X



トップページ創作発表
401コメント469KB
オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd Part2
0249なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/17(月) 00:39:11.68ID:uvXgvaCi
なんて奴。
こちらが眼がいい事を察して、速攻で潰しにかかってきた。
凝視してたのが災いした。
眼を焼かれる程の強力な光ではないが、一瞬視界を奪うには十分だった。

そして、雷とは違うスキルを使ってきた。
それはつまりこいつは複数のスキルを持っている。
おそらくは殺した相手から奪っているのだろう。

もちろん視界を奪われ無力化したその隙を逃すはずもない。
獲物を確実に仕留めるために敵が迫る。
絶体絶命の状況。
だが、次の瞬間響いたのは、肉を切り裂く音ではなく、甲高い金属音だった。
腕に感じる衝撃で、状況を確信する。

―――防げだ。

視力ではなく聴覚を頼りに足音でタイミングを測った。
そして首か心臓を狙うだろうという予測を基に、防御した結果だ。
攻撃位置の予測が外れたら、聴覚が強化されていなかったら、どちらでも命はなかっただろう。
実力というより、殆ど運だ。
何より視界を奪われたことに混乱して判断を誤っていたら終わっていた。

今になって日常的に行われていたあの時代錯誤な訓練の意味を理解する。
常に平常心を忘れるなということか。
そのおかげか、未だになんとか平静を保っている。

とは言え、何度も使える手段ではない。
追撃に対応するため、無理矢理にでも目を開ける。
わずがに霞むが見えないってほどじゃない。
だが、霞む視界で捉えた敵は何故か動くでもなく、興味深そうにこちらを見つめていた。

「………………ハ、」

放つ殺気の量は相変わらず。
だが、その質が変わる。

これまでの狩るだけの獲物を見る気配とは違う。
雷撃を躱し、剣戟を防ぎ、奇策すら防ぎきったこちらを戦うべき敵として認識したのだ。

「ハッハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ――――!!」

初めてその声を聞いた。
肌が泡立つ、全身を痺れるような圧倒的な悪寒が奔った。
こちらの覚悟を上回る、圧倒的な殺意。
それは、これまでの非ではない。

何の前触れもなく、敵が動いた。

瞬きの間に距離を詰め、同時に放たれた突きは五つ。
先ほどの三段突きに比べると狙いは散漫。
だが、圧倒的に――――速い!

一つは外れた。一つは躱せた。
一つは肩口を、一つは脇腹を掠めた。
最後の一つを何とか小太刀で受け鍔迫り合いとなった。
0250なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/17(月) 00:42:00.41ID:uvXgvaCi
なんて速さ。
動きが明らかに変わった。
目では追える。
目では追えるが、完全には躱せない。
防御に適した小太刀で、防御に専念しても、それでも、キツイ。
そんな、ことが。

奥歯を食いしばり、竦みそうになる心を奮い立たせる。
冷静に考えろ。
これまで手加減していたとかならともかく、そんな簡単に人間が強くなるなんてありえない。
なら、相手のやっていることは単純だ、防御を捨てて攻撃しているだけだ。
逆に言えば、今が勝機である。
相手の防御は手薄、カウンターを叩きこむチャンスだ。

最も、それも相手の猛攻が防ぎきれればの話だが。

敵の勢いは止まらない。
乱暴なまでの強引さで鍔迫を弾くと返す刃で首を薙ぐ。
上体を反らしてその一撃を避けるが、横薙ぎの勢いのまま反転した相手の後ろ蹴りを喰らい吹き飛ばされた。

「ぐッ!」

吹き飛ばされた体制をすぐさま立て直す。
そして相手から視線を外さぬよう、前を見た。
その相手は、こちらに向けてまた先程のように腕を突き出していた。

雷か光か。

雷なら目をそらせば死ぬ。
光なら目をそらさなければ死ぬ。
敵は、手の内が明らかになったことを利用した究極の二者択一を迫る。

判断に窮した俺は全力で後方へ退いた。
それはひとまず距離を取るだけの、逃げの選択だ。

次の瞬間。放たれたのは閃光。
一面が白に染まり、一瞬、敵の姿を見失う。

先と同じく、音を追おうとするが――聞こえない。
どこからも、足音がしない。
この異常聴覚をもってしても、周囲の環境音以外、何も聞こえない。
完全に消えた。

だが、そんなことはありえない。
足音が聞こえないというのならば。
考えられる可能性は、その場を動いていないか、それともう一つ。
空中を進んでいるかだ。

「上か…………!」

その予測通り、光が晴れ、見上げた先には、今にも剣を振り下ろさんとする襲撃者の姿があった。

――――読みきった。

こちらが視覚以外にも聴覚で相手の一を察している事を悟り、その索敵方を回避したのは見事だろう。
だが、跳躍し落下するその状態では身動きは取れず、こちらの攻撃を回避することは不可能。
千歳一遇の勝機である。
0251なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/17(月) 00:47:26.29ID:uvXgvaCi
「ぅおおおおおおおおおおおおォ!!」

躊躇いを消すように叫んだ。
ここで躊躇えばすべてが終わる。
振り下ろされる刃を半身になって躱し、突きを放つ。
相手を殺す覚悟を持って、狙うのは決して避けれない胸元の中心。

突き出した刃が、敵の胸元を突き破る。
肉を喰い破り、傷口からは、血が噴き出し、






【<<]巻き戻し】






物理法則すら無視して落下する体が”巻き戻る”。
それだけではない、わずかに噴き出した血液も体内に戻り、傷口も消えた。
同時に、確かに肉に食い込んだはずの刃が空を穿った。

言葉を失い、唖然とする。

これはスキルか。
これもスキルか。

空ぶった突きの勢いを殺せず、足が滑った。
なんて不運。
いや、いくらなんでも、これはない。
この程度でバランスを崩すような、そんな生ぬるい鍛え方はされていない。
こんなタイミングで、こんな不運は出来過ぎだ。
ありえない。

何らかの意趣返し。
与えられたダメージを別の形で返すスキルか。

またスキル。
こいつは、いったい幾つスキルを持っている?
こいつは、いったいこの場で、何人殺している?

巻き戻りが完了し、元の地面に着地した敵が迫る。
勝負は、相手がこちらに辿り着くまでに体制を立て直せるか否か。
だが、それ以前に、心が折れそうになる。

強すぎる。

体術だけではない。
幾多のスキルを持ち。
そのスキルを既に使いこなしている応用力。

―――――こんなヤツ、いったい誰が勝てる?
0252なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/17(月) 00:52:26.76ID:uvXgvaCi
体制が崩れたこちらに、一片の容赦もなく『死』が迫る。
迷いなく迫る死神の影。
だが、瞬間。

それ以上に信じられないものが、視界に飛び込んできた。

何時の間にそこに来たのか。
己と敵と結ぶ直線上に、小さな影が立っていた。
目を引くような鮮やかな着物に、短く切り揃えられた艶やかな黒髪。
そして凍りついたような色のない黒い瞳。
見間違いようがない、イロハだ。

イロハが己と殺人者の間に、立ちふさがるように立っていた。

この相手が女子供であっても躊躇うはずがない。
確実に作業のようにあっさりと首を跳ねるだろう。

死ぬのか。
また、死ぬのか。
俺の目の前で。
俺を庇って、また誰かが死ぬのか。
両親のように。
こんな小さな子が。


冗談じゃない。


「ぁああああああああああああ!!!」

崩れた体制のまま、前に出る。
逃げるのではなく、少女を救うべく前へ。

だが、間に合わない。
敵はあまりにも早く。
俺はあまりにも遅い。

凶刃が少女に迫る。

「やぁめろおぉぉぉぉぉ――――!!」

悲鳴のような叫び。

そして、




「―――――――――なんだ、お前か」
0253創る名無しに見る名無し垢版2012/12/17(月) 01:03:06.67ID:wZ9fDEh3
支援
0255なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/17(月) 01:29:09.77ID:uvXgvaCi
■■■■■■■■



「…………………………」


座り込んだまま呆然としていた。
立て続けに起こった事態に、理解が追いつかなかった。

止まることなどないと思われた凶刃は、少女の首筋に触れた辺りでピタリと止まった。
その手を止めた狂人は殺し合いの間ずっと張り付かせていた笑みを消して、つまらさそうに『なんだお前か』と呟いた。
そしてそのまま、睨むようにイロハと見つめ合うこと数秒。何も言わずに踵を返し去って行った。

何故奴が立ち去ったのか。
イロハちゃんとの関係はなんなのか。
というか何故イロハちゃんがここに。
そもそも何なんだアイツは。
疑問は幾つもある。

様々な疑問を込めた視線でイロハちゃんを見る。

「?」

可愛らしく首を傾げるイロハちゃん。
いや、ここでそんな顔されても困るんだけど。

「あー、まぁいいや。イロハちゃんは俺の命の恩人なことに変わりないしな」

あそこで彼女が現れなければ確実に死んでいた。
それだけは確かな事実だ。
今頃になって震えが来る。
あの死の嵐に出会って生きながらえていること自体、奇跡としか思えない。
北で戦っていた奴らとイイ、本当に化け物だらけだ、この場所は。

