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【TRPG】バンパイアを殲滅せよ【現代ファンタジー】 [無断転載禁止]©2ch.net
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0300流石にもう書き込めないはず ◆GM.MgBPyvE
垢版 |
2019/01/20(日) 10:13:05.22ID:yRl8bErO
菅「残念だが、人間の血液以外に食指が動かないんでね」
魁人「……ほんとかあ? じゃああのネズミとコウモリどもはどうなんだ?」
菅「……は?」
魁人「チューチュー吸ったんだろお? 毛むくじゃらのネズミのをよ? ネズミだけに、ちゅーちゅーってな!」
菅「……貴様。わたしの可愛い……アルジャーノンを愚弄する気か?」
魁人「喧嘩売ったんはそっちだろ! オモテ出やがれ!」
菅「……望むところだ」
0301佐井 朝香 ◆GM.MgBPyvE
垢版 |
2020/10/14(水) 17:04:14.18ID:imwzn6Dj
パリッと糊のきいた黒いタキシード。
麻生君、相変わらずそういうカッコ、似合うわねぇ……

あたしは彼をぼんやり眺めてた。
マイク片手に、「お忙しい中ようこそ」とか、「癒しとなれば幸い」とか言うのを。そして「5曲続けてお聴きください」って。
舞台袖からトコトコ歩いてきた秋桜ちゃんが、彼からマイクを受け取って。
「続けて」って事は、一曲弾くたびに拍手しなくてもいいって事よね?
うっかり寝ちゃっても怒られないって事よね?

え? どうしてそんな事って……ほら、クラシック、しかもピアノの曲とか……ついウトウトしちゃうじゃない?
しちゃうわよ〜
知らない曲は特に。別に退屈とかそんなんじゃなくて、子守唄にしか聴こえないから?
小さい時からそう。
起きてる自信なんかこれっぽっちも。
ほらね、初っ端からこれだもの。透き通るような硬質の……キラキラした音。それがもう……こんなに……遠い。

気付いたらあたし、湖の畔に立ってた。
……また来ちゃった。
あの時。桜子さんのピアノの音を、舞台袖で聴いた、あの時。
灰色の空に、一面の湖面。深い……どこまでも深くて青い湖。
ぐるりとあたしを囲む水平線。もしかしてこれ、湖じゃなくて……海?

どこか遠くで鳴るピアノの音。
音に合わせて、ひとつ、ふたつと重なる波紋。
波間から垣間見える水の底で……誰かが呼ぶの。
ここがあたしの帰るべき場所だって。
足を踏み出す。
あの時は、柏木さんに肩をギュッとされて我に返ったっけ。

触れた水は冷たくなんかなくって。あたたかで。
どんどん身体が沈んでいくのに、まるで抵抗がない。
すっごく馴染む。まるで、自分自身の体液にでも漬かってるみたいに。

でもね、あわや首までって時に、ぐっ! っと左手を掴まれたの。
気付いたらあたし、びっしょり汗をかいて座ってた。
眩しい舞台のライト。
ここはコンサートホール。
光の粒を照り返すグランドピアノ。
座ったまま、手を膝に置く麻生君。

隣を見れば……あたしの手を握りしめたまま……じっと前を向いてる田中さん。
どういう状況かしら。
あたしが居眠りしてる間に、終わっちゃったのかしら。
にしてはおかしいわ。
誰も拍手しようとしないもの。
感動しすぎて……って理由にしても、タメが長すぎない?

そう思って見回せば、座る人達がみんな、舞台を見たままボーっとしてる。
田中さんの向こうに座る、宗とハムくん、そのまた向こうに座る魁人も同じ。
まるで人形みたいに、眼を見開いて。
あの時と同じだわ。
あの時も、桜子さんの音を聴いた人達がこんな――

『音ってもんは……恐ろしいもんや……』

ボソリと呟いた田中さんが、そっとあたしの手からその手を離した。
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