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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part38 [無断転載禁止]©2ch.net
0001創る名無しに見る名無し
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2016/10/11(火) 20:30:25.65ID:9XK6guSh
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part37
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1452525053/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
0087天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 09:43:01.93ID:rYaFRYFX
 散弾のように放たれたエネルギー弾が地面で炸裂する。
 連鎖的に吹き荒れた爆風を突き抜ける様に、高速で彼女は飛翔する。

 月影ゆり――キュアムーンライト。
 伝説の戦士プリキュアたる彼女は激闘を繰り広げていた。

「ハァッ!」

 左、右と拳を突出し間髪入れずに側筋に回し蹴りを放つ。
 拳速の余波が巻き上げられた土ぼこりを引き裂いて敵に直撃した。

 しかし、敵は微動だにしない。
 ムーンライトはもう片方の足で敵の胸を蹴り飛ばし、距離をとった。

「なんてやつなの……」

 ムーンライトの顔に、険しい表情が浮かぶ。
 金色の逆立てた髪。隆起した筋肉。ファンタジックな装いのズボン。碧眼の目。
 自身の上背より2回りは大きい背。そして目に見えるほどはっきり具現化した金色のオーラ。

 口角を吊り上げ、余裕の笑みを浮かべる悪魔。
 そいつの名はブロリー。

 ブロリーはムーンライトが森を歩いている所を、いきなり攻撃してきたのだった。
 両の手を軽く広げ、緑色の球状のオーラを纏ってゆりの眼前に現れると、
 雄たけびと共に殴り掛かってきたのだった。
 辛うじてその一撃を躱したゆりは、即座にムーンライトに変身した。
 ゆりは、こいつは話し合える相手ではないと、狂喜に歪んだ眼を見て瞬時に理解していた。 

 ムーンライトは再び距離を詰め、速射砲のように連撃を加えた。
 パンチキックに膝や肘を交えた鋭い攻撃は、しかしブロリーの肉体を傷つけるには至らない。
 ならばとボディに連打を打ち込み、ブロリーの意識が下がった所で顎を撃ち抜く様に拳を振り上げる。
 確かな手ごたえと共にわずかにブロリーが揺らいだ。
 手ごたえはあった。確かな一撃だったが、しかしゆっくり顔を下ろすブロリーの表情は笑っていた。

「!」

 後ろに振り上げたブロリーの掌に、緑色の光球が創られる。
 それが一直線に飛来する前に、ムーンライトは思わず横っ飛びに避けた。
 圧縮されたエネルギーが木々をなぎ倒しながら突き進み、はるか遠くに見えた山の付近で爆発した。
 ドーム状に膨れ上がる破壊エネルギーは、その衝撃だけでムーンライトの立っている地面まで砕き、
 山脈を消し飛ばしてきのこ雲を発生させた。
0088天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 09:43:53.97ID:rYaFRYFX
「くっ……!」

 爆風が体を揺らす。空気が痺れる感触が伝わる。ムーンライトはぞっとした。
 アレが直撃すればただでは済まないのは明白だ。
 しかも、ブロリーの様子を見るに、アレは全く全力ではないのだろう。
 明らかに手加減している。手加減してアレなのだ。

「くははははははははっ!!!」

 ムーンライトの感じた脅威を、嘲るようにブロリーが笑う。
 いったん引くべきだ。アレは一人では倒せない……!

 脳裏に浮かぶ名簿には、つぼみやえりか、いつきと……ダークプリキュアにサラマンダー男爵の名前があった。
 後者二人にも考えることが様々あるが、今はそんな暇は無い。
 コイツを倒すには、つぼみたちと合流してハートキャッチオーケストラで放つしかないだろう。

 ムーンライトは地面を強く蹴り砕き、土ぼこりを舞い上げた。
 そしてわざと土煙の中に身を投じた。
 ブロリーが笑うのをやめる。ムーンライトはブロリーの姿がすっかり見えなくなると、
 全力で離脱しはじめた。
 木々の間をすり抜け、なるべく見つからないように、音を立てずに。
 幸いスピードには自信がある。ここは引く――……。

「えっ……」

 それはまるでスローモーションのように感じた。目の前の煙が不自然に盛り上がり、
 突き破るようにしてブロリーが現れたのだ。
 先回りされた……!? ムーンライトは愕然とする。まさか、こいつはスピードでさえ……。

「何処へいくんだぁ……?」

 ブロリーの声にしまった! と思うのと、ムーンライトの腹部にエネルギー弾が直撃したのは同時だった。
 振りぬかれたブロリーの腕に薙ぎ払われ、光球が腹部を押し飛ばす。
 ついで起こる爆発に大きく後方に吹き飛ばされた。
 力ずくで打ち出したビリヤード玉のように地面にはじけ飛ぶムーンライトに、
 ブロリーは追撃すべく容赦なく飛びかかった。

 しかしムーンライトは冷静に、ブロリーの顔の正面にカウンターの蹴りを打ち込む。
 それはダメージを期待するものではなく、ブロリーの動きを一瞬止めるためと、
 ブロリーからさらに距離をとる為の回避行動だった。
0089天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 09:44:25.07ID:rYaFRYFX
 ブロリーは宙空に立ち止まり、蹴られた額を手でなぞる。
 その隙にムーンライトはよろよろと立ちあがった。
 感じるのは、やはり手を抜かれているということ。

「はぁっ……、はあっ、……きなさい! バケモノめ……!」
「俺がバケモノ……?」

 構えと共に見据える目には、まだ決意がともっている。
 ブロリーはさも楽しそうにくいと首を傾けた。

「違う……、俺は悪魔だ」

 言い終わると同時に、ブロリーのオーラが炎のように激しく盛り上がった。
 ノーモーションで無数のエネルギー弾が放たれる。
 狙いをつけていないらしいそれは周囲の環境を手当たり次第に破壊しつくし、
 そのうちの一発がまだ足のおぼつかないムーンライトに襲いかかる。
 両足はまだダメージが抜けていない。体の芯が震えている。この身体では躱せない。

「はぁあああああっ!!!!」

 一か八か、ムーンライトは両手を思い切り横に薙ぎ払い、なんとかエネルギー弾を弾き飛ばす。
 そして、再び不覚をとった。
 振りぬいた腕を戻すより先に、ブロリーの拳が目の前まで迫っていたのだ。
 出せる力を振り絞り、思わず後ろに跳ぶが、躱せない。
 ブロリーの拳が伸びてくる。これは躱せない。ムーンライトがダメージを覚悟した瞬間。
 ブロリーの横っ面を青いブーツが蹴り飛ばし、ブロリーは横に吹き飛び激しく湖に突っ込んだ。

「……!?」

 跳ね上がる水しぶきと共に、その誰かは舞い降りた。
 ムーンライトがなんとか膝をついて見上げると、そこには男が立っていた。
 山吹色の道着、肘の先まである紺色のインナー。カールした前髪。頬の傷。
 そして、片腕のない青年。

「大丈夫か?」

 沈んだはずのブロリーを一瞥した後、その青年はムーンライトに手を差し伸べた。

「ええ……、助かったわ。ありがとう」

 手を取って立ち上がると、その青年はもう湖の方を睨みつけている。
 厳しい戦士の目だ。鍛えられた戦士だ。所作に一部の隙もない。

「行こう。アイツはオレたちじゃ倒せない」

 青年はムーンライトに肩を貸すと、ムーンライトにも負けないほどの、
 ものすごいスピードで空を翔けた。
0090天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 09:45:09.76ID:rYaFRYFX
 ■


 
 吹き飛ばされた山脈の面影が見えなくなるほど遠く、小さな村に二人は降り立った。
 村の体をなしているが、人の気配は全くない。 
 にもかかわらず、青年は家に入る時、丁寧にノックをして「おじゃまします」と頭を下げた。
 ベッドにムーンライトを下ろして、その対面に立ち、青年は口を開いた。

「危ない所だったね、オレは孫悟飯。キミは……?」
「私は……、キュアムーンライトよ……」

 よろしく、と手を差し伸べて来たので、ムーンライトはしぶしぶ握りかえした。
 どうやら悪い奴ではないらしい。少し気分が落ち着くと、まず浮かんだ疑念を問う。

「あなた、アイツが何者か知ってるの?」

 悟飯と名乗る戦士は、頭を振った。
 
「アイツが誰かは知らない。だけど、アイツが何かはわかる」
「どういうこと?」
「アイツは超サイヤ人だ。しかも、恐ろしいほどに強い」
「超サイヤ人……?」 

 悟飯は話し始めた。サイヤ人、宇宙最強のフリーザ、伝説の戦士と呼ばれる超サイヤ人。
 おとぎ話か神話のごときスケールの冒険譚を、ムーンライトは噛み締める様に聞きいった。

「つまりアイツは、最悪の敵ってことね……」
「そういうことかな。でも、変な話なんだ。 
 そもそもサイヤ人は、オレの時代にはもうオレとトランクスしかいないはずなのに……」

 父と、ベジータ。幼少期の頃に襲ってきたラディッツ、ナッパ、ターレスを加えても、
 悟飯の知る限りサイヤ人はその残り7人のはずだ。
 トランクスはまだ超サイヤ人には覚醒できていない。
 ラディッツとナッパは死んでいるし、目を閉じたときに見えるリストにそもそも名前がない。
 ターレスは父、孫悟空に瓜二つの外見で、あんな長身ではないし超サイヤ人ではなかった。
0091天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 09:46:03.44ID:rYaFRYFX
 そしてなにより、あの謎の超サイヤ人の気は、フリーザはおろか
 記憶している父、孫悟空の気すらはるかに超える大きさだった。
 というより、悟飯はかつてアレ以上に強い存在には出会ったことはない。 

「……アイツは何者なんだ」

 あれほどの気を誇るサイヤ人がいたというのか。
 考えにふける悟飯に、変身を解いたムーンライトが言った。

「ムーンライト? アレ? なんだか雰囲気が……」
「ツッコむところちょっとずれてないかしら……? まぁいいわ。
 今までの話を整理してみた限り、たぶん私と悟飯さんは、
 違う世界の人間……。ってことになるんでしょうね」
「違う世界だって!?」

 ゆりは、今度はこちらの番と話し始めた。
 砂漠の使徒、デューン、プリキュア、ダークプリキュア、つぼみたち頼りになる後輩たち。
 自身の戦いに引けを取らぬ激闘の話を、悟飯は厳しい顔で聞いていた。

「なるほど……、確かにオレの世界では地球に砂漠の使徒なんてやつらは現れなかった。
 地球を滅ぼす様な強い奴に、オレや父さんが気付かないはずもないし……」
「オンスロートは『異なる次元ごとに同時に話している』と言ってたわ。
 違う次元、というのが別の世界のことをそのまま示しているなら」
「それぞれの世界から、強い戦士を集めているってことか!」
「おそらくそうでしょうね。そして脳裏に浮かぶ名簿の並びが、それぞれの世界ごとになってると思うわ」
「……なるほど、ムーンライト。キミはすごいな」
 
 どういたしまして、とゆりは答えた。
 
「つじつまが合うんだ。オレの父さんやベジータさんは、オレの世界では……」

 悟飯がくっと言葉を飲み込んだ。

「既に……殺されているし、フリーザは父さんが倒した。
 なのに名簿に載ってる上に、オレとは違う場所にまとめられてる」 
「時間や世界を自由に行き来できるってことね。
 オンスロートの言う自称全能の神ってのも、あながちウソじゃなさそうだわ」

 言い切って、ゆりは頭を押さえた。ダメージがまだ抜けきっていないのだ。
 今はこれ以上考えることは駄目だ。休ませなければと察した悟飯は言った。

「ムーンライトはここで少し休んでてくれ。外でオレが見張ってるから」
「お言葉に甘えさせてもらうわ……。あと、私の本名はゆり。月影ゆりよ……」
 
 ゆりが部屋に入ってベッドに倒れ込む。
 悟飯はドアの前に座り込んで、空を眺めた。

 リストには父と、ベジータ。ヤムチャにクリリン。ブルマ。そしてトランクスの名が有った。
 さらにはフリーザ、ターレスの名前も……。


(みんな……、無事であってくれよ)


 悟飯の想いは青空に吸い込まれていく。
 フォーエバー・クライシスは、まだ始まったばかりなのだ。
0092天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 09:46:31.80ID:rYaFRYFX
【ナタデ村とその周辺の山林を再現した惑星/一日目朝】


【キュアムーンライト/月影ゆり@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:ココロポット、プリキュアの種
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:つぼみたちを探す
1:体力の回復に努める
2:目覚めたら悟飯と考察を続ける
3:あの謎のサイヤ人には気を付ける
[備考]
※参戦時期は最終回後
※主にDRAGON BALLの世界、参戦キャラについて知りました。

【孫悟飯(未来)@DRAGON BALL Z】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:この戦いを終わらせる
1:月影ゆりが目を覚ますまで見張る。
2:あの謎のサイヤ人や、悟空やトランクスたちと同じカテゴリの知らない人物には気を付ける。
3:悟空、ベジータ、トランクスを探す
[備考]
※原作漫画ではなく、TVSP『絶望への反抗』の世界から、
 人造人間たちに最後の戦いを挑む直前からの参戦。
※ハートキャッチプリキュア!の世界、参戦人物について知りました。

 
0094天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 14:19:35.42ID:rYaFRYFX
 湖の中心に波が立つ。
 緑のオーラを纏わせ、ブロリーはゆっくりと浮かび上がった。
 その顔は先程の狂喜とは打って変わって、どこか憂いを思わせる。
 悲しみの表情を浮かべている。

「カカロットォ……」

 敵の名を呼ぶ。己を鼓舞するように。破壊するべき敵の名だ。
 あふれ出す力は筋肉を押し上げ、ブロリーの気を増大させる。

「カカロットォ!!」

 叫びに呼応してオーラがはじけ飛ぶ。
 ブロリーの全身が発光し始め、納まりきれないエネルギーが四方八方にはじけ飛ぶ。

「カカロットォォオオオオーーーー!!!!!!」

 恐るべき破壊を繰り広げながら、ブロリーは恐るべき速さで空へ飛び去った。
 オンスロートなどどうでもいい。その他の人物などどうでもいい。
 オンスロートの計らいで、ブロリーの脳裏に浮かぶ「孫悟空」の名は、
 カカロットに変換されていた。

 カカロットがここにいる。
 今度こそ殺してやる。この手で……。
0095天使vs悪魔 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 14:21:37.30ID:rYaFRYFX
 悪魔は憎しみをまき散らして空を突き抜け、そして宇宙に出た。
 目的は一つ。やることは単純。星々を手当たり次第に飛び回り、
 カカロットを探しだし、殺す。ベジータもだ。あの二人は殺す。何があっても。
 
 邪悪な決意に目を輝かせ、ブロリーは光速で宙を翔けた。


 ――しかし、悪魔は知らない。


 この宇宙のどこかにいる孫悟空は厳密には自分の知っているカカロットではなく、
 孫悟空の方はブロリーの存在すら全く知らないという事に。



【ブロリー@DRAGON BALL Z】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:カカロットォ!
1:カカロットを殺す
2:ベジータもついでに殺す
3:邪魔する奴は殺す
[備考]
※アニメ版DRAGON BALL Zの世界から参戦。
 映画2作目。『危険な二人、超戦士は眠れない!』の目覚めてすぐの状態。
※当ロワに置いては、原作漫画版とアニメ版のDRAGON BALL Zはあくまでパラレル世界
0097神の手を介さず存在する砂時計 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/26(木) 14:23:18.59ID:rYaFRYFX
 自身の存在意義を求めていた。
 無から有となった自分は何者なのだろう。
 
 サラマンダー男爵はカフェの椅子に腰かけていた。
 自らの終末をすぐそこに感じながら、目を閉じ、ただ静かに。
 クリスタルは集め終わったが、依然として体の崩壊は止まらない。
 しかし、それに悲しみを感じることはない。

 サラマンダー男爵は「こころ」というモノを知りたかった。
 いや、求めていた。と言い換えてもいい。
 それ故に砂漠の使徒から追放された。彼らに憎しみは抱くが、
 彼らを滅ぼすためにはまず元の世界に還らなければならないだろう。