しかし、今はとりあえず。

「…………疲れたぁ」

緊張の糸が解けて力抜ける。
とりあえず今は、休息がほしい気分だった。
0256創る名無しに見る名無し垢版2012/12/17(月) 01:29:59.30ID:wZ9fDEh3
支援
0257なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/17(月) 01:30:43.29ID:uvXgvaCi
【一日目・早朝/E-7 深い森】
【加山圓】
【状態】疲労、全身に細かな切り傷、過剰感覚による少々の気持ち悪さ
【装備】小太刀
【スキル】『五感強化』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本:徹底的に抗う
1.休みたい
2.イロハを守る

【イロハ】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品×1〜2
【思考】
1.マドカに付いていく

【一日目・早朝/E-7・深い森】
【オーヴァー】
【状態】左頬にダメージ
【装備】サンダーソード、ヘルメット
【スキル】『剣技』『平賀源内のエレキテル』『雷剣士』『魔弾の射手』『<<]]巻き戻し』『光あれ!』『復讐するは我にあり』
【所持品】基本支給品、デザートイーグル、金属バット アンドロメダ星マジカル消臭スプレー、金槌、不明支給品×0〜1(愛子)
【思考】
1.この場にいる全てを皆殺し
2.最後にヨグスも殺す


投下終了
規制キツイっす
なんか加山くんがトンデモ科学で雷わかしてますけど、遅いつっても約150km/sなんで
たとえ見えても良い子はマネしないでね、死ぬから

これで後、早朝いってないのは真琴組だけかな?
0258創る名無しに見る名無し垢版2012/12/18(火) 01:51:17.71ID:FFZcuO5v
【基本ルール】
 全員で殺し合いを行い、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 原則として優勝者のみが帰還できる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はないが、指定エリア以外に侵入ることは禁止されている。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 各プレイヤーは所有物を没収され、代わりに共通の支給物を支給される。
 支給物の内容は以下のものであり、そのすべてが「デイパック」に詰められている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「二日分の水と食料」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム1〜3個」「スキルカード」

【スキルカードについて】
 各参加者に一枚ずつランダムに支給される。
 宣言すれば記述されたスキルを取得できる。
 一度宣言すれば効果は永続、基本的に解除は不可能だが。
 所有者が死亡すれば再度カード化する。

【放送について】
 6時間毎に行われ、基本的には禁止エリアの発表と死亡者と残り人数を通知を行い。
 別途、連絡事項などがあればここで告知される。

【禁止エリアについて】
 放送毎に指定される。
 禁止エリアに踏み込んだ場合、首輪が爆破される。
 禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【作中での時間表記】(0:00スタート)
 深夜 : 0:00〜 2:00
 黎明 : 2:00〜 4:00
 早朝 : 4:00〜 6:00
  朝  : 6:00〜 8:00
 午前 : 8:00〜10:00
  昼  :10:00〜12:00
 日中 :12:00〜14:00
 午後 :14:00〜16:00
 夕方 :16:00〜18:00
  夜  :18:00〜20:00
 夜中  :20:00〜22:00
 真夜中:22:00〜24:00

【予約について】
 予約期間は3日。延長期間は3日。
 延長は3作以上採用された書き手のみ申請可能。

【修正に関して】
 修正(NG)要望を行う場合は、修正(NG)要求であるという旨を明確にしたうえで、問題点を詳細に記述してください。




とりあえずこんな感じ?
予約の延長縛りはこの状況だといらない気もするけど
0259創る名無しに見る名無し垢版2012/12/18(火) 02:04:53.50ID:HbQ82mcz
投下乙

オーヴァーさん相変わらず強すぎワロチwww
そのオーヴァーと初めてまともに戦えた加山も頑張ったな
そしてイロハとの関係も気になるところ

ルールも乙
0260創る名無しに見る名無し垢版2012/12/18(火) 03:45:35.07ID:K4/ccTaP
乙です。
更にオーヴァー強くなってるような…もうこんなん倒せる気しねーよwwwwww
加山は男前だなあ。何処かのロリコンとは大違いだ(チラッチラッ
まあとりあえずイロハちゃんはペロペロしときますね。

ルール乙です!予約の件は大丈夫でしょう。
ただこれで全員が早朝まで揃ったのかな?
0263 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/19(水) 21:17:48.34ID:MRMADeWY
真琴、ゴキ、エジソン、みなも

予約
0264創る名無しに見る名無し垢版2012/12/20(木) 00:24:18.38ID:vSm3XDyH
最後の組予約キタキタ!!

あと、おまけ

【生き残り一覧】

猪目道司…外道担当。ゾンビマスターに俺はなる!
逆井運河…不運担当。デブとぬるぬるプレイ
田崎紀夫…おまいら担当。意外と動けるデブ
イリアム・ツェーン…クルービューティ(物理)。電波塔の天辺で凍結中
安田智美…黄金の左を持つ魔法少女(物理)。この場で出会った友人と元の世界の親友を失う
オーヴァー…相変わらず唯一の真面目なマーダー。だがロリを見て手を止めるロリコン
加山圓…貴重な真面目な対主催。だがロリのために命を賭けるロリコン
イロハ…ダウナー系のロリ。かわいい
葉桜加奈子…一般人代表。今のところすごい平和
フィクション…やる気があるようなないような、とりあえず存在感はない
椎名祢音…唯一の奉仕マーダーとして頑張る幼女。非処女
フランドール・オクティル…綺麗な姫様。完全に改名されている
フランツ・O・ブリュデリッヒ…綺麗な騎士。童貞臭がプンプンする
溝呂木桐子…汚い姫様。貴重なBBA、ある意味希少
カイン・シュタイン…汚い騎士。ツンデレ臭がプンプンする
板垣退助…素手ゴロで魔王をブチのめした人類最強。殺せる気がしない。誰も信じないだろうけど対主催である
魔王…死にかけ。勇者に依存するヤンデレと化しつつある
片嶌俊介…お人よしなさわやかスポーツ少年。だがロリコン筆頭、片嶌だけはガチ
愛沢優莉…流され系マーダー。まさかの相棒欠場のなか一人でできるもん、と決意
篠田勇…綺麗な方の勇者。死にかけ。看護中
藍葉水萌…汚い方の勇者。死にかけ。再生中
真琴真奈美…知らずに同行者に狙われてたり、知らずに殺人鬼を抱え込んだり、いろいろ知らない間に大変な事になってる人
御木魚師…小物界の大物。まなみんに苛められて苛めたいマドサド
トーマス・A・エジソン…サリヴァン&パニック症候群


ロリコンだらけじゃないか! いい加減にしろ!
0265創る名無しに見る名無し垢版2012/12/20(木) 06:38:17.72ID:Bzaj4lyu
乙!これはひどい…
ロリコンかヤンデレしかいないぞこのロワwww


そんな中明らかに浮いている智美
まだ二話しかないのにこの過酷っぷりである
0266創る名無しに見る名無し垢版2012/12/22(土) 22:29:22.64ID:LydVSxv/
今更だけどオーヴァーの殺害者数6人ってすごいな
人数少ないから超えるキャラ出てこないだろうし
ゴキのパブリックエネミーが完全に死に能力になってるw
0267 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/23(日) 00:57:32.90ID:nn/tKLVU
すみません、投下は明日になります…
0268 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/24(月) 19:16:20.46ID:PAQkhA1R
だいぶ遅れましたが、投下します
0269 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/24(月) 19:19:26.14ID:PAQkhA1R
「人が死ぬのはダメだ…人が死ぬのは、とても怖い事だ…」

少しまだ月の光が残る夜明け前。
後ろから、震え声が聞こえる。
その声はエジソンさんからだった。ガタガタと震えながら、完全に怯えている。
「おーいジンたーん、大丈夫かー?」
「人が…人が死ぬ……」
「あー、こりゃしばらくダメだな」

ハア、とため息。
ゴキだ。また大袈裟に外国のテレビドラマみたいに呆れている。

「…ねえまなみん、話変わるけどこいつ本当は死んでんじゃないのー?」

続けて私の後ろから、そう不満まじりの声が聞こえる。
また妙に飄々としている。
その背中には先ほど見つけた顔の怪我がひどい(おそらく)少女を背負っている。というか背負わせた。
何故か?
エジソンさんは間違いなくあんな姿を見てるだけで怖がってるから無理。
だから私が本当は背負いたいのだけど…いざ私達を狙う奴が出てきたらどう対抗するのか?
正直ゴキ一人じゃ無理だ。コイツはただの下級チンピラ。
私みたいにサブマシンガン持ってこられたら間違いなく蜂の巣。
て、事で私が一応前に居ていざって時には闘わねばならないから、私は選択肢から消える。
じゃあ結果的に背負うのはゴキになる。
その趣旨を本人に伝えたら、だいぶ本人は嫌がったが、最終的には渋々従った。
0270 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/24(月) 19:22:17.64ID:PAQkhA1R
「なあーまなみーん、一つ思うんだけどさァ」
「手短に」
「この背負ってるのだけど」

ゴキは顎で後ろの少女を指す。

「この子、今ボッコボッコだけどぜってえ可愛いよなァ〜」
「蜂の巣にするぞ」
「ちょっ、向けるなってこええこええ」

…おそらく、ゴキは本心からそう思ってるんじゃない。
ゴキがそう言ったのは、ただ単な話題作り。
気持ちが伴ってない。またこれもいつも通り。
ただ―――ふと少女の顔を見る。
確かに先ほどは気づかなかったけどなるほど、よく見たら比較的無事な目は大きな二重瞼だし、殴られて変形してるとはいえ、パーツは整ってる印象がある。
流石に元の顔までは特定出来ないけど…。
おそらくこの場でなければかなり人気の女の子だったろうに。
そう考えると尚更腹が立つ。
この子をこうした相手に、この殺し合いを開催した奴に。

「まーそんなイライラすんなってまなみん」

表情に出てたのか。
相変わらず、コイツはそういう読み取るのが得意だ。…腹立つが、まあ別にいいか。
0271 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/24(月) 19:23:56.49ID:PAQkhA1R
「うるさい。早く行くぞゴキ」
「あいあーい…あれ?」

いきなり止まるな。

「どうした?」
「なんか聞こえねェか?」
「…?」

耳をすます。
そう言われたら何処からか妙な声が聞こえる。

(敵か?)

