き出さなくてはならない。
手近にある簡単な物を提示して、これは何か等と、丸で幼児に尋ねる様な、基本的な質問を、
何度も何度も繰り返す。
そして丸1月を掛けて調査した結果、ヤクトス以外の全員の身元を特定出来た。
だが……、それと元の生活に戻りたいかは別だった。
以前の自分を知りたいかと言う問い掛けに、「はい」と答えるのか、「いいえ」と答えるのか……。
真っ先に元に戻りたいと答えたのは、アジリアとヘリオクロスだった。
象牙の塔のロビーに集まったポキロサームズは、これからの事を話し合う。

 「私達は人間の姿に戻る事にしたよ。
  人間としての私達は死んでるけれど、それでも家族と暮らしたい」

そう言ったアジリアに対して、ヴェロヴェロは外方を向いて答える。

 「そりゃ良かった。
  そんじゃ、ここでサヨナラだな。
  もう会う事も無えだろう」

 「そんな事を言うなよ」

 「ソウデスヨ……」

投げ遣りな態度のヴェロヴェロに、アジリアとヘリオクロスは寂しがった。

 「つったって、元の生活に戻るんだから、必然、俺等との付き合いも無くなるだろう」

突き放す彼に対して、アジリアは反論する。

 「そんな事は無いよ。
  そりゃあ元の生活が忙しくなれば、疎遠にはなるかも知れないけどさ……。
  定期的に会って、近況を話し合ったり、昔を懐かしんだりするのも良いじゃないか?」

215創る名無しに見る名無し2020/01/30(木) 18:50:19.76ID:UcZzkjLg
彼女の言葉にヘリオクロスも同意した。

 「ソウデス。
  寂シイ事ヲ言ワナイデ下サイ。
  皆サンダッテ、人間ノ姿ニ戻ルンデショウ?」

ヘリオクロスの問い掛けに、ヴェロヴェロは答えなかった。
アジリアは驚く。

 「えっ、その姿の儘で居るのかい?」

 「それも悪くねえかもな」

捻くれて冗談を飛ばすヴェロヴェロを、アジリアは益々心配した。

 「……どうしたいんだい、ヴェロ」

 「俺の人生は、あんた等みたいな碌な物じゃなかったって事だよ。
  元の自分に戻っても戻らなくても、どうでも良い感じのな」

アジリアもヘリオクロスも返す言葉を失う。
そこにコラルが口を挟んだ。

 「あの、多分人間の姿には戻ると思います。
  元の姿かは分かりませんけれど……。
  これを機に新しい人生を歩むのも、ありなんじゃないでしょうか?」

 「それなら良いんだけど」

アジリアは怪訝な目でヴェロヴェロを見詰める。

216創る名無しに見る名無し2020/01/31(金) 18:35:08.21ID:l/eD6mHR
ヴェロヴェロにとって、自分の過去は思い出したくない物の様だった。
誰もが幸せな人生を送っていたとは限らない。
アジリアは残りの2人にも尋ねる。

 「コラルとヤクトスは、どうするの?」

先に答えたのはコラル。

 「私は元々余り縁のある人が居なかったみたいなので、少し迷っています。
  元に戻っても、やる事が無いって言うか……」

その後にヤクトスが続けて言う。

 「俺は、そもそも過去の事が全然分からなかった。
  どうすれば良いのかも、全く分からない……」

アジリアとヘリオクロスは何とも言えず、沈黙した。
掛けるべき言葉が分からない。
自分達だけ帰る場所がある事が、申し訳無く感じられる。

 「何か、御免ね」

アジリアが謝ると、コラルは首を横に振った。

 「気にしないで下さい。
  他人の事より、自分の幸せを考えるべきですよ」

ヤクトスも同意して頷く。

 「変に気にされると、こっちも申し訳無くなっちゃうんで……」

217創る名無しに見る名無し2020/01/31(金) 18:36:15.08ID:l/eD6mHR
それから重苦しい沈黙が訪れる。
空気に耐えられず、アジリアは話題を変えた。

 「あっ、そう言えばシャゾールは?」

その問にはヤクトスが答える。

 「彼は元々人間じゃないんで……」

 「ああ、そうだった」

数極後、再びアジリアが口を開いた。

 「取り敢えず、皆、人間にはなるんだろう?
  人間の姿で会おう」

アジリアの言葉に、ヴェロヴェロ以外の全員が頷く。

 「ヴェロ、あんたも……」

アジリアはヴェロヴェロにも呼び掛けたが、返事はして貰えなかった。
その後、アジリアとヘリオクロスが先に人間の姿に戻る。
アジリアは痩せ身で背の高い中年女性、ヘリオクロスは成長期の少年だった。
これから2人は、家族の元に戻るのだ。
コラルも人間だった頃の姿に戻った。
彼女は少し太目の若い女性で、象牙の塔で事務員として働く事にしたと言う。
ヤクトスは未だ人の姿になっていなかった。
元の姿が判らない以上、どの姿になっても違和感しか無いと言う事で、今の姿の儘で居ると言う。
ヴェロヴェロは……姿を見せなかった。
禁呪の研究者達の話では、人の姿に戻ったと言うが……。