 自身に残された時間も、力も、空に舞う燃えカスのようなものだ。
 風が一凪すれば消えてしまうだろう。

 オンスロートという怪物は、自らを全能の神と名乗った。
 彼の発するオーラを見るに、実際それを名乗るだけの力を有してもいるだろうが、
 彼が行ったことは「殺し合いの開催」という実にくだらないモノだった。

 神でさえ、やはりこんなものなのかという落胆は、サラマンダー男爵の気を落とした。
 彼は自分で勝手に注いだ紅茶に口をつけて、ようやく目を開いた。

「誰かな……、そこにいるのは……?」

 そして飛び込んできた眼前の人物に、思わずずっこけそうにというか、紅茶を吹き出しそうになった。
 そこにいたのは、全身が蒼く発光する、全裸の男だった。
 全裸である。本当に何も着ていない。パンツすらはいていない。
 世界中を旅して奇妙奇天烈なモノはそれなりに見てきたが、
 目の前の男はそれらと比較しても一線を画すエキセントリックさだ。

 にもかかわらず、男の表情や雰囲気はどこか哲学的で、複雑で、神秘的なソレを発している。
 神がかっている。と言えば分りやすいだろうか。
0098神の手を介さず存在する砂時計 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 14:26:52.68ID:rYaFRYFX
 男が口を開いた。

「キミは……、何者だ? 私の知らない原子だ……」
 
 男は困惑しているようだった。
 戸惑いのまま、何かをぶつぶつと語りだす。 

「この宇宙は、どうやら私の知る現実宇宙とは大きく異なっているようだ。
 タキオンが充満しているわけではないが、未来をまるで見ることができない。
 まるでこの宇宙そのものが一つの生物であるかのようだ、流動し、常に可変。
 全く持って未知の出来事だ……」
「考え込むのも結構だが、名前くらい名乗りたまえよ」
 
 男は男爵の方に振り返った。

「私はDr.マンハッタン」
「私はサラマンダー男爵だ。さて、ドクター。今の君の言葉はどういう意味かな?」

 マンハッタンはかすかに目を見開いた。
 驚きの感情が出たのだろう。顎に手を当てて、HUMMと考え込んだ。

「やはり私を知らないのか。一見して、ここはパリの街のようだが、
 私の知っているパリとは全く違うという事か。誰かが創造したのか、私以外の誰かが……」
「可能性があるとすれば、あのオンスロートという者ではないかね? 彼は神を自称していた」
「神などいない」

 マンハッタンは言い切った。
 男爵はふっと笑うと、同感だよ。と答えた。

「さて、ところでドクター。君は私を殺すのかね? オンスロートの言うとおり、
 殺しあわねば私たちはどのみちオンスロートの手によって殺されるだろう」
「いや、君を殺す気はない。元々君の原子は全く安定していない。生物的に死にかけているのだろう?」
「……わかるのかね」
「私は地上に存在するあらゆる原子を操れる。原子のサイズで世界を見れるのだ。男爵」
「それは……、素晴らしいな」

 この世の物体は、全て分子の。もっと言えば原子の集まりでできている。
 それをすべて、ありのままに支配できるという事は、全てを創造し、すべてを破壊できるという事だ。
 それをすべて、原子の視点で見れるという事は、世界のすべてを知ることが出来る筈だ。
 男爵は思わず言った。
0099神の手を介さず存在する砂時計 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/26(木) 14:28:21.81ID:rYaFRYFX
「君が神ではないのか?」
「違う。私は神ではない。宇宙を構成するピースが私であり、私を構成するピースが宇宙なだけだ」
「そうかな……? その割には、ドクターは――失礼だが、人間には見えない。 
 ひどく無感動で、不動で、永遠のような『何か』に見えるが?」
「否定はしない。事実私は32分前まではそうだった。だが私は人間の存在価値に気付かされた」
「存在価値……」

 男爵は繰り返して呟いた。
 マンハッタンは気を利かせてか、飲み干した男爵の紅茶を新しく創造して、
 継ぎ足しながら、言った。

「人間は、その存在のすべてが奇跡だ。熱力学的奇跡だ。
 酸素が自然に金に変わる様な、人工的に生み出された超自然的な奇跡だ。
 いや、人だけではない。この地上に存在するすべてのモノが、今ここにあるだけで既に奇跡なんだ」
「……ならば」

 男爵は言葉を止めることができなかった。
 どうしても聞いてみたかった。この神のごとき存在の口から。
 
「私も、価値がある奇跡という事か……?」

 ――自分の存在意義を。

 マンハッタンは少し首をかしげて、掌を上に向けた。
 そこに、小さな地球のような水晶玉を創造して、男爵に見せた。

「君は人間ではないかもしれないが、この宇宙に存在して、私と出会った」

 マンハッタンの声はあくまで平坦だ。しかし、確信めいたものを孕んでいる。
 水晶が過去を映し出す。そこには男爵と、一人の小さな男の子が映っていた。

「十分だ」

 マンハッタンは言い切った。
 男爵は帽子のつばで表情を隠し、そうか、と小さく呟いた。
0100神の手を介さず存在する砂時計 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/26(木) 14:29:31.93ID:rYaFRYFX
 ■




「さて、どうするかね、ドクター?」

 紅茶を飲み終えた男爵は、軽やかに塔に登り、街を見下ろした。
 その口調は憂いを帯びず、むしろ喜びや楽しさを感じているようだった。
 マンハッタンはその時間に先回りしており、同じく街を見下ろした。

「しばらくはこの世界を観察する。私の認識が全く通用しない世界だ。
 私の知らない、未知の存在が溢れている可能性が高い」
「殺し合いはしない、と?」
「こちらに敵意を向けてくるならば殺さざるを得ない」
「なるほど……」

 男爵は目を閉じた。

「ドクターのいう事は、私にも理解できる。
 考えてみればその通りだ。確かにこの世のすべては、ただそれだけで奇跡だろう」

 マンハッタンは男爵を見た。

「だが、知識だけではやはり……、半信半疑でね。
 奇跡だから、と言うのは納得できるが、だからといってそれが
 存在する価値があるかどうかは、また別問題であるような気がするのだよ」
「君の言うとおりだ。人間の存在そのものが奇跡ならば、すべてのモノに価値があるのならば、
 その価値の中でさらに価値の有無が、高低が、生まれるべくして生まれるだろう」
「ままならぬものだね……」

 男爵は呟いた、その顔は、どこか嬉しそうだった。

「だから喜びを感じるのだ」

 マンハッタンもまた、小さく笑みを浮かべていた。
0101神の手を介さず存在する砂時計 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/26(木) 14:30:29.00ID:rYaFRYFX
【地球を模した惑星、パリ/一日目朝】


【サラマンダー男爵@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:崩壊寸前
[装備]:ステッキ
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:生物の価値を見極める
1:マンハッタンと共に世界を観察する
2:とりあえず世界の滅亡は待ってみる
[備考]
※映画『花の都でファッションショー…ですか!?』の冒頭の時期から参戦。

【Dr.マンハッタン@WATCHMEN】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:未知の存在を探し、観察する
1:サラマンダーの原子を調べる
2:オンスロートに興味あり
[備考]
※『最低のジョーク』発動後、火星から地球に移動中の時期に参戦。
※時間軸を認識しての多時間同時認識能力は使えなくなっている。
 簡単に言えば未来と過去が見えない状態。




【キャラクター簡易解説】
『Dr.マンハッタン』
 本名:ジョン・オスターマン。とある科学事故で原子を操る力を手に入れた神に等しい超人。
 量子力学的ヒーロー。飛行もテレポートも自由自在どころか、
 とうやら時間軸座標そのものを感知して物質世界の事象を『処理』している。
 そのため時間軸から外れているらしく、すべての時間を同時に見る認識能力と、
 世界の理の外側から直接量子の振る舞いに手を加えられるため、事実上全能の存在。
 その能力というかあり方のため、人間性が消失しており常時全裸なのはそのためである。
 しかしウォッチメンの終盤、彼は人間の素晴らしさ、尊さに気づき、生命に対する興味を取り戻した。
 早い話、神というか宇宙法則そのものの擬人化である。
 基本的に制限がない当ロワにおいても、全時間の感知はさすがに強すぎるため封印させてもらっている。
0102 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/26(木) 14:32:03.80ID:rYaFRYFX
投下終了。本日はここまでです。
ありがとうございました
0104ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/27(金) 11:28:21.54ID:MRIBTJeG
 インテグラは最初、状況を飲み込めなかった。
 ウォルターを失い、アーカードを失い、少佐を倒し、セラスと共に我が家に帰ったはずだ。
 ロンドンは崩壊したが、最後の大隊は滅ぼした。1944年の亡霊は、
 あの街と、我が従僕と、我が執事と共に、完全に消え去ったはずだ。

 しかし、オンスロートなる化け物は殺し合いの場にインテグラを召還した。
 しかも今ここはロンドンではないか。
 しかもしかもあの決戦の、死都と化したロンドンではないか。
 インテグラの視線の先には堕ちた飛行船「デウス・エクス・マキナ」がそのままある。
 
 あれだけ死体と死人とガレキに塗れた街が、それでも今ガレキを除いて
 きれいさっぱりなのは、アーカードの『大喰い』で喰い尽くされたからなのか。
 あるいはあのオンスロートなる化け物が全く同じ街並みを創りだしたとでも言うのか。

 やりきれない気持ちを胸に、葉巻に手をかける。
 その背後に、気配。

「動くな」

 闇から染み出るような重い声に、しかしインテグラはわれ関せずと葉巻に火をつけた。

「こっちは一仕事終えたばかりでね。一服ぐらいいいだろう?」

 インテグラが存分に煙をふかして顔だけを背後に回すと、そこに妙な男が立っていた。
 建物の影に混じるような場所に立ち、上から下まで真っ黒なスーツを着て、
 地面に届いてなお引きずる長さのマントをはおり、
 顔には漆黒のマスク。目の部分はご丁寧に白く瞳が窺えない。
 それは幼い頃に読んだ、コミックの世界のスーパーヒーローそのものだった。
 思わず気を抜かれかけたインテグラだったが、
 相対する男の声はあまりにも真面目だったので、突き合ってやるかと口を開いた。
0105ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/27(金) 11:28:49.13ID:MRIBTJeG
「確認したいことがある」
「人にモノを尋ねるなら、名前くらい名乗ったらどうだヒーロー?」

 煙を吐き出して、皮肉めいてインテグラは言う。
 マスクの男は良いだろうと呟き、言葉を続ける。 

「私はバットマン。キミは誰だ」
「バットマン……。コウモリ男、ね」

 そのまんまなネーミング。いい歳の男だろうに、ますますコミックヒーロー染みている。
 しかし、コウモリ男か……。  

「私はインテグラ・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング卿だ」
「ヘルシング……?」
「そうだ。ヘルシングだ。吸血鬼狩りの」
「ブラム・ストーカーか?」
「驚いたか?」 
 
 インテグラはしてやったりとでもいうべき笑みを浮かべた。
 バットマンはしばらく悩んだ様子で微動だにせず、インテグラを見ていた。

「ここはロンドンだな。ガレキの山になっているが」
「そうだ、ロンドンだバットマン。私の知る限りつい最近まで死都<ミディアン>となっていたはずのな」
「何があったか知っているのか?」
「知っているも何も、私は当事者だ。この場に居合わせ、私が終わらせた」
「詳しく聞きたい」 
「断る」
 
 即答したインテグラに、バットマンは口をつぐんだ。
0106ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:29:16.44ID:MRIBTJeG
 
「顔を隠し名前も明かさない人間を、出会ったばかりのコスプレヒーローを信用しろと?
 ふざけるなよバットマン。仮におまえに情報を提供して、私になんの見返りがある?」
「……君の望むことを叶えよう」
「無理だな」

 はっ、とインテグラは笑った。
 
「言っただろう、一仕事終えたばかりだと。私の宿命はもう終わって……」
「アーカード」

 バットマンが口にした名前は、インテグラの言葉を止めた。
 
「アーカード、アレクサンド・アンデルセン、セラス・ヴィクトリア、少佐。
 この名前の人物たちは、キミの関係者ではないのか?」
「……なぜわかる」
「リストだ。オンスロートが我々の頭に入れ込んだ参加者リストは、
 おそらく一定の法則で区切られている。同じ世界の出身という事だろう」

 インテグラは目を閉じた。頭の中に様々な名前が浮かぶ。その中には自分の名前も、
 そしてバットマンが言った名前も並んでいた。

「バカな……」
「この名前の人物……。そのうちの何人か、あるいは全員がここで死んだのではないか?」
「!!」

 インテグラの目が大きく見開かれた。バットマンの口角が吊り上る。
 しまった。とインテグラは思った。

「やはりそうか。ということはマルチバースから連れてこられた可能性が高いな」
「並行世界だと……」
「ふざけている、か?」
「いや、目の前のスーパーヒーローが、一番ふざけている」

 意図としては精一杯の皮肉だろうが、インテグラは燐とした姿勢は崩さない。
 
「私の世界には同じだが違う世界……、並行世界が存在することがわかっている。
 オンスロートはおそらく多次元、多時間に干渉して参加者を連れてきている」
「なるほど、ふざけているな。だが根本的な可能性を見落としているぞ、バットマン」 
「何が言いたいかはだいたいわかる。このリストがはたして本当かどうか、
 このゲームが本当にただの殺し合いか、だろう」
「そうだ」

 インテグラは葉巻を吸い尽くした。
0107ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:30:03.30ID:MRIBTJeG
「オンスロートという化け物が、こんなふざけた催しを開くのは実に神らしいとして。
 そいつが我々にバカ正直にルールを提示するか、ということだ」
「神は実直で真面目で公正だと思っている者は多いが、それは事実無根だ」
「少し違うぞバットマン。神は公正だ。なぜなら神は、ルールを捻じ曲げて道理を通すからな」

 インテグラの言葉に、バットマンはともすると不気味に見える笑みを見せた。
 インテグラの知性。センス。そしてどこか気品ある振る舞い。
 バットマンにとって、どれもこういう場においては好ましいものだった。

「まぁ、赤い鎧で身を固めたいかめしい神など、私は聞いたこともないがね」

 同感だ。とバットマンはうなずいた。
0108ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:30:18.63ID:MRIBTJeG




「アーカードは吸血鬼か?」
「ほぅ、良くわかったな。……いや、まぁわかるか」
「ドラキュラが真名を隠す際にアナグラムを用いるのは原典でもそうだろう。
 もっとも、エイブラハム・ヴァン・ヘルシングがその後も鹵獲したドラキュラを
 使役しているとは知らなかったがね」
「ああ、多少癖が強いが、役に立つ従僕だ」

 デウス・エクス・マキナの最奥。少佐のいた場所に、二人はいた。
 この中も外に負けず劣らずメチャクチャなありさまである。
 インテグラと情報を交換する中で、ここに来ることを提案したのはバットマンであった。
 彼はあるモノを探しだし、そして直している。

「しかしまぁ、ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカとは、驚きを通り越してあきれているぞ。
 もっといい名前は無かったのか? さすがはアメリカのセンスだな」
「誰もが安心できるシンボルは、わかりやすい方がいい」
「おまえは安心と言うより、恐怖を与える側に見えるが?」
「恐怖も同じだ。構造は複雑だが、伝え方はわかりやすい方がいい」

 バットマンが探し当て、整備しているのは、パソコンだ。
 少佐がロンドンを見通すのに使っていたパネル式大画面と、それに連なる巨大コンピュータ一式。
 インテグラは手持無沙汰で、脳裏に浮かぶ名前を眺めていた。
0109ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:30:50.48ID:MRIBTJeG
「スーパーマンだとかは、探さなくていいのか? 2人いるが……」
「いずれだ。先に拠点が欲しい。2人いる事の理由も察しはついている。
 それにおそらく、我々にはまだ探せない」
「なぜだ?」
「オンスロートの言葉が真実なら、この殺し合いの舞台になっているのはこの世界……、
 つまり宇宙そのものだ。範囲的に太陽系全域だけだとしても、違う惑星にいられた場合
 星間飛行能力のない我々には手の打ちようがない」
「なるほどな……」

 インテグラは納得する。アーカードと言えど、さすがに宇宙空間を自由に行き来はできないだろう。
 宇宙に放逐したぐらいで死ぬとは思えないが、宇宙で自在に行動できるわけはない。
 もっと環境に適応できるように改造すればよかったか、などと冗談めかして思ったところで、はっとする。