私は身構えるが、どうも違う。
脳に、直接問いかける様な感覚。
…そうだ、この声は―――

「あ…あ…あいつだ…!!これが、始まった時の、あの声!!!」

エジソンさんが、高らかに、でも怯えるような事を伺わせて叫ぶ。
そうだ、こんな糞みたいなのを開催した、あいつ…

『―――やぁやぁ、久しぶりだね』

そんな私達を差し置いて、声の主ヨグスはそう切り出した。
当たり前のように、平然に。



【一日目・早朝 E-3とE-2の境】
0272 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/24(月) 19:25:05.31ID:PAQkhA1R
【真琴真奈美】
【状態】健康
【装備】H&KMP5(30/30) 【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、H&KMP5予備カートリッジ
【思考】
1.少女を病院に運ぶ
2.御木、トーマスと行動を共にし、守る。
3.オーヴァーが居る…?
4.ヨグスの声を聞く。


【御木魚師】
【状態】健康
【装備】特殊手錠、ケブラー防弾ヘルメット
【スキル】『パブリックエネミー』(AM8時以降再使用可)
【所持品】基本支給品
【思考】
1.真琴と行動を共にし、なんとかこの状況から逃れる。

※特殊手錠
一見ワイヤーのついたごく普通の手錠。
何か特殊な仕掛けがあるらしいが、御木しか確認していない。


【トーマス・A・エジソン】
【状態】健康
【装備】
【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、不明支給品1〜2
【思考】
1.発電所で電気を使えるようにする。
2.その後病院へ行って首輪をレントゲンで調べる。

【藍葉水萌】
【状態】瀕死、再生中
【装備】なし
【スキル】『自己再生』
【所持品】基本支給品、手榴弾×4
【思考】
1.????
0273 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/24(月) 19:26:58.23ID:PAQkhA1R
投下終わります。
大変遅れてすみませんでした。


タイトルは『邂逅か、それとも』
0275創る名無しに見る名無し垢版2012/12/25(火) 03:21:35.35ID:TEsMj1Zn
投下乙、なんだけど
放送予約するのはせめて放送前の他のバードを書いてる人がいないか確認くらいしてからにしような
0276 ◆598AOhndz. 垢版2012/12/25(火) 06:27:38.56ID:d8byciY/
放送の予約の際はそうなんですか…すみません。まだ勉強不足でした。今後は気をつけます。
0277創る名無しに見る名無し垢版2012/12/25(火) 13:36:14.39ID:YS64exzc
じゃあ今日一日待って、誰も放送前を書いてる人がいなければ放送を投下してもおkとうことで

あと放送は全体に関わるとこだから期間設けてのコンペでもいいけど
最低一人は書くって人がいるみたいだから来ないってこともないだろうし
0278創る名無しに見る名無し垢版2012/12/25(火) 18:45:55.46ID:TEsMj1Zn
まー複数くればもうけものだけど、もし来たら来たで選び方が難しい気がするな
投票できるほど人いるか微妙だし
0279 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/25(火) 23:29:52.60ID:fA5Uulbk
いやまあ、書いていいなら私も書きますけど、第一放送なんでコンペするほど多態性のある展開にならないと思うんですよね
無茶なことせん限りは、影響大きそうなのは禁止エリアくらい?
まあ人少ないとはいえ、放送止まると全体が止まるんで早めに次に移れるに越したことはないとは思いますが


話代わりますけど、そろそろしたらばって必要ですかね?
まあ個人的に連投規制がウザいので、正式な一時投下スレが欲しいってだけなんですが
避難所としてラジオスレ借りてますけど、いつまでも借りっぱなしってのは心苦しいので

必要なら借りてきますが、どうでしょうか?
0280創る名無しに見る名無し垢版2012/12/26(水) 01:14:59.23ID:YyiFqpBX
とりあえず日付変わって誰も書いてなさそうだけど、どうする?
3日くらい自由投下期間設ける?

あ、したらばは欲しいです
0281 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/26(水) 02:33:19.36ID:B/WmuqF6
したらば借りました
まぁあって損なもんでもないので

http://jbbs.livedoor.jp/otaku/15826/

とりあえず一時投下スレだけ作ったので、必要なときに利用してください

>>280
うだうだ曖昧になって時間かかるのが一番いやなのでそれでいきましょうか
0284 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/26(水) 22:04:16.94ID:B/WmuqF6
仮投下スレに放送案投下しました
短いですがとりあえず

>>282
予約スレも創りました
0285創る名無しに見る名無し垢版2012/12/27(木) 16:43:06.59ID:KrTTprC4
今月からドリームカジノとかいうオンラインカジノが始まったみたいだけど
こういうのってマジで現金が稼げるのか?
0287創る名無しに見る名無し垢版2012/12/28(金) 01:58:56.79ID:+eLID88a
26から3日なんで12/29 0:00が募集の締め
でそれまでに複数候補があれば29日中に投票かなんかでどれにするか決めて
このまま一作しか来なければ、それを本投下後に放送後パートの予約・投下が解禁

こんなとこかな
0289第一放送 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2012/12/29(土) 00:04:16.72ID:wPg9LQHV
やぁやぁ、久しぶりだね。ボクだよ。

定時になったので、最初に告知した通り放送を行う。
同じ放送は二度行うことはないので、各自聞き逃す事の無いように。
現時点で意識を失っている者は…………まぁ残念だったということで。

それでは、まずは禁止エリアの発表だ。
最初に説明したとおり…………説明したよね?
念のためもう一度、簡単に説明するけど、進入禁止領域に侵入すると死亡する。それだけの話だ。
そして禁止エリアは侵入禁止領域の追加だ。
地図の外なんて意図しない限り行くことはないだろうから大丈夫だろうけど。
こっちの禁止エリアに関しては意識せずにいると侵入してしまう可能性があるので注意することだ。
では発表する。

禁止エリアは『B-2』『D-4』『E-8』。

以上三つが禁止エリアとなる。
とはいえ現在指定エリアに放送の時点で侵入してしまっている者がいる場合もあるだろうから、一応猶予は設けてある。
各エリアが禁止エリアとなるのはこの放送からちょうど一時間後だ。
それまでは大丈夫だが、それ以降は、侵入すると死亡することになるので早めに離れるように。

さて、それではお待ちかね、参加者の告知をしよう。
と言っても、既に参加者名簿を各自の荷物の中に転送しいるので、各自で確認してくれ。
荷物ごと無くしてしまったモノは、近くのモノに見せてもらうといい。

…………………。
…………。
……。

確認したかい?
それではそれを踏まえた上で、この6時間で脱落した死者を発表する。

『聖澤めぐる』
『劉厳』
『二階堂永遠』
『橘蓮霧』
『一色亜矢』
『一色麻矢』
『宍岡琢磨』
『ファンガール・J』
『龍造寺さくら』
『花緒璃乃』
『白井慶一』
『琥珀愛子』

以上の12名だ。
丁度3分の1が脱落だ。なかなか悪くないペースだ。
上手く行けば今日中に帰れるかもしれないね。
もちろん帰れるのは一人だけなんだけど。

ひとまず今回の放送は以上だ。
これ以降も6時間ごとに同じ形式で行うこととなるので気に留めておくように。
そして、次の放送も生きて聞けることを目指してくれ。

それでは、さようなら。
0290創る名無しに見る名無し垢版2012/12/29(土) 00:57:56.85ID:mU3hY8Ok
投下乙です。
オーソドックスだけど、やっぱ安定感あるな
しかし30人強だから普通なら少ないはずがこれでも結構へってんだよなあ


結局放送はこれでいいよね?
長かった…始まって一年ぐらい?
0291創る名無しに見る名無し垢版2012/12/30(日) 02:44:09.90ID:1lNCpTZz
殺害数

6名
【オーヴァー】橘蓮霧、宍岡琢磨、龍造寺さくら、花緒璃乃、白井慶一、琥珀愛子
2名
【椎名祢音】一色亜矢、一色麻矢
【猪目道司】聖澤めぐる、ファンガール・J
1名
【板垣退助】劉厳
【二階堂永遠】二階堂永遠

散々言われているけどオーヴァーさんパネェっすね
0292創る名無しに見る名無し垢版2012/12/30(日) 10:23:36.46ID:EOHQosxG
オーヴァーやべえな。

ただ一応戦闘出来る人間はまだ殺してないのよね
さくらちゃんは素人だし、琢磨は拳銃持ちとはいえただの人だし。

ガチ戦闘した加山はイロハがいたとはいえ結構耐えられたしなあ
0293創る名無しに見る名無し垢版2012/12/30(日) 16:18:41.36ID:I9CRMlGi
ふとやってみた独断と偏見によるスキルカード込みでの生存者の強さランク分け

