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TRPG系実験室 [無断転載禁止]©2ch.net
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0001創る名無しに見る名無し
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2016/11/19(土) 22:06:01.00ID:qBV+iLA/
TRPG関係であれば自由に使えるスレです
他の話で使用中であっても使えます。何企画同時進行になっても構いません
ここの企画から新スレとして独立するのも自由です
複数企画に参加する場合は企画ごとに別のトリップを使うことをお勧めします。
使用にあたっては混乱を避けるために名前欄の最初に【】でタイトルを付けてください

使用方法(例)
・超短編になりそうなTRPG
・始まるかも分からない実験的TRPG
・新スレを始めたいけどいきなり新スレ建てるのは敷居が高い場合
・SS投下(万が一誰かが乗ってきたらTRPG化するかも?)
・スレ原案だけ放置(誰かがその設定を使ってはじめるかも)
・キャラテンプレだけ放置(誰かに拾われるかも)
0165 ◆Ed1J4Uo6kwIl
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2017/05/01(月) 11:54:21.38ID:eOkcyB/y
一緒に遊んでも面白くなさそうなので却下です
0168保志乃 ◆9DgEPn2wGg
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2017/05/01(月) 23:38:50.81ID:Ad5vECR2
名前:保志乃天山(ほしの てんざん)
年齢:22
性別:男
身長:172
体重:55
容姿と体格:硬質な印象を持つ目鼻立ちに角刈り、当時の日本人としては大柄、飛行服とマフラーを着用
性格:ロマンチストで不器用
能力:空を飛べる能力。最大時速500Km、航続距離は約2000km。
   乗用車一台程度なら身体に縛り付けることで保持して飛べる。
   子供の頃から航空機のパイロットにあこがれていて、常々『あの大空を(飛行機で)自由に飛び回りたい』と願っていたところ、
   オーディエンスにより生身で空を飛べる能力を獲得。
   違う、そうじゃない。そういうことじゃないんだよ神様!もっと行間読んで!
   対空戦闘においては特注の大型鋼板『九九式飛行防盾』で防御しながら敵機の懐に潜り込み、
   装甲貫徹に特化した大型剣『一式徹甲剣』でエンジンかタンクを損傷させ撃墜する。
   機関銃を抱えて敵地上戦力に向かって斉射したり、爆弾抱えて敵艦を爆撃したりもする。
   的が小さく装備次第では電探にも引っかからないので攻撃性能は凶悪だが、ほぼ生身なので紙装甲。
   燃料は食事。食糧事情が悪くなると途端にパワーがでなくなる。

簡単なキャラ解説:
佐世保の海軍基地付近の街で生まれ、上空を飛び交う航空機を見ながら育つ。
その後中等学校を卒業して地元の航空兵団に志願するも体力不足で失格。
パイロットへのあこがれを捨てきれず日本海軍に志願し、巡洋艦の整備兵として配属される。
毎日発艦していく偵察機を見て空へのあこがれをつのらせていくうち、オーディエンスに目をつけられた。


こんな感じで
0169 ◆Ed1J4Uo6kwIl
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2017/05/02(火) 12:50:06.38ID:YNqPPkZn
>>168
よろしくお願いします!
あと一人来るといいなぁ
0172創る名無しに見る名無し
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2017/05/05(金) 12:47:46.94ID:kRLP9HKm
私も含めてだから山本は入ってないのでは?
山本はそこそこ使えそうだがなあ
0173創る名無しに見る名無し
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2017/05/16(火) 23:20:33.56ID:zG+88vv6
まあいくら戦争だからって野放図な異能戦闘の連続じゃ絶対飽きるわな
補給やら設営やら、軍隊特有の連日続く猛訓練とか、兵器の整備とか戦略会議とか、そういう非戦闘シーンあってこその戦争だと思うわけよ
0174 ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/03(土) 19:35:38.91ID:pQQHve7v
かつて地球上に存在し、人類の歴史上最も繁栄した時代。
その終わりは終末兵器と呼ばれる物が世界中に放たれたことによって、あっけなく訪れた。
世界中に広がった人類たちも、今ではわずかに残る汚染されていない区域に残るシェルターを
中心に街を築き、そこで細々と暮らしているだけだ。

だが、人類は過去の栄華を求めている。
食料の自動生産、重力の制御、人工的な超能力。暴走した無人兵器が闊歩し、除染不可能な毒物に塗れた廃墟の中に全てが眠っているのだ。
そして再び人類の手にこれらを取り戻すために、命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに廃墟へと潜る。

ジャンル:SF廃墟探索
コンセプト:ポストアポカリプス+ダンジョンアタック
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

このまま実験室が動かないのもアレだしまた募集します!
1人でも集まればやりますので何か質問などあればどうぞ
0175 ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/06/05(月) 04:29:12.47ID:tZ5E2wzW
>>174 募集
現在、一身上の都合により参加の即断が出来ない。
ついては応募期限の指定があれば助かる。
指定日に合わせて、また来る。
0176 ◆Ed1J4Uo6kwIl
垢版 |
2017/06/05(月) 04:37:13.66ID:9vCx9NG2
はいはーい、参加しまーす
ただキャラクターを変えるつもりなのでテンプレはちょっとまってね
0177 ◆T/kjamzSgE
垢版 |
2017/06/05(月) 04:44:21.34ID:yE5lezqv
参加しよっかなあああああああああああ!!!!!!!!!????
0178 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/05(月) 18:36:46.89ID:el/8kzcG
みなさんありがとうございます!
せっかく集まったのでキャラのテーマを一つ指定させていただきます。

前回はかなり変則的な編成だったので、今回は「ベテランの探索者」というテーマで統一します!
みなさんが自分なりに考えたベテランの探索者でキャラを作っていただけたならと思います。

>>175
テンプレの提出期限は今日から一週間とさせていただきます。
来週の月曜までにテンプレを出していただければ参加する意思があるとみなします。

以下はテーマの例です、参考程度にどうぞ

名前:ヤスモト
年齢:?
性別:男
身長:199
体重:125
種族:機械化人間
職業:探索者
性格:穏やか
能力:機械化による驚異的な身体能力・それなりの電子戦能力
所持品:大口径機関銃・防弾シールド・腕部内蔵型散弾銃・小型グレネードランチャー
容姿の特徴・風貌:両肩にある可動式防弾シールドと頭部のハッキングアンテナ
            全体的な容姿は一般的な機械化人間よりもややごつく、大きめ。    
簡単なキャラ解説:シェルターに残されていた人間を機械化してしまう技術の最初の実証者。
            そのため様々な技術を試験的に搭載し、本人ですら分からない武装が存在する。
            性格は真面目で穏やか、探索のモットーは「みんなで帰ろう」
0179 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/06/05(月) 22:12:20.70ID:9vCx9NG2
ベテラン探索者(芋虫型)の私は模範的なキャラクターだったんだなぁ……うんうん
あ、>>176は私です。折角なので前と同じトリップにしとこうと思いまして……

それと、キャラを作るにあたって
世界が駄目になっちゃってから大体何年くらい経っているかを聞きたいです
ホントに大体で構いませんです
0180 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/06(火) 18:27:27.48ID:apELJqhg
>>179
世界が滅んでからは60〜90年ぐらいと考えています
シェルターのデータベースを参照すれば正確な記録が分かるかもしれませんが、
我々探索者には知ることが許されていません
0181 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/06/07(水) 03:42:59.55ID:Wl/PRAv7
ありがとうございます
こんな感じで行きたいんですがどうでしょう

名前:マリー・テレジア
年齢:12歳
性別:女
身長:142cm
体重:ひみつ
種族:人間
職業:探索者、修道女
性格:慈悲深い、探究心が強い、諦めが悪い
能力:『クレイトロニクス』結合し、立体的な物体の構築が可能なナノマシンを操る
所持品:通常よりもやや多めの食料や医療品・大きなリュックサック・戦闘用人形『ミカエル』
容姿の特徴・風貌:白い肌、白い修道服。短めのアッシュブロンドヘア

簡単なキャラ解説:

探索者として活動する傍ら、シェルター内のロウ・カースト街で教会を運営している少女
主な活動は食料の配給や医療援助、寝所の提供など
神に祈り、縋らせるという行為は下層民の管理を容易にするものとして、
彼女の教会運営はハイ・カーストからの許可と、それなりの援助を受けている
けれども彼女はそんな思惑とは関係なく、探索者としての収入の殆どを教会の運営に注いでいる

もっとも、宗教文化の殆どはかつての世界の崩壊と共に遺失されており
教会に祀られている天使像も、彼女がそれらしく作ったものに、彼女が唯一知る天使の名を名付けているだけ
彼女が探索者として活動しているのは、その失われた文化を探し当てる為

彼女の操るナノマシンは『ヴィジブル・ハーツ』という科学技術
脳波に呼応してナノマシンを形状変化させる技術であり、彼女の操る人形はこれによって操作されている
ナノマシンは周囲の物質を利用して増殖するが、その速度は極めて遅いので、補給が可能になるのは戦闘以外の時間となる

彼女は二年ほど前にシェルターの外から、物語の舞台となる「ここ」へとやってきた
その頃から既にナノマシンを操る事が出来たし、探索者としてのセンスも備えていた
だけどそれ以前に何をしていたのか、どこから来たのかは誰も知らないし彼女も語ろうとしない
0182 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/07(水) 18:17:42.37ID:M+5H6eB9
>>181
ミステリアスなベテラン探索者ですね、大丈夫です!
0183 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/06/07(水) 18:42:50.80ID:WRnIZBdu
こんな感じで参加したいですね
よろしゃす


名前:ジェミニ=カラミティ
年齢:22
性別:女
身長:168
体重:55
種族:サイボーグガンマン
職業:探索者(パイオニスト)
性格:大らかで許容力の塊
能力:ドローンとの観測データリンク
   拳銃による高速かつ高精度の射撃
   これらを統合した百発百中の早撃ち『セレスティアバレット』

所持品:小型ドローン『ミーティア』、徹甲仕様の大型リボルバー『ワイルドベア』、大型ナイフ
容姿の特徴・風貌:焼結繊維製テンガロンハットと防毒ポンチョにガンベルト。
         亜麻色のロングヘアを無造作に後ろでまとめている

簡単なキャラ解説:
常にシェルター都市から離れた土地を単独で旅している探索者。
高位の探索者の中でもセンターから未開拓地域の制圧と調査を任せられている『パイオニスト(開拓者)』と呼ばれる職種。
未開拓地域は当然シェルター近辺とは比べ物にならない強力な無人平気が徘徊している為、
そういった連中と互角に渡り合う卓越した戦闘力と経験を持つ。

自分の戦闘力に非常に自信をもっている為、大抵のことには動じず「まぁ良いよ」で済ませる大らかな性格。
どちらかと言うと「こいつはいつでも殺せるから」というドライな判断基準で許容している節がある。
逆に自分が本当に大切に思っているものが傷つけられたりすると激しく取り乱すが、
基本的に精神的な動揺は致命傷になると理解しているのでそもそも物に執着しないし他人とも過剰に仲良くなることはない。
よくも悪くも、この過酷な時代に適応しすぎてしまった人。
第一線で活躍しているのも常に攻め続け護るべきもののない開拓者という生き方が楽だからというのが大きい。

サイボーグとして人工骨格と電脳を持っており、無数の小型ドローンを自在に操ることができる。
ドローン自体に戦闘能力はないが、高感度の知覚素子を備えておりあらゆる場所をあらゆる角度から捉えた情報を、
特殊帯域の無線で取得する一種の千里眼じみた能力を持つ。
多角観測によって補正された銃撃は極めて高い命中率を誇るが、狙ったところにピタリと当てる指先の精度は彼女の訓練の賜物。
ドローンは曲面加工された特殊な装甲板を備えており、ドローン越しに跳弾で障害物の向こう側を狙ったりもできる。
メイン武器のリボルバーは大口径かつ徹甲仕様の強装弾で、大抵の装甲なら難なくブチ抜く威力を持つ。
頼みを置くのは高威力の愛銃だが、彼女の能力の本質はそこではないので普通の銃を普通に撃っても普通に強い。
0185リカルド ◆8M6m1Mp8G2
垢版 |
2017/06/08(木) 19:48:02.81ID:4bfGe0GA
名前:リカルド・ゴンザレス
年齢:45
性別:男
身長:172
体重:83
種族:人間
職業:探索者
性格:気さくなおっさんに見えて実は利己主義者
能力:超能力者
所持品:テキーラ・パワードスーツ
容姿の特徴・風貌:
ずんぐりむっくりアンコウ体系の赤ら顔
かなりメタボな体形で、かろうじて首と顎の区別がつくレベル
髪の毛はウェブがかった短髪ではあるがかなりおでこの領域が頭皮に進行している

簡単なキャラ解説:
この道30年のベテラン探索者
15歳の時に一獲千金を夢見て探索者に
しかし取り立てた特技も特殊能力もない身では、その他大勢の探索者と同じように早々に命を散らすはずであった
しかし、17歳の時に探索の折に罹ったであろう奇病が運命を変える

最初は小さなできものであったものが、潰しても切り取っても再発し、徐々に大きくなり人の顔のようになったのだ
不気味な人面瘡と共にリカルドは超能力を発現するようになる
周囲からは悪運が強く、弾が避けているようだ。と言われているが実際に超能力によって弾をはじいているのだ
探索者としては強力な能力を得ることになるのだが、リカルド本人に喜びはない
長い年月をかけて徐々に人面瘡は増え続けており、やがて体を 乗っ取られるのではという恐怖に常に苛まされているのだから
超能力も人面瘡が宿主を守るために使っている節があり、自分の能力と思えない
現在の人面その数は体の各所に大小合わせて9つ
服で隠れる部位なので傍目には気付かれてはいない
最近では記憶障害も起こっており、いよいよ乗っ取られる日が近づいているのかもしれない
それをなんとか阻止しようと、過去の医療技術に望みを託し、今日も廃墟に潜るのだ

日々の恐怖から逃れるために酒に溺れ、、その為鼻や頬の毛細血管が膨らみ赤ら顔になっている
また40を過ぎメタボな体形が加速し、パワードスーツがかなり窮屈に感じてきている
30年も探索者として生き残ったことによる蓄積された経験に基づく行動は特殊能力がなくともそれなりに生き残るに値するものと なっている
ほろ酔い状態で気さくな性格に見えるが、その実誰も信用しておらず、超能力もちであることを誰にも話さず、自分だけの為に使う

【初参加です。こんな感じでどうでしょうか?】
0186 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/09(金) 18:39:35.75ID:Kg8NRfFt
>>185
運を実力にしたって感じでいいですね、OKです!

後から付け足すようですみませんが、自分の実力ではあんまり大人数の参加はまとめきれないので
早い者勝ちであと一人とさせていただきます!
0187 ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/06/11(日) 21:51:07.19ID:4oOn1DRB
>>178 月曜までに
報告に来た。一身上の都合は事が上手く運んでいる。
己の甲斐性を考慮した結果、今回は応募を断念すべきだと判断した。
俺も一枚、噛みたかった所ではあるが……間の悪かった男の分まで楽しんでくれ。
0188 ◆5sfpCVHxpJK2
垢版 |
2017/06/12(月) 17:57:09.12ID:pF0pLSkr
【´༎ຶོρ༎ຶོ`】
0189 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/12(月) 18:46:28.30ID:k//UwFOf
参加はこれで締め切らせていただきます
プロローグ書くのでちょっとお待ちくださいね
0190 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/13(火) 19:10:51.69ID:ra705wQM
霧にまみれた廃墟を、数人の探索者がひた走る。
獲物を見つけた動きではない。自分たちが獲物と自覚してしまった動きだ。
銃を投げ捨て、戦利品の詰まったバッグを置いてもう十分ほど走り続けている。

「駆動音が聞こえた!左!」

「端末はまだ使えねえのか!」

バン、という低い銃声が辺りに響いた。
そこから一瞬間をおいて、さらに続けて数発ほど。
さらに間隔を開けて、今度は十数発ほど続けざまに低い銃声が探索者たちの耳に入った。

そして、廃墟で動く者はただ一つとなった。
敵性存在を排除した一体の自動兵器、それだけだった。

「―――以上の映像が今回の目標の資料だ。
 支援センターの研究者とエンジニアによれば、銃の口径は大型。
 銃座に固定して使うような、手持ちができるサイズではないとのことだ」

「シェルターの外壁にあるタレットぐらいでしょうか?」

「あれよりさらに大きい。我々が製造できる銃のサイズを超えている」

モニターと床の誘導灯、そして天井の非常灯だけがぼんやりと光る薄暗い部屋の中で、
一人の機械化人間と、この時代には珍しく黒のスーツを身に纏った男性が話している。

機械化人間は探索者であり、男性はシェルターとシェルター外縁部を囲む街の指導者。
本来であれば話す機会など一生ない二人だったが、二人がこうして話しているということは
それだけの異常事態が起きているということを示している。

「……今回の自動機械はこの辺りにいないはずの、おそらく中型、大型だ。
 極めて危険な任務だが、君と、君が選んだ者たちならできると信じている」

「別の地方から流れてきたのでしょう、数年前にもはぐれの中型が入ってきたことがありました」

「報酬は用意しておく。必要な物資は他の者の希望でも可能な限り応じる。
 データベースにある中型自動機械の平均的武装なら、このシェルター、いやこの街は一日と持たないだろう」

「そして可能な限り無力化、もしくは捕獲、ですね?」

「分かっているなら何よりだ。近頃ではシェルターを襲う野盗共もいると聞く。
 兵器の研究は優先的課題なのだ」
0191 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/13(火) 19:12:20.08ID:ra705wQM
機械化人間は無言で敬礼を返し、スーツの男性もまた敬礼を返す。
そして機械化人間は音もなく開く自動ドアを通り、シェルター内部の通路を歩いていく。
大型核融合炉と超効率循環システム、そしてAIによるシェルターの適切な資源管理。
それによってもたらされる、常に十分な食料と水、広々とした安全な住居に多種多様な娯楽。
特に食料と水は余るほどあり、たまにシェルター外部の人間に売られているほどだ。

(シェルター最深部、戦前に大金はたいて入居した連中の末裔。
 最下層にいる奴が上流階級で、上に行くにつれて貧乏になる…なんだか皮肉だな)

シェルター最上部、いわゆる地上層と言われる部分はたまに地上に出てくる上流階級主導で行われる
物資配給にすがって生きているロウ・カーストと呼ばれる者たちだ。
最初はシェルターを奪おうと考える者もいたが、配給に慣れた者たちばかりとなった今では
日々を寝て過ごし、たまに配給をもらっては近所の者と愚痴を言い合いながら生きているだけだ。

そんなロウ・カースト街の入り口近く、シェルターの入り口でもあるそこは
小さな事務所が併設されている。

(プロフィールを見る限り、全員実績と実力は伴っている。
 相手がどういった兵器かわからない以上、とっさの判断ができる者で揃えたつもりだ)

事務所の中、小さな会議室。
いくつかのパイプ椅子と、円状のテーブルが置かれたそこでヤスモトは
今回の作戦に応じてくれた探索者たちを待つことにした。

【ここまでがプロローグです!
 レスの順番としては早い者順にマリーさん、ジェミニさん、リカルドさんでお願いします】
0192リカルド ◆8M6m1Mp8G2
垢版 |
2017/06/18(日) 18:40:33.47ID:zjAy3RIB
導入を書く上で質問です
1)招集されたっぽいですけど、仕事内容をどのくらいまで知らされているのでしょうか?
2)敵無人機が周辺に現れてどのくらい経っているでしょうか?
3)登場人物のお互いの認知度はどのくらいでしょうか?
0193 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/18(日) 23:31:11.58ID:PabK/mob
>>192
1)全部ですね。ヤスモトが知っている内容はすべて他のメンバーにも伝えてあります
2)1週間ほど経っています。
3)ヤスモトは3人のことを大体知っていますが、3人がお互いのことを知っているかどうかは本人次第です
0194マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/06/19(月) 20:18:00.83ID:m9dmcSGD
「主よ。憐れみ給え。憐れみ給え。憐れみ給え」

