少女漫画でありがちな軽薄で馬鹿そうな女と
これまた少女漫画に出てきそうな完璧青年で
人物造形がイマイチ。また、話の展開もベタすぎる。

主人公にとって青年は、青春時代にちょっといいなと思った人でしかなく、その死の重さが伝わらない。
主人公にとっての思い人は、その時の彼女にとってかけがえのない代わりのいない存在(少なくともその時点において)でなくてはいけない。それを読者と共感しなくてはいけない。その欠落を感じた時、読者も心を揺さぶられる。
また、課題の要素である災害も、作中においてただの青年の死のきっかけ程度にしか扱われていない。
いっそ、青年の死に様をもっとグロテスクに描写してもいい。生前の青年と変わり果てた青年の姿を対比することも、読者に感慨を与える。

死後の主人公の描写も薄っぺらい。

赤翡翠氏の文章が回数を追うごとに悪化の一途を辿っているそうに感じる。しかし、それも上達の過程なのかもしれない。