「まて。という事は、ほかの参加者の中には、
 惑星を自由に行き来できるヤツがいるという事か?」
「確実にいるだろう。まずスーパーマンがそうだ。そしてオンスロートが虐殺ではなく殺し合い、
 と宣言している以上。スーパーマンを物理的にか間接的に殺す方法を持つものがいる可能性も高い」
「――……!」

 アーカードが真に殺される絵面は浮かばないが、アーカードは死なないわけではない。
 不死者の中の不死者ともいえるアーカードではあるが、それはあくまで命のストックがあるからだ。
 吸血鬼は心臓を潰されれば物理的には一度死ぬのだ。
 アーカードを物理的に殺すためには数万回、あるいは数百万回殺さねばならない。
 それはインテグラの知る世界ではおおよそ不可能な話である。だからこそ少佐は『毒』で
 アーカードを消したのだし、アンデルセンですら零号解放の隙をついて殺しかけたに過ぎない。

 しかし、バットマンの語るスーパーマンらの話を聞いていると、
 アーカードを物理的に殺せるものが、この世界にいないとは言い切れないのが事実だ。

「そういえば、おまえの能力はなんなんだ?」 
「私は超能力の類は持っていない」
「……は?」

 ちょっと待て。とインテグラは言った。
0110ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:31:23.74ID:MRIBTJeG
「じゃあ、いい歳した男が、コウモリのコスプレをしているだけか!?」
「…………」

 バットマンは答えない。背を向けて、黙々と作業を続けている。

「リーグのような、半神存在や超人の集団の中には、私のような者こそ必要なのだ」
「……面白い男だな」

 それはインテグラの本心だった。
 この男は紛れもなく人間だ。我々に近い側の人間だ。

 所々にノイズを走らせながらも、画面は光を帯びた。
 いかにもコンピュータらしい英文がせわしなく流れていき、
 バットマンが手にするリモコンで徐々に操作していく。

「バッテリーが生きていたか」
「ああ。ここを拠点にする。まずオンスロートを倒す仲間を集めなければ」
「その次は、奴の目的を探る、か」

 インテグラが二本目の葉巻に火をつけた。

「そうだ。奴の言動には矛盾が多い。ヤツの多次元にわたって干渉する能力や、
 脳に直接データを送り込むテレパスの能力を見るに、全能の力を持つというのも
 あながちウソではないだろう。だが、それならば何が望みだ……?」
「確かに、人類その他を絶滅させるだけなら、全能の神ならばたやすいはずだ。
 なぜこんな回りくどいことをする……?
 まぁ、神の望みは人間をもてあそぶこと、と考えても納得はいくがね」
「いや、奴にはなにか明確な目的があるはずだ」
「何故そう思う」

 バットマンは、暗黒神と破壊神の戦いを思い出した。

「かつて私の世界に破壊神アンチモニターと名乗る神が降臨した。
 世界を優に滅ぼせる力を持った存在だったが、リーグ全員でやつを止めた」
「ほう」
「アンチモニターの目的は元の姿に戻ることだった。そして私はその時、
 ある方法で過去の知識の垣間見る『神』となっていた」
「……笑うところか?」

 バットマンは構わず続けた。

「私の見た知識の中に、マルチバースの崩壊と、再生があった。
 そして、その知識の中心には私たちの世界に現れたアンチモニターとは、
 おそらく別のアンチモニターが過去に存在していた事実だった。
 過去のアンチモニターは並行世界を破壊し、宇宙を喰らっていたのだ」
「……壮大な話で結構だが、なにが言いたい?」
「宇宙を滅ぼす力を持つ神であっても、前準備が必要だということだ」
「それがこのゲームか」
「おそらくはな」
0111ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:32:14.75ID:MRIBTJeG
 インテグラは押し黙った。
 皮肉の一つでも零したいところだが、此度の敵は、化け物は、
 今まで対峙したどの化け物より強大で異質だ。

 だが――、だからこそ。
 インテグラの信念は、一つの言葉を落とす。

「化け物を倒すのはいつだって人間だ」

 突然の言葉だったが、バットマンは真剣な表情で頷いた。

「ああ、その通りだ。だから我々がやる。やらねばならない」
 
 コンピュータがうねりを挙げた。
 二人の、誓いにもにた宣言を見届けて。
0112ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:32:27.33ID:MRIBTJeG
【地球を再現した惑星、ロンドン/一日目朝】


【インテグラ・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING】
[状態]:健康
[装備]:葉巻、サーベル、コート
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:化け物を倒す
1:バットマンと共に、仲間を集める
2:アーカードやセラスを探す
3:少佐はこの手で滅ぼす。何度でも
[備考]
※参戦時期は少佐を殺害後、セラスと共に飛翔している最中。
※左目はオンスロートの計らいで元通り、完治しています。
※バットマンと情報交換しました。

【バットマン@BATMAN】
[状態]:健康
[装備]:ワイヤー、音響装置、医療キットを始めとするバットマンの小道具一式。
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを倒す
1:仲間を集める。
2:ジャスティスリーグのメンバーを集める。
3:敵と遭遇したならば戦うが、なるべく戦いは避ける
[備考]
※参戦時期はNew!52版スーパーマンが死亡した後、
つまり『ファイナル・デイズ・オブ・スーパーマン』の後。
※インテグラと情報交換しました。
0113ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:32:50.83ID:MRIBTJeG
【キャラクター簡易解説】
『バットマン』
 映画でもお馴染み、ダークナイト。コウモリ男。
 DCコミックスでも最古参のヒーローの一人。初登場は1940年。
 正体はブルース・ウェインという世界一の大富豪。悪徳の街ゴッサムシティの守護者。
 超能力の類は持たず、人類最高峰の肉体と知能と武器兵器で戦うスーパーヒーロー。
 当ロワのバットマンは、どうやらNew!52版の設定である。
 『ダークサイド・ウォー』を終え、『ファイナル・デイズ・オブ・スーパーマン』で
 スーパーマンが殉死した後。バットマン誌に置いては少なくとも『バットマン:エンドゲーム』
 以前の時系列のようだ。
0114ヘルシングの奇縁 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 11:33:44.12ID:MRIBTJeG
以上です。ありがとうございました
0116さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:26:18.98ID:MRIBTJeG
 森の中だった。
 うっそうと生い茂る木々。獣道の隙間に恐る恐る足を延ばす。
 しかし進めど進めど先の風景は変わらず、彼女はいい加減に我慢の限界に達していた。
 感情が爆発して、彼女は思い切り叫んだ。

「いやーっ! もうなんでわたしがこんな目に―っ!!
 早く助けてよー! 孫くんー! ベジーター!!」

 無情にも空に吸い込まれていく叫びに、答えは帰って来ない。
 というか鳥一羽獣一匹で出てきやしない。なんなんだこの森は。
 さびしさや恐怖に押しつぶされて、ブルマはぐずぐずと泣き始めた。
 なんで自分がこんな目に……。やっとセルを倒して世界が平和になったのに。
 
「っていうかオンスロートってやつも、なんでわたしなんかを選んだのよーっ!
 戦士を集めたって、わたしは戦士じゃないって見てわからないの!?」

 コロコロと感情が切り替わり、怒りが湧いてきたのでブルマは怒鳴った。
 ブルマは戦士ではない。あくまで科学者である。
 見るからに戦えそうもない可憐な美女の自分を召還するなんて、
 オンスロートって全能の神じゃなくてバカの神なんじゃないのか。
 というか神なんて言われてもちっともありがたくない。

 目を閉じて浮かぶリストには孫悟空、ベジータ、トランクス、
 孫悟飯、クリリン、ヤムチャの名前があった。
 ほっと一安心はしたが、そのほかにフリーザ、セルと名前があって
 ぎえーってなった。ぎえーって。

「おや、お嬢さん。何を泣いているのかな?」

 優しげな声に、ブルマは顔を挙げた。木々の向こうから影が近づいてくる。
 風になびく長髪。女性にも見える美しく整った顔。
 全身にマントを羽織って体は見えないが、やっと会えた人間に喜んだブルマは、
 にべもなく飛びだした。

「ああ〜ん! やっとまともに人に出会えたわー!!」
「ふふふ。私もやっと人に出会えた……」

 男の手前でブルマは立ち止まった。様子がおかしい。
 嫌な予感がしたのだ。
 男は誘うように手を仰いだ。

「ふふ、どうした女。私が守ってやろうぞ……」
0117さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:26:42.14ID:MRIBTJeG
 ただし、と男が続ける。

「貴様の体を食わせてくれたらなぁ〜っ!!!!」
「ぎえーっ!!! やっぱり!!!!」

 男の体から魔物が噴き出した。
 ブルマは急いで引き換えし、力の限り逃げた。
 化け物染みた男は直接追ってこない、ただし、
 その体からうごめく奇怪な化け物が次々に飛び出していた。
 
「ぐはははははっ!! どこに逃げようと無駄だ!!
 既にこの山はドグラの、私のモノなのだぞ!!!!」

 ブルマを囲い込むように地面が盛り上がり、グチャグチャとドグラがあふれ出した。
 逃げ場を失い、ブルマは尻もちをついた。

「い、いや〜っ!! 誰か助けてーっ!!!」
「ふはははは!!!! いけドグラよ! 大したエネルギーにもならんだろうが、
 せっかくの人間の女だ。食い尽くせ!!」
 
 男の――霧隠才蔵が合図すると、ドグラは一斉に襲いかかった。
 ブルマが観念したと言わんばかりに体を丸めて泣き叫ぶ。

「助けてーっ!!!!!!!!!!」

 その時、両者の間に空から何かが降り注ぎ、迫りくるドグラを弾き飛ばした。

「なにいっ!?」
「えっ? えっ!? 何があったの……?」

 驚く才蔵。呆けるブルマ。その間に堕ちてきた人物は、ゆっくりと立ち上がった。
 それは円形の銀色の盾を構え、剣を片手に携え、腰に黄金の縄を下げ、赤と銀に輝く鎧に身を包んだ戦士。

「魔物め。私が相手よ!」

 それはワンダーウーマン。アマゾンの女神にして最強の戦士。
0118さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:27:12.13ID:MRIBTJeG
 ■



「貴様ぁ〜何者だぁ!!」

 四方八方から襲い来るドグラを、ワンダーウーマンは恐るべき速度で斬りおとしていく。
 時に盾で弾き飛ばし、時に手甲で受け止め弾き、徐々に霧隠才蔵に近づいていく。

「す、すっご〜!」
「早く避難しなさい!」

 思わず見とれていたブルマに激を飛ばし、
 絡みついてくるドグラを斬り落とした。
 ブルマははっとする。良く見ればワンダーウーマンはドグラを斬り倒し、道を造ってくれていた。
 ブルマは抜けた腰を必死で奮い立たせ、わたわたと這いずって離れていく。
 同時に、ワンダーウーマンはとうとう才蔵の前に立った。

「くくくっ、やるではないか」 
「この手の化け物とは闘い慣れてるわ」

 言い終わると、ワンダーウーマンは剣を振りぬいた。
 剛速の剣線に才蔵の体が真っ二つに斬り裂かれ、しかし、才蔵は笑っていた。

「なに!?」
「くくく、ははははははっ!! 無駄だ女。私は無敵なのだ! 見ろ!!」

 自ら剣を抜くと、ばっ、と才蔵がマントを広げてみせた。
 切断面から噴き出る瘴気と、その体を埋めつくす暗黒物質。
 醜悪な光景に、ワンダーウーマンですら、うっと顔をしかめた。

「私の体が一つの宇宙なのだ! 霧隠才蔵の宇宙なのだ!!!」

 才蔵の体がぴたりとくっつき、元通りとなった。

「この中では私の思いのまま。私は神だ!!!!」

 才蔵が叫ぶとともに、山が、森が、唸り始めた。
 木々を食いつぶしながら、そこかしこからドグラが噴き出してくる。

「神……?」
「おまえたちはどうあがいても私には勝てんぞ!! ドグラは既にこの森を、
 山を食い尽くしている!!! いずれはこの星そのものを食い尽くしてくれよう!!」

 地激しい鳴り。構わず意気揚々と邪悪に笑う才蔵を前に、
 ワンダーウーマンとっさに飛びのいて、はいずっていくブルマを抱えて森を飛びのいた。
 間一髪だった。地面から溢れたドグラが二人のいた場所を飲み込み、空を跳ぶ二人をドグラが追い立てる。
 高台に降りた二人は、そこから自分たちがいた場所を見た。
 ドグラがひしめきうごめくその有様は、さながら地獄の様相を示していた。

 地面から吹き出したドグラがその規模を広げつつ、また再び地中に潜っていく。
 まるで蟻が獲物に群がって、その体をむさぼるように。

「あ、あわわわわわ」
「まずいわ」
0119さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:27:39.00ID:MRIBTJeG
 ワンダーウーマンが言った。ブルマが「なんで」と言い、
 早く逃げましょう。と続けた。
 しかしワンダーウーマンは頭を振った。

「ダメよ。あの邪神は、この星の地殻を喰らおうとしているのよ。
 地殻そのものを取り込もうとしているのね」
「えっ? ど、どういうことなの? それ……」
「ヤツが、この星そのものになろうとしてるってことよ」

 そうなったら逃げ場はなくなる。いくらワンダーウーマンとて手の打ちようがない。
 言うや素早く、ワンダーウーマンはブルマを置いて、再びドグラの中に飛び込んだ。
 ブルマの待って!! という声を振り切って、あっという間にドグラの海に沈む。

 盾を正面に構え、ドグラを蹴散らして沈んでいく。
 やがて空域の温度が上昇し、地殻に近い場所空洞に降り立った。

 地面を這うドグラがずるりと盛り上がる。
 それは待ち構えていた才蔵となって笑った。

「来たか、女。ひとつ聞きたい。おまえはなんなのだ……」

 才蔵には疑問があった。
 ドグラは、生物に接触すると生物の体に穴を造る。
 その穴自体がドグラであり、ドグラの通り道であり、穴を広げて生物を支配する。
 しかしワンダーウーマンはあれだけドグラにさらされていながら、
 穴ができる様子が無い。
 
「私はワンダーウーマン。アマゾン族の女神であり、戦士よ」
「女神……、神だと!?」

 なるほど、と才蔵は笑った。

「この私の相手に、神とはおあつらえ向きだ」
 
 オンスロートというやつの、何と気の利いていることか!
 この私の相手に神を使わすとは!
 才蔵は夢想する。このゲームの参加者には夢幻弥勒に真田幸村がいる。
 才蔵は、あの二人を殺すためには、至高の神になるには
 更なる力が必要だと思っていたところだった。 

「神たる貴様を取り込めば、この私も更なる力を得ることができるやもしれん!!!」
「残念ね。私はおまえのような奴に食われるつもりはないわ。貴様はここで討つ!!」
「くくくっ! では、やってみるがいい!!!」

 その言葉を皮切りに、ワンダーウーマンが飛びかかった。
 才蔵は周囲の岩をドグラと化し、ワンダーウーマンを撃ち落さんがために襲わせる。
 ワンダーウーマンは盾でドグラの第一波を弾き飛ばし、第二波を剣で斬り伏せた。
 着地したワンダーウーマンは隙なく剣を地面に突き刺し、
 顔の前で腕をクロスして、両手の腕輪を重ねた。
 迫りくるドグラをまっすぐ睨む。
0120さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:28:07.00ID:MRIBTJeG
「はぁぁーっ!!!」

 おおよそ女性とは思えないほどの覇気を帯びた雄たけびが、衝撃波が、
 地殻を揺るがした。ワンダーウーマンの神通力が炸裂したのだ。
 周囲のドグラをまとめて消し飛ばし、才蔵の体をも弾き飛ばした。

「ぐぅ、やるな!」
「どういたしまして」

 皮肉を述べ、素早く剣を掴むと、腰の縄を飛ばし才蔵を拘束した。
 才蔵が身じろぎするが、身動きが取れないようで、それを確認するなり一直線に斬りかかった。
 才蔵はにたりと怪しげに笑い、受けるそぶりなく刃を受け入れる。無防備な体に剣が食い込むが、
 ワンダーウーマンは顔をしかめた。斬った感触が無かった。