マリー・テレジアの朝は早い。
彼女の一日は日の出前に目覚め、汚染地域の黒霧の奥から昇る太陽に祈りを捧げる事から始まる。
彼女は『神』の姿を知らない。太陽は彼女にとって、最も確かな神の御姿だった。

祈りを終えるとマリーは配給の準備を始める。
もっとも、食料の配給自体はシェルターからも行われている。
だがそれは、安全な場所でじっとして暮らし続ける為に必要な食事だ。

例えば探索者としてのし上がる為には、体を鍛え、常に集中力を途絶えさせず、動き回る為のエネルギーがいる。
日々をより良くしようと、自分の人生をより幸福なものにしようと動き出すには、シェルターからの配給だけでは不足なのだ。
ハイ・カーストからすれば、ロウ・カーストの住民に余計な騒ぎを起こすようなエネルギーを与える理由はない。

そういう意味では、マリーの「教会」からの配給はハイ・カーストの意向に背くものと言える。
彼女が見逃されているのは、人材発掘……そして宗教指導による人心の平定という建前があるからだった。
そしてその建前は、今のところは、上手く回っている。

日が昇ってから暫くすると、ロウ・カースト街では一際目立つ純白の教会に、人が集まってくる。
殆どは食料の配給を受けに来たロウ・カースト民だが、そうでない者もいる。
一般的なロウ・カースト民よりも体格がよく、合成皮革のコートやケブラー線維製のアーマーを身に纏う者達。
探索者だ。教会による衣食住の提供は、人々に挑戦の余裕を与える。
最底辺の暮らしから抜け出す為に、シェルターの外、廃墟に挑む為の体力と金銭を。
そしてその成功例が、また新たな挑戦者を生み……その才能を芽吹かせる。

だが、人々を挑戦に駆り立て、そして成功へと導くのは、衣食住の余裕だけではない。
探索者としての身分を得た者達までもが、何故今も教会へ訪れるのか。
その理由は……祈りである。

「主よ。憐れみ給え」

灰色がかった銀髪と、作り物のような美貌の少女が、教会の祭壇、その奥に祀られた天使像に祈りを捧げる。
彼女に続くように、数人の探索者と、大勢のロウ・カースト民が跪き、両手を組む。
祈りを終えると、マリーは背後の礼拝者達を振り返った。

「……今、皆さんは、何の為に祈りを捧げていましたか?」

そして皆を見回しながらそう問いかける。

「主を愛し、その憐れみを乞う為でしょうか。……それとも、食事と寝床を得る為に仕方なく、ですか?」

答える者はいない。

「ですが、だとしても……それで構いません。
 かつて科学が盛栄を極め、そして今や荒廃しきってしまったこの世界で、
 主の存在を信じ、愛する事が出来なくても……それは仕方のない事です」

マリーは微笑み、言葉を続ける。

「もし、いつか科学が、主の不在を証明してしまったとしても。
 あるいは主が既に、私達の生きるこの世界を見ておられなかったとしても。
 だとしても……祈る事には意味があるのです」

マリーは神の教えも、神を称える為の言葉も、全くと言っていいほど知らない。
それらは世界が一度壊れてしまった時に、殆どが失われてしまったからだ。
だから彼女に教えられる事は、大雑把に言ってしまえば、一つしかない。
0195マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/06/19(月) 20:19:54.43ID:m9dmcSGD
「祈るという事は、未来を望むという事です。何の為でもいい。
 ただ生きたいというだけでも、より良い暮らしをする為でも。
 ……勿論、神の為でもいい。明日を望むという事は、あなた達を強く、豊かにしてくれます」

つまり、前向きに生きるという事。彼女に教えられるのはそれだけで……しかしどんな時代でも、
この荒廃の時代においても、それは豊かな生を送る為に必要な事だ。
人はパンのみにて生くるものに非ず……精神が痩せ細り、魂が死んでしまえば、人は人足り得ない。

「……そんなんで、いいのか?もし神様がいたら、そう言うのバチが当たんじゃねえのか?」

一人のロウ・カースト民がそう尋ねる。対してマリーはくすりと笑った。

「心配ありませんよ。天が何処までも広がっているように、主の御心は、そんなにも狭くはありません。
 それでも、どうしても不安なら……それさえも祈ればいいのです。
 主は、主を信じ切れない者さえもを、憐れんで下さいます」

宗教は、人の心を落ち着かせ、まとめ上げる為のものだ。
どんな人間をも認め、愛してくれる架空の存在を信じる事は、自己の肯定に繋がる。
人々のあらゆる行いを見下ろす架空の存在を信じる事は、罪の意識の芽生えを誘う。
彼女の教会運営が、ハイ・カーストに認可されている理由。
だがマリーは決して、ロウ・カーストの管理など目的にはしていない。
結果的にハイ・カーストにとっては好都合な事になるとしても……彼女はただ、人々の暮らしを豊かにしたいだけだ。

「……じゃあ、お話はこれくらいにして……そろそろご飯にしましょう。
 今日は探索者のお友達から、プロテインペーストを沢山頂けたんです」

マリーがそう言うと、礼拝に訪れた探索者達が頷き、何人かが教会の奥へと向かう。
そしてすぐに、大きな鍋を幾つも載せた台車を押して戻ってくる。
そのまま教会の外に出て、配給の手伝いを始めた。
……配給が終わり、鍋や食器の片付けが終わると、マリーは再び教会の外に出る。
入り口の大きな扉を閉めて、その表面をじっと見つめる。
瞬間、純白の扉の表面に、黒い文字が浮かび上がった。

ナノマシンである。鉄を材料に増殖したナノマシンが、扉の表面に固着し、文字を描いているのだ。
マリーは、ある種のナノマシンを意のままに操る事が出来た。
文字だけではなく教会そのものさえもが、彼女のナノマシンによって築かれているのだ。
黒ではなく純白なのは、教会を構築するナノマシンの材質が鉄ではなくケイ素……石材由来であるからだ。

『シェルターの依頼により、廃墟探索へ行ってきます。
 鍵はいつもの場所に隠してあるので、暫くの間、教会の事をお任せします。ごめんなさい。
 もし二週間以上、私が帰らなかった場合、郊外の芋虫さんを尋ねて下さい。
 その後の教会について、あらかじめお話をさせて頂いています』

善意の協力者に書き置きを残し、誤字を確認すると、マリーは改めて扉の中心に視線を注ぐ。
今度は、扉そのものではなく、その奥に意識を向けるように。

「では、参ります」

マリーがそう呟くと、彼女の周囲に風が吹いた。
白い粒子が織り成す旋風が……そしてそれはすぐに収束し、形を得た。
礼拝堂の奥に祀られていた、剣を携えた天使像が、彼女の背後に立っていた。
マリーは振り返り、跪いて、目を閉じ、両手を組む。

「……主よ。私はあなたのしもべです。
 私はあなたの教えと、あなたを讃える為の言葉を、この世界からもう一度掘り起こしてみせます。
 あなたに捧げられるべき信仰を、この世界にもう一度蘇らせてみせます」

だから、とマリーは目を開き、天使像を見上げる。その更に奥、薄汚れた大気の向こうに輝く太陽を見る。

「だから…………どうか私を、憐れんで下さい」
0196マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/06/19(月) 20:21:19.17ID:m9dmcSGD
 


……自動兵器との戦闘は、言うまでもなく死の危険と隣合わせだ。
本来なら十分な武装をした数十人規模の部隊で挑むもので、それでも失敗する可能性がある。
だが今回の敵性兵器は大型の兵装を搭載している。
大所帯ではかえって被害が大きくなりかねない。故に招集された探索者はたったの四人だった。
実際には、もう少し多くの探索者に声がかかったかもしれないが……
少人数での自動兵器の無力化あるいは捕獲、まともな神経をしていれば引き受けない。
何かしらの、普通でない感覚か事情を持っていなければ。

マリー・テレジアの普通でない事情とはすなわち、ハイ・カーストのご機嫌取りだ。
教会の維持と発展には、ハイ・カーストによる認可と援助が不可欠だからだ。
もっとも、事情が一つだけとは限らないが……。

シェルター入り口付近の事務所に到着したマリーは、そのまま会議室に向かう。
天使像ミカエルは人間用の扉を通すにはやや大きいが、粒子化させてしまえば持ち込むのは容易だった。
何度か訪れた事のある事務所を慣れた足取りで進み、会議室のドアをノックし、開く。

「お久しぶりです、ヤスモトさん。今回もよろしくお願いします」

柔和な笑みを浮かべて、マリーはヤスモトに頭を下げる。
彼女にとって、ヤスモトは親しみやすい人物だった。
ハイ・カーストのご機嫌取りが欠かせない教会運営者としても、慈悲を重んじる修道女としても。

「また、みんなで一緒に帰れるように頑張りましょう。神のご加護がありますように。
 ……あっ、もちろん私も皆さんを守れるように頑張りますよっ。
 私のご加護はいつでもばっちしここにありますので、ご心配なく!」

そう言うとマリーは意気込みを示すように、両手をぐっと握ってみせた。



【よろしくお願いします】
0197ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/06/25(日) 06:35:02.15ID:1GxBoTjY
未開拓区域。
それはシェルター都市群から遠く離れた、人類の探索可能領域の果て。
誰が呼んだか"魔界"や"地獄"とも通称される極危険地域との境界に位置する区域である。
地理的障害からセンターの支援は届かず、人類が活動するには余りに過酷な無人兵器の世界だ。

長く人の手の入っていない文明の名残はとうの昔に無人兵器達に食い荒らされて彼らの装甲や弾となり、
奇形の大樹が空いた玉座を奪うかのように競い合って空を目指している。
極彩色の広葉樹の差す空は、間断なく強酸の雨と高圧の雷を降らす黒雲によって覆われていた。

奇形樹の林の中に、不自然に開けた空間がある。
大木が根本から砕かれ倒れ、ぶち撒けられて散らばる光景はさながら大型爆弾の爆心地だ。
その中央に、小山があった。鋼鉄の山。ところどころにぺんぺん草のように機械の手足が飛び出している。
山の正体は、破壊され折り重なって無数に山積みされた無人兵器の残骸であった。
スクラップの山のあちこちから立ち上る紫電と黒煙は、これらの無人兵器がつい先程残骸と化したことを物語っている。

「くーれーなずむーまちのぉー」

その山頂に腰掛けて、旧時代の歌謡曲を口ずさむ人影が一つ。
若い女性だ。焼結繊維で織られたテンガロンハットと防毒ポンチョは酸の雨をほぼ完全に防ぐ最上級品。
曲に併せてぶらぶらと揺れる腕の先には、大砲じみて巨大な口径のリボルバーがぶら下がっている。

「ひかーりとーかげのーなかぁー」

きゅううん、と静音ローターの駆動音と共に小さな影が飛来して彼女の腕の上に鳥のように留まった。
楕円状のボディに高精度の感覚素子を備えた小型ドローン。女性が指先でボディを撫でるとくすぐったそうに身を震わせる。

「おかえり『ミーティア』。この辺の無人兵器はだいたい片しちゃったかな」

ミーティアと呼ばれたドローンが空中にホログラフィを展開する。
周辺の敵性反応の索敵結果を示すマップと、それからポップ調の文字が踊っていた。

『イッピキドッカイッチャッタ。ゴメンネ』

「えぇーホントだ事前確認の個体数と弾数が合ってないじゃん」

偵察用ドローン『ミーティア』は彼女が電脳データリンクによって操る無数の感覚器だ。
その恩恵は大きく、この鬱蒼と茂る奇形樹林の劣悪な視界の中にあっても、無人兵器の数と位置を正確に把握することが出来た。
この周辺を探索中に無人兵器20体からなる群れを発見し、強襲を仕掛けたのが30分ほど前。
その間、彼女が撃ち放った弾数は19。生まれたのは19体分の残骸で、すなわち全ての無人兵器をリボルバーの一発で仕留めている。
残りの一体は、どういうわけか索敵範囲をどれだけ広げてもロストしたままであった。

「まいったな−1匹でも逃がすとセンターからの報酬ガッツリ下がるんだよぉ」

無人兵器に学習能力が存在することは兼ねてより探索者達にとって頭痛の種となっていた。
その場で倒しきれるならば良いが、半端に探索者との戦闘経験を与えて取り逃がしてしまった場合、
今度はその経験を踏まえて兵装を強化したり対人機動に磨きを掛けた個体が人類の前に立ちはだかることになる。
無人兵器の"巣"にほど近いこの領域においては、更に無人兵器同士で情報を共有され兼ねないというリスクも孕んでいる。

『バクゲキシエンデヤキハラッチャウ?』

「うーん最寄りのシェルターから爆撃機出してもらってもここまで来れるかどーか……」

航空爆撃はこの時代において有効な殲滅手段とは言えなかった。
生い茂る奇形樹林はレーダーを反射し索敵範囲を極端に狭め、強固に根を張る樹木が爆風を遮ってしまう。
何より、無人兵器の中には当然対空火器を搭載したものや航空戦に特化したものも多数存在する。
シェルター近郊のように制空権が取れているならまだしも、彼女の居るような秘境では目標地点に到達する前に撃墜されるのがオチだ。
女性は暫し黙考して、それからお手上げとでも言うように肩を竦めた。
0198ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/06/25(日) 06:35:25.36ID:1GxBoTjY
「まぁ、良いよ。なんとかなるなる、たぶん。まずかったら巣ごと殲滅しちゃおう」

その時、彼女の電脳が指令を受信した。
気の抜けた電子音と共に網膜ディスプレイに表示されたのは、センターからの電子封書。

「ありゃ、"封蝋"のレベルが5だ。なんかでっかい事件でもあったのかな」

電子文書の開封制限、通称"封蝋"は指令文書を限られたクラスの人物にしか読めないようにする処置だ。
レベル5はシェルター上層部及び高位探索者にのみ開示の許された、『シェルター存亡の有事』に類する情報。
彼女は周辺への警戒を維持しながら、開かれた文書を視線の動きだけで読んだ。

『ナンテ』

「なんかねー、やばそうな無人兵器がシェルターの近くに湧いたから戻ってこいって」

『ココカラ?』

「無茶苦茶言うよねー。こっからシェルターまでどんだけ距離あると思ってんのって感じ」

『ニンキモノハツライネ』

「まぁ、良いけどさー……よっと!」

彼女は勢いをつけて立ち上がり、そのまま残骸の山頂から宙へと跳躍した。
蹴られた残骸が山肌を転がって耳障りな金属音を挙げる。
擦れ合う沈黙した機械の四肢の隙間から、一体の無人兵器が飛び出した。

『イタ。サイゴノイッピキ』

「うわお、見つかんないと思ったら残骸の下に埋まってたのね」

無人兵器は女性が宙に居るうちにジグザグに飛びながら無事な奇形樹の影へと身を隠す。
逃走のタイミングはこの上なく完璧だった。
彼女が着地と同時に銃を構えた時には、既に生い茂る奇形樹の林を縫うように潜りその姿さえ目視出来ない。
いわんや、銃撃したところで木立が障害物となって届きやしないだろう。

「どっかん」

女性は構わず発砲した。銃口が指し示す先は――空。放たれた大口径の弾丸が風を切りながら木々の描く稜線を割る。
一方、逃走を成功させた無人兵器は"巣"に向けて全速で疾走を続けていた。
聴覚素子がカァンという甲高い金属音を直上に捉えた刹那、『上空から降ってきた』弾丸が彼の駆動中枢をぶち抜いた。

音源は、近くの空中を浮遊していたミーティアの別個体。
ドローンの下部に施された傾斜装甲が、弾丸の軌道を強引に捻じ曲げ、直下の無人兵器へと叩き落としたのだ。

「任務完了。デキる女は仕事を後に残さないってねー」

硝煙の立ち上る銃口を一吹きし、女性はポンチョを翻して残骸の山を後にする。
女性の名はジェミニ・カラミティ。
人類生存圏の最果てで一人無人兵器と戦い続ける『開拓者(パイオニスト)』。
センター管轄下において"最強"に肩を並べる探索者の一人である。

 * * * * * *
0199ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/06/25(日) 06:35:59.33ID:1GxBoTjY
ヤスモトと同行する探索者達の待つ会議室に、ジェミニは一番遅れて参上した。
ドアを無遠慮に開け放って、ポンチョの埃を払い落としながら入室する。

「お待たせー遅れてごめんねヤスモっさん」

探索者の中でも相当な古株であるヤスモトとは面識がある。
何度か任務を共にこなしたこともあり、ジェミニからすればそれなりに気心の知れた相手だ。
それ以上に、彼女は他人に対して必要以上に気安い。無遠慮とさえ言っても良い。
誰にでも同じように接するそのスタンスは、裏を返せば特別な相手を作らない意思表示でもあった。

「いやーまいったまいった!CSL(シェルター間秘匿鉄道)止まってんだもんこりゃ相当ヤバいことになってんね」

安全区域に点在するシェルター同士を繋ぐ鉄道が封鎖されていた為に、ジェミニは不要な遠回りを強いられることになった。
文句じみた言い訳とは裏腹に、彼女の口調は寛容だ。有事に対して、危機感や緊張を感じさせない。

「長旅の垢落とす間もなく出撃かぁ。いやここ来る前に除染シャワー浴びてんだけどね?
 ヤスモっさんはパーツ変えるだけで身体綺麗になりそうであたしゃ羨ましいよ」

ヤスモトの肩を不躾にバシバシ叩いたジェミニは、その流れで他の同行者達を一瞥する。

「今回は四人でチーム?あーゴンザレスのおっちゃんもいるじゃん。2年ぶりくらい?前にも増して太ったねえ。
 スーツみっちみちになってるじゃん。いい加減買い替えるか痩せたほうがいいんじゃないかなあ」

同行者リカルド・ゴンザレスの身体を上から下までぐるりと見回した後、視線はそのまま下方へ。
そこにはジェミニの半分ほどしか齢を重ねて居なさそうな少女の姿があった。

「……マジ?こんなちっちゃい子も呼ばれてんの?センターってそんな人材不足やばいの?
 てゆーかシスターが無人兵器に何するってのさ。連中に神の教えでも説くの?デウスエクスマキナ的なやつ?
 ヤスモっさん、これは明らか人選ミスでしょー……今回のヤマって相当ヤバい案件だって聞いたけど」

半端なことでは動じないジェミニも、このシスター姿の少女の存在には怪訝の目を隠せない。
センターは彼女に何をさせようとしているのか。そもそも足手まといになりやしないか。
猜疑の感情を一切取り繕うことなくジェミニは少女を睨めた。


【ヤスモトさん、マリーさん、リカルドさん、よろしくお願いします】
【私からも一個質問です。無人兵器と探索者のパワーバランスってどんな感じなんですか?
 小型、中型、大型がそれぞれ一般的な探索者何人分の戦闘力に匹敵するのか、みたいな感じで】
0200ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/25(日) 10:09:20.44ID:fyun2dBT
>>199
一般的な探索者の武装が自動小銃+手榴弾+α(ハンドガンやナイフ)として

小型無人兵器(〜3m)一機に対しては一人もしくは数人、対人特化型になると十数人必要です。

中型無人兵器(3m〜15m)以上になると一般的な探索者では装甲貫通できる武装がないため
正面からではまず勝てません。地形を利用して罠を使うか欠点や死角を突かない限り殲滅されるでしょう。

大型無人兵器(15m〜)になると地形や武装といった部分は意味を成しません。
大型無人兵器を破壊できるのは大型無人兵器だけです。
対大型無人兵器用の兵器もありましたが、とても手で持てるものではなく今では廃墟の奥深くに眠ってしまっています。
死角はなく、武装は隙が無く、防御に弱点はありません。
今ではほとんど存在しませんが、無人兵器の司令塔的存在です。

全長もしくは全高のどちらかの最も長い方で小型、中型、大型に分類されます。
0201リカルド ◆8M6m1Mp8G2
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2017/06/26(月) 17:35:41.87ID:0ot7PMf8
薄暗い部屋に鳴り響く電子音。
それに被さるように低い男のうめき声と共にベッドから太い腕がサイドテーブルに伸びる。
その手は目標物が定まっておらず、酒の空きビンを倒しながらようやくアラームのスイッチを押すことに成功した。