人外クラス
藍葉水萌、板垣退助、オーヴァー、椎名祢音、篠田勇、フィクション、魔王

逸般人(バトルができる)
イリアム・ツェーン、カイン・シュタイン、加山圓、フランツ・O・ブリュデリッヒ、安田智美

一般人(バトルができない)
愛沢優莉、猪目道司、イロハ、片嶌俊介、逆井運河、田崎紀夫、トーマス・A・エジソン、葉桜加奈子、
フランドール・オクティル、真琴真奈美、御木魚師、溝呂木桐子

今のところはまだ一般人が多いかな
0295創る名無しに見る名無し垢版2012/12/30(日) 23:29:57.60ID:1lNCpTZz
オーヴァーさんは超人に比べてスペックは低いけど一番頭使って戦ってる感があるわ
0297創る名無しに見る名無し垢版2012/12/31(月) 14:48:18.96ID:sWz47tkq
祢音prpr^ω^
これはどう見ても片嶌が得するな…
0299許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o 垢版2012/12/31(月) 19:11:51.75ID:Vgkx3m1O
頭に響く天よりの声。
晴れやかな朝日とともに舞い降りたそれは、福音などではなく凶事を知らせる凶報である。
それはこの少女、安田智美にとっても当然のごとく例外ではない。

「――――――――」

幾多の名を聞いた。
漏らす声などない。
懐く感想もない。

何が呼ばれたのか。
何故呼ばれたのか。
それがどういう意味なのか、認識ができない。
彼女には受け入れられない。

「――――――――」

何故そこに聖澤めぐるの名が含まれていることが理解できない。
いや、少し考えればわかることなのだろう。
だが考えることを脳が拒否する。
考えてしまったらきっと何かが終わってしまう。

「…………めぐる」

だというのに、乾いた喉からその名は呟かれた。
自ら口にした言葉は、乾いた大地に水が浸み込むように彼女に現実を認識させる。

「めぐる、めぐる、めぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐる」

その名を繰り返す。
そう呼び続けることしかできない。
その度に侵食するように、親友の死が彼女の理解へと及び。

「ぅああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

堰を切ったように感情が噴出した。
喉が張り裂けるような絶叫。
涙と叫びで全てを吐き出すような慟哭だった。

戦友だった。
親友だった。
今の自分の全てだった。

永遠に響き続けるのではないかと思われた絶叫もいつしか止まる。
すべて吐き出した後に音はなく、静寂が辺りを支配する。
辺りに動くものはない。
智美は蹲る様な体制のままで、唸るように呟く。



「―――――許さない」



それは誰に向けての言葉だったのか。
この舞台を生み出したヨグスに向けてか。
目の前で龍造寺さくらを殺したオーヴァーに向けてか。
それとも聖澤めぐるを殺した誰かに向けてか。

憎悪を込めた言葉は融けるように、誰に届くこともなく消えていった。
0300許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o 垢版2012/12/31(月) 19:14:09.39ID:Vgkx3m1O
///////////////////////////////////////////

「12人、ねぇ」

放送を聞いた御木魚師は表には出さないものの、内心で焦りを感じていた。

既に12人の死者が出ているということは、当然殺した人間もそれだけいるという事である。
三分の一が死んで生き残りは早くも三分の二。
一人一殺してその全員が生き残っているとしたら、最悪の場合この島にいる二人に一人は殺人鬼になる計算だ。

そして御木は最悪を想定する。
それが生き残るコツだ。

御木は小悪党だが殺人という一線だけは超えちゃいない。
彼に騙された挙句、破滅して自殺した人間はいるのだろうが、それはノーカウントだ。

日本は治法国家である。ヤクザといえどそう簡単に人を殺せるわけではない。
そういうことが平然と出来るネジのイカれた野郎はすぐに御用になるのが常だ。

だがこの場は治外法権だ。
開始直後にホイホイと人を殺す奴が3人もいることといい、もしかしたら猪目だけじゃなく”そういう人間”を集めているのかもしれない。
もちろん言葉さえ通じれば猪目だろうと口八丁で乗り切る自信はあるが。そもそも言葉すら通じない相手ではそれも不可能だ。

この場は思った以上にヤバイ。
これまで危険人物に出会わなかったのが奇跡の様なものだ。
真奈美で楽しむ予定だったが、身の安全が第一である。彼は何よりも我が身が可愛い。
開始直後から行動を共にしている連中が殺人を犯している可能性はないだろうが、これから合う連中には最大限警戒が必要になるだろう。
その辺の人間性の見極めは真奈美やエジソンじゃ無理だ。
その見極めは御木が行うべきだろう、彼女らのためではなく、あくまでも己ために。

だが、御木は失念していた。
あまりにも近すぎて見逃していた。
と言うより、動ける存在として認識していなかったため見落としていた。
既に一人、異物が侵入していることを。
素性のしれない人間が、本当にすぐ近くにいることを。

ゴキン、と鈍い音が響いた。

「…………うわぁあぁあああぁぁあぁぁ!!!!!」

少し遅れて聞こえる、耳を劈くような悲鳴。
何事かと真奈美が声の方向を振り返れば、目に入ったのは悲鳴を上げながら脱兎のように駆け出すエジソンの後ろ姿。
そして、首が180度捩じれた、御木魚師の姿だった。
0301許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o 垢版2012/12/31(月) 19:15:26.95ID:Vgkx3m1O
「13人目ね、これで」

薄い笑みを張り付かせたような声。
御木の体がゆっくりと倒れ、捩じれた頭から防弾ヘルメットがカランと落ちた。
入れ替わるのように、御木の背からスカートを翻して少女が降り立つ。

「貴様は…………」

真奈美目が驚愕に見開かれる。
あれほど酷かった顔の傷が、この短時間で完全ではないもののある程度見れるレベルまで回復している。

そして幾分か傷の引いたその顔には覚えがあった。
直接的な知り合いではなく、調査資料の中でだ。
それは前代未聞の大量殺傷事件を巻き起こした張本人。

「――――藍葉水萌!」
「あら、私って有名人」

名前を言い当てられた水萌は動じるでもなく、嗤いながら御木の体から排出されたスキルカードを回収する。

情報を聞き逃さぬようじっとしていたが、意識自体は放送のタイミングで覚醒していた。
あの老人、板垣退助からうけたダメージで頸椎を損傷してなかったのは幸いだった。
裂傷はふさがった。まだ見た目上は傷跡は残っているだろうが傷口がふさがっているなら十分だ。
赤黒い風船のように膨らんでいた顔の腫れは、顔の造詣が見て取れるレベルにまで引いている。
完全に砕かれ外れた顎骨も繋がっている。言葉を話すだけなら支障はないだろう。
鼻骨の粉砕骨折はまだチクチクと痛むが、呼吸はできる。戦闘には影響はなさそうだ。

いずれをとってもこの短時間で成せる次元の回復ではない。

「スキルってのも意外と使えるわね」

最強を自負する勇者のまさかの敗北。
油断していたというのも確かにある。
だが、それを差し引いてもあの老人は強い。身を持ってそれを実感した。

当然のごとく借りは返す。そうでなくとも殺すが。
そのためにはレベルアップが必要だ。
だが、彼女のレベルはカンストしている。これ以上の成長は見込めない
ならば、装備を整えるしかない。この場合はスキルも含む。

「という訳で頂戴、あなたのスキル」

ペロリと赤い舌をだしながら踏み込んできた水萌に対して、真奈美はH&KMP5を構える。
0302許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o 垢版2012/12/31(月) 19:16:59.01ID:Vgkx3m1O
「動くな!」

相手は大量殺人犯である。
容赦する道理はないし、容赦すればこちらがやられる。
何より殺人者は許せない。
相手の動きによっては、すぐさま引き金を引く覚悟を決める。

「うふふふ。おバカさん。そんなものが当たると思って?」

だが、銃口を突きつけられながらも水萌は余裕を崩さない。
不敵な笑みのまま水萌はさらに一歩、真奈美へと踏み出した。

「ッ!!」

その動きに、真奈美は反射的に引き金を引いた。
フルオートマチックで降り注ぐ9oパラベラム。逃げ場などない弾丸の雨。
だが、命を奪う事への躊躇いからか、足元を狙っていたのが災いした。

水萌は上に向かって跳んだ。
完成された勇者である彼女は、単純に身体能力が常人とは桁違いである。
見惚れるほど美しい伸身宙返りで弾幕の遥か上に弧を描くと、そのまま身を捻り真奈美の背後に着地した。
真奈美もその動きに対応すべく、振り返りながら残弾を撃ち尽くしたサブマシンガンの装填を行おうとするが。
それよりも速く手首を強かに弾かれ予備カートリッジを地面に落とした。
そのまま後ろ手に関節を固められ、真奈美は動きを封じられる。
少しでも腕をひねれば関節が破壊されるという体制のまま、水萌は真奈美の耳元に語りかける。

「スキルは使わないの?
 戦闘用のスキルじゃないのかしら?
 それともまだスキルを取り込んでない?
 まあ、どっちでもいいわ。殺してしまえばわかることだし」

水萌の腕に力が籠められ、ミシリと真奈美の骨が軋みを上げた。
関節が破壊されるその直前。
唐突に水萌は真奈美の拘束を放棄して、大きく後ろに飛びのいた。
同時に響く短い銃声。それが水萌を狙った第三者の存在を知らせいた。

