「まだ、戦闘は続いてるな。
十分に注意して進むぞ、だが素早くだ。」

進行方向に手を振ると、レンジャ―の資格をもつ隊員三名を戦闘に隊員達が横に広がりつつ木々の間を縫うように前進を開始する。

「105mmを持ってくるんだったな。」

赤井一尉は隊員達を支援する為の105mm砲M68A1E4、「105mm低姿勢砲塔」を搭載しているストライカー装甲車MGSを持ってこなかったことを詫びているのだ。

「40mmでもいけますよ。」

ストライカーICV(兵員輸送車)の車長の牧田二尉がら通信が入る。
ストライカーICV(兵員輸送車)は、取り付けられたカメラの映像を車内のモニターで見ながら操作可能であり、射手が体を曝す事無く目標を攻撃できる。
また、熱線映像装置が組み込まれており夜間の戦闘も可能となっている。
今回は40mm擲弾発射器Mk 19が装備されている。
「よし、火力で圧倒してやれ。」


新香港武装警察
湯大尉は困惑していた。
最初にバリケードを破壊して、車両を先頭に掃射しながら前進した。
何十メートルもあった筈のバリケードが一部を除いてきれいさっぱり無くなっているのだ。
さらにあれだけ銃撃をかましたのに死体がきれいさっぱり存在しない。

「血とかはあるんだが、誰も死なないとかありえないだろう。」

困惑して地面を探っている湯大尉を呼びつける悲鳴が聞こえる。

「大尉!?
蛇がでっかい蛇が!!」

眉を潜める湯大尉が顔を上げる。
「なんだ蛇くらいで情けない声をだすな・・・」

さすがに歴戦の湯大尉は悲鳴はあげなかったが絶句して棒立ちになっていた。
長城1が巨大な蛇にとぐろを巻かれているのだ。
運転席がメキメキと音を立てて潰れていく。
三人は乗っていたはずだが、三人とも飛び出して逃げ出している。
銃座にいた二人もだ。

「グレネード!!」

思わず叫ぶと隊員が放った一発が燃料や弾薬を積んだトレーラー部に直撃して爆発して、海蛇も炎に巻かれて炎上して息絶える。

「ふん、しょせんはでかいだけの蛇じゃないか。」

燃料と弾薬を半分も失ったのは後で責任を追及されるかもと内心の震えを隠すように強気に言う。

「大尉・・・あっちにもっとでかいのが・・・」

成竜1と成竜2が銃架から銃撃しながら小まめに動いては、巨大な蛇の噛みつきをかわしている。
先程の蛇の数倍の長さだが、尾の部分が焼け焦げてなくなっている。

「奴等だ・・・みんな奴等に殺された・・・」