リカルド・ゴンザレスの朝は遅い。
日もすっかり上ったころにようやくベッドから起き上がったのだがそれでもまだ早く起きた方なのだ。
「ああ……そういえば、今日だったな……」
何かを思い出したかのようによろよろとと起き上がる中年に体には、寝汗と共に油と酒気が溢れていた。
まだ意識がはっきりしたいないまま下着を脱ぎ捨て、スチームシャワーを浴びる。

ここはミドルカースト街、というには少し図々し い境界辺りに位置する安宿の一室である。
とはいえ個室にスチームシャワーまであるのだからそれなりの住処と言って良いであろう。
蒸気につかり体から酒気を抜きながらリカルドは前を見据える。

探索者は大きく分けて三種類に分別される。
大半は探索に出て早々に命を散らす者。
極僅かに一攫千金を成し遂げ、探索者から足を洗い悠々自適に暮らす者。
そして最後は死にもせず探索者を続ける者だ。

探索者を続ける者も更に二種類に分割される。
明日をも知れぬ命と刹那的に享楽に生きる者。
そして稼ぎを自分の強化に注ぎ更なる探索を行う者だ。

日々酒におぼれるリカルドは前者に見られがちではあるが、実は後者である。
後者にならざる得ない理由がその体に浮かび 上がっているのだから。

若いころ感染した謎の奇病、人面瘡
最初は小さな疣だったのが、切り取ろうが焼こうが再生し、更に数を増やしていくのだ。
今どき全身機械化も珍しくはないが、人面瘡は超能力を使うため機械化は妨害されてしまう。

だがその超能力は探索者としてのリカルドの助けになっているのは皮肉な話であった。
宿主を守る為であろうが、飛び交う銃弾を逸らし、周辺で異変を察知し報せてくれる。
特に無人兵器には並々ならぬ敵意を持っているようで、利害の一致と共生関係を成立に至るのだった。

だが、だからと言って仲良くできるものでもなし。
20年以上付き合っていれば判ってくるものだ。
徐々に数を増やし、今や人面瘡は体のいたるところで出現し全 9面。
そして、10面目が現れる時、リカルドは人面瘡に乗っ取られ人ではなくなってしまう、と。

それを防ぐため、リカルドは探索を続ける。
あらゆる危険を冒しながら遺跡に潜り、この人面瘡を取り除くための手段を、情報を手に入れる為に。
だが20年以上かけていける場所はあらかた行き尽した。
にも拘らず手掛かりすら見つからない中でその依頼はやってきた。
シェルター周辺に現れた正体不明の無人兵器討伐依頼

「へへっ……本来ならケツまくって逃げ出さなきゃいけねえような依頼だけどな。
喜べよ、お前らが憎む無人機、しかもこの様子じゃ中型以上だ」
依頼の詳細は分からずとも、封蝋というその依頼方法でその難易度も察しが付くと云うものだ。
どこからか迷いこんで きた無人機。
危険ではあるが、未知の情報を持っているかもしれないという意味では宝の山と云えるのだから。
そこに人面瘡除去の情報があると一縷の望みをかけてリカルドは依頼を受けるのだった。
0202リカルド ◆8M6m1Mp8G2
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2017/06/26(月) 17:40:28.28ID:0ot7PMf8
シャワーから出たリカルドは身支度を整え宿の裏の倉庫へと入る。
暮らすだけならばローカースト街でも不自由はないのだが、あえてここを拠点にするのは装備のメンテナンスもしてくれるからだ。
30を超えるとガクッと体力が落ちる。
40を超えると体中にガタが来て、トレーニングしても鍛えられる前に体が壊れていくのだ。
45を過ぎても生身の肉体のまま探索者をやっていること自体珍しく、続けようにも淘汰されてしまうものなのだが、リカルドには止められな い理由が体に生えているのだから仕方がない。

「あーくそ、またきつくなったな」
パワードスーツを装着し締め付けるベルトや窮屈なヘッドセットに顔をしかめながら動作確認をする。
リカルドのパワードスーツは装着型でそう大きいものではない。
足はスーツの脛部分に、手はスーツの前腕部分に収まり、両手両足が少し伸びた程度なものだ。
だがその少し伸びた部分にスーツの真価がる。

装着し終わり起動させると、わずかに体が浮く。
足に設置された電磁浮遊ホバーにより、地形を選ばず滑るような素早いホバー移動を可能にするのだ。
 
そしてスーツ前 腕に突っ込まれた手の動きに連動して動くマニュピレイター。
その指先は人の物と変わらぬ滑らかな動きではあるが、爪の代わりに筒がついている。
指先だけでなく、各所に設置された筒。
これが「水芸」と呼ばれるこのスーツの最大の武器と云える。
ボディの各所に設置された二種類のタンクから送られる溶液が筒先で合成する事によって強力な溶解液となるのだ。
背後によって粘度も変わり、自在に付着させ蝕んでいくのだ。

「よしよし、しっかりメンテナンスして補充も万全だな。良い仕事してくれている。
後は弾だが、ワイヤーにネット、それに煙幕に……」
パワードスーツを着たリカルドの武器は水芸だけでなく、ガトリングランチャーもある。
そこから射出されるのは主 に相手の動きを止めるものばかりで直接の殺傷能力はない。

リカルドは探索者ではあるが戦士ではない。
銃を持っていても無人機相手に当てられるような腕はないし、たとえ当たっても装甲で弾かれるのがおちだ。
爆発物で破壊することはできるかもしれないが、無人機は倒すべき敵であると同時にパーツ、武装、情報、その全てが宝と言える。
だからこそ動きを封じ、素早く接近し関節に溶解液を流し込み無力化する。
それが長年培われたリカルドのスタイル狩人なのだ。


準備を澄ましてから暫く後に会議室の扉が開く
「よお、アミーゴ&セニョリータ、遅れてすまねえな。
大仕事ってんでブルっちまって一杯ひっかけねきゃ足がすくんじまってよー
わっはっは、まあ仕事はしっ かりするからよろしく頼まーな」
上機嫌で現れたリカルドは酒臭い息を吐きながらヤスモトとマリーに挨拶をすたのはジェミニが入ってくるほんの少し前の事だった。

>「前にも増して太ったねえ。
などと軽口叩くジェミニに満面の笑みを浮かべて応える
「おいおい、これだけ太ったのはお前さんにも責任があるんだぜ?
遅れてくるから待っている間に飲んでたからグラスがどんどん空いちまうんだよ」

数年ぶりにあう顔だが、その数年でますます顔と実力を売るジェミニの参戦に顔もほころぶというものだ。
だがジェミニの方はそうでもないようだった。
怪訝な目を隠しもせずマリーに不安を覚えているのをみてその間に入る

「はっはっは、お前さんはめったにこっちに帰ってこ ねーから知らねえだろうけど、この聖女様はな、神様とやらの使いであると同時に人形遣いなのさ
塵を人に変える奇跡の具現はオッソロしい力をふるってくれるんだぜい?
ヤっさんの人選には間違いはねえし、間違っていたらこの俺がこんな危険なヤマにクビ突っ込むわけね、そうだろう?」

笑いながら向き舞えり更に言葉を続ける
「まーそれぞれ名の知れた腕っこきなのはわかっているが、チームで動く以上連携とまではいかねえがお互い邪魔にならないようにそれぞれの武器や戦闘スタイルは知っておいていいだろ?
知っているとは思うが改めて自己紹介させてもらうと、俺はリカルド・ゴンザレス
得物はスタンガトリングランチャーでワイヤーだのネットだの撃って相手の動きを止めてか らの密着、関節へ溶解液流し込んでの無力化、ていう近接タイプだな」
自己紹介を終えると、一杯やりながら聞かせてもらうよ、と何処から出したが酒をグラスに注ぎくつろぎ始めた

【不慣れ者ですがよろしくお願いします】
0204ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/28(水) 20:26:53.38ID:nCRw1o1l
>「よお、アミーゴ&セニョリータ、遅れてすまねえな。
大仕事ってんでブルっちまって一杯ひっかけねきゃ足がすくんじまってよー
わっはっは、まあ仕事はしっかりするからよろしく頼まーな」

「……リカルド。探索する前にアルコールは抜いておいてくれないか。
 君の実力は理解しているが今回の相手は明らかに中型、大型の類だ。
 我々が戦ったことのない未知の相手なんだ」

人間の顔に相当する部分である、頭部のフェイスマスクが赤く光って瞬く。
これは感情を色で示す機械化人間特有の感情表現であり、赤は怒りを示している。
ただし点滅、それも瞬いている場合はむしろ呆れを示すことが多い。
パワードスーツを装備し、破壊ではなく鹵獲を中心としたスタイルで
生き延び続けている男、リカルドに対してヤスモトはそれなりに敬意を持っているためだ。

そこから3人で冗談や軽口を交えた雑談が始まり、30分ほど経ったところで
またもドアが開いた。

>「お待たせー遅れてごめんねヤスモっさん」

>「いやーまいったまいった!CSL(シェルター間秘匿鉄道)止まってんだもんこりゃ相当ヤバいことになってんね」

「ジェミニ!来てくれたか!CSLはこの辺り一帯全て止められていて
 来てくれるかどうか不安だったが……いや、とにかく全員揃って嬉しい」

ポンチョと気楽な雰囲気を纏った女性、ジェミニ。
だが中身は探索者の中でもトップクラスの実力を持ち、
単独での汚染地域調査や無人兵器撃破の経歴を数多く持つパイオニストと呼ばれる一流の探索者だ。

>「……マジ?こんなちっちゃい子も呼ばれてんの?センターってそんな人材不足やばいの?
 てゆーかシスターが無人兵器に何するってのさ。連中に神の教えでも説くの?デウスエクスマキナ的なやつ?
 ヤスモっさん、これは明らか人選ミスでしょー……今回のヤマって相当ヤバい案件だって聞いたけど」

>「はっはっは、お前さんはめったにこっちに帰ってこ ねーから知らねえだろうけど、この聖女様はな、神様とやらの使いであると同時に人形遣いなのさ
塵を人に変える奇跡の具現はオッソロしい力をふるってくれるんだぜい?
ヤっさんの人選には間違いはねえし、間違っていたらこの俺がこんな危険なヤマにクビ突っ込むわけね、そうだろう?」

「そういうわけだ、ジェミニ。リカルドが言うように彼女はナノマシン能力者だ。
 文明崩壊前の技術を持ち、探索者としても見事な腕前。参加資格は十分だろう?
 他のパイオニストや腕のある探索者はいるが対中型、大型の経験や
 武装を持った者はほとんどいないからな、このような変則的な編成になった」
0205ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/28(水) 20:27:09.85ID:nCRw1o1l
ヤスモトは立ち上がり、テーブルにある立体プロジェクターを起動する。
会議室の明かりが小さくなり、プロジェクターに差し込まれたデータチップから
動画が読み込まれ、再生される。

『駆動音が聞こえた!左!』

『端末はまだ使えねえのか!』

ヤスモトと街の指導者が見ていた動画が再び流れ始め、
最期に無人兵器の駆動音だけが響いて終わった。

「今回の目標は汚染区域に存在する中型、もしくは大型無人兵器の無力化、もしくは捕獲だ。
 目標に関するデータは偵察ドローンが撮影した動画と、破壊された偵察ドローンの写真だけだ。
 シェルターのデータベースによれば『ヒグマ』か『スズメバチ』のどちらかだと思われる」

そう言ってヤスモトは、3人の端末に二つの無人兵器の詳細なデータを送る。
四足歩行と二足歩行を使い分け、ゲリラ戦に特化した中型無人兵器『ヒグマ』と
独特の駆動音とその外見、対歩兵火器を尾部からばらまきながら低空飛行する大型無人兵器『スズメバチ』の
外見、全長、全高、搭載火器、あらゆる部分のデータを。

「今回はシェルターからの全面的な支援が約束されている。
 可能な限り物資の要求には応じてくれるそうだ。
 ……解毒剤もA級を出してくれるぐらいだ」

シェルター側も本気なのか、ヤスモトがバックパックから取り出した解毒剤は
最も効力が強く、長持ちするA級解毒剤だ。

「マリー、君にだ。リカルド、一応渡しておくぞ。
 ジェミニ。君には予備を持っておいてほしい」

「作戦決行は明日の朝だ。
 汚染区域の市街地を抜けて犠牲者の多いビル群で探索を行う」

そうして再び椅子に座り、気の抜けた声でこう言った。

「……僕の話は終わり。今度もみんなで、生きて帰ろう」
0206ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/01(土) 18:23:50.72ID:KIi4Rdo8
会議室でヤスモトがしばらく待っていると、ドアをノックする音が部屋に響いた。
それとほぼ同時に入ってきたのは、この街唯一の教会のシスターだ。
だが、今回に限って言えば彼女もまた探索者だ。それも一流の。

>「お久しぶりです、ヤスモトさん。今回もよろしくお願いします」

「マリー、元気だったかい?君の評判はハイ・カーストでも聞いているよ」

ヤスモトはハイ・カーストに属する人間だが、機械化技術の被験体でもある。
そのため探索以外はシェルターの研究所に籠っているのだが、
そこにいても彼女の評判は聞こえてくるほどだということだ。

>「また、みんなで一緒に帰れるように頑張りましょう。神のご加護がありますように。
 ……あっ、もちろん私も皆さんを守れるように頑張りますよっ。
 私のご加護はいつでもばっちしここにありますので、ご心配なく!」

「君の加護……ナノマシンの操作は確かに守りには向いているだろう。
 だが今回はパイオニストも来てくれている。守りというよりは索敵、偵察を
 やってもらうことになる」

マリーの献身的な姿勢はハイ・ロウ問わず人気を集めているが、
それを快く思わない者もいる。そういう人間から横槍を入れられて、
マリー一人に名誉を集中させないためにパイオニストが入ることになったのだ。

最も古い探索者の一人であるヤスモトはそれを快くは思わなかったが、
旧友であるジェミニの都合が合うと聞いて快諾していた。

【すいません!最初のレスの前に上の文章を入れ忘れていました!
 ここの部分が最初のレスの冒頭になります】
0207リカルド ◆8M6m1Mp8G2
垢版 |
2017/07/02(日) 20:50:10.66ID:Y+roNhXA
【こんばんはーお疲れ様です
ちょっと考えたのですが、これまでのペースを見ると1ターン回すのに3週間
これから準備、導入、戦闘開始、戦闘とやっていくと5.6ターン廻した時点で秋というか冬になりかねない
お話が全何ターンになるかわからないですし、途中で忙しい時期に入って続けられなくなりそうですし今の時点で抜けさせてもらいます
はじまったばかりなのにすいません】
0208創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/07/03(月) 17:20:48.56ID:BJ6PFd7l
一週間ルールしかも延長可のスレで4人目(師匠除く)で参加
その時点で1ターン4週間ペースでもルールの範囲内と確定してるわけで
準備、導入、戦闘開始、戦闘で秋冬になる可能性も分るでしょうに
参加する時にホントちょっと考えたら誰でも計算できること
それをいざ始まってから【これまでのペースを見ると】って物言いは酷すぎる
進行遅いからやっぱり抜けさせてもらいますという権利もあるのかもしれないけども
そういうのホイホイ罷り通ったら企画に集まろうという人が疑心暗鬼にかかってしまう

でもとりあえず参加というやり方が絶対ダメとも言えないのでこういう時はせめて
【参加した時は大丈夫だったけど急に○○(何か突発のリアル事情)になってしまって】
とか人のせいにしない方便を使って抜けたら周りの人の傷も少しは浅くなるはず
もちろん一番いいのはルールよく読んでちょっと考えてから参加すること
初参加の人は貴重なので忙しいのが終わったらまた挑戦してほしいなと思う
0210ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/04(火) 19:39:16.51ID:9aii3Mlw
>>207
【なるほど、それならリカルドさんは最初からいなかった方向で行きますね。
 マリーさんとジェミニさんにはお手数をおかけしますがそれでよろしくお願いします】
0211マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/04(火) 21:55:05.89ID:EGnnXtrf
オッケーです……が、今まで書いたリアクションを消して辻褄合わせて……
ってのが結構時間かかっちゃいそうなので、2日だけ期限を伸ばしてほしいです
金曜日までには投下しますね


……再募集とか、ないです?
ないですよねぇ……
0212マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/07(金) 05:16:45.76ID:ifbf1kcY
>「君の加護……ナノマシンの操作は確かに守りには向いているだろう。
  だが今回はパイオニストも来てくれている。守りというよりは索敵、偵察を
  やってもらうことになる」

「あら、そうなんですか?それは……大変な仕事になりそうですね。
 任せて下さい、索敵も偵察も、がんばりますよっ!」

パイオニストとはその名の通り、汚染地域の開拓が主な仕事だ。
汚染地域に眠る資源は有限だ。
探索可能な範囲を広げていかなくては、シェルターはいずれは技術的な限界か、物資の枯渇か。
あるいはその両方の理由によって滅びを迎える時が来る。
つまり彼らの仕事は、汚染毒に満ちた廃墟と共に、シェルターの未来をも切り拓く事。

そのパイオニストを、わざわざシェルターに呼び戻して、既知の汚染地域を探索させる。
生半可な事情では、そんな事は起こり得ない。
マリーの表情が少しだけ険しくなり……

>「お待たせー遅れてごめんねヤスモっさん」

不意に、彼女の緊張などお構いなしの軽やかな声と共に、会議室のドアが開かれる。
入ってきたのは、テンガロンハットとポンチョが特徴の、長身の女。

>「いやーまいったまいった!CSL(シェルター間秘匿鉄道)止まってんだもんこりゃ相当ヤバいことになってんね」

>「ジェミニ!来てくれたか!CSLはこの辺り一帯全て止められていて
  来てくれるかどうか不安だったが……いや、とにかく全員揃って嬉しい」

ジェミニ、と呼ばれたその女性を、マリーはじっと見つめる。
深い意図はない。
ただヤスモトが声を弾ませるほどの実力の持ち主と思うと、自然と目で追ってしまっていた。

そしてジェミニとマリーの視線が交差する。
マリーは微笑み、右手を差し出しながら彼女に一歩、歩み寄り……

「初めまして。マリー・テレジアです。今回はよろしく……」

>「……マジ?こんなちっちゃい子も呼ばれてんの?センターってそんな人材不足やばいの?
  てゆーかシスターが無人兵器に何するってのさ。連中に神の教えでも説くの?デウスエクスマキナ的なやつ?
  ヤスモっさん、これは明らか人選ミスでしょー……今回のヤマって相当ヤバい案件だって聞いたけど」

……しかしそう続いたジェミニの言葉に、マリーの笑みと動きが凍りつく。
とは言え彼女の表情に浮かぶのは怒りではない。
まずは、予想外の言動を受けた事による困惑。そして次に……再び、友好の感情が。

「えぇ、無人兵器の方々にはこう、教えを説いています。
 塵は塵に、灰は灰に……あるべきものは、あるべき場所に。
 人に作られた人形は、人の為に働く……それがあなた達のあるべき、善き姿なのです、と」

瞬間、ジェミニの背後に不可視の「流れ」が生じた。
彼女になら知覚出来るだろう。
極小の粒子の群れが規則的な軌道を描きながら、自身の背後で、急速に、立体を作り上げつつある事を。

そしてジェミニが振り返れば……或いは彼女ならば振り返らずとも、その立体がハイランダーの姿をしていると分かる。
……その水晶質のハイランダーが、無色透明のマグカップを差し出している事も。
カップの中ではコーヒーが湯気を立てて、静かに揺れている事も。

水は彼女が持ち歩いているリュックサック、その中の水筒から用意されたものだ。
想像を絶するほどの数のナノマシンが、想像も出来ないほどの回数、水を掴み、持ち出し……コーヒーカップを満たした。
そして同様の手順でインスタントコーヒーと混ぜ合わせ、それらを振動させて沸騰させたのだ。
0213マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/07/07(金) 05:17:59.35ID:ifbf1kcY
「……ほら、ね?」