「言ったはずだ。私の体は一つの宇宙だと!!」

 才蔵が刀身をつかみ、剣をさらに体に食い込ませる。
 ワンダーウーマンは思わず剣を手放し飛びのいた。
 投げ縄と剣は才蔵の体に取り込まれて、沈んでいった。

「なんてこと……!!」
「どうやら貴様は私が知る神とは、違った神であるようだな。ならば貴様では私を倒せん! 
 貴様が如何な力を持とうと、私の支配する領域では私は倒せん!!」

 才蔵が両手を広げると、周囲の空間が歪み、地殻だったものが一瞬でドグラに変貌した。
 ワンダーウーマンは盾で弾き飛ばすためドグラに振りかぶるが、先ほどとは違って逆に弾き飛ばされてしまう。  
 さっきとはパワーが違っている。桁違いだ。

「さぁ、私に食われるがいい!!」

 両腕両足をドグラに縛られ、ワンダーウーマンはつるされた。
 無数のドグラの口が、チキ……、チキ……、とワンダーウーマンをにらんだ。
 不思議なことに、振りほどこうと力を入れようにも、痺れたようにピクリともしない。
 これは投げ縄の力……! 取り込んだのか? これがあの男の能力か! ワンダーウーマンは歯を食いしばる。
 まんまとしてやられた!
 神を屈辱たらしめた才蔵は、満悦して手を振りかざし、そしてドグラが襲いかからんとした。
 正にその時、地殻には到底似つかわしくない――――というか想像もできない雷鳴がとどろいた。
 天井をぶち抜いてドグラを貫く雷は、ついでと言わんばかりにワンダーウーマンの拘束をも破壊する。

「ぐぬぅぅっ!!! なんだ!?」

 雷鳴がやみ、ドグラを蹴散らして、その男は現れた。

「自然を蹂躙し邪神よ、我が力の前におののくがいい!! マイティ・ソーはかく語りき!!」

 雷神はここにあり。
 ソーはハンマーをひと撫ですると、発生した雷光でドグラを消し飛ばし、
 支配領域を展開していたはずの才蔵の横っ面を殴り飛ばした。

「なにっ!? バカなっ……!! この私がダメージを……っ!!?」
「貴様が例えその身に宙(そら)を治めておろうと、我がムジョルニアの前に意味はない!」 

 ソーはハンマー=ムジョルニアを振り回し、パワーをチャージする。
 回転が増すほどに吹き荒れるエネルギーが激しく地殻を揺るがした。
 ワンダーウーマンは盾を拾い、ソーの隣に並んだ。
0121さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:28:31.81ID:MRIBTJeG
「雷神よ、礼を言う」
「造作もないこと。貴公はアマゾンの戦士であろう、共に奴を倒そうぞ」

 チャージを終えたソーが、まさに電光のごとき勢いで飛び出し、
 ムジョルニアの一撃を才蔵の腹に打ち出す。
 苦悶にのたうつ才蔵が宙に浮いたところを、間髪入れずにワンダーウーマンが衝撃波で追撃する。

「ぐぅぅぅぅう……!!!」

 べちゃり。ヘドロのようにぐちゃぐちゃになった才蔵の体が人間体から、
 ドグラがまとわりついた異形へと変質していく。

「私は負けぬ!! ドグラは無限の空間だ!! きさまらがどれほどの神かは知れぬが!!
 わたしの意識が支配するドグラは絶対に負けぬ!!!」

 もはやなりふり構わないのか。周辺の宙域そのものをドグラと化し、
 二柱の神に才蔵は襲いかかる。

「きさま等もドグラに取り込んでくれる!!」

 ワンダーウーマンとソーは顔を見合わせた。
 そして、ソーはムジョルニアの最大の一撃をドグラの塊に打ち込み、
 ワンダーウーマンは最大の神通力を爆発させた。

「ぐ、ぐあああああああああああ!!! ば、バカな〜っ!!!!!」

 その衝撃は星そのものを激しく揺るがし、
 はちきれたパワーは地表に吹き出して宇宙にまでおよんだ。
 ブルマは、二柱の神が飛び込んだ穴から、穴のサイズをはるかに超える、
 かめはめ波のようなパワーが空に吹き飛んだのを見た。
 自分は吹き飛ばされないように木々にしがみついていた。
0122さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:29:10.29ID:MRIBTJeG
「ふぅー、ふぅー……っ!」

 もはやゲル状の欠片になった才蔵は、それでもなお生きていた。
 ソーとどめを刺すためにゆっくりと近づいた。

「とどめだ、邪神よ。地獄に還るがいい」
「ああ……。確かに負けだ……」

 だが、と才蔵は続けた。

「きさまらのな!!」

 才蔵の叫びと共に、ドン!! と衝撃が襲った。
 星そのものが大きく揺れ始め、地殻に大きな亀裂がはいる。
 
「何をしたの!?」
「ふはははは! ドグラは無限の空間と言っただろう!
 きさま等と戦っている間に、別のドグラに星を食わせていたのよ!!
 この星はもうすぐ滅び、ドグラそのものとなる!!! そうなれば生き残れるのは、
 ドグラを支配するこの私だけよ!!!!!!」
「あがきをッ!!」

 亀裂からあふれてくるドグラを吹き飛ばしながら、ソーは唸った。
 チャージしたムジョルニアの全パワーは解放してしまった。
 今の自分に、周辺のドグラをまとめて吹き飛ばすパワーはない。
 仮にそのパワーがあったとしても、星そのものを吹き飛ばしてしまわねばならない。

 それでも自分と、ワンダーウーマンは無事だろうが、
 それでは外で震えていたブルマと言う女性が死んでしまう。

「悪鬼め……!!」
「ふはははははは!!!!!」

 才蔵の魔笑がこだまする中で、ワンダーウーマンがドグラを弾き飛ばしながら、
 才蔵の残りカスに近づいた。
 そして、ひざを折り、その眼前で腕をクロスする。

「何をする気だ……!?」 
「雷神ソー、外の女性を頼むわ」
0123さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:33:47.38ID:MRIBTJeG
「や、やめろおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

 才蔵の悲痛な叫びを飲み込む大爆発が巻き起こり、そして……。

 そして一つの星がその命を終えた。
0124さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:34:13.68ID:MRIBTJeG
 ■


 宇宙。

 ソーのマントに全身を包まれて、ブルマは星の崩壊を見守っていた。
 
「……!」
「彼女は戦士として、戦場で身罷れたのだ。悔いはない。
 人を護って、戦い果てたのだ。素晴らしき女神よ。誇り高き戦士よ」

 ソーの賛辞は、慰めである。ブルマは涙を浮かべていた。
 ソーはそれをぬぐうことをせず、すぐさまほかの星に行くべく飛び去った。

 

【ワンダーウーマン@JUSTICE LEAGUE 死亡】

【太陽系を模した宇宙/一日目朝】


【マイティ・ソー@アベンジャーズ】
[状態]:健康
[装備]:ムジョルニア、鎧
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを再び地獄へ送り返す
1:ブルマを護る
2:アベンジャーたちを探す
3:戦士よ、安らかに
[備考]
※参戦時期は『シージ』の前。
 ラグナロクから帰還し、アベンジャーズとの合流前です。

【ブルマ@DRAGON BALL】
[状態]:健康、不安
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:いやー!
1:孫くんとベジータ、トランクスでもクリリンでもヤムチャでもいいから探す
2:フリーザとかセルとかいやー!
3:女神さま……!
[備考]
※参戦時期はセル編終了後。
0125さらば、誇り高き女神 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:34:33.29ID:MRIBTJeG
「ぐぐぐっ……」

 宇宙空間を、ドグラの欠片が漂う。
 霧隠才蔵は生きていた。
 ワンダーウーマンがパワーを解放する寸前、才蔵は
 全てのドグラを自身の防御に回し、生存に徹していた。
 才蔵の内面に浮かぶドグラ宇宙が、本当に無限の空間であり、
 その空間に内側に入ることで自身の支配領域に守られていたことも生存に繋がった。

「おのれ……、おのれ許さんぞ……!!」 
 
 ドグラは物質がある限り無限に増殖できる。
 しかし、依り代が無ければこの次元に湧き出ることはできない。

 才蔵は怒りと、憎しみと、悔しさを噛み締めた。

「おのれ……必ず、必ずきさまらを喰らい、この霧隠才蔵が神となってやる……!!」

 憎しみは宇宙を漂う。
 獲物を求めて。

 
【霧隠才蔵@虚無戦記】
[状態]:わずかなドグラ
[装備]:ドグラ宇宙
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:私が真の神となる!
1:夢幻弥勒と真田幸村は殺してやる
2:マイティ・ソーとかいう神は喰らってやる
[備考]
※参戦時期はドグラと融合した直後。
0126 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:34:51.95ID:MRIBTJeG
投下終了です。ありがとうございました
0127123と124の間 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/27(金) 14:45:32.57ID:MRIBTJeG
抜けがありました。

 ソーは、鍛えられた戦神の直感で、ワンダーウーマンが何をするか察した。
 神妙な面持ちでムジョルニアを掲げて、言った。

「貴公の勇気と力に敬意を示そう。共に戦えて光栄だった」

 ワンダーウーマンは微笑んだ。
 ソーはそれを見届けると、天井を突き破り地上へと飛び去った。

 崩落の進む星。マグマとドグラが地面から吹き出し、あたりを埋め尽くす。
 ドグラが触れた部分、ワンダーウーマンの体に小さく穴ができる。
 才蔵は悟った。
 そして、叫んだ。

「きさまっ! まさかっ! まさかっ! この星ごと……っ!!
 くそっ!! させんぞ〜っ!!! その前にきさまを喰いつくしてくれる!!!」
 
 ドグラが最後の抵抗とばかりにワンダーウーマンの体に集まる。 
 最後の力を振り絞っているせいか、さすがのワンダーウーマンの体にも大穴が開き始める。
 だがどんなに穴が開こうが、穴のドグラが暴れようが、彼女は目を閉じて姿勢を崩さない。
 額の穴から湧き出たドグラが、彼女の象徴たるティアラをはじき飛ばした。

 ティアラが地面におちた瞬間。
 ワンダーウーマンは目を見開き、すべてのパワーを解放した。
0129太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:14:41.62ID:7wS2oedQ
 お願い、解放して。

 ――やめろ。妻に近づくな!

 傍にいたくないの、殺して。

 ――ほう、そこまで言われては断れん。
 
 ――だめだ。妻に近寄るな!

 麻薬の代わりにセントリーの力に依存しているだけ。

 ――いやだ。出てくるな……!
 ――例えそうだったとしても……!

 ――セントリーとして成し遂げたことが一つでもあるのか?

 キャプテン・アメリカになれる器じゃない。 

 ――僕は、僕は……。

 その器もないのに、膨大なる力を偶然に得た男の姿……。

 ――ヒーローはおろか、お前は将来に何の夢もなかった。
 

 ――クズだ。
0130太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:15:20.86ID:7wS2oedQ
 ■


「はあっ、はあっ……!!」

 ニューヨークの町中。轟音と共に落ちてきた物体により、ビルが無残に崩れ落ちた。
 飛来した物体は圧倒的なパワーとスピードを持って、ビルからビルへと貫き通る。
 後に残るは黄金の軌跡。彼は地上最強のヒーローだったもの。

 その名はセントリー。

 今、彼は苦しんでいた。愛している妻が述べた真実に――。
 自分はヒーローではない。薬物中毒者がたまたま力を得ただけの存在。
 皮肉なことに、その力は彼の暗黒面――ヴォイド――を増大させつづけた。
 いや、そもそも逆だったのだ。ヴォイドこそセントリー=ボブ・レイノルズの本性であり、
 セントリーはその中から生まれた罪悪感と、わずかな正義感に過ぎなかった。

「うわぁあああああああ!!!!!」

 セントリーは打ちのめされていた。
 それでも妻だけは愛していた。本当にヒーローになろうと思っていた。
 だが、混乱の避難から戻ったブルズアイは、妻は自ら戦闘機から身を投げたと、
 自ら死を選んだと言った。
 セントリーに、ヴォイドに耐えられなかったと言った。

 全てが砕けた。

 セントリーは自殺したかった。
 だが、セントリーを殺せるモノは、存在しなかった。
 盟友であり、怒りと共に力を増す、地上最強の力を持つハルク。
 本気で怒りに満ちた彼との戦いでさえ、決着は互角だった。

 太陽に身を晒して消滅しても、分子を操る超人、
 モレキュールマンに分子レベルでバラバラにされても、
 彼は復活した。新たな力を得て、何事もなかったかのように。

 ヴォイドは告げた。どこの惑星にもセントリーを滅ぼす力はない、と。

 彼が絶望の咆哮をあげる度に、発せられるエネルギーが街を破壊していく。
 しかし100万個の太陽の爆発にも匹敵するパワーは、太陽系を丸ごと滅ぼしても尽きることはないだろう。

「うわぁあああああ!!! なんでだ……、なんで……っ!」

 やがて怒りは静まり、休む間もなく押し寄せる悲しみに、彼は膝をついた。
 ニューヨークを模して造られた街は、もはや全体が更地と化してる。

「うっ……、ううっ……!」

 雨が降ってきた。彼のパワーが天候をめちゃくちゃにしてしまったせいだ。
 セントリーは雨は自分にだけ降っていると感じた。
 
「ど、どしたのおじさん! だいじょーぶ!!?」

 雨を掻き消す幼子の声に、セントリーは顔をあげた。
 そこには、水色の髪をした、セントリーの半分くらいの背しかない子供が、
 心配そうにセントリーを見つめていた。
0131太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:15:51.23ID:7wS2oedQ
 ■



「わたし、来海えりか! よろしくね〜!!」
「僕は……、僕はセントリー……」
「ねぇ〜っ! おじさんって、もしかしなくても、ヒーロー……?」
「えっ?」
 
 えりかと名乗る少女は、いきなり核心を突いてきた。
 セントリーは思わずくちどもった。ヒーロー……。

「僕が、ヒーローに見えるのかい……?」
「えーっ! だっておじさ……、セントリーさん。
 子供の頃に観たヒーローそのもの! って感じの格好だよ!?」
「…………」

 そうか。とセントリーはうなずく。
 確かに外観だけなら、自分はまっとうなヒーローに見えるだろう。
 だけど、実際は違う。

「そう、だよ……。僕は、ヒーローをやってるんだ」 
「やっぱりー!!」

 罪悪感に塗れながらごちたウソに、えりかは屈託なく笑った。なんの邪念もない。
 尊敬と憧れに満ちた笑みだ。
 セントリーは驚いた。思わず涙が出た。こんな純粋な正義を信じる顔は、
 久しく見ていない。いつも自分の周りにあるものは……。

「やっぱアメリカはすごいなー! 本場! って感じ!!
 しかもセントリーさん、すっごく強いんでしょー!?」
「えっ?」
「だってぇーわたし見てたんだよ! セントリーさんが『うおおー』って雄たけびをあげて、
 そのたびに地震が起きて、ビルが倒れて……。怖かったけど、
 もうおさまったってことは、敵は倒したんだよね!」
「あっ……。その……」
「すごいなー……、ひょっとするとセントリーさん、ムーンライトより強いかも……」

 むむむと顔をしかめるえりかに、セントリーは声をかけられなかった。
 誤解を解かねば、という思いと、純粋にヒーローとしてみられている喜びが 
 心の中で混同していた。

「そうだよ……、街はめちゃくちゃにしちゃったけど。敵は倒したよ」

 結果として、彼は嘘をついた。
 彼女のヒーロー感を、正義感を、
 憧れの気持ちを踏みにじるわけにはいかないと、自分に言い聞かせながら。

「人がいないみたいでよかったよー、ほんと! 
 強すぎても大変だねー! 大いなる力にはなんとやら、だね!」
「ああ、全くだね……」

 無邪気に心に突き刺さる言葉に苦笑しながら、セントリーは相槌を打った。
 
「あのオンスロートってやつ。誰なのか知ってる? あっ! もしかして倒すべき宿命の悪!?」
「さぁ……、でも。聞いたことがあるかもしれない……! そうだ!」
「わっ! いて!」

 セントリーが急に立ち上がったので、えりかは驚いてしりもちをついた。 
0132太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:16:19.34ID:7wS2oedQ
「えりか、ちょっとごめんよ!」
「えっ? えっ? なに? どういうこと……!?」
「心当たりがあるんだ! もしかしたらオンスロートが何者か、わかるかもしれない!」
「ほんとーっ!! やったー!!」