218創る名無しに見る名無し2020/01/31(金) 18:37:21.52ID:l/eD6mHR
何時までも象牙の塔に滞在している訳にも行かないので、アジリアとヘリオクロスは家族の元へ帰る。
もう2人はアジリアでもヘリオクロスでも無い。
コラルはグラマー地方で新しい生活を始めると言う。
彼女は自分の名前にコラルと言う愛称を加えた。
ヤクトスは何も分からない儘、象牙の塔で働く事になった。
何時か記憶が戻ると信じて。
ポイキロサームズは離れ離れになってしまった。
魔楽器演奏家のレノック・ダッバーディーは、コラルの勤めている市内の書店を訪れて、彼女と話す。

 「コラル君、今日は」

彼は青年の姿を取っていた。

 「あっ、レノックさん?
  お久し振りです。
  グラマー市に来て、大丈夫なんですか?」

グラマー地方特有のローブ姿のコラルは、一目で青年をレノックだと看破する。
動物の姿での生活が長かった彼女は、人を見た儘の姿では無く、全体の雰囲気で判断する癖が、
身に付いていた。
レノックは笑って答える。

 「ああ、目立った事をしなければ、平気平気」

軽い調子で答えたレノックを、コラルは疑ったり心配したりしない。
彼の実力は十分に知っている。
そこらの魔導師が束になっても、彼には敵わないと言う事を。
レノックには知恵も力もあるのだ。

219創る名無しに見る名無し2020/02/01(土) 18:51:47.95ID:YaozF4HJ
コラルは続けてレノックに尋ねる。

 「態々グラマー地方に来たと言う事は、何か御用ですか?」

 「ああ、ポイキロサームズの皆は、どうしているかと思って。
  あれから象牙の塔で人の姿に戻った事までは聞いているんだけど……。
  その先の事とか、どうなったのかなと。
  この目で確認して、安心したいから」

 「ははぁ、それは有り難う御座います」

 「いやいや、お礼を言われる様な事じゃないんだけどね」

コラルとレノックは小さく笑い合った。
そしてコラルは自分達の近況を語る。

 「私は、そこそこ元気でやれています。
  生活にも特に困った事はありません。
  他の皆は……、どうなんでしょう?
  アジリアさんとヘリオ君は、家族に会いに行って、人間だった頃の生活に戻りました。
  ヴェロさんは……分かりません。
  誰にも会わずに、独りで出て行ってしまいました。
  ヤクトスさんは多分、未だ象牙の塔に居ると思います」

レノックは小さく溜め息を吐く。

 「……皆、散り散りになってしまったんだな。
  何だか、解散して活動停止したバンドみたいだ」

 「実際、解散して活動停止しているんです。
  反逆同盟との戦いも終わったので。
  あ、でも、年に一度は会おうって約束しました。
  10月10日にティナー市の例の場所で」

220創る名無しに見る名無し2020/02/01(土) 18:52:35.62ID:YaozF4HJ
レノックは頷き、コラルに問う。

 「ヴェロヴェロ君も?」

 「いえ、彼は……」

 「ああ、分かった。
  どこかで彼に会ったら、伝えておくよ。
  参加してくれるかは分からないけど」

 「はい、お願いします。
  ……あっ、余り長く立ち話していると、変な目で見られるので……」

ここはグラマー地方である。
男女が一緒に居ると、夫婦か恋人だと思われてしまう。
コラルの態度からレノックは察した。

 「ややや、もしかして?」

コラルが頬を染めて小さく頷いたので、レノックは笑いながら謝った。

 「これは失礼。
  誤解されては行けないからね。
  僕はヤクトス君に会いに行ってみるよ」

 「お気を付けて」

 「何、大丈夫さ」

そう言ってレノックは去る。
コラルは既に付き合っている男性が居るのだ。
彼女は彼女の人生を歩もうとしている。

221創る名無しに見る名無し2020/02/01(土) 18:53:13.57ID:YaozF4HJ
そしてレノックは象牙の塔に移動した。
ここを訪れるのは、彼も初めてである。
敷地内には強力な共通魔法の気配が充満している。
しかし、都市の様な画一的な整った魔力では無い。
より根源的な混沌に近い、整わない乱れた魔力だ。
彼は正面から堂々と近付き、守衛の駐在所にて、ヤクトスを呼び出して貰った。
ヤクトスは蛇人間の儘であった。