マリーは首を小さく傾げて、改めてジェミニに微笑みかける。
無論、コーヒーメーカー型ハイランダーは彼女がナノマシンで作っただけのハリボテだ。
だが、マリーが自動機械の回収に注力しているというのは嘘ではない。
彼女のナノマシンは損傷を最小限に抑えつつ機械の動作を停止させる事が出来るし、
そうする事はハイ・カーストのご機嫌を取る事にも繋がるからだ。
上手く無人兵器が再利用される事になれば、巡り巡って人命の保守にもなる。

……要するにハイランダーは彼女にとって、破壊の対象にすらなり得ない。
コーヒーメーカーを相手に「戦い」を挑んで、壊してしまう者などいないように。

>「そういうわけだ、ジェミニ。
  文明崩壊前の技術を持ち、探索者としても見事な腕前。参加資格は十分だろう?
  他のパイオニストや腕のある探索者はいるが対中型、大型の経験や
  武装を持った者はほとんどいないからな、このような変則的な編成になった」

そう言うとヤスモトは立ち上がり、卓上の立体プロジェクターの電源を入れる。
映し出されたのは……探索者のチームが無人兵器に蹂躙される様子だった。
……マリーが右手をテーブルの下で固く握り締める。

>「今回の目標は汚染区域に存在する中型、もしくは大型無人兵器の無力化、もしくは捕獲だ。
  目標に関するデータは偵察ドローンが撮影した動画と、破壊された偵察ドローンの写真だけだ。
  シェルターのデータベースによれば『ヒグマ』か『スズメバチ』のどちらかだと思われる」

「……どちらにしても、野放しには出来ませんね」

>「今回はシェルターからの全面的な支援が約束されている。
 可能な限り物資の要求には応じてくれるそうだ。
 ……解毒剤もA級を出してくれるぐらいだ」

ヤスモトがバックパックから解毒剤を取り出す。
マリーは以前にも、何度もハイ・カーストからの依頼を受けているが、
A級解毒剤を支給されたのはこれで二度目だ。

毒物というものは、必ずしも「解毒薬」が存在する訳ではない。
例えばトリカブトに含まれるアコニチンには解毒薬が存在しない。
しかしそのアコニチンにも、科学全盛の時代においては「解毒剤」は存在した。
ナノマシンや人造微生物を用いて体内から毒性物質を排出させる解毒剤が。

汚染毒に対する解毒剤も、同様である。
つまり……多大なエネルギーと、高度な科学技術によってのみ生成し得るものなのだ。
だがマリーの操るナノマシンでも、体内の毒性物質を掴み、排出するなどという事は出来ない。

>「マリー、君にだ。ジェミニ。君には予備を持っておいてほしい」

「ありがとうございます。教会で大切に保管しておきますね」

……それはつまり、今回の任務でこの解毒剤を使うつもりはない、という事だった。
マリーのこの悪癖は、今に始まった事ではない。

「あっ、ヤスモトさん。私、食料とお水も沢山欲しいです!」

彼女は任務で支給された物資の殆どを、教会の為に持ち帰っているのだ。
それは解毒剤であっても例外ではない。
……もっとも最近はハイ・カーストもその事を理解していて、
報酬としての物資支給を確約する事で、彼女の悪癖を抑制しようとしているとか。
0214マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/07(金) 05:30:12.11ID:ifbf1kcY
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/9925/

な、なんだか知らないけどNGワードで弾かれちゃったのでこっちに投下しときました……
なんかこのスレの風当たり強い……
0215ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/07/13(木) 18:15:43.91ID:i4nea56+
不躾ともとれるジェミニの誰何に対し、マリー・テレジアと名乗った修道女は困惑こそあれど気を悪くした様子はなかった。
どころかその顔には当初の友好的な笑みが戻り、鈴の音のように清らかな声で彼女は答える。

>「えぇ、無人兵器の方々にはこう、教えを説いています。塵は塵に、灰は灰に……あるべきものは、あるべき場所に。
 人に作られた人形は、人の為に働く……それがあなた達のあるべき、善き姿なのです、と」

「おっ?」

瞬間、ジェミニはそれまでのリラックスした態勢から瞬き一つするより速く動いていた。
右の踵を軸に身体を反転させ、振り返る動きと後ろへ下がる動きとを同時にこなし、更に右手にはいつの間にか抜き放った銃がある。
僅かコンマ1秒、振り向きざまに構えた銃口の先には、結晶に近い材質で構築された――人形の無人兵器が音もなく立っていた。

「茶運び人形にしちゃー随分物騒な見た目じゃん?」

危うく引きかけたトリガーから指を離しつつ、ジェミニは視線だけをマリーに遣ってそう言った。
ジェミニの背後で湯気を立てるマグカップを差し出しているのは、小型の無人兵器――『ハイランダー』だ。
強力なステルスと武装を持った戦闘特化型で、シェルター近郊を徘徊することもある、探索者達によっては死神にも近い存在。
そのハイランダーを模した人形がサーブしてきたコーヒーを、ジェミニは怖じることなく受け取ってふーふーしながら啜った。

旨い。専門のドリッパーで淹れたかのように芳醇な香り、水出しに近い雑味のなさ。
この会議室に備え付けられている安物のコーヒーサーバーでは到底作り出せない味わいだ。

>「……ほら、ね?」

無論、この少女が自身のコーヒー作りの腕前を誇示しているわけではないことはジェミニにも分かる。
マリーはこう言いたいのだ。彼女にとってハイランダーなどコーヒーメーカー程度の機械に過ぎないと。

>「そういうわけだ、ジェミニ。彼女はナノマシン能力者だ。
 文明崩壊前の技術を持ち、探索者としても見事な腕前。参加資格は十分だろう?
 他のパイオニストや腕のある探索者はいるが対中型、大型の経験や
 武装を持った者はほとんどいないからな、このような変則的な編成になった」

間を計ったようにヤスモトが補足を入れる。
ジェミニはおろかこのシェルター都市の中でも随一のキャリアを誇るヤスモトの推薦だ。信頼性において疑う余地はないだろう。
そしてジェミニ自身、マリーがたった今行ったデモンストレーションで彼女の力量を理解してしまっている。

「……まあいーけど。シスターちゃんがコーヒー淹れるの超上手いってことはわかったよ。
 戦場で美味しいコーヒーがいつでも飲めるってだけでも、ついてきてもらう理由にはなるね」

ジェミニは肩を竦めて戦闘態勢を解いた。皮肉はどちらかというとびっくりさせられた負け惜しみに近い。
もとより単独での戦いを好むジェミニにとって、同行者には最低限の自衛力さえあればそれで問題はない。
端的に言えば、彼女はこの期に及んでマリーの戦力を当てにしていなかった。
慢心ではなく、これまで戦い抜いてきた探索者としての腕前への自負が、ジェミニの態度を形作っていた。

「あたしが信じるのは説法じゃなくて鉄砲だかんね。ほらココ笑うとこだよヤスモっさん……それ笑ってんの?」

顔部分のインジゲータランプをチカチカ点滅させるヤスモトを半目で見ながらジェミニは着席し、会議の進行を促す。
即席チームのリーダーは立体投影機を操作し記録された映像を呼び出した。

>『駆動音が聞こえた!左!』
>『端末はまだ使えねえのか!』

阿鼻叫喚の図が解像度の低いドローン越しに繰り広げられ、ごく僅かな時間で全てが終わった。
銃声と悲鳴、低く轟くような無人兵器の駆動音。砂塵に塗れた地獄絵図。砕かれたサイボーグの部品と探索者達の血肉。
0217ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/07/13(木) 18:17:26.57ID:i4nea56+
「……こんだけ?一方的な殺戮しか映ってないじゃん。敵の武装の情報一つ引き出せずに死んじゃったのこの人たち」

ジェミニの物言いは、人類の為に探索者として散って行った者達に対してあまりにも酷薄なものであった。
理屈の上では文句の一つも言いたくはなるだろう。シェルター存亡の有事に際して得られた情報は極めてお粗末だ。
このほんの一握りの情報を元に戦いを挑まねばならない自分たちにとっては頭の痛くなる話だろう。
溜息をつきながら目頭を揉むジェミナの姿に、マリーのような犠牲者への黙祷を捧げる意志は感じられない。

>「今回の目標は汚染区域に存在する中型、もしくは大型無人兵器の無力化、もしくは捕獲だ。
 目標に関するデータは偵察ドローンが撮影した動画と、破壊された偵察ドローンの写真だけだ。
 シェルターのデータベースによれば『ヒグマ』か『スズメバチ』のどちらかだと思われる」

「相変わらず上層部は無茶苦茶言うなぁ。『スズメバチ』に全滅させられたシェルターがいくつあると思ってんのマジで」

端末に送られてきたデータはジェミニにとって既知のものばかりだった。
つまりはハイカーストも支援センターも、今ある以上の情報はなにも掴めていないままに討伐しろと言って来ているのだ。
探索者稼業に無茶は付き物とはいえ、手ぶらで死地に赴けと言わんばかりの差配には涙が出る。

>「……どちらにしても、野放しには出来ませんね」

「今回ばっかはお説法も通じなさそうじゃない?ヒグマの淹れたコーヒーなんか飲みたかないよあたしは。くさそう」

揶揄するような口調でマリーを突ついていると、ヤスモトはバックパックからセンターの刻印の入った箱を出して机に置いた。

>「今回はシェルターからの全面的な支援が約束されている。可能な限り物資の要求には応じてくれるそうだ。
 ……解毒剤もA級を出してくれるぐらいだ」

「わおっ、太っ腹だねぇ。いやこれは皮肉じゃなくてさ、だいぶなりふり構ってらんなくなってるってことでしょ」

A級解毒剤は本来ハイカーストの中でも限られた身分や最上位の探索者にのみ配給される貴重品だ。
パイオニストもここにあたり、長期に及ぶ任務が前提のジェミニも補給の度に受け取っている。
要するに、間違っても汚染毒で失ってはならない超重要な人材を保護する為の措置だ。
同時に、通常の解毒剤のような短い効力期限を設けることによる『首輪』を解き放つ信頼の証でもある。

>「マリー、君にだ。ジェミニ。君には予備を持っておいてほしい」

「相変わらずヤスモっさんは信頼されてるね。こんな急ごしらえのチームにA級配るなんてそうそうないよ」

>「ありがとうございます。教会で大切に保管しておきますね」

「……こーいう輩が絶対出てくるしさぁ」

当たり前のようにネコババ決め込む発言をするマリーをジェミナは半目で見た。
シェルターが何故探索者や都市外労働者に対する解毒剤の供給を制限しているかと言えば、前述の『首輪』を付ける意味合いが強い。
通常の解毒剤の効力は短く、一日から三日程度で分解されてしまって汚染毒に対して無防備になってしまう。
つまり、それくらいの周期で必ずシェルターに帰らなければならない。解毒剤なしに外の世界で生きることは出来ない。
そうすることでシェルターは人材の流出を抑止し、探索者達を都市に縛り付けているのだ。

探索者が都市経済において担う役割は、彼ら自身が思っているよりもずっと大きい。
シェルターの中で生産できる物資に限りがある以上、必ず外で資源を採取してくる必要があるのだ。
そこに気付いてしまえばシェルターの走狗として人生を終えることに疑問を抱く者も出てくる。
己の実力を商品として、別のシェルター国家へ売り込みに行く者や、忠を尽くすことを条件に物資を要求する探索者もいる。

>「あっ、ヤスモトさん。私、食料とお水も沢山欲しいです!」

例えばそこのマリーのようにだ。
この幼き修道女は、始めの印象よりもずっと強かだった。シェルターの内情を読み、上手く立ち回っている。
ただの博愛主義の宗教家ではないことに、ジェミニもようやく気付いた。
0218ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/07/13(木) 18:18:08.26ID:i4nea56+
「うーん困った。ちょっと気に入りかけてるよシスターちゃんのこと」

まぁ、良いけどね。とジェミニはいつもの如く口癖のように呟いた。

>「作戦決行は明日の朝だ。汚染区域の市街地を抜けて犠牲者の多いビル群で探索を行う」

「オッケー。シャワー浴びる余裕があってよかったよ」

ジェミニは資料を纏めて席を立つ。そうして黙った。
何度も一緒に戦って、その度に生き残ってきた歴戦の戦友が、いつも作戦前に言う言葉がある。
これを聞いてはじめて、ジェミニはこのシェルターに帰ってきたと実感できるのだ。

>「……僕の話は終わり。今度もみんなで、生きて帰ろう」

ジェミニはヤスモトの機械製の頭部を真っ直ぐ見つめて頷いた。

「……了解」

それは、この死と隣り合わせの世界において一番当たり前で――最も尊い考え方だ。
『みんなで生きて帰る』。この言葉を安いおべっかではなく本心から尊重しているからこそ、ヤスモトという男は信頼できる。
彼が、このシェルターの探索者の中心に在り続けてきた最大の理由だ。

>「はいっ、私と、ヤスモトさんと、ジェミニさんならやれますよ!私、せいいっぱい頑張りますね!」

打てば響くような快い調子でマリーが同意した。ネコババした解毒剤の件が嘘のように清らかな笑顔だ。

>「……あ、ヤスモトさん。支給される物資の事なんですけど、
 簡易キャンプキットと、応急手当キットも欲しいです!あと、えーと……万が一の時の為の銃器とか……」

前言撤回。笑顔は牙を剥いた肉食獣のつくるそれだった。


翌日、探索地点に指定されたビル群に選抜チームの三人は立っていた。
ここに来るまでに小型の無人兵器を何体か仕留めている。ドローンによる索敵からの先制攻撃は非常に効果的だった。

「この区画って元々の小型遭遇率はそんなに高くなかったはずだよね。
 他の探索者達が撤退してるからってのもあるんだろうけど、やっぱり何かあるよこの辺り」

小型兵器との遭遇率の高さは、すなわち無人兵器の『前線』が押し上がっていることを意味している。
彼らの後方に強い無人兵器がいて、いつもよりも強気に攻めてこれていると考えるのが自然だ。

>「あっ、勿論だからって手を抜いたりしませんよ!むしろジェミニさんが集中出来るようにいっぱい頑張ります!」

「シスターちゃんもそう言ってくれてるし、ちょっと索敵範囲広げてみよっか。おいで『ミーティア』」

ジェミニが腕を掲げると、周囲を飛び交っていたドローンのうち一体が寄ってきて小鳥のように止まった。

『ナンモナイヨ。チョーヒマ』

「索敵半径を50mくらいでもっかい行ってきて。ステルス強度は65GPS、音波と赤外線も併用してね」

『カシコマリ』

静音ローターによる無音飛行でドローン達が廃墟の空に散っていく。
ジェミニはドローンの得た情報をリアルタイムで受信しながら、時に細かい指示を出しつつ敵影を絞り込む。
上手く敵を見つけられれば、先制攻撃が可能になるだろう。あとはヤスモトの作戦次第だ。


【索敵ロールを行います。敵を発見できれば種類、数、大きさ、見える武装などの情報を取得するので判定を下さい】
0219ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/15(土) 11:30:07.52ID:xClyCQWf
>「あっ、勿論だからって手を抜いたりしませんよ!むしろジェミニさんが集中出来るようにいっぱい頑張ります!」

>「シスターちゃんもそう言ってくれてるし、ちょっと索敵範囲広げてみよっか。おいで『ミーティア』」

「僕も手伝おう。さっきから無人兵器の通信量が増大しているんだ。
 ……あのビルの屋上がいい」

ヤスモトの頭部にあるハッキングアンテナは、無人兵器たちが
相互通信によって意思疎通をしていることが分かったことから装備しているものだ。

通信傍受、無人兵器を装った偽装通信、通信位置の特定など
ヤスモトのもう一つの眼と言ってもいいほど探索には有用な装備である。

>『カシコマリ』

「……霧の濃度も上昇してきているね。ヒグマとスズメバチに
 そういう機能はない…別種の自動兵器かな?」

3階建ての小さなビル、その屋上に陣取った3人は各々の技能を活かして
周囲の地形にいかなる自動兵器が潜んでいるのか、索敵に励んでいた。

と、マリーの視線が急に動いた。
ビル群の奥、恐らくは主要な道路だったのであろう広々とした道路だ。

先程よりさらに深くなった霧によって視界は10mほどしかないが、
ヤスモトのハッキングアンテナはその霧の奥に何かがいることを捉える。

「マリー?何か見つけたね。ジェミニ!ミーティアをいくつか
 今から言う座標に頼む。G-6-44とG-6-58だ」

熟練した探索者である3人だが、濃い霧は視覚的にだけでなく
電波や赤外線といったセンサー類も阻害する。

敵が捉えられないことも十分に考えられるが、3人の経験と実力は
それを十分に乗り越えられる可能性を持っている。

【索敵ロール判定です!このレスの下二桁が
 
 02〜20なら種類
 21〜40なら種類+数
 41〜60なら種類+数+大きさ
 61〜80なら種類+数+大きさ+武装
 81〜99なら先制攻撃可能
 01なら逆に奇襲を受けます
 00なら目標発見+奇襲可能 

 情報取得なら次のレスもジェミニさんでよろしいですか?】  
0220ジェミニ@携帯
垢版 |
2017/07/15(土) 17:34:02.25ID:kznEZeq3
【判定どうもです。索敵ロールはマリーちゃんさんも同様に行ってる感じなので通常通りのレス順でお願いしたいです
 ジェミニの得た索敵情報は全てチーム内で共有してるって感じで、必要なら「ジェミニからそう聞いた」って描写挟んじゃって下さい】
0222マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/21(金) 14:11:47.79ID:rW3lgajw
>「マリー?何か見つけたね。ジェミニ!ミーティアをいくつか
  今から言う座標に頼む。G-6-44とG-6-58だ」

「小型が六体……これは、どうやらヤスモトさんがさっき言ってた「別種」……ですね」

散布したナノマシンが「何か」の表面を撫で、その輪郭を捉えたマリーが呟く。

「何か」は、かつては兵器ですらなかった機械だった。
まだ高効率な食料培養システムが確立される前、農業の効率化の為に開発された機械。
機体内で合成した薬物を散布する事で天候を操作し、植物の成長を促進させる……型式名は、クロノス。

科学全盛の時代……滅びが訪れる直前の社会では、博物館くらいでしか見る事の出来なかった旧式は、
今では時を巻き戻したかのように量産され続け、働き続けている。
霧を、雨を、それらに乗せて汚染毒を散布し、無人兵器の領域を広げる旗手として。

「……クロノス、それにキャリーカブが三体ずつですね。
 キャリーカブは護衛兼、霧を広める為の移動手段といったところでしょうか」

マリーが霧の彼方の敵性機械から、ヤスモトへと視線を戻す。

「どうします?今すぐ破壊しますか?」

クロノスによる霧の濃度上昇は、今回のターゲットを捜索する上で厄介な障害となる。
ヤスモト達は皆、視覚に頼らない索敵、情報収集手段を持ってはいるが、汚染毒を含む霧は電波を反射させる。
ナノマシンの機動も霧によって制限される。つまり……霧は僅かではあっても、チームの能力を低下させる。
その能力の低下が中型、大型兵器との戦いの中で致命的なものにならないとは限らない。

だが一方で、クロノスを破壊した所で霧の濃度がすぐに低下する訳ではない。
薬物の散布が停止しても、霧が薄まるまでには少なくとも数時間はかかる。
あるいは散布された薬物の量によっては数日を要するかもしれない。

「……この霧なら、自動兵器達の通信もそう長い距離までは届きません。
 だけどもしあのクロノス達が、中型、大型の通信可能圏内にいたら……ちょっと、厄介ですよね」

そしてその上で問題となるのは……
クロノスが中型、大型兵器の通信可能圏内にいた場合、奴らを破壊する事は自分達の存在を気取られるという事だ。

と、不意に、彼女の引き連れる天使像ミカエルの翼から、羽が舞い散った。
羽はマリー達の周囲に球を描くように散らばり……滞空する。

マリーがヤスモトとジェミニに向けて何かを喋ろうとして……口だけが動いて、声は伴わなかった。
彼女は二人の返事がない事に首を傾げ、そしてすぐに、しまったと言いたげに口に手を当てる。