「いい所だったのに、邪魔するのはだぁれ?」

水萌が銃声の先に視線を向ける。真奈美も水萌を警戒しながらも同じく視線を送った。
その視線の先に表れたのは小型拳銃を片手に構えた、青と白のドレスに身を包んだ少女だった。

「――――チッ」

現れた少女は舌を打つと、弾切れしたのか手にしていた小型拳銃を乱暴に放り投げた。

その少女の目を見た、真奈美の背に戦慄が走る。
フリルの付いた可愛らしい衣装に見合わない、その瞳は深淵の闇のよう。
深い絶望と殺意が入り混じった色だ。
0303許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o 垢版2012/12/31(月) 19:18:34.02ID:Vgkx3m1O
「―――――魔法使い」

そう口を開いたのは水萌だった。
そして相手を見下すように水萌はくすくすと嗤う。

「魔法使い如きが、勇者に勝てるとおもってるのぉ?」

挑発的な水萌の言葉に対する少女の返答は端的だった。

「――煩い。人殺しは、死ね」

言って。双剣を生み出し、水萌に向かって対峙する。
だがそれを静止する声が響く。

「待て! 待つんだ。
 助けてもらったことには感謝する。だが危険だ。
 相手は凶悪犯だ。この場は警察官である私が例えこの身がどうなろうとも抑えてみせる。
 だから、君は下がってるんだ。
 それに、どんな理由があろうとも君が彼女を殺そうというのなら私は、」
「―――――煩い」

静止を求める声は、怨嗟のような声に遮られる。

「煩い。煩い。煩い煩い煩い! 煩い!
 あなたは逃げた仲間でも追ってれば?
 邪魔するなら――――殺すわよ」

その気迫に思わず真奈美は押し黙る。

彼女にとっては、もはや何もかもが煩わしい。
目の前で殺人を犯した水萌は決して許せないが。
先ほどの銃撃が制圧ではなく殺すつもりで撃ったものだったなら、真奈美も殺している。

安田智美は――魔法少女は正義の味方ではない。
自らの目的を達するために力と契約した己の味方だ。

殺人者は許さない。

それは奇しくも真奈美と同じ信念ではあるのだが、その本質はまるで違う。
真奈美のそれは殺人という行為を恨み、行為者を逮捕するという形での許さないだが。

智美のそれは、目的のためなら、殺人者を殺して自らが殺人者になることは厭わないし。
そのためならば、無関係の人間を殺しても構わないと思う程度には矛盾している。

先ほど真奈美を救った銃撃もそうだ。
真奈美に当たっても構わないつもりで撃ったし。
そもそも彼女を救うつもりで撃ったのではない。

「ねぇ、その剣ってスキルで出したの? それともあなたの元々の力なのかしら?」

智美は答えない。
ただ殺意をギラつかせ双剣を構える。
そのつれない態度に水萌は肩をすくめる。

「そう。答えないならそれでもいいわ。私の経験値(かて)になりなさい、魔法使い」
「煩い。殺してやる。殺人鬼」
0304許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o 垢版2012/12/31(月) 19:19:52.79ID:Vgkx3m1O
【御木魚師 死亡】

【一日目・朝 E-2】
【安田智美】
【状態】健康
【装備】双剣
【スキル】『ブレインイーター』『ある魔法少女の魔法能力(めぐる)』
【所持品】基本支給品、空のカード(残り9枚)、不明支給品1〜3(さくら)
【思考】
基本:人殺しは許さない
1.目の前の女を排除する
※双剣はめぐるの魔法少女としての能力で生成された物です

【藍葉水萌】
【状態】顔面にダメージ(大)再生中
【装備】なし
【スキル】『自己再生』
【所持品】基本支給品、手榴弾×4 特殊手錠『パブリックエネミー』
【思考】
基本:板垣に報復。そのために装備とスキルを集める
1.経験値稼ぎ
※特殊手錠
一見ワイヤーのついたごく普通の手錠。何か特殊な仕掛けがあるらしい。

【真琴真奈美】
【状態】健康
【装備】H&KMP5(0/30)
【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品
【思考】
1.エジソンを追う or 目の前の争いを止める
2.オーヴァーが居る…?

【一日目・朝 D-3】
【トーマス・A・エジソン】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、不明支給品1〜2
【思考】
1.この場から逃げる


投下終了

>>296
小学生とは思えない露出っぷり
まったくけしからんですな、片嶌は死ぬといいよ

それでは皆様良いお年を
0305創る名無しに見る名無し垢版2012/12/31(月) 22:30:26.29ID:sWz47tkq
投下乙です!


ゴキィィィィィ!!!!!ああ…合掌…


そして智美…あー…まあそうなるわなあ。
さくら死んでボロボロなところにめぐるだから…ここからどうなっていくか??

んでみなもちゃんはやっとスコア1か。意外と遅いな。
0308 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/03(木) 22:44:25.33ID:cgbU0Wf+
先ほどの腑抜けた叫び声の後、追われる側であった逆井運河と追う側であった田崎紀夫は、一旦その関係を忘れるかのように沈黙を作り上げた。

二人の眼前に広がる筋骨隆々の、毛深い男の体。
だがしかし、その屈強な肉体は赤く染まっていた。
だがそれが彼の筋肉に艶々とした輝きを与えていて、逆に気色が悪い。
次にツン、とした鉄の匂い。
…いや、鉄ではない。鉄というのにはあまりにも刺激臭だ。

そして何よりも。
目の前の肉体には、あるべきはずの首が無かったのだから、彼は殺されたのだろう、それは一目で分かる。

―――死体だ―――


その言葉が二人の脳内を駆け巡った。
紀夫はビビった。いきなり本日二度目の死体が自分の下敷きになっていたのだから。
運河もビビった。怪我人は今までの不幸故に見たものの死体はあまり見慣れなかった(寧ろ初見)のだから。
故にその妙な恐怖が、彼らに沈黙を与えたのだ。
彼らに与えられた沈黙は恐怖とともに、冷静を与えた。
追う追われるの関係を忘れさせる程の、また不思議な冷静さ。
いやそれは唖然に近いのか。

「…マジっすか…こんなん…マジっすか…」
0309 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/03(木) 22:46:19.59ID:cgbU0Wf+
そんななんとも言えぬ沈黙を破る第一声は田崎紀夫からだった。
死体から起き上がるように後退りしながらの言葉だった。

紀夫は、既に死体を見ている。
怖い物見たさのように、おそるおそる。
それは世間一般からしても残虐極まりない死体。
美しかっただろう少女を、青ざめさせ、穢れさせるような死体。

だが、違う。今眼前の死体は違うのだ。
『無惨に殺す』事だけを考えた死体。
首は切り落とされ、うつ伏せの死体の心臓と思われる部分には穴が貫いている。

近年の外国のB級スナッフビデオ(殺人を装った映画。ここではスプラッタ系を除く)でも、ここまで単純かつ残酷な殺し方はしないだろう。

それに、加えるとしたらこの死体の筋肉である。

紀夫はまずこの死体が生前手練れであると把握した。
柔道で三段(三段というと各地域の審査会で昇段試験を受けてよっぽどが無い限りは取れるが)の紀夫。
そのタチ故に一柔道選手としてある程度の大会に出場してきた。
そんな中ひょんとした拍子に全国大会3位になったりはした。
組み合わせの運の強さもあるものの、彼の実力は3段とはいえ筋金入りだ。
故に、これでもかと鍛えられた肉体は見てきた。

相撲取りの一見脂肪に見える紀夫の肉体。
知る方は多いだろうが、あれはほとんどが筋肉である。紀夫の体は寧ろ相撲取りに近い。

いや、相撲取りと比べると明らかに脂肪の比率は多いが。
…ともかく彼の体は受け身を取れるように、しっかりとした体幹を持つ為に、技の衝撃に耐えれるように仕上がっている。

だけれど、眼前の男は違う。
0310 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/03(木) 22:47:31.05ID:cgbU0Wf+
紀夫のように無駄な脂肪は無く、全身がまるでお手本のように出来上がっている。

しかし違うのだ。彼の体はボディービルダーのように見せるようではない、まさに獣のような肉体。
ここまでするのに、かなりの労力が必須だろう。それは絶え間ない努力で手に入れた、即ち『闘う為の肉体』である。
その『闘う為の肉体』が。
こうして眼前で惨くうつ伏せになっているのを見ると紀夫は危惧する。


―――ここまでの人間を、殺せる程の人間がいる―――?


一度は冷静になったものの、改めて恐怖を覚える。
何故、何故自分が呼ばれるのかと。

さて。
そんな紀夫を差し置いて逆井運河は考えていた。
いち早くこの状況から逃げる事を。
だが、どうする?
目の前の太った男は怯えているようだ。
ここで素早く逃げ出せば目の前の男は理解出来ずに着いていけず、逃走可能かもしれない。

だがもし、男が察知したら?

