考古学の専門家ではないワーロックには解読が難しいが、八導師のレグントは違った。
レグントはロードンの反対側の壁の文字を読んで、資料を探す。

 「ロードン殿、これではありませんか?」

彼が声を上げたので、ロードンとワーロックは傍に寄って行った。
ロードンは壁の文字を読んで頷く。

 「ああ、そうかも知れないな。
  見てみよう」

彼が壁に触れると、縦2身×横1身の長方形が壁から切り離されて伸びた。

 「わっ」

ワーロックは驚いて後退する。
長方形は部屋の中央付近まで突き出て止まる。
その側面に回り込んで見ると、それは収納式の書架だと判る。

 「魔法書?」

そこには何千冊と言う書物が納められていた。
「書物」と言う形式で長期の保存が可能なのかと、ワーロックは疑う。

 「劣化しないんですか?」

彼はロードンに尋ねたが、無視された。

 「この辺りか?」

ロードンは書架を眺め、一冊を手に取る。
本を開けば、そこには魔法陣が描かれている。