「ん、こほん……とは言え、悟られるとしても「いる事」まで。
 居場所はバレっこないですけど……どうしますか?ヤスモトさん。ジェミニさん。
 今度は聞こえてますよね?」

彼女が図らずも実演してみせた通り、散布された羽は『消音器』だった。
原理は極めて単純だ。彼女がナノマシンを操り、音の振動を吸収させる。
索敵に必要な環境音や、会話が必要なら話し声だけを例外として。

「……あっ、あと言わなくても大丈夫だと思うんですけど」

人差し指をぴんと立てて、マリーが付け加える。

「これだけ霧が濃くなってるって事は……「アレ」も出てきてるって事ですよ。
 昨日もお見せしたアレです。二体、こちらに向かってきてるみたいですけど……大丈夫ですよね?」


【遅くなってすみません!アレに関しては、遠くの的だけだとアレかなって感じです!】
0224ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/07/27(木) 21:03:25.03ID:8Ue6vKhN
>「マリー?何か見つけたね。ジェミニ!ミーティアをいくつか今から言う座標に頼む。G-6-44とG-6-58だ」

「おっけい。釣果があるかな」

各々の索敵の結果は一致した。ミーティアを飛ばした先に6つの機影がある。
先刻からこの区域を覆いつつある霧のせいでジェミニには輪郭くらいしか判別出来ないが、マリーには『手触り』が分かるようだ。

>「……クロノス、それにキャリーカブが三体ずつですね。
 キャリーカブは護衛兼、霧を広める為の移動手段といったところでしょうか」

「クロノス?ってーとアレでしょ、旧時代の農薬散布マシン。よくそんなの引っ張り出してきたね向こうも。畑もないのにねぇ」

ジェミニはざっくりと切り捨てたが、クロノスは単なる農業の支援機械ではない。
特殊な薬物を上空の雲に投入することで自在に雨を降らせたり逆に雲を消して快晴にしたりできる、総合天候操作機構だ。
人類がシェルターに引き篭もった現代には無用の長物と化してしまったが、確かに一時代を担っていた神の機械。

>「……この霧なら、自動兵器達の通信もそう長い距離までは届きません。
 だけどもしあのクロノス達が、中型、大型の通信可能圏内にいたら……ちょっと、厄介ですよね」

「一番やばいのはさ、あたし達がここに来てること見越して放たれた斥候ってパターンだよね。
 この霧で視界と通信が悪いのはあっちも同条件だけど、それ込みでのデコイだったら連中は絶対敵の通信範囲から出てこないよ」

汚染毒の発生源に通信範囲ギリギリを巡回させてこちらの出方を伺う。
やり方はまさに『釣り』だ。あからさまなエサをぶら下げて探索者達が破壊に動けばそこを一網打尽にする。
半端な経験しかない中堅どころを投入していれば容易くあちらのシナリオ通りにことが運んだだろう。
作戦参加を高位の探索者だけに限定したセンターの先見の明には頭が下がる。

その時、ふと何かがジェミニの視界を横切った。
ミーティアの三点観測によってそれが無害な物体だと事前に把握していたジェミニは気にも留めないが、
マリーが不意にわちゃわちゃしだしたことで彼女の仕業だとようやく気付く。

幼き修道女が散布したものは、彼女が何故か作戦領域に持ち込んだ天使像の羽根。
ナノマシンで出来たその造形物は、周囲の音を吸着する効果を有しているようだ。

「へぇ、いいねこれ。超高性能サイレンサーってわけ。こういうの欲しかったんだよねぇ。
 この任務終わったら何枚か安く譲ってよシスターちゃん」

大砲みたいに大口径の銃をぶっ放すジェミニの戦い方は隠密性とは完全に無縁の世界だ。
人類生存域の限界点で戦う彼女にとって、敵地で大音量を立てることは自分の位置を常に知らしめているに近い。
むしろそうすることで彼女なりの「釣り」を行っていたフシもあるが、敵に気取られずに行動することの有利は論ずるまでもない。
0225ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/07/27(木) 21:03:45.40ID:8Ue6vKhN
>「ん、こほん……とは言え、悟られるとしても「いる事」まで。
 居場所はバレっこないですけど……どうしますか?ヤスモトさん。ジェミニさん。今度は聞こえてますよね?」

「通信良好。この距離ならあたしの射程内だし、ショット&ムーブで破っちゃう?」

>「……あっ、あと言わなくても大丈夫だと思うんですけど」
>「これだけ霧が濃くなってるって事は……「アレ」も出てきてるって事ですよ。
 昨日もお見せしたアレです。二体、こちらに向かってきてるみたいですけど……大丈夫ですよね?」

「こっちでも着認したよー、コーヒーメーカーが二匹、バディかな。騒がれても面倒だし始末してもいいよねヤスモっさん」

ハイランダーの接敵ジェミニは何ら気負う様子もなく腰から拳銃を抜いた。
強装仕様の大型リボルバー『ワイルドベア』。握りの具合を確かめるように左右に振りながら、左手の親指で撃鉄を起こす。

「シスターちゃん、その羽根今から送る座標とあたしの銃に貼っつけて」

電脳経由で速記したマップデータをマリーの端末へと送信。
そこには旧時代から人の手を入れられずに成長したのだろう、樹齢三桁はありそうな巨大な奇形樹が屹立していた。
幹は大人が10人手を繋いでも一周できそうにない、大樹だった。

「今からその木、ぶっこ抜くから」

刹那、ジェミニの左手が羽撃きのようにブレた。
拳銃の引き金を引いたまま、撃鉄だけを指先の動きで瞬間的に複数回弾く『ファニング』と呼ばれる早撃ちの技術だ。
サイボーグである彼女の動作精度で行えば、弾丸が縦列を作って飛翔する。
羽根により無音で放たれた都合6発の徹甲弾は、瞬きよりも速く大樹へと着弾。
6つの巨大な弾痕によって幹を中腹から『切り落とした』。

自由落下する巨木は、こちらへ向けて進行中のハイランダー二体を巻き込む形で降っていく。
――ジェミニが間接的な攻撃を選んだのは、ハイランダーに探索者の存在を匂わせることを避けた為だ。
例え自らが破壊される寸前であっても、無人兵器は仲間でその状況を通信で伝えることができる。
だから、巨木の倒壊に巻き込まれたというカバーストーリーによって、何者かが無人兵器を攻撃したというログを相手に残させない。

「取りこぼしちゃってたら、あとはお願いねー」


【アレを間接的に攻撃】
0227ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/30(日) 20:45:30.04ID:kq4udn2S
>「……あっ、あと言わなくても大丈夫だと思うんですけど」
>「これだけ霧が濃くなってるって事は……「アレ」も出てきてるって事ですよ。
 昨日もお見せしたアレです。二体、こちらに向かってきてるみたいですけど……大丈夫ですよね?」

>「こっちでも着認したよー、コーヒーメーカーが二匹、バディかな。騒がれても面倒だし始末してもいいよねヤスモっさん」

「彼らはクロノスの群れと通信しているみたいだ。
 群れを囮にハイランダーが狩る、いわゆるグループだね。仕留めておこう」

自動兵器は同種類、または同じような種類どうしで群れを形成することが多いが、
まったく違った兵器が相互通信の下統率された動きを行うことがある。

そうなっていると確認された自動兵器群はグループと呼称され、
罠や初歩的な戦術を使うことが多い。


>「取りこぼしちゃってたら、あとはお願いねー」

「……一機、運良く避けたようだね。ジェミニは相変わらずだが、
 あのハイランダーはそれなりに経験を積んでいるようだ」

ジェミニの早撃ちは見事だったが、無人兵器のAIは経験を積むことでより賢くなる。
もし、破壊を免れ上手く探索者たちを狩り続けたならば、それは熟練した探索者や
サイボーグ並みにずる賢く、厄介な存在になりうるだろう。

そして今生き残ったハイランダーは、まさしくそれだった。
片腕は大樹の幹に押し潰されたようだが、それを強制分離することで再び立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。

「……グループの通信網は事故だと判断しているようだね。
 他に自動兵器はいないようだし、巣に戻られる前に狩って――伏せろッ!」

ヤスモトが叫ぶと同時に、続けざまに十数発の銃声が辺りに轟く。
明らかにこちらを狙った攻撃だが、瞬時に展開されたヤスモトの湾曲型防弾シールドが弾道を辺りに曲げて防ぎきった。

「道路の奥!距離350からの狙撃!……あの記録映像と銃声が一致!
 グループの通信量も増大しているね、次の狙撃が来る前に降りよう!」
0228ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/30(日) 20:45:54.16ID:kq4udn2S
屋上からふわりとヤスモトは飛び、脚部の反重力システムが落下の衝撃と速度を和らげる。
そしてハッキングアンテナの指向性を全周囲から、狙撃された方向に向けた。

「………他の無人兵器とは違う!情報量が圧倒的すぎる……
 これは大型かもしれない、広い道路のあるビル群でのみ犠牲者が多かった理由がこれなんだ!」

そして、それはゆっくりと姿を現した。
道路を押し潰すように動く二つのキャタピラ、部分的に剥げている灰色の都市迷彩。
シェルターが保有している装甲車よりもはるかに巨大な車体。
そして、二つの機銃が搭載され、装甲の組み合わせに一切の無駄がない、鋭角的なフォルムの砲塔。

かつて戦場を支配した兵器の一つ、戦車がそこにいた。

「……通信のアルゴリズムが違う。
 あの兵器はもしかして戦前から生き残っているんだろうか?」

すると、戦車の砲塔がヤスモトたちではなくグループの方を向いた。
数秒だけ戦車が止まり、揺れが収まった瞬間閃光と衝撃が辺りに走る。

グループのいた道路は丸ごとえぐり取られたように削られ、吹き飛んでいる。
無人兵器の残骸は辺りに飛び散ったのか、そこにいたのかどうかもう分からないほど粉砕されていた。

「――ハイランダーがあれを敵と認定したみたいだ。
 巣を攻撃される前に破壊したいようだね。僕らの巣もあんなのを食らえば吹き飛ぶだろう」

「やろう。目標はあの無人兵器だ」

【今回の目標の登場です!頑張って撃破するなり無力化するなりしましょう!】
0229マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/08/05(土) 02:55:06.54ID:/ZXaIcpU
>「へぇ、いいねこれ。超高性能サイレンサーってわけ。こういうの欲しかったんだよねぇ。
 この任務終わったら何枚か安く譲ってよシスターちゃん」

「はい、勿論構いませんよ!……開拓者であるあなたからすれば、大抵のものは安いの部類に含まれるはずですよね」

ジェミニの頼みに快活な返事をした後で、マリーは小さくそう呟く。

>「シスターちゃん、その羽根今から送る座標とあたしの銃に貼っつけて」

と、腕に装着した小型端末が微振動。
送られてきた座標は……

「あの木ですか?構いませんけど、なんであんなとこ……」

>「今からその木、ぶっこ抜くから」

「へっ?……あ、あーそういう!ちょ、ちょっと待って!まだだめですよ!」

天使像から数十枚の翼が舞い散り、風のない廃墟を横切っていく。
直後にジェミニが銃を抜いた。
その両手が一瞬、マリーの眼では捉えられないほど素早く、かつ精密に動く。
引き金を引き、その直後に右手の親指が再度撃鉄を起こす。
そして発砲、直後に人差し指が撃鉄を起こし……再び銃口が火炎を散らす。
それが一弾倉分、都合六回繰り返されて……そこで初めて、マリーは彼女がなんらかの動作を取った事を認識した。
そして慌てて銃口の先を見る。
遠くに見えていた大樹の幹に、重なり合った大穴が六つ穿たれていた。

「……今の、六発撃ってたんですか!?ひえぇ、銃声一つしか聞こえませんでしたよ、私」

>「取りこぼしちゃってたら、あとはお願いねー」

大樹やビルを倒壊させて無人兵器を破壊するという作戦は、一般の探索者にも時々用いられる事がある。
だがそれは多量の人員と爆薬を用いて行う大規模作戦としてだ。
それをジェミニは事も無げに成してみせた。驚き混じりの賛辞を口にするマリーに対してもさしたる反応を示さない。
つまり彼女にとってこれくらいの事は、ただの手札の一枚……という事だ。

>「……一機、運良く避けたようだね。ジェミニは相変わらずだが、
  あのハイランダーはそれなりに経験を積んでいるようだ」

「……今のを避けたとなると、相当な学習量ですよ。
 急な環境の変化に対応出来るって事は……何度も同じような状況から勝ち抜いてきたからです。
 さて、上手く騙されてくれるか……」

>「……グループの通信網は事故だと判断しているようだね。
  他に自動兵器はいないようだし、巣に戻られる前に狩って――伏せろッ!」

不意にヤスモトが叫んだ。
言われるがままに咄嗟に屈み……同時に響く銃声。
天使像がマリーとジェミニを庇うように翼を広げ……しかしその操作は無意味だった。
銃弾の軌道は天使像の翼に届く前に、まるで見えないレールに乗せられたかのように外側へと逸れていった。
ヤスモトが展開したシールドによる現象だ。

>「道路の奥!距離350からの狙撃!……あの記録映像と銃声が一致!
  グループの通信量も増大しているね、次の狙撃が来る前に降りよう!」

「は、はい!あの、ジェミニさん、えと、ご一緒しますか!?」

開拓者である彼女ならこの状況も自分でなんとかしそうなものだが、
かと言ってまったく声もかけず自分だけ逃げ出すのも据わりが悪くて、マリーはそう尋ねた。
0231マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/08/05(土) 02:56:14.74ID:/ZXaIcpU
彼女は天使像の翼に抱かれるようにしてジェミニを見ている。
もしジェミニが彼女の提案に乗れば、反対側の翼は彼女の席になるだろう。
だが……他の探索者にはよく誤解されがちだが、彼女の天使像に人を支えて飛ぶ為の飛行能力はない。
ミカエルが単体で飛行移動が出来るのは、一時的にナノマシン間の結合を弱めているから。
言わば煙のような状態になっているから、自重に囚われず飛ぶ事が出来るのだ。

つまり……現在いるビルの屋上から飛び降りる際に、天使像に可能なのは着地の衝撃の吸収のみ。
数秒間の空の旅は、景色を楽しむようなものにはならないだろう。
さておき着地を果たすと、一足早く地上に降りていたヤスモトは既に、先の狙撃を行った兵器を捕捉しているようだった。
マリーもナノマシンを飛ばして、その位置と輪郭を捉える。

>「………他の無人兵器とは違う!情報量が圧倒的すぎる……
  これは大型かもしれない、広い道路のあるビル群でのみ犠牲者が多かった理由がこれなんだ!」
>「……通信のアルゴリズムが違う。
  あの兵器はもしかして戦前から生き残っているんだろうか?」

「有視界戦闘の出来ない距離から、取得情報量の多さに物を言わせて一方的に殴りつける。
 ……確かにクラシカルな戦術ですね」

>「――ハイランダーがあれを敵と認定したみたいだ。
  巣を攻撃される前に破壊したいようだね。僕らの巣もあんなのを食らえば吹き飛ぶだろう」
>「やろう。目標はあの無人兵器だ」

「えぇ、ヒグマでもスズメバチでもないのが少し気がかりですが……少なくとも、アレは止めないと。
 あちらが古式ゆかしい戦法を取るなら……こちらも、古式ゆかしい攻略法を取ればいい……ですよね?」

そう言ってマリーは戦車の射線を避けるようにして接近を開始した。

旧時代の主力戦車……MBTの周辺に散布したナノマシンが、戦場の状況をマリーに伝える。
片腕を失ったハイランダーはMBTを敵と認識したらしい。
ヒートナイフを展開しMBTへと距離を詰めていく。
瓦礫や建造物、植物群を利用した、ステルス装甲を最大限に活かした機動。
そして接近を果たしてからの……ヒートナイフの一閃。
それをまともに受けた戦車の装甲には……しかし傷跡は残らない。
表面に生えた苔が焦げ跡と化したのみ。
直後に響く銃声。機体上部に搭載された小口径――当時の基準における、だが――の機銃が火を噴いた。
ハイランダーの頭部から腹部にかけて拳大の穴が幾つも穿たれ……その動作が停止された。

そして……その結果をナノマシン越しに認識した後で、マリーの天使像が動き出す。
その体を粒子化して……破壊されたハイランダーに覆い被さる。
ナノマシンが蠢き、その装甲、内部機構を食い散らかす。
自己複製だ。ハイランダーを材料にナノマシンが増殖しているのだ。
極めて高度なステルス性を誇るハイランダーの装甲を、材料に。
漆黒の羽が周囲に舞い散った。その内の一部はジェミニとヤスモトの周囲を漂い続ける。

「古式ゆかしい攻略法……近づいちゃえば、少なくともその主砲は怖くない。
 残る問題は……この兵器の動きを止めるのは、結構大変そう……」

マリーが戦闘区域に飛び出し、同時に天使像も動き出す。
ナノマシンを操る能力を持つマリーだが、彼女はそれを理由に自分が隠れるような事はしない。
敵の的は多ければ多いほど、AIの対応精度は低下する。
修道服を構築するナノマシンを操作すればサイボーグに近い挙動も取れる。
仲間のリスクを低減する為なら、彼女は出来る事はなんでもするのだ。

ハイランダーの装甲を取り込んだ天使像が、戦車へと迫る。
狙いは機体の表面に設置されたセンサー群だ。
破壊する事は叶わなくとも……ナノマシンを表面に塗装する事は出来る。
ハイランダーのステルス装甲を塗りたくられれば……どんなセンサーだって十全の機能を発揮する事は出来ない。
0233ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/10(木) 20:26:48.62ID:dkloH3rs
>「……一機、運良く避けたようだね。ジェミニは相変わらずだが、あのハイランダーはそれなりに経験を積んでいるようだ」

倒壊する巨木に巻き込まれた二体のハイランダー。
うち一体は一枚の板金に成り果てたが、もう片方は隻腕に成りながらも破壊を免れたようだった。

「ありゃっ、思ったより動けるみたいだね。まぁーなんとかなるでしょ」

想定した戦果の半分しか得られなかったことにジェミニは鼻を鳴らすが、すぐに思考を切り替える。
慢心ではなく純粋な戦力の比較として、片腕のハイランダーなど彼女達のチームの敵になどなりはしない。

>「……グループの通信網は事故だと判断しているようだね。
 他に自動兵器はいないようだし、巣に戻られる前に狩って――伏せろッ!」

「うわっ?」

突然の警告に弾かれるようにして頭を下げると、追って機関銃の音色が遠くから轟いた。
間断なくヤスモトの展開した防盾を弾丸が擦過していく音が響く。

「なになに、今のハイランダー?こんな兵装載ってたっけ?」

>「道路の奥!距離350からの狙撃!……あの記録映像と銃声が一致!
  グループの通信量も増大しているね、次の狙撃が来る前に降りよう!」

ヤスモトの真剣味を帯びた声に流石のジェミニも目を眇める。
いくつもの探索者集団を壊滅させてきた、暫定中型以上の無人兵器。
ここで止めねばシェルターさえ滅ぼす脅威の存在が、ついにその姿を見せたのだ。

「今回のメインディッシュのお出ましってわけ……先手取られちゃったねヤスモっさん」

即座に屋上から飛び出すヤスモトの判断は迅速にして正確だった。
ジェミニ達がハイランダーの始末に気を取られている間、彼はずっと広範囲の警戒を続けていたのだ。
これが長きに渡ってシェルターの探索者達を生き残らせてきた古兵の知慧だ。

