>>450

>「まさか! わたしはやっていませんし、無実なのは自分でわかってます。なんだか可笑しくって」
>鈴子はけらけらと笑った。

この段階では犯人が特定されておらず目的も凶悪性も分からない
朱川の容態も不明で事態の深刻さは未確定
周到な計画によって濡れ衣を着せられている可能性もあり、鈴子のライトな反応がやや不思議に思える
加えて前の場面で「半笑いで鈴子の背中を眺めていた」花代が、この場面で鈴子の演技を知って「苦笑する」のも同様に不可解

>本人を目の前にして動機とか言わないで欲しい、と鈴子は思った。

推理ものの非常識が暴かれていて、楽しかった

>「みどりさんは緑色のドリンクを自分に見立てて毎日朱川さんに飲ませようとしてたんです」
>「おぇ」
>「あ、急ぎの仕事があったんだ」

「緑色のドリンクを飲ませる」みどりの必死さを言い表すエピソードを追加で入れると良いのでは
「そんなものを朱川はなぜ飲んでいたのか」という読者の疑問を消化しておかなければならないのと、
同僚が興味本位で聞いていられないほどに話の文脈を気持ち悪くする必要がある

>花代は朱川の深緑色のスーツの内側に手を入れた。出てきたときには白い封筒を持っていた。鈴子には筆で書いた退≠フ字だけが見えた。
>「もういらないな?」
>「……はい」

展開が早すぎる
花代が担当を任せることに朱川が納得する、その前段があってこそ「もういらないな?」になるのでは

全体
>>428以降は>>412より地の文が馴染んでいて、筆が乗ってきているのを感じる
>>412にあった台詞で想像できる情景が地の文で二重に説明される、という感触が減少している気がした
キャラクターは多いが混乱を感じない
内輪ネタの力も活きている
構成として、鈴子がみどりを発見するなどしてもう少し謎解きに絡んでも良かったのでは
そうであれば「ふたりは幸せになれますかね?」が他人事ではない、感情のこもった印象を生むだろうなと思った
読者を安堵させるラストは筆致に合っている