…次は逃げ切れまい。先ほどの逃走で、この太った男の体力は外見に似つかず自分よりも高い。
また長期戦となれば間違いなくまた捕まってしまうだろう。
ああ、それは面倒くさい。
方針は決まった。すぐにこの男が着いてこないように立ち去り、素早く逃げる。

運河は徐々に、徐々に尻餅をついた状態から太った男から離れていく。気づかれないうちに、慎重に、慎重に。

(今だっ)

そう思い飛び上がるように立ち上がった瞬間。

『―――やぁやぁ、久しぶりだね。僕だよ』

脳内に、軽快な声が響き始めた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
0311創る名無しに見る名無し垢版2013/01/03(木) 22:50:15.26ID:cgbU0Wf+
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「…案外早いモノね」

いきなり私の脳内に話しかけてきた声。正直、よくぞまあヌケヌケと喋れるもんだ。
さっき武器を見た時は『気があう』とふざけつつ言ったが前言撤回。こいつはとんだ精神の持ち主だ。実験対象に仲良く話しかけてくるなんて。
私なら出来るか?いや出来ない。はい反語。
まあただこんな意味不明な、下手すれば100%キチ○イに思われる人殺し大会を開催する時点でこいつには躊躇は無いんだろう。
妙に腹が立つが、ここで立てて何になる。
そうある程度の区切りをつけて、放送に耳を傾けた。

んで。始まる声。


禁止エリアだとかは大切だが今の状況下でディパックから用紙か何かを取り出してメモするのは容易ではない。
仕方なしに、頭の片隅にでも置いておくのだけれど。

次に呼ばれた、死亡者一覧。
いや、フツー死んだ人呼びます?って率直に感じたけど、前述の通り相手には常識が無さそうなアンポンタンなのだから、諦めながらまたこれも耳を傾けた。

…ただ生憎私の知り合いは劉以外に呼ばれる事は無かったから、一切私には関係はないし、気が狂うなんて事は無かったのだけれど…てか全員で12人?

いやいやいや。

皆ハリキリすぎでしょ?『よーし、お父さんRPG-7撃っちゃうぞー』とか言ってんの?バカなの?
治外法権ってレベルじゃないでしょこれ。
まー、案外乗り気なのはやっぱりいるもんだなあ、と再確認したところで。
0312創る名無しに見る名無し垢版2013/01/03(木) 22:51:13.98ID:cgbU0Wf+
(オーヴァーを越える殺人狂でもいんのここには?)

溜め息。今ディパックから確定名簿を取り出して読もうとしたが、この状況下だ。まあいい。

「…もうこれ詰みでしょ」
私は足下を見る。うん。凍ってる。
さっきの『状況』はこの事。私、現在冷凍中。
頑張って砕こうとはしてみたけれど、これがまた妙に固い固い。【エターナルフォースブリザード】だなんて仰々しい名前らしく、フツーの氷とは作りが違うのか?気になるけど、今の私にはどうしようもない。
それに、このままだと非常にマズイ事になる。
凍傷だ。
今はまだ、多分大丈夫だろうが私がこのままだと間違いなく足に凍傷が起きる。
今はまだ軽いからいいかもしれないけどこれが続いたら?使い物にはならないだろう。だから、なんとしてでも、早く氷をなんとかしないと。

(…まあ…私にゃどうしようも出来ないんだけれどねー)

あー、クソッタレ。やっぱりこうなったら誰かに助けを求めるしかないのか。
出来れば、出来れば運河以外。あいつが来ると私は死ぬ。間違いなく死ぬ。

「周りに誰か居ないかなーっと」

足を固定されてるから視野は狭いが、私は辺りをなるべく見ようと首だけで努力。
結構位置が高いから、360度とはいえないがそのぶん奥行きでカバー。
目を凝らす。さながら獲物を狙う、鳥のよう。
いや、違う。高いとこから降りれなくなった助けを求める子猫のよう。
暗殺者の名折れ、だとか言われるかもしれないが別に構うもんか。

…………あ、居た。二人。ピザと痩せてる?うーん。顔はこっからじゃ分からない。
気づくかなあ。まあ気づくだろうなあ。こんな電波塔、現代アートでもないもんなあ。
これがゲームに乗ってたら私の人生はDEAD END。さて、どうなるか。
…気づいてくれますように。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
0313 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/03(木) 22:53:12.09ID:cgbU0Wf+
『それでは、さようなら』

…いやいやいや、これどういう事なんすか?
ファンちゃんが死んだ?あのファンちゃんが?
数時間前は、あんなに楽しそうに話していた女の子が?
それにファンちゃん含めて12人…いやいや。あり得ねーっすよこんなん。死にすぎでしょ。ヤベーッスよ。
えっ?まさか俺こん中で生き残らせる気っすか?
ムリムリムリムリ。逆に俺みたいな奴がよく生きれたぞって。
…うわ。こ、怖い。
な、なんすかこの怖さ。今日で二人死体見たけど…改めて確認っすよ。
いつ死ぬかが分からないって。それが誰であろうと不思議じゃないって。
…でも。怖いのを押さえて。
ファンちゃんが死ぬ前にした約束、果たさなくちゃ。
…さっき追ってた男は!?
…ん?妙に距離がある?まさか、逃げようと?
逃がす訳にはもういかないっすけど…何か!何か無いか…
あ。ディパック。
そういえば、なにか支給されてるかなんとか、そんな話…

(スキルカード…)

さっき、ファンちゃんが言っていた。
これには不思議な力があるって。ファンちゃん、言ってくれなかったんすけど。
…そうと決まれば。こいつを信じるしかない。
目の前の男は加速寸前。こいつとおいかけっこする訳には。
ディパックを漁る。地図、パン、弓矢…
色々あるのだけれど、俺に必要なのは、カードっす。
…あった!テレフォンカードくらいの大きさ。
これさえあれば、あいつを―――でもどうすれば?
…とりあえず口に出してみるっす。

「え、こ、骨そ…そう?骨葬の儀式!」
0314 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/03(木) 22:56:21.80ID:cgbU0Wf+
そう言った瞬間、地面からボコっと音がしたんす。
それは、水面から顔を出すように、一、二、三、四、五。
でも、でもそれは皆白くて、ヒビが入ってて。
さながら、骸骨…。
すると骸骨は、突然カタカタとその顎を動かし始めた。

「え何wwwやっと俺らの番www遅くねwwwもう一回放送なったよwww?」
「まあ大丈夫だろwww私らつえーしwww」
「ですよねーwww」
「さーて、ぼくらのマスターは……ピザwwwオワタwww永遠ちゃんみたいな美少女がええのにwww」
「おまwwwその名前禁止wwwwwwやべえwww笑えるwww」

…えっ?なんすかこれ。
妙に腹立つんすけど。この骸骨どもがスキル?
と、すると頭の中に急速に入ってくる情報。

(なんでも言うことを聞いて戦ってくれる、かあ)

と、なると。この骸骨は俺の手足って事すか。走るの苦手な俺からしたら、ありがたいっすね…。
まあ、信頼は薄いけど任せてみる価値はあるのかな?
0315代理垢版2013/01/03(木) 23:14:31.68ID:lSvJNTcL
「あの痩せた男を追ってほしいんすけど…」
『えっwwwやだwww』
『でもやだって言ったら俺たちあの人から消されるけど』
『ネタにマジレスwww百に承知なのにwww』
『骨だけに骨が折れるぜってか?やかましいわwwwwww』
『お前ら黙れwww言われた通りに従うぞwww…おいピザ!』
「お、俺っすか…?」
『止めるだけでいいんだよな?』
「し、進路を塞いでくれれば…」
『うはwwwwww楽勝www任せとけwwwwww』

そう笑いながら五体の骸骨は男に向かっていくっす。
男は既に走ろうとしていて。俺ならまたさっきみたいになるんだろうけど、骸骨たちは尋常じゃない速度で男の進行方向に走り込み、そして―――
『はい通せんぼwwwwww』

五体はあっという間に男を取り囲むようにして進路を防いでしまったんす。
うわ、骨たちすごい。

『これでいいwwwwww?』
「あ、ありがとうっす…」
『俺ら次の命令来るまで全裸待機w』
『元から全裸じゃねーかwwwwww』
『うwwwるwwwせwwwえwww』

…ともかく、これで逃げれなくなったのは確かっす。
0316代理垢版2013/01/03(木) 23:15:17.97ID:lSvJNTcL
こうなったら、逃がす訳にはいかない。

「さ…さっきの死体はやっぱあんたがやったんすか!?」

男が骸骨に狼狽えながら振り向いた。
完全に慌ててるっすね。しめた。

「お、俺細かい事分かんないっすけど…やっぱ、やっぱやったんならすぐにやめた方がいいっすよ!」
「……おい」
「もし、もしやめないなら俺が…」
「おい…俺はやってない」
「嘘だっ!」

…嘘だ。
必死すぎるっすよ、あきらかにそんなん。
目が泳いでる。
俺、わかるっすよ、嘘だって。こいつが黒だって。
猪目さんだって今危ないかもしれない。
ファンちゃんみたいな人は、もう出したくないっす。約束したから。始めてにひとしい、女の子との約束だから。

「…正直に言うっすよ…やったんだって…」
「あのなあ、落ち着いてくれないか。頼むから」
「やったに違いないっすよ!!!」

そうっすよ。
今、目の前の男が殺し合いに乗ってるんだろう。
こんなに短時間で人が死んでる状況で、眼前に死体があった人物が人殺しじゃない?
だったら?どうすればいいんすかね。
……ああ。分かった!
俺がここで、一先ずこいつ倒せばいいんすよね。