>「は、はい!あの、ジェミニさん、えと、ご一緒しますか!?」

マリーが天使像の抱擁を受けながらジェミニに問うた。

「マジ?その像人間乗っけて飛べるの?超便利じゃん乗せて乗せて!」

口車にホイホイ乗せられて、ジェミニはマリーと共に天使像に抱かれた。
天使像が狙撃を受けないよう射角を警戒しながら屋上を飛び立つ。

「飛ん……でないねこれ!ほぼほぼ自由落下じゃん!」

血液が慣性に従って天地逆さまに落ちていくのを感じた。
酸素運搬能力を強化されたジェミニの人工血液は立ちくらみこそ起こさないものの、三半規管に絶妙な違和感を憶えてうえってなる。
重力加速度を一切緩和せずに地表に衝突した天使像であったが、着地自体は非常にソフトなものであった。
0235ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/10(木) 20:28:38.98ID:dkloH3rs
「次は快適な空の旅が出来るようになってから誘って……」

天使像からべっと吐き出されたジェミニはひび割れたアスファルトを踏んでようやく人心地がつく。
既に地上に降りていたヤスモトはアンテナで空を切りながら敵性存在の分析を済ませていた。

>「………他の無人兵器とは違う!情報量が圧倒的すぎる……
 これは大型かもしれない、広い道路のあるビル群でのみ犠牲者が多かった理由がこれなんだ!」

「……スズメバチ?にしては"羽音"が聞こえてこないけど」

大型無人兵器であるスズメバチは、"羽音"と形容される特有の駆動音がある。
その圧倒的な攻撃能力のために、シェルターにとっては終末の鐘にも等しい不吉の音色が、しかし今は聞こえてこない。
ジェルターの見立てがてんで的外れで、ここに来ているのがスズメバチとは別の大型だとするならば、バッドニュースにも程がある。

「ていうか、代わりに懐かしい音が聞こえるような……」

キュラキュラと独特な軌条の擦れ合う音と共に、敵は姿を現した。
やけっぱちのように巨大なキャタピラの上で、鉄塊にも等しい継ぎ目のない装甲を纏った車体が唸っている。
頑丈なハッチに守られた低背のキューポラと、排熱で陽炎を吹き出す大型のエンジン。
何よりも特徴的な、象の鼻より長く太い、砲身。

「――戦車じゃん!」

ジェミニは思わず声を挙げた。
戦車。旧時代の陸上戦闘においてかつては最強の座に君臨していた駆動兵器の一つだ。
やがて戦闘ヘリの登場によって主戦場を駆逐された後も、その存在感によって戦いのイコンとして在り続けた兵器。

>「……通信のアルゴリズムが違う。あの兵器はもしかして戦前から生き残っているんだろうか?」

「そんな骨董品がなんで今さら人類裏切ってんのさ!」

無人兵器とは違い、戦車は明確に人類側の兵器だったはずだ。
今でこそ散兵が基本の探索者に用いられることはないが、例えばシェルターの護衛などに使われているのをジェミニは見たことがある。
無論、サイズは今対峙している戦車よりもかなり小さいものではあるが。

「ていうかここに居続けるのもやばくない?さっき飛んできたのって単なる機銃でしょ。
 あれが戦車である以上、メイン武器はあんな豆鉄砲じゃなくて――」

ジェミニの言葉を掻き消すように轟音が響き渡る。
戦車の主砲。大質量の鉄塊を吐き出す雷槌の如き一撃が、無人兵器の一団を地形ごとかき消していた。

「――これだよねぇ」

戦車砲は、口径の6倍の厚さの鉄板をぶち抜ける威力を持つ陸戦最大火力だ。
あの戦車の正確な口径は判断しにくいが、少なくともジェミニ達探索者であれば付近を通過した衝撃波だけでバラバラだ。
シェルターだってひとたまりもあるまい。

>「――ハイランダーがあれを敵と認定したみたいだ。
 巣を攻撃される前に破壊したいようだね。僕らの巣もあんなのを食らえば吹き飛ぶだろう」

「……どうなってんの。無人兵器も一枚岩じゃないってことなのかな」

無人兵器同士で戦い始めた光景を前に、ジェミニは訝しむ。
敵側で勝手に数を減らしてくれるのは結構なことだが、あの戦車はこちらに対しても敵対している。
ハイランダーを叩き潰したら、次狙われるのがジェミニ達であることに変わりはあるまい。

>「えぇ、ヒグマでもスズメバチでもないのが少し気がかりですが……少なくとも、アレは止めないと。
 あちらが古式ゆかしい戦法を取るなら……こちらも、古式ゆかしい攻略法を取ればいい……ですよね?」
0236ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/10(木) 20:28:59.33ID:dkloH3rs
いちはやく状況を解したらしきマリーが前に出た。
健闘虚しく機銃の餌食になったハイランダーの残骸を天使像が取り込み、消化する。
ハイランダーの持つ高度なステルス装甲を性質そのままに黒い羽へと変え、戦場に散布した。
マリーはステルスの羽を隠れ蓑として、戦車に肉迫する。

>「古式ゆかしい攻略法……近づいちゃえば、少なくともその主砲は怖くない。
 残る問題は……この兵器の動きを止めるのは、結構大変そう……」

古典的な対戦車戦術は、懐に潜り込むことだ。
主砲は車体よりも下の角度を狙うことが出来ない。すなわち俯角の限界を見極め、マリーはそこに飛び込んだのだ。
言うだけならば簡単だが、機銃を掻い潜ってそこまで辿り着くことは容易くなどない。
ほんの一箇所ボタンを掛け違えるだけで、彼女は他愛なく肉片と化す。
蛮勇か、豪胆か。年端もいかない少女であるはずのマリーは、しかし誰よりも前で戦っている。

「度胸があるねぇ。おねえさんも負けてらんないな」

ジェミニもマリーの後を追って戦車の至近に入る。
あのままぼっ立ちしていれば遠からず主砲の餌食となる。ぞっとしない死に方だ。

「あたし昔さ、シェルター間の利権戦争に駆り出された時に戦車とやりあったことがあるんだけどね。
 あの時は主砲の中に弾丸ぶち込んで腔発させてやったんだけど、このデカブツにはちょっと厳しいかなぁ」

その時の戦車の砲弾は近接信管式の榴弾だった為、主砲の中を狙撃して榴弾を暴発させて破壊することが出来た。
しかし、同じやり方でこの戦車を倒すには、あの強烈無比な主砲の射界に自分が立つ必要がある。
主砲の発射間隔も分かっていない現状、自殺行為に等しかった。

「対空機銃がある以上はミーティアも飛ばせないし、さてどうしたもんかな」

呟きながら履帯へ向けて発砲する。
ファニングによってワンマガジンの全弾がキャタピラへと吸い込まれるが、しかし履帯は破損するどころか微妙な傷が入るだけだ。

「うわ、履帯も硬っ!何センチの鉄板使ってんのこれ!」

崩壊した都市の悪路も問題なく走行する無限軌条。
徹甲仕様のジェミニの弾丸でさえ阻む異常な防御力は、やはりこの戦車が無人兵器であることを再確認させる。
ハイランダーを取り込んだ天使像が戦車へと躍りかかり、機体表面のセンサーを何かで覆う。
ステルス装甲。レーダーを弾き返す素材は、裏返せばすなわちセンサーを無力化する遮蔽物だ。

「よし、今なら――」

センサーが自己洗浄によって復活するより速く、ジェミニはミーティアを数機上空へと打ち上げた。
機銃による迎撃が飛んでこない。マリーの戦術は功を奏しているようだ。

「戦車を相手にする古式ゆかしき攻略法、その2は……上から撃つ!」

ジェミニの両手が再び瞬いた。撃ち放たれた弾丸が上空のミーティアによって跳弾し、車体上部のキューポラへと降り注ぐ。
戦車の上部は砲塔や搭乗口などの可動部が多く、故に前面の装甲よりも耐久性では劣る。
まさか中に人が乗っているなどと思いはしないが、ハッチを貫いて内部に損害を与えられるなら儲けものだ。

【センサー無効化の隙をついてミーティアを上空へ飛ばし、跳弾によって上からキューポラを狙う】
0237ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/08/16(水) 20:16:56.66ID:15HgpeYi
>「えぇ、ヒグマでもスズメバチでもないのが少し気がかりですが……少なくとも、アレは止めないと。
 あちらが古式ゆかしい戦法を取るなら……こちらも、古式ゆかしい攻略法を取ればいい……ですよね?」

「まったく、その通りだよ。幸いハイランダーが突っ込んでくれている、彼を囮に近づくとしよう」

ステルス性を持つナノマシンが周囲を漂うのを確認し、二人と共に静かに近づく。
もし戦車に随伴する歩兵がいればとてもできない行動だが、この戦車はあまりにも長く戦っていたのかただ一機のみだ。

>「あたし昔さ、シェルター間の利権戦争に駆り出された時に戦車とやりあったことがあるんだけどね。
 あの時は主砲の中に弾丸ぶち込んで腔発させてやったんだけど、このデカブツにはちょっと厳しいかなぁ」

「あれは戦車というより装甲車だよ、はるか昔の基準ではね。
 それに整備もロクにされていなかった……この戦車もそうだといいけど」

そう言ってヤスモトは再びハッキングアンテナを伸ばし、無人兵器たちの通信を傍受する。
無人兵器たちは基本的に単純な思考しかしないが、『巣』や『工場』と呼ばれる彼らの拠点から
緊急事態に対する命令が送られることは多い。

輸送中の無人兵器たちが丸ごと消し飛び、護衛も撃破されたとなれば
巣は間違いなく増援を送るだろう。最低でもハイランダー級の無人兵器を複数体。

>「戦車を相手にする古式ゆかしき攻略法、その2は……上から撃つ!」

ジェミニの射撃の腕は才能、経験、技術が合わさった人類最高クラスのものだ。
そして戦車は上からの攻撃に弱いというのも常識だ。

しかし、この戦車は人が乗ることを前提にはしていなかった。
キューポラに降り注ぐ徹甲弾の雨は、確かに有効だった。貫通し、内部へと被害を与えた。

だが被害を受けたのは、砲塔内部にある音響センサーのケーブルと整備用のハッチに穴が開いたのみ。
それ以上の損害はなく、戦車は何事もなかったかのようにゆっくりと行動を再開する。
戦車の表面に纏わりついた不純物を排熱を利用した焼却システムで表面をくまなく焼き払い、破壊された部分を内部配線を繋ぎ変えることで補う。

そうして戦車は再び動き出し、先程見つけた3体の敵兵を排除するべく探し始めた。

「……さすが崩壊前の兵器だ。隙がない。
 対戦車兵器に対する迎撃システムも完備されているようだよ。
 砲塔上部にあるハッチに穴が開いたけれど、持ち上げてる間に機銃かあの焼き払いを受けるだろうね」

動き出した戦車から離れ、近くにあったビルの一室に再びヤスモトたちは隠れる。
ヤスモトはバックパックから取り出した折り畳み式のロケットランチャーを組み立てているが、
ハッキングで得た情報によればこれも迎撃システムが感知すれば即座に破壊されるだろう。

「巣は既に動いているようだよ。
 対装甲武器を持った無人兵器を20体ほどここに送り込むつもりのようだ。
 たぶん『アリ』か『バッタ』だろう」

アリもバッタも汎用性が高く、多脚歩行と背中に積む武器次第で
あらゆる地形であらゆる敵を相手にすることができる全長1.6m、全高90pほどの小型無人兵器だ。
壁や天井を歩くことができる歩行ユニットを持ち、無人兵器群のの主力である。

「いったん彼らと戦車をぶつけて、消耗させよう。
 僕らの火力は正面から戦車を潰せるほどではない」


【戦車の武装は以上です!】
0238マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/08/22(火) 04:01:19.12ID:dPSDwEwj
天使像の羽が唸り、戦車の走行を殴りつける。
破壊は叶わない。だがセンサー部分にハイランダーの装甲を塗布する事は出来た。

>「よし、今なら――」「戦車を相手にする古式ゆかしき攻略法、その2は……上から撃つ!」

「やた!流石ジェミニさん!さぁ効果の程は……」

マリーが言葉を紡ぎ終えるよりも早く、戦車の側面装甲に穴が空いた。
当然、攻撃の成果によるものではない。戦車が自ら装甲の一部を開放したのだ。
何の為か。考えるまでもない。内部から、外部へ、何かを放出する為だ。
そして戦車の内部から放たれるもので、マリーに害を及ぼさないものなど存在しない。

焼却システムから放たれた火炎が彼女を襲う。
噴射に伴う高圧の熱風に跳ね飛ばされて、マリーは地を転がる。
……そして、起き上がる。同時に飛来した天使像が彼女をすくい上げ、物陰へと飛び込んだ。
修道服を構築するナノマシンが彼女の危機察知に応じて変形、硬化と真空層の構築による防御を行ったのだ。

「ひ、ひええ……危なかった。
 ……だけど今ので私は「耐える」と覚えさせた。
 これで「三手」、多く引きつけられる……」

マリーの修道服が黒く染まっていく。
ハイランダーを分解し得たステルス材を混合しているのだ。
センサーの眼を掻い潜り、マリーは一度ヤスモト達と合流する。
0239マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/08/22(火) 04:01:43.89ID:dPSDwEwj
>「……さすが崩壊前の兵器だ。隙がない。
  対戦車兵器に対する迎撃システムも完備されているようだよ。
  砲塔上部にあるハッチに穴が開いたけれど、持ち上げてる間に機銃かあの焼き払いを受けるだろうね」

「あの穴、試しにナノマシンを送り込んでみたんですけど、もう破壊されちゃってます。
 内部を正常に保つ為の機能も万全って事ですね。
 ……ハイランダー達がやられて、その後の通信はどんな感じです?」

>「巣は既に動いているようだよ。
  対装甲武器を持った無人兵器を20体ほどここに送り込むつもりのようだ。
  たぶん『アリ』か『バッタ』だろう」
>「いったん彼らと戦車をぶつけて、消耗させよう。
  僕らの火力は正面から戦車を潰せるほどではない」

「……何か便利な兵装を積んできてくれればいいんですけど」

マリーはナノマシンを広域に散布して、周囲の様子を伺う。
程なくしてナノマシンが何らかの移動物体を感知した。

「これは……手触りからして、アリですね」

対空射撃の可能な機銃を持つ戦車に対しては『バッタ』の機動性よりも、
『アリ』の高い地形適応性が有効だと、『巣』は判断したようだ。

「兵装は……ううん、手触りだけじゃ特定出来ないですね……。
 だけど、そこそこ物々しい感じです。アーマーピアシングか、HEATか……期待出来ますよ」

さて、とマリーは壁越しに戦車の位置へと視線を向ける。
ナノマシンを精密かつ大量に動かす為の、集中が目的だ。

「せっかく持ってきた兵装、使う前に全滅されちゃ勿体無いですからね。
 ちょこっと手助けしてあげますか……」

不意に、戦車の正面にハイランダーが出現する。
マリーの操るナノマシンが作り出した、密度の低い、煙のようなまやかしだ。
だが戦車のセンサーにはそんな事は理解出来ない。
理解出来るのはただ、ステルス性能に長けた敵性兵器が、不意に至近距離に現れたという事。
そしてその直後に……主砲か、それとも機銃か。いずれにせよ自身の攻撃を受けて、消滅したという事だけだ。


【遅くなってごめんなさーい!】
0241ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/08/25(金) 03:02:22.62ID:rICcmgmx
天上からの弾雨に対し、戦車は抵抗の術なくその身に弾丸を受けた。
キューポラを貫通した徹甲弾が内部機構を傷付けたのか、一瞬だけ動きが止まる。
間近でそれを見ていたマリーが快哉を挙げた。

>「やた!流石ジェミニさん!さぁ効果の程は……」

だが、それだけだった。戦車は機能を停止するどころか、装甲表面を目まぐるしく動かし始める。
周囲に漂うツンとした異臭に、ジェミニは悪寒を憶えた。

「あっこれ、やばいやつ……」

ほとんど反射的に飛び退き距離を取った瞬間、戦車の総身が炎に包まれた。
車体を破壊するような爆発ではない。戦車が自ら吐き出した火炎放射だ。

「焼身洗浄――!?」

装甲の高度な耐火性能に任せて、高温の炎で付着物を強制的に焼き飛ばす自己洗浄機能だ。
洗浄液で洗い流すのとは訳が違う。無人兵器との戦闘で使われるセンサ潰し用の耐液被覆材さえも焼却には耐えられない。
そしてかの兵装の特筆すべき点はもう一つ。洗浄行動がそのまま周囲に対する攻撃へ転用できることだ。

「シスターちゃん――!」

至近距離へ肉迫していたマリーは噴き出した炎の直撃を受けた。
爆心地にも近い焦熱と烈風に吹き飛ばされた彼女は、焼却炉から掻き出される消し炭のように転がっていく。
ジェミニは思わず息を呑むが、熟練探索者の絶望的な予測をマリーは上回った。
回り込んでいた天使像に抱きかかえられて焼却圏を脱した彼女に熱傷はなく、代わりに焦げた修道服が剥がれ落ちて新しくなった。
装甲蠕動から火炎放射までの寸毫にも満たないタイムラグで敵の兵装を的確に見抜き、耐熱服を生成していたのだ。

>「ひ、ひええ……危なかった。……だけど今ので私は「耐える」と覚えさせた。これで「三手」、多く引きつけられる……」

「あれ食らってそういうタフなセリフが吐けるのは、お姉さんマジで凄いと思うよ」

転んでもタダじゃ起きないとばかりのマリーの一言に、ジェミニは揶揄ではなく本心から舌を巻いた。
自分より一回りも年若い少女の常軌を逸した覚悟と冷静さは、戦場ではこの上なく心強い。
ジェミニとヤスモトが退避していた物陰に、服を新調したマリーも合流する。

>「……さすが崩壊前の兵器だ。隙がない。対戦車兵器に対する迎撃システムも完備されているようだよ。
 砲塔上部にあるハッチに穴が開いたけれど、持ち上げてる間に機銃かあの焼き払いを受けるだろうね」

「戦車のくせに随伴歩兵も付けてないゴーマンっぷりの裏付けはこれかぁ。
 となると古式ゆかしき戦車攻略法その3はムリっぽいね。頑として正攻法を強いてくるのはさすが陸戦の覇者って感じ」
0242ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/25(金) 03:02:50.67ID:rICcmgmx
ちなみに攻略法その3はハッチをこじ開けて内部の乗員を直接ぶち殺すアレだ。
無論、それはあの戦車の中に人間が入っているという既に否定された前提のもとの攻略法であるが。
ヤスモトは通信傍受と並行してロケットランチャーを組み立てている。機銃のおやつ以外の末路は想像できない。

>「あの穴、試しにナノマシンを送り込んでみたんですけど、もう破壊されちゃってます。
 内部を正常に保つ為の機能も万全って事ですね。……ハイランダー達がやられて、その後の通信はどんな感じです?