 「ヤクトス君、久し振り」

 「お久し振りです、レノックさん」

 「少し痩せた?」

 「ああ、ハハハ、中々ここの生活に慣れなくて」

 「無理しない方が良いんじゃないかい?」

象牙の塔は、真面な精神の人間が滞在する場所では無い。
只でさえ精神を削る場面に遭遇し易いのに、更に悪い事に、ヤクトスは特異な外貌から、
研究者達の興味を引いた。
お蔭で奇妙な実験に付き合わされたり、妙に馴れ馴れしくされたりと、嬉しくない人気者。
それでも象牙の塔を出て行かない理由は……。

 「いえ、外に出ても、どうやって行ったら良いか分かりませんから……」

蛇の姿では人の生活には紛れ込めない。
しかし、人の姿にして貰おうにも、見知らぬ顔では違和感がある。
そう言う訳で、ヤクトスは何と無く象牙の塔に居た。

222創る名無しに見る名無し2020/02/02(日) 18:55:42.67ID:ysSr7Kge
時々大騒動に巻き込まれる事を除けば、象牙の塔は、そう悪い所では無い。
金に困る事は無い……と言うか、金銭の概念が無い。
禁呪の研究者達に頼めば、あらゆる問題が解決する。
「解決」と言っても、望ましい物とは限らないが……。
レノックはヤクトスの心情を慮り、深くは追及しなかった。

 「もし、ここでの生活が嫌になったら、風に頼んで僕を呼んでくれ。
  君の身元を引き受ける位の事はしよう」

 「有り難う御座います……。
  でも、大丈夫ですよ。
  ここの人達も悪い人達では無いので……」

 「君が良いと言うなら、僕から言う事は何も無いよ」

そう言って、レノックは話題を変える。

 「所で、10月10日の予定は決まっているかな?」

 「あぁ、皆で集まる日ですね。
  でも、この姿で出歩くのは……」

 「そんなの、一時的にでも変えて貰えば良いじゃないか?
  元の姿が判らなかった事に、引け目を感じる必要は無い」

ヤクトスは返事をしなかった。
自分の姿を簡単に変える事に、抵抗があるのだ。
レノックはヤクトスが引き篭もり勝ちになるのではと懸念していたが、余り諄々言っても仕方無いと、
一言だけ告げる。

 「何にせよ、君の人生だ。
  後悔しない様に生きるんだよ」

223創る名無しに見る名無し2020/02/02(日) 18:57:34.86ID:ysSr7Kge
レノックは象牙の塔を後にする。
アジリアとヘリオクロスの様子を見に行こうかとも考えたが、人として幸せな生活を送っているなら、
自分が口を出す事は無いと、会わない様にした。

 (後はヴェロヴェロ君か……。
  今頃、どこで何をしているんだろう?
  人の姿に戻れて、幸せに暮らしていると良いんだけど……。
  ああ、思い悩んでいても仕方が無い。
  会いたくない者には会えないんだ。
  僕達は、そう言う風に出来ている。
  彼に困った事があれば、風が教えてくれるだろう)

レノックは深く考えない様にして、再び各地を放浪する。
別れは何時でも悲しい物だけれど、人の人生は人の物。
自分の思い通りには動かせない。
人の幸せを他人が勝手に決めては行けない。
人間でも無いレノックには尚の事。

224創る名無しに見る名無し2020/02/02(日) 19:01:36.56ID:ysSr7Kge
2月は忙しいので、余り投稿出来ないかも知れません。
いや、そもそもがネタ切れ気味なんですけど……。
もう少しはあるので、フェードアウトしない様にします。

225創る名無しに見る名無し2020/03/04(水) 18:10:26.23ID:x9oy0x7h
名前が出てる魔法の中では生命魔法の設定が、まだ紹介されてない気がする
どんな魔法かはだいたい想像つくけど、呪詛魔法<カース・シューティング>や変身魔法<フェノメナル・メタモルフォシス>みたいなカッコいいルビがあるなら知りたいところ

226創る名無しに見る名無し2020/03/30(月) 21:57:31.43ID:D1iBJV2C
世間では疫病が流行っていますが、健康に気をつけ御自愛くださいませ……

227創る名無しに見る名無し2020/05/01(金) 20:12:16.29ID:ZmwSOi8d
久し振りの書き込みです。
えー、実は他のサイトに浮気してました。
これまで裏でコツコツ書き溜めてた分を投稿して……反響は今一でしたけども。
しかし、中々良い体験でした。

228創る名無しに見る名無し2020/05/01(金) 20:23:54.90ID:ZmwSOi8d
世情が世情ですから、御心配をお掛けしたかも知れません。
取り敢えず、元気でやっております。

>>225
「ライフ・シェアリング」です。
その儘の意味通り、活力を分け与える魔法。
リリリンカーとティアルマの場合は、双方が同時に死なないと片方が蘇ると言う仕込みをしていました。

229創る名無しに見る名無し2020/05/07(木) 20:40:28.80ID:giURBDAw
聞こうか、その浮気相手の名前を……

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