「…ファンちゃんが…ファンちゃんが死んだのだって…あの女の子が死んだんだって…あの男の人が死んだのだって…」

皆、皆。人殺しが悪いんだ。
ファンちゃんも、人殺しに殺された。
こいつだって、きっと。

「俺、柔道三段なんスよ。まあたかが三段いうけど、柔道って人を気絶くらいは出来るんスよね」

体を足を大股に。
腰をしっかりと据えて。
無いけど、黒帯を締めるモーション。

「田崎紀夫三段、新雪館所属。行くっす」

柔道に誇りは無いけれど。
俺に出来る事を、やらなくちゃいけないんすよね。
約束を果たす為にも。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
0317代理垢版2013/01/03(木) 23:16:26.62ID:lSvJNTcL
(おいおい、嘘だろ…)

面倒くさい事になった…。
目の前の太った男の雰囲気が変わった。
さっきまでの陽気なのは一変。今は目が鋭い。目つきだけで人を殺せるような。
そして、この体型。
腰を落とし、ジリジリと寄ってきている。間接技か?まあ、いずれにせよ厄介だ。
…だから逃げたいのに。俺の後ろには骸骨達がニヤニヤ(骸骨に表情あるのがおかしいけど)待ち構えている。
さっきの速度を見るに、もう逃げれないだろう。

「最悪だ…」

俺は何処まで運がないんだ。
改めて実感。誤解から、こんな目にあうなんて。

「もうやだ」

俺はそう呟いた。
目の前にはデブ。後ろには骸骨。
さあ、どうすりゃいいんだこんなの。
0318代理垢版2013/01/03(木) 23:17:35.49ID:lSvJNTcL
【一日目・早朝/C-5 劉厳の死体の近く】

【逆井運河】
【状態】健康、疲労
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、スキルカード『二分の一』、不明支給品1〜2
【思考】
1.死体だし、追っかけられるし、また死体だし、骸骨だしもう死にたい…。

【田崎紀夫】
【状態】健康、疲労
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、スキルカード『骨葬の儀式』、弓矢(?/?)
【思考】
1.ファンちゃんの為に頑張ってみる


【一日目・早朝/C-5電波塔のてっぺん】
【イリアム・ツェーン】
【状態】健康、足首から先が凍り付いて電波塔とドッキング、動けない
【装備】M36レディ・スミス
【スキル】エターナルフォースブリザード
【所持品】基本支給品×2、不明支給品0〜1、首輪×1
【思考】
1.やってましましたなぁ。ほぼ詰んだわー。助けてー。
2.参加させられてるであろう逆井運河を探す
3.首輪を解析できる技術者を探す
4.正午に教会でフィクションたちと落ち合う
5.あの二人は気づくかな?
※参加者候補の名前は記憶しています
※電波塔が凍り付いています
0319>>312修正垢版2013/01/03(木) 23:19:23.30ID:lSvJNTcL
(オーヴァーを越える殺人狂でもいんのここには?)

溜め息。今ディパックから確定名簿を取り出して読もうとしたが、この状況下だ。まあいい。

「…もうこれ詰みでしょ」
私は足下を見る。うん。凍ってる。
さっきの『状況』はこの事。私、現在冷凍中。
頑張って砕こうとはしてみたけれど、これがまた妙に固い固い。【エターナルフォースブリザード】だなんて仰々しい名前らしく、フツーの氷とは作りが違うのか?気になるけど、今の私にはどうしようもない。
それに、このままだと非常にマズイ事になる。
凍傷だ。
今はまだ、多分大丈夫だろうが私がこのままだと間違いなく足に凍傷が起きる。
今はまだ軽いからいいかもしれないけどこれが続いたら?使い物にはならないだろう。だから、なんとしてでも、早く氷をなんとかしないと。

(…まあ…私にゃどうしようも出来ないんだけれどねー)

あー、クソッタレ。やっぱりこうなったら誰かに助けを求めるしかないのか。
今だけ。
今だけでいいから、出来れば、出来れば運河以外。あいつが来ると私は死ぬ。間違いなく死ぬ。

「周りに誰か居ないかなーっと」

足を固定されてるから視野は狭いが、私は辺りをなるべく見ようと首だけで努力。
結構位置が高いから、360度とはいえないがそのぶん奥行きでカバー。
目を凝らす。さながら獲物を狙う、鳥のよう。
いや、違う。高いとこから降りれなくなった助けを求める子猫のよう。
暗殺者の名折れ、だとか言われるかもしれないが別に構うもんか。

…………あ、居た。二人。ピザと痩せてる?うーん。顔はこっからじゃ分からない。
気づくかなあ。まあ気づくだろうなあ。こんな電波塔、現代アートでもないもんなあ。
これがゲームに乗ってたら私の人生はDEAD END。さて、どうなるか。
…気づいてくれますように。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
0320創る名無しに見る名無し垢版2013/01/04(金) 01:46:46.80ID:N4R3cNjJ
投下乙です

田崎くんが思った以上に動けるデブだった
そして骨どものノリが軽ぃよwww

イリアムはマジどうすんだろ
0321創る名無しに見る名無し垢版2013/01/04(金) 02:27:42.33ID:0OuWI23S
投下乙
そういえば紀夫は柔道やってたんだ、すっかり忘れてたw
運河はさっさと諦めて楽になるべしそうするべし

あと、イリアムは暗殺者じゃなくて元エージェントですよ
0322 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/04(金) 15:57:40.25ID:WyLxdtK5
(オーヴァーを越える殺人狂でもいんのここには?)

溜め息。今ディパックから確定名簿を取り出して読もうとしたが、この状況下だ。まあいい。

「…もうこれ詰みでしょ」
私は足下を見る。うん。凍ってる。
さっきの『状況』はこの事。私、現在冷凍中。
頑張って砕こうとはしてみたけれど、これがまた妙に固い固い。【エターナルフォースブリザード】だなんて仰々しい名前らしく、フツーの氷とは作りが違うのか?気になるけど、今の私にはどうしようもない。
それに、このままだと非常にマズイ事になる。
凍傷だ。
今はまだ、多分大丈夫だろうが私がこのままだと間違いなく足に凍傷が起きる。
今はまだ軽いからいいかもしれないけどこれが続いたら?使い物にはならないだろう。だから、なんとしてでも、早く氷をなんとかしないと。

(…まあ…私にゃどうしようも出来ないんだけれどねー)

あー、クソッタレ。やっぱりこうなったら誰かに助けを求めるしかないのか。
出来れば、出来れば運河以外。あいつが来ると私は死ぬ。間違いなく死ぬ。

「周りに誰か居ないかなーっと」

足を固定されてるから視野は狭いが、私は辺りをなるべく見ようと首だけで努力。
結構位置が高いから、360度とはいえないがそのぶん奥行きでカバー。
目を凝らす。さながら獲物を狙う、鳥のよう。
いや、違う。高いとこから降りれなくなった助けを求める子猫のよう。
失業中とはいえ一応エージェントだ。
その名折れ、だとか言われて笑われるかもしれないが別に構うもんか。

…………あ、居た。二人。ピザと痩せてる?うーん。顔はこっからじゃ分からない。
気づくかなあ。まあ気づくだろうなあ。こんな電波塔、現代アートでもないもんなあ。
これがゲームに乗ってたら私の人生はDEAD END。さて、どうなるか。
…気づいてくれますように。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
0323 ◆IjfUSUNsIR9f 垢版2013/01/04(金) 16:05:09.81ID:WyLxdtK5
すんません…>>312の再々修正です…
>>321氏のご指摘、感謝します!暗殺者多いから気をつけないと…

したらばに書きましたが、タイトルは『Do you struggle against trouble?』でお願いします。


ここからチラ裏ですが、毒吐きで近々ロワ語りで当ロワが選ばれたらしいですね。
日程は1月6日…。
0325創る名無しに見る名無し垢版2013/01/06(日) 00:37:57.87ID:VtiRmavZ
つ、遂にみなもにも絵が…いつもホントに乙です!
みなもかわいい…顔だけならやはり美少女か…


しかしpixivの方も含めるとこりゃ全キャラ書かれるぞきっと(チラッ
0326創る名無しに見る名無し垢版2013/01/07(月) 12:10:32.80ID:ZI5mTNrm
この前のロワ語りは乙でした
まさかあんなに話が進むなんてw
ちょっと嬉しかったり。
0327創る名無しに見る名無し垢版2013/01/07(月) 18:05:36.49ID:q3UREXuq
ロワ語りおもしろかったなw
そういや本編と参加者候補一覧眺めてて思ったけど
ロワ前、逆井運河に人探しの依頼したのは王凰だったりするのかな、中国人だし
そうなると運河が探してたのは篠田君になるな
0329オクティル国物語 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/10(木) 22:49:45.94ID:NrXrW1Rn
フランツ・O・ブリュデリッヒは流れる放送に耳を傾けていた。
彼の傍らには砂金の様な黄金の髪を朝日に輝せた美しき姫君がいる。
この場におけるフランツの主君。フランドール・オクティルである。
彼女は死者を悼み、黙祷を捧げている。
フランツもそれに倣い、静かに死者に向けて黙祷を捧げた。

放送によって知らされたのは、早くも1/3が死亡するという尋常ならざる事実であった。
人気のない山中に放り出されたというのはあるいは幸運だったのか。
否。犠牲者を出さないという主の掲げる理想からいえば、山中を抜けるのに時間を費やしたのは不運であるといえるだろう。

だが、その大量の死者よりも、気がかりなのは生者。
放送と共に配布された名簿に羅列された幾つかの名前である。
それらはフランツに僅かながらの動揺をもたらせた。

○カイン・シュタイン...