抜け目なく攻略法その3を試していたマリーの問いに、ヤスモトは戦車から目を離さず答えた。

>「巣は既に動いているようだよ。対装甲武器を持った無人兵器を20体ほどここに送り込むつもりのようだ。
 たぶん『アリ』か『バッタ』だろう」

「あちらさんの調停は決裂して内ゲバ勃発ってわけね。無人兵器同士ってもっと仲良いのかと思ってたよ」

あの戦車と『巣』との間でいかなる交渉が行われたのか、ヤスモトならば分かるのだろうか。
無人兵器に感情は存在しないというのがセンターが公式に発している見解である。
ならば、今目の前で繰り広げられている無人兵器同士の争いは、一体どんなボタンの掛け違えで引き起こされたと言うのか。

>「いったん彼らと戦車をぶつけて、消耗させよう。僕らの火力は正面から戦車を潰せるほどではない」

「だね。誠に遺憾ではあるけど、ここは漁夫の利狙ったほうがよさそう」

>「……何か便利な兵装を積んできてくれればいいんですけど」

三者が同一の見解を表明して、彼女たちは一部始終を見守るフェイズへと移行する。
ヤスモトの見立ての通り、おそらく『巣』は増援に小型を寄越してくる。
中型が来たところであの主砲の餌食になるだけならば、戦列を広くとった散兵で対応するほかあるまい。

>「これは……手触りからして、アリですね」

ナノマシンによる索敵を終えたマリーが結果を報告した。

>「兵装は……ううん、手触りだけじゃ特定出来ないですね……。
 だけど、そこそこ物々しい感じです。アーマーピアシングか、HEATか……期待出来ますよ」

「当たればね、当たれば……」

益体もない事実の確認を呟いて、ジェミニは肩を竦めた。
選り取り見取り、対装甲兵器の酒池肉林。センターが泣いて喜びそうなラインナップだ。
『アリ』には確か、換装兵器とは別にコンクリや鉄板を容易く引き裂き食い千切る大型ニッパーが標準搭載されていた。
黎明期のシェルター外壁を穴だらけにした強靭な"顎"も、戦車の迎撃システムを掻い潜れなければ意味を為さない。
0243ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/25(金) 03:03:13.58ID:rICcmgmx
>「せっかく持ってきた兵装、使う前に全滅されちゃ勿体無いですからね。ちょこっと手助けしてあげますか……」

「……コーヒーでも淹れてあげるの?」

戦車の眼前に出現したコーヒーメーカーもといハイランダーの幻影を見て、ジェミニは性懲りもなく適当抜かした。
敵性存在を感知した戦車の攻撃が幻を素通りして霧散していく。マリーの描いた筋書き通りに踊らされる。
戦車を手玉にとって蠱惑しようなど、嫌な小悪魔がいたものである。

「敵の敵は味方とか言うけどさぁ、無人兵器と共闘することになるなんて考慮してないよマジで」

ジェミニは苦笑いでお茶を濁しつつも、腰に付けたポーチから2つの装備を取り出した。
一つは折りたたみ式のストック。愛銃のグリップにそれを取り付け、反動を肩で吸収できるようにする。
もう一つは、彼女が常用する徹甲弾とは別の、黒い艶消しを施された弾丸だった。

「これ高いんだよね……経費ちゃんと降りるかな」

徹甲弾との相違点は、まず弾頭が平べったく潰れた形状をしていること。
さらに、重心が極端に先端に寄ったフロントヘビーであること。
そして何より、弾丸自体が異常なまでの密度と重量を持っていることだ。

超重質量強装弾『ノックバッカー』。
極めて比重の重い電縮イリジウムによって弾体の大部分を構成されたこの弾丸は、対象の破壊を目的としていない。
弾頭は潰れやすく、薄い雑誌本すら撃ち抜くことが出来ず表面で止まってしまう。
弾体の持つ推進力と慣性のエネルギーは、全て対象を『吹っ飛ばす』ことに用いられる。

大口径とは言え拳銃弾の一発が、中型無人兵器さえも上下をひっくり返される解体鉄球の如き槌撃だ。
空気抵抗に大きく影響を受ける為に弾道が安定せず、限定された用途も相まって実用性は0に等しい浪漫武器の類である。

「シスターちゃん、音消しお願い。あと耳塞いで口開けて。鼓膜破れちゃうよ」

大型リボルバー『ワイルドベア』を半ばから折って排莢。
代わりに五発の徹甲弾と一発のノックバッカーを淀みない手付きで装填する。

ジェミニ・カラミティという探索者が旧式のリボルバーを好んで使う理由の一つは、過酷な環境下での信頼性を求めてのことだ。
故障し辛く、給弾不良を起こさず、簡単な機材で十分な整備が可能という特性はパイオニアというスタイルに合致している。
そしてもう一つの理由。
それは、手動で装填するが故に、異なる種類の弾丸を任意に撃ち分けられることである。

「でっかい奴を相手にするときの古式ゆかしい攻略法は――出っ張り部分を撃つべし!」

大男との立ち合いで顎の先端を打ち抜き脳震盪を狙うように。
戦車の巨体を揺るがすことは出来なくとも、機銃や主砲などの先端部分に強い衝撃を与えれば照準維持は不可能なはずだ。

ジェミニは機銃と主砲の射撃間隔を測りつつ、発射されるタイミングを狙ってそれぞれの砲身へ銃撃を加えていく。
機銃には通常弾、主砲にはノックバッカー。二種の弾を一つの弾倉で撃ち分けながら、細長い目標へ正確に弾丸を叩き込んだ。


【戦車が撃つタイミングで横から弾で殴りつけ、照準をずらさせることで『アリ』を支援】
0244ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/08/26(土) 21:16:21.56ID:fbSsLz/4
>「兵装は……ううん、手触りだけじゃ特定出来ないですね……。
 だけど、そこそこ物々しい感じです。アーマーピアシングか、HEATか……期待出来ますよ」

「種類が特定できた。無反動砲の弾頭はHEATのみ、装甲を破壊した後無力化して資源回収するつもりらしいね」

無人兵器の群れは常にお互いの兵装・状態を共有している。
それはつまり、彼らの通信を傍受できれば何を装備しているか、何を輸送しているかが丸わかりということだ。
ただ、シェルターにおいて彼らの通信を傍受できるのはセンターの一角にある通信室と、
ヤスモトが最初の機械化からずっと装備している頭部のハッキングアンテナだけだ。

>「せっかく持ってきた兵装、使う前に全滅されちゃ勿体無いですからね。ちょこっと手助けしてあげますか……」

ナノマシンが形成するハイランダーによく似た煙は、戦車から見れば先程飛びついてきた敵兵器が
目の前にもう一体現れた、ということしか判断できない。

前文明の兵器である戦車は、本来であれば他兵器とのデータリンク機能と搭乗者の判断によってこのようなデコイを見抜けるが、
単独で行動する今となっては敵性の高いと判断したものを無差別に排除する無人兵器でしかないのだ。

だから、戦車は迷うことなく機銃をその敵に向け、先程と同じように鉄屑になるのを確認した。

>「これ高いんだよね……経費ちゃんと降りるかな」

戦車が無人兵器の新手を検知し、迎撃するべく移動を開始した。
それに合わせてヤスモトたちも動き、三人はビルからビルへ、物陰を縫うように移動する。

「ノックバッカーは…どうだろう、シェルターの生産リストに入っていればいいんだけど」

ジェミニのリボルバーへのなめらかな装填に合わせて、
ヤスモトも組み立てたロケットランチャーにサブアームを使って弾頭を装填する。
ただし、無人兵器たちのようなHEATではなく爆発と同時に強烈な電磁波を辺りに放つ対電子戦用弾頭だ。
0246ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/08/26(土) 21:17:53.52ID:fbSsLz/4
>「シスターちゃん、音消しお願い。あと耳塞いで口開けて。鼓膜破れちゃうよ」

「耳当てをバザーで買ってくるべきだったね。探索者なら誰しも一つは持っているものだから」

そして無人兵器の群れが戦車との交戦距離に入り、アリたちが背中に搭載した無反動砲から大量のHEAT弾が戦車めがけて放たれると同時に
戦車もまた、道路を左右に揺れつつ走りながら、砲塔に搭載された機銃掃射と両脇にある迎撃システムによる飛翔体の大量投射、
そして主砲による榴弾の連射によって応戦する。

そんな砲撃のぶつかり合いの中、戦車がアリたちに主砲を向け、確実に仕留めるべく移動を止めた瞬間だった。

>「でっかい奴を相手にするときの古式ゆかしい攻略法は――出っ張り部分を撃つべし!」

「そして目と耳を潰せ。戦闘の基本だね」

リボルバーによる六連射の狙撃という超人の芸当。
これを軽々と行えるのが、ジェミニがパイオニストたる所以だ。

だから、ただの探索者であるヤスモトは超人的な芸当はしない。
六連狙撃の直前に対電子戦用弾頭がさく裂するようタイミングを合わせただけ。

それだけで戦車を統括する補助AIは数秒動きを止め、直後にやってきた衝撃の嵐に早急な対処を迫られることとなった。
強烈な電磁波によるセンサーの麻痺。銃撃で使用不能となった機銃。発射こそできるものの、砲身全体が大きく歪んでしまった主砲。
これら全ての情報を操縦席にいる搭乗者に伝達したが、反応は帰ってこない。
補助AIは過度の負傷による意識不明と判断し、補助AIは何度も繰り返した救難信号を辺りにまき散らしながら撤退することを決めた。

「……あの戦車は助けを呼び始めたね。
 搭乗者負傷、撤退ポイントの指示を求む、戦闘続行不可能……アリたちも動いたようだ」

アリたちは撃ち切った無反動砲を背中から分離し、道路をひた走る戦車に向けて移動を開始した。
彼らは既に戦車のことを敵兵器としてではなく、資源として見ているのだ。
その証拠と言わんばかりに、頭部の大型ニッパーが大きく左右に分かれ、いつでも食らいつけるよう準備している。

「無力化はしたけど、アリたちを残すわけにもいかない。
 そして可能なら鹵獲。もうひと踏ん張り、行こうか」

ヤスモトがバックパックに手を伸ばし、背中のサブアームが重機関銃を淀みなくバックパックから取り出す。
そして戦車を追うアリたちをさらに追いかける形で、ヤスモトは走り出した。


【アリはお二人で殲滅してもらっても大丈夫です!】
0247マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/09/01(金) 23:29:54.61ID:FL5ikVIR
>「……コーヒーでも淹れてあげるの?」

「ふふっ……ちょっと違いますけど、ブレークタイムには間違いないですね。
 一手、無駄にしてもらいましょう……」

マリーの言葉の最後を塗り潰すように、戦車の機銃掃射が轟く。

>「敵の敵は味方とか言うけどさぁ、無人兵器と共闘することになるなんて考慮してないよマジで」

「……そうですよね。無人兵器同士が争っている事自体、私は初めて見ました」

彼らのAIが一体いかなる思考プロセスを経て今の行動に至っているのか。
マリーには理解出来ない。だが……理解しようとも、実のところ思っていない。
この状況において、彼女にとって大切なのはより安全に、より確実に任務を達成する事。

>「これ高いんだよね……経費ちゃんと降りるかな」

「……もし落ちるなら予備は私に預けて、沢山使った事にしませんか?」

……それと、沢山の報酬を得て教会の活動を拡大する事のみ。

>「シスターちゃん、音消しお願い。あと耳塞いで口開けて。鼓膜破れちゃうよ」
>「でっかい奴を相手にするときの古式ゆかしい攻略法は――出っ張り部分を撃つべし!」

言われるがままに消音の羽を展開すると、ジェミニは戦車へと銃口を向け、引き金を引く。
彼女が狙いを定めたのは戦車の主砲と機銃、その先端。
発砲音は鳴らず、着弾音のみが立て続けに響く。
砲身も銃身も、自らが仕掛けた銃撃によって不規則に揺らいでいるはずなのに。
そして六度目の着弾音の直後……幾重にも重なった爆音が轟く。
アリ達のHEAT弾が発射され、戦車に着弾した音だ。

「……おみごと。アリ達も上手くHEAT弾を命中させてくれたみたいですね。
 履帯にもダメージが通ってるし、主砲の砲身も曲がっちゃってますよ!」

>「……あの戦車は助けを呼び始めたね。
  搭乗者負傷、撤退ポイントの指示を求む、戦闘続行不可能……アリたちも動いたようだ」

「……搭乗者?えっ?あの戦車、そう言ってるんですか?
 それにそもそも助けを求めるって一体何に対して……?」

>「無力化はしたけど、アリたちを残すわけにもいかない。
  そして可能なら鹵獲。もうひと踏ん張り、行こうか」

「あっ、そ、そうでした!私達の報酬を一山幾らの鉄くずにされる訳にはいきませんからねっ!」

ヤスモトに続いて身を隠していたビルから飛び出すと、マリーはそのまま天使像に飛び乗る。
そしてビルの壁面を経由するように跳躍……アリの群れ、そのやや前方へと飛び込んだ。
着地の瞬間、硬質化した天使の翼が二体のアリの頭部を貫き、その機能を停止させる。

更にマリー自身も……身に纏う修道服を再構築。
右手の先に頭部大の球体を形成し、ハイランダーから接収した金属でそれをコーティング。
再びナノマシンを操作……修道服ごと右腕を高速で振り回し……アリの頭部を叩き潰す。
戦車相手には披露する機会は得られなかったが、彼女は自在に操れる戦闘人形を持ちながらも、自分自身も超短距離での戦闘を好む。
それは彼女が教会の運営と同じくらい、他者を守り、傷つけさせない事を重視しているからだ。
その理由は、彼女が善人であるから……ではない。
ではないが……今語るような事でもない。


【ひーん遅くなってごめんなさいー……】
0249ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/09/05(火) 17:49:29.72ID:PKjIhE1j
ノックバッカーと徹甲弾による六連の狙撃に、ヤスモトがロケットランチャーの炸裂をピタリと同期させる。

>「そして目と耳を潰せ。戦闘の基本だね」

電子撹乱弾頭が戦車の感覚器を塗り潰し、主砲と機銃が鉄塊に殴られて大きく撓む。
迎撃兵装を沈黙させられた無防備な戦車に、アリ達の対装甲兵器が雨あられとばかりに降り注いだ。
爆炎と轟音が戦車を包み、それは極小の恒星にさえ思えた。

「大当たりーーっ!」

外れてしまった肩を無事な方の腕で戻しながら、ジェミニは快哉を叫んだ。
ノックバッカーの強烈な反動はストックを用いても殺しきれないため、人工関節を自己脱臼することで吸収しているのだ。
サイボーグであるジェミニだからこそできる判断。かつて生身だったころに一回これをやって肩がもげたことも良い思い出だ。

>「……おみごと。アリ達も上手くHEAT弾を命中させてくれたみたいですね。
 履帯にもダメージが通ってるし、主砲の砲身も曲がっちゃってますよ!」

「これだけ直撃通ってんのに大破もしてない頑丈さにはゾっとするけどねぇ……」

とは言え、マリーの見立ての通り戦車のダメージは甚大だった。
巨大な主砲こそ曲がりはしたものの生きてはいるが、対空機銃はあらかたひしゃげて残骸と化している。
これならばミーティアを打ち上げても問題はないだろう。

>「……あの戦車は助けを呼び始めたね。
 搭乗者負傷、撤退ポイントの指示を求む、戦闘続行不可能……アリたちも動いたようだ」

>「……搭乗者?えっ?あの戦車、そう言ってるんですか?それにそもそも助けを求めるって一体何に対して……?」

戦車の通信を傍受していたヤスモトが端的に訳した内容に、マリーは眉を顰める。
おそらく"登場者"に関する情報は、あの戦車がまだ『現役』だった頃の判断プログラムの名残なのだろう。
問題はマリーが指摘したように、あの戦車が助けを求める先がどこなのかだ。

「ヤスモっさん、あの戦車が救援信号出してる相手って無人兵器の『巣』なのかな。
 この区域に2つも巣があるなんて考えたくもないけどさ」

無人兵器の拠点である巣には種類がある。
人類生存領域の外にある、未だ人間が到達したことのない本拠点としての巣、マザーと仮称される場所。
そして、汚染区域に点在する無人兵器たちの前哨基地。センターの言うところの巣は後者だ。
戦車は撤退を始めている。その足の向かう先は一体どこなのだろうか。

>「無力化はしたけど、アリたちを残すわけにもいかない。そして可能なら鹵獲。もうひと踏ん張り、行こうか」

>「あっ、そ、そうでした!私達の報酬を一山幾らの鉄くずにされる訳にはいきませんからねっ!」

マリーは無人兵器の深奥の解明よりも報酬の確保に対する興味のほうが勝ったようだ。
前々から思ってたことではあるけどこのシスターマジで金に汚いんだけどそれでいいのか聖職者。

「……まぁ、追いかけてみれば分かることだよね」

即物主義に共感したわけではないが、戦車が逃げていく先に何かがあるのは間違いない。
そのためにも、追いすがるアリ共が目下の敵だ。敵の敵の敵はやっぱり敵である。
重機関銃を手に駆け出したヤスモトを追って、ジェミニも弾を込め直しながら疾走を開始した。
0250ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/09/05(火) 17:50:19.71ID:PKjIhE1j
マリーは天使像を駆り、アリの群れの中に飛び込んで既に大立ち回りを始めている。
硬質化した羽がアリ達をモズの早贄の如く串刺しにしていく。

「うわぁあのシスター肉弾戦してるよ……」

修道服を変形させた球体でアリを薙ぎ払っていくマリーの姿にジェミニは変な笑いが出た。
あれは即席のモーニングスター、なるほど聖職者の武器というわけである。

「もうちょいスマートに戦えないもんかなぁ。まぁ良いけどさ、ミーティア!」

『デバンヨー』

バックパックに格納されていた小型ドローンが5機、アリ達の上空を飛び交い俯瞰情報を取得していく。
ジェミニは火線を避けながら、ミーティアへ向けて拳銃を連射。
ドローン下部の曲面装甲によって跳弾した徹甲弾が、アリ達の背面にある駆動中枢を正確に射抜いた。
無数の無人兵器が見た目には破損さえなく、しかし行動を停止して倒れていく。

「アリの活け〆、一丁上がりっと。先達から一つだけアドバイスしとくとね、シスターちゃん。
 ……無傷で仕留めるとアリでも高く売れるよ」

金欠とは無縁の高位探索者であるジェミニだが、駆け出し時代に金に困った時はよくこうして小型を仕留めて売ったものだ。
状態の良い無人兵器の機体はセンターでも敵性研究の素体として高額で取引されている。
残骸をスクラップマーケットで売りさばくよりも遥かに効率よく一財産築けるというわけだ。

「……釈迦に説法だったかな。宗教違うけど」

マリーが派手に立ち回っているのは、おそらくあえての選択だろう。
さっきからジェミニの方にアリ達の火器が飛んでこない。マリーが暴れているために、そちらへ敵視が集中しているのだ。
年端もいかない彼女に庇われている情けなさは今更言及するまでもないが、それならそれで出来ることがある。
遠方からマリーへ向けて機関銃を撃ち続けている一体のアリへ、ジェミニは近づきながら話しかけた。

「だめだめ、そんなんじゃシスターちゃんには当たんないよ」

至近距離まで歩み寄って、ようやくアリは攻撃の優先順位をマリーからジェミニへと切り替えた。
しかし、アリがどれだけ間断なく銃撃を放ってもジェミニの影すら穿つことはない。
ドローンによる三点観測は彼女に標的へ当てる力をもたらすが、同時に当たらないことも可能としている。
銃口の角度と弾道、弾速さえ把握出来ていれば、ジェミニは鼻先数センチから放たれた銃弾も回避できる。

「ちょっと貸してみ?こうやって狙うんだよ」

アリの反撃を巧みに躱しながら、アリの機関銃の銃身を抑えつけ、強引に照準を変える。
マリーを狙った軌道から、その周囲のアリ達を撃ち抜く軌道へと。

ジェミニは卓越した銃手にしてスナイパー。
例えそれが今まさに他人が撃っている最中の銃でも、狙った場所へと"当てさせる"ことさえ可能とする技巧の持ち主だ。
ときにはミーティアの跳弾で強引に曲げながら、ジェミニはアリ自身の銃撃でアリを殲滅していった。


【戦車を追いかけることを決め、無双パート】
0251ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/09/09(土) 10:42:04.46ID:ANKlGBKP
>「あっ、そ、そうでした!私達の報酬を一山幾らの鉄くずにされる訳にはいきませんからねっ!」

>「……まぁ、追いかけてみれば分かることだよね」

二人にアリの掃討を任せ、ヤスモトはひた走る。
あれほどの攻撃を受けてもなお、戦車の足は速く止まることはない。

途中、道路がカーブに差し掛かり戦車もさすがに速度を落とした。
そこを狙ってか、運よく逃げ切った二匹のアリが戦車へと飛び掛かる。

「――無傷は無理だね」

ヤスモトは走る速度を落とすことなく、重機関銃を腰だめに構えて数発ごとに分けて何回か撃った。
機械化された体によって反動を抑えつけ、機械化された頭脳によって弾道がどうなるのかを正確に把握する。
彼の得意技である、正確な移動射撃だ。
それだけで二匹のうち一匹は胴体と頭部を吹き飛ばされ、廃墟の壁に衝突する形で短い生涯を終えた。
もう一匹は二本ほど足を破壊されたが、戦車を追跡することは諦めていない。