 セントリーがえりかをがっしりつかまえて、空を飛んだ。
 セントリーは周囲を見わたし、そして、ボロボロにも拘らず朽ちていない、
 とびきり背の高いタワーを見つけた。

「アベンジャーズタワーになら、オンスロートに関するデータがあるかもしれない」
「うっひょー! ほんとにー!? わたしたちイキナリラスボス突破のカギになっちゃうの!?」

 アベンジャーズタワーに向かって、セントリーは飛び始めた。
 えりかに負担がかからないようにゆっくりと。

 セントリーの表情に、怒りや悲しみは消えていた。
 今は、その表情から希望が見てとれる。
 

 ――――彼女を護ろう。


 事実、セントリーの心には、今度こそヒーローになれる。
 という強い希望が生まれていた。

 気付けば雨は晴れていた。
 雲を掻き分け、青空が露出する。

 セントリーとえりかを祝福するように、日の光は先を照らしていた。
0133太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:16:47.05ID:7wS2oedQ
【地球を模した惑星、ニューヨーク/一日目朝】


【セントリー@マーベルコミックス】
[状態]:精神的に安定。体調は健康
[装備]:セントリーのスーツ
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:今度こそヒーローになる
1:何があってもえりかを守る
2:アベンジャーズタワーでオンスロートのデータを探す
[備考]
※参戦時期は『シージ』の直前。『ダークアベンジャーズ・シージ』における
 ブルズアイによる妻殺害報告の直後。

【来海えりか@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:ココロパフューム、プリキュアの種
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを倒す!やるっしゅ!
1:セントリーさんすごい!
2:また世界を救っちゃうかも! なーんてね!
[備考]
※参戦時期は最終決戦後。
0134太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:17:08.43ID:7wS2oedQ
 ■


「Humm……」

 ガレキに満ちて、崩壊した影の一角で、ロールシャッハはすべてを見ていた。
 黄金の輝きを持つ謎の男が、ニューヨークの街を破壊する様を。
 ともすればDr.マンハッタンにも匹敵するかもしれない圧倒的な破壊力。

 さらに謎の黄金の男は、少女を連れて飛び去った。

 ロールシャッハの中で、判決は下された。
 黄金の男は、悪だ。

 覆面の模様が怒りに呼応してうごめきだす。
 ロールシャッハは踵を返した。

 リストには、Dr.マンハッタンの名前がある。
 積極的に協力してくれるかは疑問だが、黄金の男を殺せるとしたら、
 マンハッタンくらいだろう。

 ロールシャッハは日記を綴る。

 悪を滅ぼすか、自分が滅ぶその日まで。
 彼が歩みを止めることはない。
 

【ロールシャッハ@ウォッチメン】
[状態]:健康
[装備]:ワイヤーガン、覆面
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)、日記
[思考]
基本:オンスロートを殺す
1:黄金の男は悪だ、殺す
2:マンハッタンを探す。オジマンディアスも一応探す。
[備考]
※参戦時期は原作開始前。
0135太陽と花 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:17:27.28ID:7wS2oedQ
【キャラクター簡易解説】
『セントリー』
 本名:ボブ(ロバート)・レイノルズ。地上最強のヒーロー。マーベル屈指の強キャラ。
 マーベル版スーパーマンとでも言うべき、恐るべき戦闘力を持つヒーロー(?)。
 惑星の破壊程度の攻防力はもちろん。超光速飛行、死からの蘇生、宇宙飛行、
 無から有の創造、分子操作、100万個の太陽の爆発(要は超新星爆破)のエネルギー。
 ぱっと並べるだけでコレだけチートな能力を際限なく使える。はっきりいってデタラメに強い。
 ただし、強いのは戦闘力、身体能力だけであり、心は弱く精神疾患を患っている。
 さらに暗黒面として『ヴォイド』が内面に存在しており、
 こっちはもっとデタラメな強さを誇る。
 アベンジャーズに参加もしていたヒーローではあるが、結果的にヴィランに良い様に利用され、
 『シージ』という大型クロスオーバーにおいて事実上ラスボスとなってしまった。
 当ロワでは暗黒面『ヴォイド』がどう動くかにかかっているだろう。

『ロールシャッハ』
 本名:ウォルター・ジョセフ・コバックス。
 世界一カッコいい童貞覆面ヒーロー。ウォッチメンと言う作品の、一応ヒーロー。
 ウォッチメンはDCコミックスのアメコミだが、厳密にはスーパーマンたちのいる世界とは
 全く別世界の話であり、スーパーマンやバットマンとはかかわらない作品である。
 ……はずだったが最近『スーパーマンvsDr.マンハッタン』なる企画が進んでいるとかなんとか。
 ロールシャッハは同作の狂言回し役であり、中心人物の一人。
 なんの能力も持ってない鍛えた常人だが、その精神力はもはや神の粋にある。
 ハードボイルドヒーロー。悪人に対しては拷問や殺人は躊躇しない。
 特技は指折り。お前のようなヒーローがいるか。
0137理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:22:30.90ID:7wS2oedQ
「どういうことだ……これは」

 オンスロートとの邂逅以前。その最後に記憶しているのは、
 ジェラルド・ヴァルキリーなる滅却師の巨人に名乗られ、その返事を返したところ。
 日番谷冬獅郎は今、何処までも広がる荒野の中に、ぽつんと立っていた。

 全能の神、オンスロート。
 赤い甲冑を着込んだ怪物はそう言った。
 並々ならぬ威圧感。霊圧の類こそ感じなかったが、アレは間違いなく只者ではなかろう。
 霊圧を感じなかった――。……考えたくはないが、ヤツはかつて藍染が目指していたという、
 死神や虚を越えた存在。

「『超越者』なのか……?」

 すっと目を閉じ、綴られる名前に目を通す。
 黒崎一護、井上織姫、藍染惣右介、浦原喜助、更木剣八、ユーハバッハ。
 藍染やユーハバッハの名前があることに、日番谷はまず驚いた。
 本当に奴らがここにいるのだろうか? 霊圧を感知してみても、近場にやつらの反応はない。
 
 ――嘘か? 
 日番谷は考える。
 
 オンスロートなる怪物が、もし本当に藍染とユーハバッハを連れてきて、
 強制的に殺し合いに参加させているのならば、オンスロートの持つ力は
 両者を同時に敵に回してもなお上回るということか、
 あるいは敵に回しても問題ない自信があるということだ。
 浦原喜助、こいつがいることも恐ろしいことだ。
 涅マユリが唯一(本人は絶対認めないだろうが)恐れている、あるいは敵わない知恵者。
 そいつがまんまと連れてこられている、ということだ。
 最悪のパターンは、オンスロートはユーハバッハか藍染の協力者である可能性もあるか。
 
「くそっ、考えがまとまら――!」

 言葉を言い切る前に、日番谷は氷輪丸を抜き放った。
 背後、考えに夢中だったせいか、何者かの接近を許している。
 不覚をとったと舌打ちしながら、氷輪丸を振りかぶった。

「わ、わ! わわわあっ!!」

 氷輪丸の圧に押されて、どてん、と何者かはどんくさく倒れ込んだ。
 いたた、と尻をさするその相手は、日番谷の良く見知った女性だった。

「あー! やっぱり冬獅郎くん! 冬獅郎くんだよね!!」
「おまえは……、井上?」

 出会えた歓喜に目を大きくするその女性は、人間にして特異な力を持つ者。
 いつぞや世話になった人間の女性――井上織姫だった。
0138理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:22:51.78ID:7wS2oedQ
 ■


「やーよかったー! 冬獅郎くんいつもの死神の格好じゃなかったから!
 ひょっとすると他人の空似!? お兄さん!? って思って声かけづらくって」
「格好のことは言うな」

 日番谷の現在の格好は、聖十字騎士団のそれである。
 プライド的に、まさか敵にまんまと操られていた時に、
 無理やり着せられてたなどとは口が裂けても言えなかった。

 しかし、と日番谷は思う。
 どうやらあの名簿は、まんざら嘘ではないらしい。
 井上織姫は名前があった。そしてここにいる。自分もここにいる。
 となると藍染やユーハバッハがこの世界のどこかにいる可能性は俄然高いということだ。

「井上、おまえは――」 
「いやーそれにしてもびっくりしたなー。オンスロート……さん?
 神さまだから、様、かな……? にいきなり連れてこられたんだもん!
 ……ってそうだ黒崎くん!!」

 コロコロと表情を変えていく織姫は、思い出したようにその名を呼んだ。
 
「日番谷くんどうしよう! 黒崎くん、ユーハバッハに負けちゃったんだ!!」
「――!! なん……だと……!?」

 織姫は話し始めた。黒崎一護と自分は、ユーハバッハと戦っていたと。
 その中で、ユーハバッハの能力『全知全能』の真の力を見たと。
 黒崎一護の卍解、天鎖斬月も、六花による拒絶も、『全知全能』の前には通じなかったと。

「なんてことだ……!」

 未来を改変する力。日番谷の知る限り、それはどんな能力より強大な力ではないか。
 こちらがどんなに回避行動をとっても、奴の剣は「あたる」し、
 こちらがどんなに攻撃を当てようとしても、奴は「躱す」ことができるのだ。
 『全知全能』の名に恥じぬ恐ろしさだ。

「はやく、はやく黒崎くんを助けないと――!」
「落ち着け! 井上!!」

 焦り狂う織姫を、日番谷は一括した。
 びくりと身を震わせて静止する織姫を見て、言う。
0139理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:23:10.01ID:7wS2oedQ
「大丈夫だ。黒崎一護はそんなことで諦める奴じゃねぇだろ。
 あいつもこの世界のどっかにはいるんだ。つまり死んじゃいねぇ。
 それに、奴の能力を俺が知れたことは大きい」
「日番谷くん……!」

 織姫はくっと唇を噛んで、両の手で頬を張った。
 ぱちーんとはじける良い音がして、いつもの、太陽のような笑顔を見せた。

「そうだね! 黒崎くんも、浦原さんも、ちょっと怖いけど
 更木さんもいるんだもんね! 私も頑張らないと!」
 
 よーしやるぞーと意気をあげる織姫を見て、
 なんだか日番谷はなんだか気の抜ける思いだった。
 そして、背後の岩陰に視線をやる。

「ところで、そろそろ出てきたらどうだ?」

 織姫がほえ? と日番谷の視線を追う。
 その先の岩陰からぬうっ、と、長身の男が這い出てきた。
0140理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/29(日) 19:23:33.39ID:7wS2oedQ
 ■


「何者だ、答えろ」

 氷輪丸をかざす日番谷を、その男は眼鏡の奥からじっと見ていた。
 紺色の、流れるような神父服。首から垂らすロザリオ。
 聖十字騎士団ではないだろう。いわゆる現世の聖職者か。と日番谷は思う。

 男はゆっくりと口を開いた。

「少年。私の名はアレクサンド・アンデルセン。神父だ。
 二人にひとつ、尋ねたい。……先ほどの話は本当か?」

 視線を落とすアンデルセン。日番谷は氷輪丸をいつでも解放できるように、
 万全の態勢で話に臨む。

「そうだ。俺は護廷十三隊十番隊隊長、日番谷冬獅郎。死神だ」
「私は――」
「死神ィ……?」

 陽炎のごとくゆらりと動くアンデルセンに、日番谷は強い目を向け続ける。
 アンデルセン。名簿にあった名前だ。
 織姫は神父と聞いてほっと安心したのだが、
 アンデルセンの雰囲気の変化に戸惑った。 

「だ、大丈夫だよ日番谷くん! 神父さまだって! 神父さま、私たちは――」
「まて! 井上!!」
 
 叫ぶや否や、日番谷は織姫の前にかけだし、そして氷輪丸をかざす。
 戦闘態勢に入っている日番谷に、織姫は焦った。

「ちょっ……! 日番谷くん!」
「血のにおいがするぜ」

 神父の口から「シィィッ」と吐息が漏れた。

「アンタ……、血の臭いがするぜ。それも二人や三人斬ったなんてもんじゃねぇ。
 何人も何年も斬り殺し続けて、血が取れなくなった、殺人者の臭いがな」

 神父――アレクサンド・アンデルセンは、日番谷のセリフを聞き終わると、
 どこからともなく二本のバヨネットを取り出した。
 そして、両腕を十字架を表すように大きく交差する。

「我らは神の代理人。神罰の地上代行者」

 ギギギギギギ、とアンデルセンは歯を噛み締める。

「我らが使命は我が神に逆らう愚者を――、その肉の一片までも絶滅すること」

 空気が張りつめる。

「AEMN」
0141理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:24:16.11ID:7wS2oedQ
 ■


 アンデルセンと日番谷が剣を撃ち合わせる。
 アンデルセンはバヨネットの二刀流。日番谷は氷輪丸の一刀。 
 弾き弾かれ、二人はその中心を円状に流れ、回る。

 アンデルセンは怒っていた。
 オンスロートにももちろんそうだが、目の前のこの少年にもだ。
 死神。死の神である。
 目の前の少年はあろうことか、自分のことを死神だと名乗った。
 普段なら、子供のいたずらなら、アンデルセンも拳骨の一つでも落として終わるところだ。
 だが、先の話。「ユーハバッハ」、「全知全能」、「聖十字騎士団」。

 それはすべて、アンデルセンには神への侮辱に他ならなかった。
 異教の神、違う神を語るなら、ただの異教徒の類で終わりだ。
 だが、よりにもよって、Y−H−V−H<ユーハバッハ>だと……。

「シィィィィィッ!!!」

 何合かの撃ちあいの果てに距離が開く。
 この子供は、子供ながら長剣を使いこなしている。 
 身体能力も恐るべきものがある。その辺の吸血鬼よりよっぽど強く、速い。

 その子供――日番谷冬獅郎は、恐るべきことを口走った。
0142理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:24:29.22ID:7wS2oedQ
「弱いな、アンタ」
「!?」

 アンデルセンは驚愕する。
 日番谷は肩透かしだったとでも言いたげな表情だった。

「この俺が……、弱いだと」
「弱いね、力も速さも大したことねぇ」
「オオォォォオオオォオオ!!!」

 アンデルセンが渾身を力で斬りかかる。
 日番谷は落ち着いた様子で一息つき、

「――――!!」

 アンデルセンを体ごと、あっさりと斬り捨てた。
 

 左肩から右わきまで袈裟切りされたアンデルセンは、糸の切れる様にばたりと倒れる。
 その様子をみて、日番谷は氷輪丸をおさめた。

「日番谷くん! 殺してー……」
「ねぇよ。殺すまでもねぇ」

 駆け寄った織姫に視線と答えを投げる。
 アンデルセンに背を向けて、日番谷は立ち去ろうとした。

「あ、えとー」

 織姫がおろおろしていると、背後でゆらり、と音もなくアンデルセンが立ち上がる。
 アンデルセンは「再生者」。この程度の傷は難なくふさがり、元通りである。
 再びバヨネットを構え、攻撃の為に二人を視線に収めた。

「やっぱ、なんかあったか」
「!?」

 その瞬間、背後から日番谷の声が聞こえた。 
0143理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:24:53.68ID:7wS2oedQ
 アンデルセンが振り返ると、そこには氷輪丸を抜いた日番谷が立っている。
 反射的にバヨネットを投げようとするが、アンデルセンはそこで腕が動かないことに気付いた。

「な……に……!?」

 アンデルセンの両腕は凍り付いていた。
 地面から延びた氷が、楔のようにアンデルセンの動きを止めている。
 しかし、並の氷ならばアンデルセンの怪力を持ってすれば破壊できる。
 つまり、これはただの氷ではない。

「俺の氷輪丸は氷雪系最強。言ってもわかんねぇかもしれねぇが、
 お前程度を凍られるくらいなんてことはねぇさ」
「ぐ、ぐぅぅぅぅぅ!!!?」
「どうやら再生能力を持ってたみたいだな」
 
