しようがないなあ。今書いている小説の一端を見せてやるよ。特別だぞ。

酷評よろ。冒頭ではない部分。

考えてみれば季節がこの土地に留まる期間は短い。季節の移り変わりが早いことを認識できたのは陽子と歩く散歩道のところどころに根を張る木々や草花を目にする機会が増えたからだ。
瞬く間に季節というものは過ぎ去っていく。昨日咲き誇っていた花々は今日には萎れている光景を何度も目にすると、物の哀れという言葉を思い出す。
凌ぎやすく柔らかな季節である十一月が過ぎ去って空気の冷たい季節が到来したかと思うと、直ぐに年が明けた。この秋から年を跨いだ二月ごろ私はひとつ奇妙な出会いがあった。
私と直也とを引き合わせたのは、紹介派遣の出向先である印刷会社でのことだった。紹介派遣とは、
派遣会社に個人名で登録して、派遣会社が仕事を登録アルバイターに紹介、斡旋するという形態を取る昔で言う日雇いアルバイトのことである。
私と山崎、柴田、直也の四人を引き合わせた派遣先の印刷会社で私たちは同じ班になって、印刷物の断裁をする機械の操作、印刷物の向きを変える、断裁された物を包装して紐で縛るなどの仕事を任された。
私たち、よったりは歳も近いということもあり、直ぐに意気投合した。