「我ながら、ベテランとは思えないな」

仕留め損ねたことにやや不満げ、とでも言いたげに頭部がオレンジに短く発光する。
ヤスモトは重機関銃を背中のバックパックにしまい、さらに走る速度を上げる。
それだけでアリたちの平均速度を超える速度となり、あっさりと破損したアリに近づいた。

アリは当然機関銃をヤスモトに向けたが、防弾シールドが銃弾を防ぎ切り、さらに距離が近づく。
お互いに触れそうな距離にまでヤスモトが近づいた瞬間、彼の腕が瞬時に動いてアリの頭部を掴み、道路に叩きつけた。
前文明によって作られた道路は極めて頑丈であり、そのままの速度で走るヤスモトによって
ヤスリにかけられたようにアリの頭部は火花を散らして削れていく。
そして頭部を破壊されたアリは次に胴体を削られ、あえなく機能を停止した。

「……さて、戦車は……この先の広場か」

戦車はなおも救援信号を出し続けているが、広場で行動を停止している。
ヤスモトの記憶によれば、この辺りは無人兵器たちがあまり近寄らない場所だったはずだ。
0253ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/09/09(土) 10:43:32.47ID:ANKlGBKP
『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
 先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

そう通信で伝えると、広場を見下ろせる近くのビルへと向かう。
入り口は瓦礫で塞がれてしまっているが、外壁は年月を経てもなお揺らぐことはない頑丈さだ。

ヤスモトの右腕からワイヤー付きのフックが射出され、ビル屋上の縁に引っかかる。
そのワイヤーに沿って、ヤスモトは外壁を駆け上がり広場を見た。

『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』

その広場にあったのは、おそらくは防衛線を引いて戦っていたのであろう前文明、人類側の兵器たち。
大型のヘリポートを中心に、ぐるりと兵器の残骸が取り囲むように捨て置かれている。
その中には先程まで追いかけていた戦車も、道路側に砲塔を向けて機能を停止していた。

「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」

広場の向かい側、同じく開けた場所には大型の輸送ヘリと思われる残骸がある。
輸送ヘリの側面には大きな穴が開けられ、中から飛び出ているのはおそらく兵器に乗っていたパイロットたちだ。

「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

そして戦車に近づき、砲塔へと登ってハッチに手をかける。
もう何の抵抗もなく、あっさりとハッチをこじ開け中へと入った。

そこにいたのは、最後まで操縦桿から手を放さず、前のめりに倒れていたパイロットだった。
戦闘スーツに身を包んでいるため後ろからでは分からないが、生きてはいないだろう。

ヤスモトは手を合わせて短く冥福を祈り、再び二人に通信を繋ぐ。

『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
 無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』


【これからはエピローグとなります!一巡したら終わりです】
0254マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/09/14(木) 15:46:56.84ID:M9JOFEZv
>「アリの活け〆、一丁上がりっと。先達から一つだけアドバイスしとくとね、シスターちゃん。
  ……無傷で仕留めるとアリでも高く売れるよ」

「えぇ!後で何体か譲って下さいねっ!」

ジェミニのアドバイスに臆面もなくそう返すと同時、マリーは右腕を横薙ぎに振り回す。
その先端には球状のハンマーではなく、今度は鎌のような刃が形成されていた。
武器を変えた事には理由がある。アリの売却額を上げる為ではない。
それはジェミニがやってくれるだろうし、後で分け前は頂戴するから問題ない。
……と、マリーがちらりと彼女の方を見やる。
ジェミニは、群れからやや外れた地点にいる一体のアリに向かって、悠然と歩み寄っていた。

「え、あの、ジェミニさん……一体何を?」

当然、アリは彼女を標的と定め……その武装、機関銃の銃口をそちらへと向ける。
マリーは慌てて天使像を操作。彼女の盾にしようとして……しかし気付いた。
ジェミニの体幹が僅かに傾き、つまり彼女が重心を移動させて、既に「回避」の為のステップを踏もうとしている事に。
そして、銃声。弾丸は……ジェミニを捉えられなかった。

「あ、あれ……?」

立て続けに響く銃声、放たれる弾幕。
だがジェミニはその尽くを回避している。
彼女には見えているのだ。弾丸が実際に放たれるよりも前に、その弾丸が描く軌跡が。

「……うわー。別に暴れ回らなくっても、全部キレイに仕留めちゃってもよかったかも」

アリに接近を果たしたジェミニがその機関銃を鷲掴みにして振り回す様を見て、マリーが呟く。
その間ずっと、彼女はアリの群れのど真ん中でじっとして、動かないでいた。
つまり周囲にいるアリに対してずっと隙だらけの状態でいた。
……微動だにしない彼女の修道服に、アリのニッパーが食らいつく。
ばりん、と音がして、ケイ素によって構築された、アーマーと称しても差し支えのない修道服が容易く噛み砕かれる。
アリ達はそのまま修道服の胴体、脚に食らいつく。

だが……アリ達には理解出来ないだろう。彼らに「歯ごたえ」の概念はない。
自分達が柔らかく弾力のある肉を噛み千切っていない事に気づけない。

マリーはずっと、じっとしていた。
戦闘中のある時を境に、天使像を中抜し、それを素材に作った空っぽの修道服……自分を模した戦闘人形と入れ替わって。
自分自身は地形に身を隠し、動かないでいた。集中する為だ。
ナノマシンを増産し、仕掛けを行う為に。

天使像がその手元に巨大な弓矢を形成し……頭上、ビルの壁面へと矢を放つ。
瞬間、アリ達の体が浮き上がる。
網だ。ナノマシンによる物体形成は、戦場の中心に突如として罠を作り出す事を可能とする。
アリ達の足元に作り出された極細の網が、天使像の放った矢によって引っ張り上げられたのだ。

「案ずる事はありません。あなた達は、召し上げられたのです。
 残念ながら行く先は神の身許ではなく、シェルターの奥底になりますけど。
 ……突き落とすなら、まずは持ち上げろって事ですねっ」

ひとまとめにされたアリ達の体に、ナノマシンが付着していく。
それらは機械の関節部に潜り込み……やがてはその身動きを、完全に封じてしまうだろう。
0255マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/09/14(木) 15:48:02.45ID:M9JOFEZv
>『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
  先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

「……さて、それじゃ行きましょうか」

そうしてヤスモトが指定した地点へ向かうと……戦車は既に動作を停止していた。

>『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』
>「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」

「……こんな場所が、あったんですか。一体いつから」

マリーは思い浮かんだ疑問を口にしようとして、しかしやめた。
無意味だからだ。彼らは機械で、兵器だ。ただ設計されたプログラム通りに継戦行動を取ろうとしただけ。

>「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

「……大収穫ですね。戦車だけじゃなくて、他の残骸からも旧時代の技術が回収出来るかも」

ヤスモトの呟きを自分の中から塗り潰すように、マリーは呟く。

>『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
  無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』

「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

全てが終わった訳ではない。災いの種はまだこの廃墟に隠れているかもしれない。
だとしても……それに対してマリーはまだ何も出来ない。
誰一人欠ける事なく任務を達成したにも関わらず、彼女の表情は浮かないものだった。
0256ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/09/18(月) 18:20:03.78ID:oZ70ZYA7
導かれるままに弾倉の中身を全て同士討ちの為に吐き出したアリが、最後の抵抗とばかりにニッパーを広げる。
ジェミニはそれを容易くスウェーで交わし、カウンターに拳銃をぶっ放した。

「はいご苦労さん」

バイタルパートを正確に撃ち抜かれたアリは崩れ落ちるように沈黙。
飛び散る伝導輸液を手で払い落としながら、ジェミニはマリーの方を仰ぎ見た。
マリーはアリに喰われていた。

「……えっ!?ちょ、シスターちゃん!?」

思わず二度見しても、アリの群がる中心で動かないマリーの姿に変わりはない。
すわ油断が致命傷となったか――急ぎ救助に向かわんとする足を、しかしジェミニは止めた。
先んじて観測に回っていたドローンから、喰われつつあるマリーに『中身』がないことを認識したのだ。

(ハリボテ……いつの間に……)

端末に目を落とせばマリーの生体反応は離れた場所で今も元気に輝いている。
物陰に隠れていた彼女とそのしもべは、どこから出したのか巨大な長弓を空に向けて構えていた。

>「案ずる事はありません。あなた達は、召し上げられたのです。
 残念ながら行く先は神の身許ではなく、シェルターの奥底になりますけど。
 ……突き落とすなら、まずは持ち上げろって事ですねっ」

「それなんか別の逸話混じってない?」

ジェミニの脳裏にシェルターで学んだ旧時代の古典文学の一説が横切った。
地獄に落とされた亡者たちに糸を垂らして一本釣りを愉しむ神々の悪戯(歪曲)。
放たれた矢は無数の糸を引っ張り上げ、それらは全てアリたちにつながっていた。
因果が帰結し生まれる光景は、果実の如く吊り下げられるアリたちの亡骸。

「うわーこういう宗教画見たことあるよ……」

無数の刑死者が吊られた酸鼻極まる刑場に、一人佇む修道女の姿。
もしかしてあの子はシスターじゃなくて異端審問官かなんかじゃないんだろうか。
ジェミニは正直ドン引きしながらそれを眺めていた。

>『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
 先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

造作なくアリ残党の殲滅を終えた二人の探索者に、リーダーから無線が入った。
ヤスモトの姿が見えないと思ったらとうの昔に戦車の追跡に回っていたらしい。
抜け目のないベテランの動きに頼もしさと、残党処理を体よく回された僅かばかりの悔しさでジェミニは唇を尖らせた。

>「……さて、それじゃ行きましょうか」

「りょーかい。ジャミングポッドこっちで置いとくから、先行っててー」

無力化したアリの大半は、行動不能ながらまだ『生きて』いる。
こうした無人兵器をそのまま放置しておくと、"巣"に援護要請を発信されるおそれがあるため、
小型のジャミングポッドで一帯の無線を封鎖するのが通例であった。
感情のないはずのアリの瞳が恨めしそうにこちらを見上げるのを、ジェミニはまっすぐ見返す。

「……貧乏くじ引いちゃったね、お互いさ」

返答などあるはずもない言葉を一方的に投げ捨てて、ジェミニは二人の後を追った。

>『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』
0257ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/09/18(月) 18:20:40.83ID:oZ70ZYA7
端末に指定されたポイントで、既にヤスモトは待機していた。
そこは小規模な広場だった。広場、というには随分と小さく感じるのは、開けた場所を取り囲むように兵器が並べられているからだ。
旧時代の軍事拠点の中には、こうした露天駐機による簡易な兵塞を築くことは珍しくなかったという。

交戦の形跡はない――少なくとも、新しいものは。
広場に集められた兵器たちは、みな例外なく大破し、あるいは機能を停止していた。

「"巣"じゃなかったね……ここにあるのは、全部有人兵器だもん」

先刻まで戦っていた戦車だけでなく、この広場で錆に塗れている鉄塊のどれもが、旧時代の遺物だった。
無人兵器たちのような、無機質でありながら生物的という矛盾が生み出す不気味さを、彼らからは感じない。

>「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」
>「……こんな場所が、あったんですか。一体いつから」

「……あたしが気になるのは、"いつまで"の方かな」

きっとその疑問に答えるならば、『今日、この瞬間まで』なのだろう。
最後に生き残ったあの戦車は、たった一両になっても、周りの全てが敵になっても、戦い続けてきた。

>「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

ヤスモトが表情を持たない機械の頭部でそう呟いた。
その言葉が彼の持つ記憶のどの惜念を指しているのかは分からないが、ジェミニには言えることがある。

「今は、間に合ってるよ」

シェルター存亡の危機に直面して、こうして三人、誰一人欠けることなく今日を生き延びた。
結果がそれを証明していて、探索者にはそれで十分だった。
戦車のハッチを開けて中身を検分していたヤスモトが手を合わせるのを見て、ジェミニも静かに黙祷した。

>「……大収穫ですね。戦車だけじゃなくて、他の残骸からも旧時代の技術が回収出来るかも」

こんな時でも変わらないマリーの即物主義には肩を竦めるばかりだが、あるいは彼女なりの気遣いなのかもしれない。
鋼鉄の棺桶の中に隠されていた過去を指先でいくらなぞったところで、今日を生きる者たちの腹は膨れない。
結局のところ、前を向いて進んでいくほかないのだ。

>『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
 無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』

「異論なし。蓋開けてみれば旧時代の人類との時を超えた内ゲバだったってのは、なんかゾっとしない結末だけどさ」

>「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

「そういえば、全滅した探索者たちの遺した音声データ。あれに記録された音とは全然違ったね。
 このあたりをあたしたちが徹底的に偵察して、ハチもクマも出てこなかったことを考慮したうえで、
 希望的観測で済ませるなら……この戦車が先に連中を片付けてくれてた、のかな」

それは非常に事態を楽観視した、本当に希望的な観測に過ぎない予測ではあるが。
真の意味での『希望』でもある。

「人類は――旧時代の人類は。まだ、負けてないのかもね」


【エピローグ】
0258ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/09/21(木) 16:29:00.40ID:MkXqM1+Y
>「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

>「そういえば、全滅した探索者たちの遺した音声データ。あれに記録された音とは全然違ったね。
 このあたりをあたしたちが徹底的に偵察して、ハチもクマも出てこなかったことを考慮したうえで、
 希望的観測で済ませるなら……この戦車が先に連中を片付けてくれてた、のかな」

「ヒグマもスズメバチも索敵には優れているし、攻撃性は強い。
 戦車と遭遇して迎撃された可能性はあるだろうね」

端末からセンターへの回線を開き、オペレーターへと作戦の終了を伝える。
同時に回収可能な物資の報告もしておき、センターから回収班が来ることになった。

>「人類は――旧時代の人類は。まだ、負けてないのかもね」

「負けるどころか、終わってすらいないさ。
 僕だってそのひと――おっと、言い過ぎた」

口もないのに顔の下部に手を当て、ひらひらと手を振って誤魔化した。
やがてヤスモトは何事もなかったかのように歩き始める。

「それじゃ、帰ろうか。報酬とご飯が僕らを待っているよ!」


――遺棄された兵器の数々は、シェルターにほとんどが運ばれ、
動力だった小型核融合炉や超効率バッテリーなどは街の施設などに再利用、
装甲や武装はシェルターの研究施設送りとなった。

そして、戦車に搭載されていた補助AIは――

「……シェルターの運営AIに再教育させるなんて、無茶なことしますね」

『年月こそ経っているが、データは生きている。利用しない手はないだろう』

「技術屋さんはやることが分かりやすいですね……それじゃ」

『ああ、君も体に異常があればすぐに来るんだぞ。
 改造でも構わないがね!』

シェルターの技術班長との通信を打ち切り、街の外縁部へと向かう。
今日のヤスモトの予定は、新人探索者と共に回収班の護衛任務だ。

「さて、みんな。生きて帰ろう。怪我はするかもしれないが、
 腕や足なら治せるからね」


【マリーさん、ジェミニさん、参加ありがとうございました!
 これにて一旦終わりとさせていただきます!】
0259創る名無しに見る名無し
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2017/10/12(木) 16:24:49.73ID:5MjrTctH
二つの大陸とその間にある無数の島々、そしてそれらを取り囲む大海によって成り立つ世界。
二つのうちの一つ、豊かな自然と無数の動植物が栄えるアスガルド大陸ではヒュマと呼ばれる種族が
ドワーフ、エルフと言った他の種族と手を取り合い、数多くの国を建国していた。

一方ヨーツンヘイムと呼ばれるもう一つの大陸は生物の中でもひときわ大きい巨人と呼ばれる者たちが
支配権を握り、痩せた大地と厳しい気候の中たった一つの帝国を作り上げることで体制を保っていた。

巨人族は皇帝ユミル九世の名の下アスガルドに領土を求め進撃し、最初は巨人族の強靭さとヒュマ族の数倍とも言える体格で
海岸近くの国をいくつも制圧した。

だがアスガルドの民は抵抗を諦めず、エルフの魔術、ドワーフの鍛冶、ヒュマの知恵、さらには神々の加護を結集させて
巨人族のように大きい鉄の巨人を作り上げた。後にある神話から名前を取ってタイタンと呼ばれることになるそれは
乗り込んだ者の意思によって自由自在に動き、あらゆる武器を扱うことができるアスガルドの守護者となった。

そして最初の巨人族の侵攻から数十年が経ち、量産化されたタイタンたちを主軸にしたアスガルド連合軍と
巨人族とその奴隷から成り立つヨーツンヘイム軍の戦争は未だに終わることなく続いている。


ジャンル:剣と魔法のファンタジー世界
コンセプト:巨人どうしの殴り合い
期間(目安):短め
GM:あり
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
信仰する神:
タイタン解説:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

なんかこうした方がいいとかアドバイスあったら頼む
調整終わったら一つやってみたい
0260創る名無しに見る名無し
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2017/10/12(木) 18:17:25.81ID:Q2vpCzEX
ファンタジーロボットものか
エスカフローネとかガリアンみたいな感じかな
0263 ◆Q/9lN6f8gg
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2017/10/13(金) 02:59:54.17ID:6LdkeVNW
名前:トム・バール
年齢:28
性別:男
身長:177
体重:83
種族:ヒュム
職業:自由騎士
性格:活発的
能力:ジハーディア王国流剣術
所持品:大剣
信仰する神:戦神ジハーディア
タイタン名:ラウンドナイツ
タイタン解説:戦神の加護を受けて作られた量産型タイタン。
       騎士の甲冑をそのまま大きくしたような見た目だが、
       一定の機動力を保っており汎用性が極めて高い。
       戦神の加護によってあらゆる武器を扱うことのできる拡張性の高さから
       一号機が作られてから十年経った今も量産され続けているタイタン・オブ・タイタンである。
       
       トムの機体は背中の武器格納部分に大剣を背負い、腰に盾と短剣を装備した標準的な装備だ。

容姿の特徴・風貌:常に動きやすい軽甲冑を身に纏い、金髪を短く刈り揃えている。
         顔はアスガルドの基準では美男子の部類に入り、強い意志を感じさせる目をしている。
         
簡単なキャラ解説:ジハーディア王国騎士の家に生まれ、タイタン乗り兼騎士として教育を受ける中で
         王国のみならず大陸全土を守りたいと考え、王国騎士の位を返上。
         以降は自由騎士として連合軍に参加し、「巨人狩り」と称されるアントニオ伯爵率いる
         タイタン傭兵部隊に所属して前線の一翼を担っている。
         前向きな思考はいつでも崩れることはないが、同僚からは押しつけがましいと言われることもある。
         

主人公と一緒に戦う戦友でPL募集したい
上官とか部下でも全然OK

何か世界観で質問あったらどうぞ
0265 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/13(金) 16:02:27.06ID:6LdkeVNW
アスガルド大陸側

国によって多少の技術差はあるが
活発な交易や魔術の研究が続いたこともあり

地球で言うところの中世欧州
ー近世欧州初頭ぐらいの科学レベルであ


ただし銃や砲は大陸内の戦争では使
われたが巨人族にはほとんど通じず

武器の神が「素人を戦争に巻き込む
」としてタイタンが扱うための加護
を与えていない。




ヨーツンヘイム側

巨人族が生まれ持った強靭な体によ
って強引に開拓を成し遂げたため

球で言えば古代欧州ー中世欧州初頭ほどの技
術である。
ただしアスガルドに渡ってから
急速
に技術を吸収しており、武器や防具に関わる技術は特に重要視している。


『神々の加護』
武器や防具に自らが信仰する神の
加護を与えてもらうことで様々な能
力を発揮する。

特にタイタンは神の加護を
得てなんとか動かしており、加護なし
ではただの彫刻と成り果てるだろう
このためタイタンの見た目は神々が気に入るような象徴的デザインが多い。

技術力やそれを支える経済は

アスガルド>ヨーツンヘイム

軍人の数なら

ヨーツンヘイム>アスガルド

という大雑把なイメージ
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