 日番谷はガチャ、と氷輪丸を水平に掲げた。 
 するとアンデルセンの身体全体が徐々に凍り始める。

「貴様……、法術師か……!」 
「死神だ」

 アンデルセンを這う氷が、その顔まで差し掛かった時、
 織姫が叫んだ。

「まって! 日番谷くん!!」

 氷の浸食がおさまる。日番谷は織姫に視線をやった。

「殺しちゃだめだよ! その人、死神でも虚でもないよ!」
「じゃあ滅却師かもな。実際十字架下げてやがるし」
「弓を使ってないよ!」
「…………おいおい」

 アンデルセンそっちのけで、日番谷と織姫は口論し始めた。
 殺さないでだの殺すだの、助けなきゃだの、と。

 アンデルセンはかつてない屈辱の中にいた。
 異教徒に軽くあしらわれ、大したことないと言われ、
 生殺与奪を握られ、挙句蚊帳の外である。
0144理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:25:38.27ID:7wS2oedQ
 アンデルセンは今すぐこの二人を殺してやりたかった。
 身体に力を入れる。かつてない怒りはかつてない力を引き起こす。

「ぐ……、ぬ、あ、あ、あ、ああ!!」

 ぶるぶると氷ごと体が揺れ始め、そして肉が裂ける音がした。
 氷の内側に血が流れていく。
 凄まじい氷結、凄まじい強度。「再生者」とはいえ、
 完全に喪失した部分は再生できない。
 この氷を力ずくで破壊すれば、間違いなく肉体はずたずたになるだろう。
 だがアンデルセンに迷いはなかった。

「ぐうぉ、ぉああああああああ!!!!!!」

 氷を引き裂き、破壊し、アンデルセンは飛び出した。
 肉体がつぶれ、引き裂かれ、血飛沫を巻き上げながら。
 織姫がうっと顔を抑えた。
 日番谷すら、さすがに顔をしかめた。

「何やってんだおまえ……!」
「使命を果たす!! 我が使命はァ、我が神に逆らう愚者を……!!」
 
 視界の端に氷角が見えた。
 そこまでで、アンデルセンの意識は途絶えた。
0145理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:26:07.25ID:7wS2oedQ
 ■
 

 次にアンデルセンが目覚めたとき、それは不可思議な膜の中だった。
 目線を下げると、少女が膜に手を翳している。少女の術式のようだった。

「あ、目が覚めたんですね!」 

 少女、井上織姫が笑顔を浮かべた。
 アンデルセンはっとして、思わずとびかかった。
 が、少女に斬りかかることはかなわなかった。膜に弾かれたのだ。

「ダメですよ。まだ治ってないんですから」
「な、に……?」

 アンデルセンが体を見ると、ボロボロだった体が、元通りになっていた。
 裂けて崩れていた肉も、露出した骨も、何事もなかったかのように元通りである。
 それどころか服すら直っている。

「井上に礼を言うんだな」

 織姫の背後、岩陰に背をゆだねていた日番谷が言った。

「女、これはいったい何の秘術だ……」
「え? ええとこれは双天帰盾と言って、内部の事象? を拒絶して……」

 織姫の説明を受けて、アンデルセンは怒りを通り越して、飽きれてしまった。
 事象の拒絶。それはつまり、起こってしまったことを「無かったこと」にする
 ということだろう。
 神の領域に踏み込む御業だ。奇跡だ。罪深い。

「少女よ」
「井上織姫です!」
「……井上織姫。キミは自分の力がどういうモノかわかっているのか?」
「はい! みんなを護れると思ってます!」
「……」

 あっけらかんとした返事に、アンデルセンは言葉を失った。
0146理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:26:28.23ID:7wS2oedQ
 ■


 双天帰盾によって再生したアンデルセンは、
 日番谷監視の元、織姫と話し合い、少なくとも今はもう日番谷を斬らないことを誓った。

「どうした、俺を斬るんじゃなかったのか」
「おまえはいずれ殺す。必ず塵芥にしてやる。だが、恩人の願いを軽々と無視はできん」

 アンデルセンがちら、と一瞥すると、織姫はVサインと笑顔で迎えた。
 そう、アンデルセンが斬らないと誓ったのは、織姫がアンデルセンに提案し、願ったからだった。
 さらには、自分たちと共に行動しようとも。織姫は言った。

「言っておくが、俺はアンタに気を許したわけじゃない」
「俺もそうだ。むしろ今すぐに貴様は斬りきざんでやりたい。だが、それをするには力が足りん」

 アンデルセンは、先ほどの戦いと、聞いたばかりの織姫の話を照らし合わせる。
 死神、虚、滅却師。そして滅却師の、まさに神のごとき力の持ち主、ユーハバッハ。

 悔しいことだが、今の自分では到底及ばない。
 自身の長所である再生術にしても、双天帰盾のようなものを見たあとなのだ。
 霞んでしまっている。

「じゃあ三人だしトリオですね! そうだ! せっかくだし、トリオ名つけようよ!!」
「「却下」」

 織姫のトボけた提案を一蹴すると、日番谷とアンデルセンは話し出す。

「まずは何処へ行く、死神」
「さぁな、見た感じどこまでも荒野だ。しばらく歩かなきゃ始まらねぇさ」
「それもそうだな」
「あっ、待ってよー速いよー!」

 そういって三人は歩き出した。
0147理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:27:01.62ID:7wS2oedQ
【界王神界を模した小惑星/一日目朝】


【井上織姫@BLEACH】
[状態]:健康
[装備]:盾舜六花
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロート様?と戦わなきゃ!
1:黒崎くんたちどこだろう?
2:ユーハバッハや藍染さんには気をつけなきゃ……
3:アンデルセンさんって、意外と優しいんじゃないかな?
[備考]
※参戦時期は74巻にて一護が一度ユーハバッハに敗北した直後。
 
0148理不尽な戦力差 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:28:04.64ID:7wS2oedQ
【日番谷冬獅郎@BLEACH】
[状態]:健康
[装備]:氷輪丸、聖十字騎士団の制服
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを倒す
1:黒崎たちを探すか
2:ユーハバッハ、藍染は出会ったら倒す
3:アンデルセン、気の抜けない奴だ
[備考]
※参戦時期は74巻、ジェラルドと交戦開始直後です。


【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING】
[状態]:健康
[装備]:バヨネット、エレナの聖釘
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを滅ぼす
1:アーカードを滅ぼす
2:ユーハバッハも滅ぼす
3:死神たちも最終的には滅ぼす
[備考]
※参戦時期は8巻、エレナの聖釘を使用する前です。
0149 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/29(日) 19:28:29.70ID:7wS2oedQ
本日はここまでです。ありがとうございました
0151笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:40:11.89ID:xY+n/D2w
 その男に近づくだけで、物も肉も塵と化していく。

 グリーンアローは飛び移るようにガレキのスキマからスキマへと飛び移り、
 目標を定まらせないように動き回る。まるでジャングルの野生動物のように
 しなやかに、時にワイルドに。

 一瞬後、グリーンアローを補足した敵が剣を一つ払うと、
 ボッ! という炸裂音と共に、ガレキの山は蒸発したように消えて失せた。 
 技後硬直を狙い、アローの弓が飛ぶ。
 しかし、まっすぐに狙い定めたはずの弓は、敵を目前に宙で塵と消える。

「ちぃっ! なんてぇ野郎だ!! 反則だぜ……!」

 また移動し攻撃を躱しながら、彼は悪態をつく。敵の剣の一凪ごとに、
 消しゴムをかけたように滅んだ街は跡形もなく消えていく。
 アローはそれでもかまわず弓矢をうち続けた。
 
 敵――藍染惣右介――は、余裕の笑みを崩さない。
 しかしその脳裏には、今一つ疑問がある。

 目の前の老人は、手慣れた動きを見るに、相当の場数を踏んでいる。
 おおよそ人間でありながら、ここまで縦横無尽にかつしなやかに
 戦闘をこなすこの男は、パワーに偏って技巧に劣りがちな死神や破面に比べると、
 驚くほどしたたかである。
 おそらく相当に頭も回るはずだ。それがなぜ、効かないとわかっている攻撃を繰り返すのか。

 藍染の疑問は正しい。
 グリーンアローは自身の攻撃が通用しないことは百も承知である。
 その上で攻撃を重ねて注意を引く――、そう。注意を引いているのだ。

 藍染が歩みを進める。
 その道の端に、ガレキの中で、藍染を見通す存在がいた。
 彼は藍染が通りすがったのを見計らい、ガレキを跳ね上げて一気に飛びかかった。

 藍染は、笑っている。

 狙い澄ましたのは自分だと言わんばかりに振り返ると、
 その飛びかかった何者かに手をかざした。とたん、宙域が歪む。
 他ならぬ藍染の発する異常なまでの霊圧によって。
 歪められた空間は接触する物体を粉砕し――、男の体が藍染に触れる前に霧散させた。
0152笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:40:33.08ID:xY+n/D2w
「ローガン!!」

 グリーンアローは思わず叫んだ。
 作戦は失敗だ。唯一の勝機が、今消えたのだった。
 藍染惣右介は笑っている。

「キミは囮、彼が攻撃。シンプルだが効果的な作戦だ。……だが、相手が悪かったね」

 藍染がグリーンアローを見る。
 彼はまだ完全に戦意を失ってはいない。状況判断ができないほどバカには見えないが……。
 いや、だからこそ自分からは逃げられないのだと悟っているのだろう。

「ココで殺すには少々惜しい気もするが、まぁ仕方ない。死んでくれたまえ」

 藍染が剣を掲げた。その時だった。

「『残心』って奴がないぜ、坊主」

 背後から静かに響く声。
 藍染が一瞬驚愕し、振り向いた瞬間。

 男の――、ローガンの爪が、藍染の胸を貫いた。

「ローガン!!」

 アローが叫ぶ。藍染が吐血する。反応を確かめてから、
 ローガンは間髪入れず振りかぶった右爪で袈裟に切り裂いた。 

 藍染が血を巻き上げて倒れ伏す。
 彼の目が捉えた者は、自身の『破壊』を上回る速度で再生するローガンの姿だった。

 ――ああ、なるほど。

 藍染がピクリとも動かなくなったのを確認してから、アローはローガンに駆け寄った。
0153笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:40:53.04ID:xY+n/D2w
「やったな、オイ! やりやがったな、オイ!!」
「騒ぐな。俺にとっちゃあ、このくらい屁でもねぇさ」
「強がりを言いやがるぜ」

 アローはローガンの能力『ヒーリングファクター』について聞いていた。
 この作戦を提案したのはローガンだった。
 自分の再生能力なら、奴の破壊に抗って、とどめを刺せる。と。
 
「しかし、やべぇ奴だった。オンスロートって奴は、マジでやばい奴みてぇだな」
「言っただろうオリー。ヤツぁ……!!」

 ローガンが言葉を止めたので、グリーンアロー=オリバー・クィーンは尋ねた。

「どうした? ローガン」
「……クソったれが」

 オリバーが振り返った視線の先。そこには切り裂かれ貫かれ、
 死んだはずの藍染が何事もなかったかのように立ち上がっていた。

「な、なん……だと……!?」
「再生能力もちかよ……」
「違うな、不死だよ」

 再び爪を構えたローガンに、藍染は言った。

「私は死を超越している。残念だが諸君。少なくともこの程度では私は倒せない。
 とはいえ私に一撃を入れたその再生力。自身が崩れていく過程にひるまない勇猛さ。
 素晴らしいと褒めておこうか」
「クソッタレ! 上から目線でモノ語りやがって……!」
 
 アローが悪態をつく。
 最悪の展開だ。打つ手がない……。

 藍染は歩を進める。
 アローとローガンは決死の想いだった。

 藍染が歩を止める。
 アローは何事かと身をすくめ、ローガンが鼻を鳴らした。
0154笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:41:10.06ID:xY+n/D2w
「なんだ……、この臭いは……?」

 藍染が空を見る。朝焼けの空は美しい。
 その景色を、雲を切り裂いて、男は現れた。

 山吹色の道着、紺色のインナーとベルト。横広がりの独特の黒髪。

「おめぇたちに聞きたいことがある」

 孫悟空ここに立つ。
0155笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:41:29.20ID:xY+n/D2w
 ■



 そもそもの始まりは、グリーンアローとローガン=ウルヴァリンの出会いから始まった。
 ガレキに塗れた街。激戦か、虐殺か、あるいは戦争でも起こったような街で、二人は出会った。
 そのふざけた(いい意味で)格好から、一目でお互いにスーパーヒーローの類だと気づいた両者は、
 すぐさまオンスロートを倒すべく情報を通わせた。

「オンスロートは俺たちが一度倒している」 

 ローガンの言葉に、アローは驚愕した。
 どういうことかと詰め寄ったら、ローガンはオンスロート事件の子細を話した。
 そのために、まず「自分たちのアメリカ」について話すことになった。

「俺はあの見せしめにされたやつを知っていいる」

 アローの言葉は、ローガンを驚愕させた。
 あの半裸の巨人はスペクターといい、全能の力を持った復讐の精霊だと言った。
 ”復讐の精霊”と言う言葉にローガンはゴーストライダーを思い浮かべた。
 ライダーの特徴を話すと、アローは「だいたいそんなもんだ」と言った。

 「似たような」ヤツがいるもんだな。
 ローガンはニヒルに笑った。

「とにかく」
 
 ローガンが続ける。

「俺はX-MENの仲間たち……、とアベンジャーズを集めなきゃならねぇ。
 あいつらとならオンスロートも倒せる……、いや。今度こそ地獄に送ってやれる」
「俺はジャスティスリーグのメンツを集めるぜ。なぁに、スーパーマンやバッツにかかりゃ、
 あんなやつ大したことねェさ」

 二人は握手を交わし、互いの脳裏に浮かぶ名前の中で
 気を付けるべき相手と、信頼できる相手の名を交換した。
 
 そして二人は別れる直前。
 藍染惣右介に襲撃にあったのだった。
0156笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:41:48.84ID:xY+n/D2w
 ■



 突如として空から現れた来訪者に、藍染は目を細めた。
 威風堂々と立つこの男は、間違いなく強い。霊圧は感じないが、藍染にはわかった。

 しかし、自分に並びはしない。

「聞きたいこと……。何かな? その前に、まず人にモノを尋ねる前に、
 自身の名を出すべきだという定型文を言わねばならないかな?」
「オラは孫悟空だ。聞きたいことは、おめぇらがこの殺し合いにのってるか、ってことだ」

 ほぅ、と藍染は思う。
 この男は、自分の力を分かっていないらしい。
 いや、仕方のないことだ。死神も虚も超越した存在となった自身の力は、
 もはや格下のモノには推し量ることすらできない。
 人に海の広さを正確に図ることができないように、強くなり過ぎた自分に比肩する者はない。
 たとえユーハバッハであろうと、更木剣八であろうと、今の自分を殺すことはできないだろう。

「のっている、と言えば。キミはどうするのかな……?」
「おめぇたちを止める。こんなくだらねぇゲームにのっちまうヤツは、
 見逃しておけねぇかんな」
「ほぅ……。大した正義感だ。だが知りたまえ。力なきものが語る正義ほどの……」

 藍染は悟空に歩み寄る。

「虚無はないのだと!!」

 藍染は恐るべきスピードで悟空に襲いかかる。
 それは普段から超人種――ヒーローを見慣れているアローとローガンの二人にも
 辛うじてしか動きが追えないほど速い。
 しかし以外にも悟空はあっさりと身を躱した。藍染が勢いそのままに剣を振りぬくと、
 悟空の背後に鎮座していた潰れかけのビルが消し飛んだ。
0157笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:42:09.60ID:xY+n/D2w
「ひゃ〜、おめぇすげぇな」
「驚いたようだね。刀の一振りで地形が変わる。それが今の私の力だよ」

 得意げに語る藍染をよそに、悟空はあっけらかんとしていた。
 藍染が眉間にしわを寄せる。
 今の斬撃で力量を把握できないのか。強いのかと思っていたが、
 見込み違いだったか。
 藍染は笑みを取り戻す。まぁいい、と。
 それならただ殺すだけだ。 

 藍染の剣閃が花のように開いて輝く。
 ローガンとアローが叫ぶ。確実に悟空を殺すために振りぬかれた一撃は、
 しかしながらあっさりと悟空に受け止められた。 

「……馬鹿な!?」
「それでおしめぇか?」
 
 悟空は変わらずあっけらかんとしている。 
 まるで刀を止めたこと自体、何の不思議でもないかのように。
 藍染は飛びのいて体制を整える。
 
 今のは偶然だ。
 いや、偶然でもあり得ないことだが、止められたのは事実だ。
 藍染は考える。
 こいつは霊圧の類は持っていないが、膂力において格別な力を持っているのかもしれない。
 すくなくとも今程度の一振りは簡単に受け止めるほどの強さ。

 ならば――。

 藍染が天を指す。

「どうやら膂力に自信があるらしい。
 だが自惚れるなよ……、私の力はこんなものではない。
 だが万が一もある。奇跡は起きぬぞ孫悟空! 私の鬼道で葬ってやろう!!」
0158笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:42:29.98ID:xY+n/D2w
 藍染が口ずさむ。

「滲みだす混濁の紋章。不遜なる狂気の器。
 湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げ……!!」 

 ズン! と鈍い音。
 藍染が腹をクの字に曲げて倒れ行く。
 悟空が藍染の腹に体ごと飛び込んだひじ打ちを喰らわせたのだ。

「わりぃわりぃ、隙だらけだったもんだから、つい……」

 呼吸に苦しむ藍染に、悟空が申し訳なさそうに言った。
 ローガンも、アローも、すっかり驚き果てている。
 なんてむちゃくちゃなやつだ……。無茶苦茶な強さだ。
 まるでハルクのようなやつだ、とローガンは思い、
 まるでスーパーマンみてぇなやつだ、とアローは思った。

 藍染がふらついた足で立ち上がる。
 悟空はちょっとだけ驚いて見せた。

「おめぇまだ立てるんか。思ってたよりずっとタフだな」

 感心してさえいるようなその言葉、口調。
 藍染は屈辱と混乱に溺れていた。

「莫……迦……な……!」

 ありえない。崩玉を取り込み、不死者となり、超越者となった自分が、
 人間一人に手も足もでない現実。

「思い……上がるな……!」

 藍染は怒りで立ち上がった。そして叫んだ。

「思い上がるなよ人間が!!!」 
0159笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:42:49.98ID:xY+n/D2w
 悟空の周囲に黒い幕が現れる。さながら棺のように彼を囲んだ重力の奔流は、
 先ほど放とうとした黒棺の詠唱破棄した姿だ。
 悟空が棺に閉じ込められると、藍染は鬼道を撃ちこむ。

「破道の七十三『双蓮蒼火墜』! 破道の九十一『千手皎天汰炮』!」
 
 黒棺が歪むのと同時に、二種の鬼道が炸裂した。
 藍染は端から黒棺は足止めのためとして使用した。
 詠唱破棄した黒棺がどれほどだ時につながるかわからない。
 一瞬動きを止めればそれでよし。

 爆炎に包まれる悟空に、さらに追撃を加えた。

「破道の九十九『五龍転滅』!」

 地を砕いて現れた、霊力で造られた巨大な龍が悟空をかみ砕かんと迫った。
 さすがにまずいとアローが弓を引くが、ローガンがそれを止めた。

「なぜだローガン! 何で止める」
「効いちゃいねぇ!」
「!?」
 
 アローは驚きに口を鎖す。

「あいつ……、なにもんだ」

 ローガンの呟きに最も同意したのは、あるいは藍染かもしれない。
 煙が晴れたその先にいる悟空は、全くの無傷であった。
 しかも、先ほどとは全く様子が変わっていた。

 今の悟空は横広がりの黒髪は逆立った金色の髪へ。黒目は碧く、
 その体から輝く黄金のオーラを纏わせている。

 超サイヤ人だ。

「今のはちょっとおでれぇたぞ……」
「なん……だと……!?」
「じゃあ今度はオラの番だな」

 悟空が腰溜めに構える。球状に作った掌に、碧いオーラが集まっていく。
0160笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:43:09.59ID:xY+n/D2w
「な……!!」

 藍染は不覚にも恐怖した。
 それは霊圧ではない。たしかにそうだ。だが、それを喰らってはまずいと、
 ほかでもない、崩玉が告げているような気がした。

 思えば、なぜたがたが人間に上をいかれることを崩玉が黙っているのだ。
 なぜ反応しないのだ。なぜ……。

 そこで藍染は、あり得ない結論にたどりつく。


 ――まさか、崩玉が最初からあきらめているのか……。この男には勝てないと。


「か、め、は、め……」
「く……! 縛道の八十一『断空』!」 
「波ぁーっ!!!!」

 放たれたエネルギー波は藍染の断空をあっさりと破壊して、彼ごと彼方まで吹き飛ばしたのだった。

「ふぅーっ」

 藍染が空に消えると、悟空は元に戻った。
 ローガンとアローもソレを確認すると、悟空に話しかけた。
0161笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:43:31.15ID:xY+n/D2w
 ■


「いや、オラもビックリしてんだ。魔人ブウと戦いにこの世に戻ったら、
 いきなり殺し合いしろって言われてさぁ」

 悟空の経緯はこうだ。
 ゴテンクスまでも吸収し、魔人ブウに劣勢の息子悟飯を助けるために、
 界王神から命をもらって現世に向かったところをオンスロートに拉致された。

 戦うのは好きだが、殺し合いを強要されるのはなにか違う気がするし、
 オンスロートはぶっとばしたほうがいいだろうと思い行動している。

「少なくとも敵じゃなくて安心したぜ……」

 アローはほっと息をついた。本心である。さっきの奴にあれだけてこずったというのに、
 そいつをも軽くひねれる、こんなスーパーマンみたいなやつが殺し合いにのっているなら、
 とてもじゃないがオンスロートにたどり着ける気がしない。
 ローガンも嘘をついている臭いではない、と太鼓判を押したのも効いた。

「んじゃあローガンとアローは、別行動でいいんだな?」
「いや、気が変わった。しばらくはおまえと一緒に行動する」
「どうしてだ?」

 悟空の問いに、ローガンが答える。

「さっきのおまえの話を聞くに、どうやらオンスロートは
 とんでもねぇ化け物どもをかき集めているらしいからな。
 殺されるつもりはねぇが、おまえの言うセルやフリーザに出くわしたら
 さすがの俺もどうなるかわからんからな。年寄りにゃきついぜ。全く」
「いや、それなんだけどな。なんか魔人ブウもいそうなんだよ」
「なに?」

 アローは目を閉じた。リストを眺めるが、魔人ブウの名はない。

「のってねぇぞ。そんな名前」
「いや、オラ気を感じるんだ。絶対あいつはこの世界のどっかにいるぞ!」
「オンスロートがバカ正直に何でもかんでも提示してるとは限らねぇ。
 リストが嘘の可能性もある。まぁなんにしても、ヤバい奴らだらけなのは間違いなさそうだが」

 まぁなんにせよ。とアローは言った。

「おまえみたいなのが仲間だと助かるぜ。改めて自己紹介するが、
 オレはグリーンアロー。そしてお前を仲間だと信じて名を明かすが、
 本名はオリバーだ。オリバー・クィーン」 
「俺はローガン。名簿にゃウルヴァリンってのってるが、そいつが俺だ」
「オス! オラは孫悟空。よろしくな! オリバー、ローガン!」
「………」

 できればヒーロー名で呼んでほしいグリーンアローであった。 
0162笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
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2017/10/31(火) 10:43:51.18ID:xY+n/D2w
【崩壊した西の都を再現した惑星/一日目朝】

【ウルヴァリン@X-MEN】
[状態]:健康
[装備]:ヒーロースーツ
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを倒す
1:X-MEN、アベンジャーズ、リードと合流する
2:セル、フリーザとかはヤベェな
3:悟空は信頼できそうだ
[備考]
※参戦時期は『ハウス・オブ・M』の後のようです。


【グリーンアロー@JUSTICE LEAGUE】
[状態]:健康
[装備]:弓矢
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを滅ぼす
1:スーパーマンたちと合流。なぜスープスが2人……?
2:悟空ばっか頼りにゃしねぇぞ
[備考]
※『フラッシュポイント』以前のグリーンアローです。
0163笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/31(火) 10:44:11.64ID:xY+n/D2w
【孫悟空@DRAGON BALL】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:オンスロートを倒す
1:ベジータに悟飯! それにトランクスにブルマもいんのか!?
2:セルにフリーザか、一応気をつけっか!
[備考]
※原作四十二巻、悟飯を助けに瞬間移動で戻す途中の時期から参戦です。




「ぐぅぅ……!! ああっ!!!」

 遥か果ての果て、かめはめ波からようやく逃れることができた藍染は、
 宇宙へ飛んでいくそれを見届けながら、怒りと屈辱に、そして新たなる歓喜に歪んでいた。

 崩玉のもちうる超越者など、大したことはなかった。
 死神も虚も、大したことはなかった。
 
 天の座を狙うべき自分は、最も強くあらねばならない。
 ここで生き延びたことは大変意義がある。

 上を目指さねばならない。

「孫悟空……!!」

 藍染は笑っている。
 そこには感謝がある。新しいおもちゃを見つけた子供のように、歓喜があった。
0164笑えよ、超越者 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/31(火) 10:44:27.08ID:xY+n/D2w
【藍染惣右介@BLEACH】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:崩玉、斬魄刀
[道具]:基本支給品(七日分の食料入りホイポイカプセル)
[思考]
基本:さらに上の存在へと進化する
1:黒崎一護たちなど、もはやどうでもいい
2:孫悟空について早急に調べなければ
3:不死でよかった
[備考]
※参戦時期は47巻。断界から出た直後から参戦。
 崩玉の力で不死です。 


 
0165 ◆Dbja0ebxMY
垢版 |
2017/10/31(火) 10:44:45.40ID:xY+n/D2w
以上となります。ありがとうございました
0166創る名無しに見る名無し
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2017/12/27(水) 09:30:27.49ID:C1Z7QFDy
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

95IVPC45F3
0168創る名無しに見る名無し
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2018/05/21(月) 09:18:50.04ID:tRZnwP6O
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

ED0LZ
0169& ◆8E2SPfHGT.M5
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2018/06/12(火) 18:45:09.55ID:7uB4CtG/
新参者です。
宜しくお願いします
明日自分の新ロワを発表させていただきます。
0170& ◆8E2SPfHGT.M5
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2018/06/12(火) 19:51:05.60ID:7uB4CtG/
侍ジャパンの1席ロワイアル
主催者稲葉篤紀
参加者
秋山拓巳/安部友裕/井上晴哉/内竜也/榎田大樹/大田泰示/岡本和真/小川泰弘/金子千尋/菊池雄星/城所龍磨/京田陽太/桑原謙太朗/酒居知史/柴田竜拓/砂田毅樹/高橋周平/長野久義/中田翔/中谷将大/中村奨吾/中村剛也/野村雄輔/二木康太/福田永将/丸佳浩/宮崎敏郎/山川穂高
28/28名
0171& ◆8E2SPfHGT.M5
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2018/06/12(火) 20:53:43.39ID:7fEMirdF
思いの外早く完成したので投下します
0172試合開始◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/12(火) 20:58:14.34ID:7fEMirdF
自分の家で眠り翌朝の試合に備えていた阪神タイガース投手秋山拓巳。
抜群のコントロールで阪神の二番手エースとして活躍中の彼だが目を覚ますと自分の家ではない別の空間にいた。
「拓巳、ようやく起きたか」
目の前には桑原さんがいる
背番号64のユニフォームを身に纏っており阪神タイガースの帽子も被っている。だがしかし普段とは違い首輪をつけている
「今から試合ですか?」
「俺にはわからない、ただ他にも色々な選手がいる。誰かが何か知ってるかもしれないな。」
「そうですね、誰かに聞いてみましょう。」
と立ち上がって辺りを見回すと中田さんや宮崎さん、更には同じチームの将大もいる。
「将大!お前もいたのか!」
「秋山さんに桑原さん。」
将大が俺達に気付いてこちらを振り向き立ち上がろうとした時、
「おはよう、皆、侍ジャパン監督の稲葉篤紀だ。」
「「「稲葉さん!!!」」」
その場にいた多くの人物がこれのした方を振り向く。
「今、侍ジャパンには席がいくつか空いている。その席を君たちで争ってもらおう。」
バックスクリーンを模した画面に映る稲葉さんが言う。
「争うって何で争うんですか?」
と将大が聞く。
「殺し合いを行い勝った者に侍ジャパンに入る権利を渡す。」
「殺し合いだと!」
「そんなことできるわけがない!」
「とっとと帰らせろ!」
相手が目上の人間であるにも関わらず周りの人間は稲葉さんに馬尾雑言を浴びせる。
「全く、お前達は痛い目に遭わないとわからないみたいだな。」
稲葉さんがリモコンのスイッチを押すと
「な、なんだよ、これ!」
小川さんが叫ぶと彼の首輪から電子音が鳴る。
「俺に逆らった者はこうだ!」
爆発音と共に小川さんの首が吹き飛び血の雨が降る。
「小川!」
中田さんが叫び他の人達はその場から離れるように引いていく。
「俺の力をわかってくれたかな?
それでは早速プレイボールだ。」
俺達の感覚が徐々に何かに吸い込まれていき眠気に襲われる
消え行く感覚の中で俺は誘った
これがきっと殺し合い開始というものなのだと、、、

残り27人
0173& ◆8E2SPfHGT.M5
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2018/06/13(水) 07:49:38.26ID:QDcvGvCo
自分のロワの地図ができたので投下します。
0123456789
A平平平ダム平森森森
B住住平川川平平森森
C住住橋橋平平平平平
D工工川川平平球球平
E平平平川川平球球平
F住住平川川平平平病
G住住平施川川平住住
H屋平平橋橋平平住住
I平平川川平平平平シ
平ー平原
森ー森林
住ー住宅街
工ー工場
球ー球場(甲子園)
施ー下水処理施設
シーショッピングモール
病ー病院

Bー1診療所あり
Cー1コンビニあり
Gー8コンビニあり
0174中村奨吾の確認◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/16(土) 05:38:04.88ID:GTGvi8Yj
千葉ロッテマリーンズ所属
正二塁手の座を掴み取り、いよいよ軌道に乗ってきたこの俺中村奨吾
しかし、この良い時期に時期に稲葉さんによって俺達は殺し合いに参加させられた。

「ここは何処だ?」

俺が目覚めたのは、見知らぬ病院のベットの上だった。

「これは、、、なんだ?」

俺のすぐ横には、デイバッグが置かれていた。
中を確認するとパンとペットボトル2Lに入った水、方位磁石、時計、地図、ルールブック、参加者名簿、謎の袋があった。

(俺以外にロッテで参加させられてるのは井上さん、内さん、二木か)

そしてルールブックにはこう書かれていた。
1、ゲームを終了する方法は殺し合いで最後の1人に生き残るのみである。
2、デイパックの中には、 パンとペットボトル2Lに入った水、方位磁石、時計、地図、ルールブック、参加者名簿、そして武器が入っている。
3、放送は6時間に1回行われ、死者の名前及び禁止エリアが読み上げられる。
4、禁止エリアは放送から1時間、3時間、5時間で二つずつランダムに設定され、そこに入った者の首輪は爆発する。
5、首輪は禁止エリアに入った場合、24時間で死者が誰もいなかった場合、運営から見て不適切な行動を取った場合、無理に外そうとした場合に爆発する。

それを読み終えて俺は謎の袋に入っているであろう武器を確認する。

(文化包丁か、)

袋の中から文化包丁を取り出して眺める。

(ここは)

(俺はなんとしてでも戦いを止める、絶対に!)

状態表
午前0時 現在地Fー9病院
【中村奨吾@千葉ロッテマリーンズ】
【状態】健康
【装備】文化包丁
【道具】支給品一式
【思考・状況】
0対主催
0175中田翔の迷い ◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/16(土) 05:39:09.22ID:GTGvi8Yj
日本ハムファイターズの主砲で、侍ジャパンの4番を勤めたこともある男、中田翔。
2017年のWBCでも活躍し4番の座こそ奪われたものの、多くのファンにインパクトを残した。
そこから一転2017年ペナントは最悪の成績を残し、4番を他の選手に譲った試合もあり.216 16本 67打点という成績を残し、無修正等と言われていた。
2018年からは心機一転、キャプテンとしてチームを引っ張り快進撃のシーズンに突入していた、はずだった

(俺の時代はもう終わったのかよ)

2018年のオーストラリア戦に選ばれなかったがためか、この戦いに参戦させられてしまった。

(俺はどうすりゃ良いんだよ)

そう悩みながら支給品の金属バットを持つ。

(稲葉さんには恩があるからできる限り従いたいが...)

若手時代のことを思い出し、ゲームに乗ろうと考える。

(だがそれで良いのか?そんなことで代表を決めて良いはずがない)

中田の良心は、ゲームに乗ることを許そうとしない

(俺はどうすればいいんだ?嘉智、教えてくれよ)

2017年自分と共に戦った盟友、筒香嘉智、
彼ならどうするだろうか?と考える中田
0176創る名無しに見る名無し
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2018/06/16(土) 05:41:02.54ID:GTGvi8Yj
そしてそこに接近する影が、一つあった

(あそこにいるのは中田さんか、今ならやれるかもしれない!)

ワルサーP99を構える男の名は、高橋周平
中日ドラゴンズの未来を担う男だ。
だがしかし、彼もまたこの戦いに参加させられていた。

(俺は生き残る、生き残って竜の未来を、侍の未来も担ってやる!!!)

高橋は自らのワルサーを構え、中田翔の金髪頭を狙う。

(ここで死ね!中田翔!)

ワルサーの銃口が火を吹き、気持ちのいい音を出す。

「当たったか!?」

木々の中から高橋が姿を現し、中田の死体があるであろう場所に目を向ける

「お前何やってんだよ!!!」

だが銃弾は中田には当たっていなかった

「うわああああああああああ!」

すごい剣幕で中田が高橋を睨みつけ歩き出す。

「決めたぞ、ここは殺し合いの場、そうだよなあ!?」

「ま、待ってください!」

腰が抜けて動けない高橋の目の前で、中田は金属バットを振り上げる。

「だからよお、殺し合いに乗るぜ!」

振り上げられたバットが高橋の頭に振り下ろされる。
何度も何度も
普段はボールに向けてバットを振るのが、野球選手
だがこの場では違った

「ったくよお、もう後戻りできねえじゃねえか」

ワルサーを拾い上げ中田はその場から立ち去る。

高橋周平死亡残り26人

状態表
時間午前0時10分 現在地Bー8 森
【中田翔@北海道日本ハムファイターズ】 
【状態】健康 返り血
【装備】金属バット ワルサーP99 (19/20)
【道具】支給品一式 9x19mmパラベラム弾(100/100)

【思考・状況】
0、マーダーとしてゲームに乗る
1、高橋を殺してしまった
0177おかわり君と山賊首領◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/16(土) 20:46:49.84ID:GTGvi8Yj
西武ライオンズの過去の4番中村剛也、通称おかわり君、西武ライオンズの現在の4番山川穂高、通称山賊首領、現在の西武打線が山賊打線と呼ばれているためこう呼ばれている。

「でもまさか穂高と合流できるとは思ってなかったぜ」

「スゴイ偶然ですね。チームメイトと合流できてラッキーですよ。でも中村さんゲームには乗らないんですか?」

「乗る気は無いな、侍ジャパンの席は野球で争うべきだ」

「流石中村さんです」

「そう言うお前も乗らないのか?」

「乗りませんよ、こんなことが許されてはいけないですよ」

「そうだな、それよりお互いの装備を確認しようか。」

中村剛也がカバンから装備を出す。

「俺はこのクロスボウだったよ」

「僕はこの鉈ですね」

山川も続いて装備を見せる

「穂高、それよりこの食料、俺達で足りるだろうか?」

「足りなさそうですね」

「じゃあ誰かから分けてもらおうかな?」

「あ、ちょっと待ってください!」

山川が地図を取り出す。

「この辺にコンビニがありますね。行ってみましょう。」

「そうだな、早速行こう」

午前0時20分 Bー1住宅街
状態表
【中村剛也@西武ライオンズ】 
【状態】健康
【装備】クロスボウ
【道具】支給品一式
【思考・状況】
0、対主催
1、食料が心配

【山川穂高@西武ライオンズ】 
【状態】健康
【装備】鉈
【道具】支給品一式
【思考・状況】
0、対主催
1、食料が心配

共通思考
Cー1のコンビニに向かう
0178柴田と京田 二遊間◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/17(日) 08:04:35.36ID:4oyHsEYv
「最初に会えたのが柴田さんで良かったですよ。」

「僕も京田君がいてくれて助かるよ」

平原のド真ん中でこの2人が話していた。中日ドラゴンズのショートストッパー京田陽太と、横浜DeNAベイスターズのセカンドベースマン柴田竜拓、2人とも各球団の二遊間として活躍していたが、今期は不調気味ではあるが、侍ジャパン候補としては十分な実力だろう。

「まさかこんなことになるなんて、京田くんはこれからどうするの?」

「俺は人を集めてゲームを打破したい。そのためにも人が集まりそうなところに行きたいです。」

京田は地図を取り出す。

「病院か、コンビニか、ショッピングモールの何処かに行こうと思ってるんですけど、何処がいいと思います?」

「今いるのはGー7近さでいえばGー8のコンビニ 、でも色々と手に入りそうなのはIー9のショッピングモール、集めるって話しならショッピングモールじゃないかな?」
0179柴田と京田 二遊間◇8E2SPfHGT.M5
垢版 |
2018/06/17(日) 08:05:37.05ID:4oyHsEYv
柴田が地図を指差しながら言う。

「ショッピングモールですか?bサれは何故?」

「コンビニだと狭いし集まりにくいよ、何人かで話し合えそうなスペースも少ないし」

「なるほど、じゃあ早速行きましょう」

「そうだな、その前に一応武器を装備しておこう。」

カバンからグロック17を取り出しそれを見せる。

「良さそうな銃ですね、俺の支給品は包丁ですよ。」

京田も柴田と同様支給武器の包丁を取り出す。

「じゃあ、行きましょう」

2人はショッピングモールへと歩き出した。

「柴田さん、」

「どうした?京田?」

その時一つの銃声が起こった。
それは柴田のグロックから、
でわなくて、
0180柴田と京田 二遊間◇8E2SPfHGT.M5
垢版 |
2018/06/17(日) 08:06:34.88ID:4oyHsEYv
「このゲームはお人好しから死んでいくんですよ。」

京田のデリンジャーからだった。

どうして彼が武器を2つ持っているのか?
試合開始時京田は民家内にいた。
そこで包丁を調達してから移動していたのであった。

そのことを柴田が知ることはもう無いのだが。

「あなたの装備は貰っていきますよ。」

京田はグロック17と柴田のデイバッグを拾い上げる。

「さようなら、柴田さん、今からあなたのオススメのショッピングモールに行ってきますよ。人が多く集まるなら、たくさん殺せますし。」

笑みを浮かべその場から立ち去っていくのであった。

柴田竜拓死亡残り25人

時間午前0時30分 現在地Gー7平原
状態表
【京田陽太@中日ドラゴンズ】 
【状態】健康 返り血
【装備】グロック17(16/17) 包丁
【道具】支給品一式×2 9x19mmパラベラム弾(85/85) レミントン・モデル95・ダブルデリンジャー(1/2)
41口径弾(10/10)
【思考・状況】 
0、ゲームに乗る
1、不意打ち狙い
2、ショッピングモールに向かう
0181三つ巴 ◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/20(水) 07:31:26.54ID:n9FvRWx8
Aー4エリアのダムには3人の参加者が銃を向けあっていた。
広島の不動の3番打者丸佳浩、昨年のMVPとして今年も大活躍中の選手だ。
もう1人は阪神の昨年度のチーム内ホームラン王中谷将大、今年は出遅れたものの得点圏打率の鬼として活躍していた。
そしてもう1人は昨年のロッテのローテーションの一角を担っていた二木康太、今年は不調でで出番こそ少ないが実力ある投手だ。

「ちょっと、やめてくださいよ!」

「俺は本気だ!侍ジャパンに入って監督を見返してやるんだよ!」

「......」

戦いを止めたい二木、優勝したい中谷、無言の丸

「ちょっと!丸さんからも何か言ってくださいよ!」

「俺は迷ってる、どうすれば良いのか、わからない」

丸佳浩の持つ武器はイングラムM-10、原作では桐山和雄が使用した強力な銃である。

「だったら死ねよ、俺のために」

中谷は自らの武器、AK47V型を丸に向ける。

「武器を下ろしてくださいよ!こんなことしちゃダメですよ!」

二木が中谷を止めようと二木も自らの支給武器、ベレッタ92を中谷に向ける。

「俺はなんとしてでも優勝する!侍ジャパンでアピールして、他球団に移籍してやるよ!どうせあんたら死んだら枠が開くだろ?そこに俺がトレードで埋め合わせで行くんだよ、俺は早く金本とおさらばしたいんだよ!!!」

「俺達が死ぬ前提か、」

丸が中谷にサブマシンガンを向ける。

「丸さんから殺しましょうか?そしたら俺は広島からオファーが来るかも知れませんし。」

狂ったような顔で照準を丸の頭に合わせる。

「ダメですよ!そんなことしたら!」

二木が中谷に殴り掛かろうと走り出す。

「何!」

中谷も動揺していたためか咄嗟の反応ができなかった。

「もうやめてください!殺し合いなんかしてもなんにもなりませんよ!」

「うるせえ!俺の邪魔をするな!」

2人がもみ合っている時だった、

「死ねえええええええ!」

AK47が火を噴いたのは、

「ど、どうして、こんなことを、」

「俺が本気ってことだ、」

二木康太死亡残り24人
0182三つ巴 ◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/20(水) 07:35:02.89ID:n9FvRWx8
「次はアンタだ!」

二木が手に握っていたベレッタを丸に向ける。

「そこまでだ!」

という声と同時にショットガンの銃声が響く。

「やべえな、逃げるか。」

中谷は二木のデイバッグを拾い上げてその場から逃亡する。

「大丈夫か?」

「宮崎さん、二木がやられました。」
「銃声が聞こえたから来てみたらこういうことか、すまない、二木、遅くなってしまって。」
「俺も中谷を止められなかった、本当にすまない、二木」

宮崎が二木の死体の見開いたままの目を閉じる。

「俺はこんな戦いを仕組んだ稲葉さんたちを倒す!お前もついてきてくれるか?丸。」
「勿論ですよ、さっきまで迷ってたけど決めた、やっぱりこんなことは許されてはいけない。まずは仲間を集めよう。」
「そうだな、俺は病院に行こうと思う。丸、お前もついてこい」
「ああ、行こうぜ。」

(俺が戦いに乗ってないと思っているとは残念だったな。いずれ殺してやるよ、宮崎)

二木が死んだ時丸は、決心していた。

(ここは殺し合いの場、誰かを殺そうとする者の方が生き残りやすい、まずは戦いに反対する者達に紛れてこのイングラムで叩こうか。)

Aー4エリアダム 午前0時30分
状態表
【丸佳浩@広島東洋カープ】 
【状態】健康
【装備】イングラムM10(32/32)
【道具】支給品一式 9x19mmパラベラム弾(320/320)
【思考・状況】 
0、ステルスマーダー
1、宮崎についていく
2、病院に行く

【宮崎敏郎@横浜DeNAベイスターズ】 
【状態】健康
【装備】レミントンM870(7/8)
【道具】支給品一式 20ゲージ弾(40/40)
【思考・状況】
0、対主催
1、仲間を集める
2、病院に行く
0183三つ巴 ◇8E2SPfHGT.M5
垢版 |
2018/06/20(水) 07:36:07.48ID:n9FvRWx8
一方中谷は住宅街に向かっていた

(なんとしてでも敵を殺す。もう後戻りはできない。)

AKを構えてダム付近から立ち去る

【中谷将大@阪神タイガース】 
【状態】健康 返り血
【装備】AK47(15/30)
【道具】支給品一式 7.62x39mm弾(300/300) ベレッタ92(15/15) 9x19mmパラベラム弾(75/75)
【思考・状況】
0、マーダー
1、二木を殺した、もう後戻りはできない

以上です
0184T倉本 ◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/21(木) 07:48:55.27ID:M/lH5/Vg
Gー1エリアの住宅街の民家に1人の男が立て篭もっていた。

「これで良いな、」

倉本寿彦、横浜の正遊撃手であり昨年は主に9番打者でフルイニング出場を果たした男。

(支給武器がブーメランだったからな、包丁が見つかって良かったぜ。)

ゲーム開始と同時に倉本は荷物を確認した後民家に立て篭もった。
誰にも侵入されないように家具などで扉や窓を塞ぎ部屋の中を物色していた、
支給武器がブーメランだったため他に武器になりそうなものが必要だった倉本は民家内をひたすら探した。
銃弾などは結構あったが肝心の銃はなく武器になりそうなものはキッチンにあった包丁だけだった。

(取り敢えず武器が包丁だけだから今は隠れてよう、禁止エリアにならない限りここからは出ないでおこう)

倉本は音を立てぬように二階に上がる。

(2回なら周りを見渡せるし、侵入されても2階から脱出できる。こんなところで死んでたまるか!)

Gー1エリア民家内 午前0時35分
状態表
【倉本寿彦@横浜DeNAベイスターズ】 
【状態】健康
【装備】包丁
【道具】支給品一式 ブーメラン 9x19mmパラベラム弾(100/100)
【思考・状況】
0、生存優先
1、民家に立て篭もる
0185球場 遭遇◇8E2SPfHGT.M5
垢版 |
2018/06/23(土) 06:01:47.18ID:XgkERvp9
Dー7.Dー8.Eー7.Eー8に渡って設置された阪神甲子園球場、プロ野球の全12球場で最も伝統ある球場である。その中でも阪神ファンの聖地として知られているライトスタンド、皮肉にもこの戦いの場では阪神以外の選手2名が対峙していた。

「野村さん、あなたも戦いに乗るんですね?」

「ああ、砂田、悪いが死んでもらうぞ。」

野村祐輔、広島のローテの一角を担う投手である。砂田毅樹は横浜の中継ぎ投手、育成契約から這い上がってきた選手だ。

「はああああああああ!」

野村は支給武器の刀で砂田に切りかかる。

「ぐっ、」

砂田は自らの支給品の剣で受け止める。日本の剣、刀と西洋の剣のぶつかり合いという異質な戦い。

「あなたがやる気なら僕だって!」

砂田は刀を押し返すと、デイバッグから包丁を取り出した。

「お前、支給品が2つあったのか!?」

「いえ、これは食堂で仕入れてきました。」

砂田も京田や倉本の様にもう一つの武器として包丁を確保していた。

「お前がどんな手段を使おうと、俺はお前をぶっ殺す!」

刀を振るう野村と、横浜には深い因縁があるのかもしれない。自分が過去に付き合っていた女性、紺野あさ美、彼女は横浜投手三嶋一輝と付き合っていたという噂がある。これが本当かどうかはわからない。
だが、もしこれが真実なら、野村の心は滾るだろう。

「負けませんよ!」

剣と包丁の二刀流で刀を受け流す砂田にも、負けたくないという強い気持ちがあった。折角育成から這い上がったのにこんなところで死にたくない、その思いが彼を突き動かしていた。

【野村祐輔@広島東洋カープ】 
【状態】健康
【装備】刀
【道具】支給品一式
【思考・状況】 
0、マーダー

【砂田毅樹@横浜DeNAベイスターズ】 
【状態】健康
【装備】剣 包丁
【道具】支給品一式
【思考・状況】 
0、マーダー
0186球場 遭遇◇8E2SPfHGT.M5
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2018/06/23(土) 06:03:30.50ID:XgkERvp9
そして阪神ファンと相手球団が混じり合う場所、レフトスタンド、こちらは普段の甲子園と同様阪神選手対他球団選手がいる。

「桑原さん、あれやばそうじゃないですか?」

「そうだな、止めに行った方がいいから、そこどいてくれない?」

「それは無理そうですね、」

ライトスタンドの戦いを止めようとするのは阪神桑原、日ハム大田、それを妨害しようと支給武器の槍を構えるのは、広島東洋カープ安部友裕

「ここを通ることは俺が許さない、あいつらには潰し合いでもしてもらうことにした。それにアンタら2人はここを通る前に死ぬからな。」

「そんなことはさせない、行くぞ!大田!」

「はい!」

【安部友裕@広島東洋カープ】 
【状態】健康
【装備】槍
【道具】支給品一式
【思考・状況】 
0、マーダー
1、野村と砂田に潰し合いをさせる。

【大田泰示@北海道日本ハムファイターズ】 
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考・状況】 
0、対主催
1、野村達を止める

【桑原謙太朗@阪神タイガース】 
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考・状況】 
0、対主催
1、野村達を止める

時刻午前0時40分
0187創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/07/03(火) 18:10:33.24ID:f1dClnnX
7D1
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