友であるカインがこの場にいるという事実は驚くべきことではあるのだが、これに関しては心配はしていない。
いや、まったく心配でないといえば流石に嘘になるが、同じ騎士という立場である以上、無用な気遣いはむしろ侮辱にあたるだろう。
それに、心配などせずとも、彼が自分などよりうまく立ち回るであろうことは想像に難くない。

○藍葉水萌...
○篠田勇...

それよりも目を引いたのは異世界より現れ消えた勇者の名であった。
救世の勇者と破壊の勇者。
両名の名がしっかりと記されている。

救世の勇者はしばらく我が国に滞在していたもが、主にやり取りを行っていたのは王や騎士団長を務める父であり。
一介の騎士でしかないフランツが直接会話を交わしたのは数える程度の事である。
父の勧めで一度だけ手合せしたこともあるが、向こうがこちらの事を覚えているかは微妙なところである。

破壊の勇者に関しては直接の面識はない。
だが、悪名ともいえる噂は嫌というほど耳に入ったし、近隣諸国からの御触れや人相書きで特徴は把握している。
その破壊の勇者が愛用していた大剣が支給されたのは縁といえば縁だろう。

漆黒を纏う大剣。
鋼よりも固く、それでいてゴムの様なしなやかを誇る特殊な鉱物から生み出された業物で、それに比例して重量も凄まじい。
フランツの様な大男には見合う大剣であろうが、これを女人の細腕で振るうというのだから恐ろしい話である。

だが、フランツに最も衝撃を与えた名はこれらではない。

相互理解のためにフランツが語った友との昔話。
それに対してフランドールが返し語った話もまた、友の話だった。

○加山圓...
○葉桜加奈子...

そして、この名は、まさしく先ほど語られた友の名であった。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
0330オクティル国物語 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/10(木) 22:55:40.13ID:NrXrW1Rn
―――オクティル王国。


周囲を高い山々に囲まれてた山岳国であり、その恵まれた地形から他国からの侵略の危機にさらされることもなく長らく平和を維持してきた。
鉱山から取れる鉱物の輸出が盛んであり、特に金の産出国としては有名で、主な財源として大いに国を潤わせていた。
その潤沢な財源をもって小国ながら、近隣諸国に高い影響力を持っている国だった。

だがある日、王が病に倒れたことからその平穏は崩れ始めた。

次期王位はフランドールの兄である第一王子が継ぐことがほぼ決定事項だった。
王子は才覚にあふれ、高い決断力を持ち、敵対者に容赦しない非情さを持つ、とかく優秀な男だった。
彼の即位に表立って不満を申し立てる者などいるはずもなく、王位継承は憂いのない問題だった。

だが、事件は起きた。
大使として訪れた異国の地で、王子がテロに巻き込まれ死亡したのだ。

第一王位継承者の急死。
その一報はまさしく青天の霹靂であり。
王が病に伏せたことよりも強く王国全体を揺るがせた。

死亡した王子の他に男児はおらず、王の直系たる遺児は女児であるフランドール一人。
王の余命はいくばくもなく、フランドールの婚儀の相手を見繕う余裕もない。
なれば、第二王位継承権を持つフランドールが女王として即位するのが順当かと思われた。

だが、これに異議申し立てたのが、現王の弟、フランドールの叔父にあたる副王である。
歴史あるオクティル王家の歴史で女が王位を継いだ事例はなく、フランドールの即位は好ましくない。
ならば、王の実弟であり直系である己が継ぐのが妥当であると。これが叔父の主張である。
もちろん、将来フランドールが婚姻を遂げ、子をなし、男児が生まれた場合には快くその席を譲ると付け加えて。

この異議申し立てに反論したのが大臣である。
現王と年の違わぬ叔父が即位したとして、同じく病で倒れられては二の舞である。
何より、第二王位継承権を持つ王女が即位するのが正統である。と真っ向から反発。

この争いを発端として、平和だったオクティル国は骨肉の後継者争いへと向かっていった。

王位を狙う叔父はもとより、王女を支持する大臣も、その実、政に無知な姫君を祭り上げ、傀儡として政権を握ろうとする目論見である。
更には叔父を囲う派閥の中には、密かに王女を亡き者にしようと企む過激な思考を持つ者までいる始末であった。
身の安全に関しては、大臣が送り込んだ護衛が守護しているものの、それも体のいい監視役である。
優しかった父は病に倒れ、頼りになる兄もこの世にはいない。
どちらの勢力が派閥争いに勝つか、どのような結果にるか、ただ天命を待つばかり。
渦中の姫君の置かれた状況は針のむしろだった。

そんな彼女の身を案じる者たちも確かにいた。
使用人を中心とした勢力。王女派である。
しかしながら、王女派は姫を慕う使用人を中心とした派閥であり、支援者も少なく発言力も皆無に等しい。
直接的に命を狙う過激派はもとより、王女の自由を許さず常に監視下に置こうという大臣の動きにも、表立った対応は不可能であった。
0331オクティル国物語 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/10(木) 23:00:31.89ID:NrXrW1Rn
だがフランドール・オクティルという女は、そんな状況を甘んじて受けるような、何も動かず運命を受け入れるだけのような、そんな潔い女ではなかった。

国内の状況に関わらず外交は必要である。
小国であるオクティル王国は、むしろ国内が荒れているからこそ、それの弱みを見せぬよう外交に手を抜くわけにはいかない。
故に、国の顔役として兄の代役を務めるべく国外へと向かうフランドールの動きは両勢力にも止めようがない事だった。
もちろん、護衛という名の厳しい監視は付いていたが。動きを起こすには、まずこの監視を抜け出す事が必要であった。
そして公務を終え、帰国する飛行機の中で、彼女は監視の意表を突く方法で監視網からの脱出に成功する。

フランドール・オクティルが加山圓と葉桜加奈子の二人と出会ったのはその時の話である。

目撃者は出さないつもりだったが、落下点にいたのだからどうしようもない。
戸惑う二人を何とか誤魔化して、その場を後にした。それが出会いだった。

フランドールは、まずは事前に取り決めていた通りに女王派に連絡を取り、更に父と懇意にしていた諸国へと状況を伝える文を送った。
監視の目を逃れた今なら大臣に握りつぶされる事無い。
だがこちらの連絡を受け、向こうからの何かしらの動きがあるのを待つ間、どこかに身を潜める必要がある。
当然行く宛てはない。
逞しくも、彼女が人生初の野宿を決意したところで、朝に出会った少年、加山圓にまた出会った。

明らかに怪しい、事情も明かせない状況にあるそんな彼女を、圓は自身の住まう武家屋敷に招いてくれた。
慣れぬ暮らしに戸惑うこともあったが、加奈子もたびたび顔をだして、何かと身の回りのことを気にかけてくれた。
立場を隠していたので当然と言えば当然だが、王女ではなく一人の少女として扱われるのは新鮮な経験だった。

日本での生活は一ヶ月ほど続いた。
相手の出方を窺うため、あえて注目を浴びる行動をとったこともあった。
遂には、彼女の命を狙う刺客が送られ、その生命を彼らに守られたこともあった。
愛する祖国の行く末を左右する一ヶ月だったが、振り返れば充実した日々であったと思える。
誰も味方のいないあの状況で、あれほどまで親身になってくれた二人には感謝の言葉もない。
二人ともフランドールにとって得難い友となっていた。

だが、そんな生活の終りは唐突に訪れる。

死んだはずの王子が祖国に帰国したのだ。

そこからは電光石火の早業だった。
王子はあっという間に宮中をまとめあげると、今回の件に関する不穏な動きを材料に、副王と大臣と言った危険分子を追放した。

そして事件の片を付け終え、王子はフランドールを迎えに来日する。
自らの即位に当たって不穏分子を炙り出し、一掃するための策だったのだと、彼女に向かって事情を説明した。
そんな兄を、最後に圓が一発殴って、この件は終わりを向かえた。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
0332オクティル国物語 ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/10(木) 23:02:30.85ID:NrXrW1Rn
「フランドール様」

気遣うような声がかかる。
黙祷を続けていたフランドールは瞼を開き、長身のフランツを見上げた。
主の心痛を慮る、臣の気遣いを理解しながら、あくまで何事も無いように彼女は振る舞う。

「フランツ様。既に多くの犠牲者が出ています。
 山道も抜け、日も昇りました。これ以上の犠牲を出さぬよう道を急ぎましょう」

救える命を一つでも掬い取る。そのスタンスに変わりはない。
例え友がいるとわかったとしても、私情に走り彼らの探索を優先するわけにもいかない。
平等であることが統治者の努めである。

「心得ております。我が主よ」

主がそういう態度であるのならば、フランツとしてもこれ以上進言すべきことはない。
恭しく頭を垂れると、フランツは先陣を切る。
ようやく平地に降り立った騎士と姫は、全ての悲劇を止めるべく本格的に行動を開始した。

【一日目・朝/C-2 平地】
【フランドール・オクティル】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品1〜2
【思考】
1.すべての悲劇を止める
2.ヨグスにしかるべき裁きを与える

【フランツ・O・ブリュデリッヒ】
【状態】健康
【装備】勇者の剣・黒
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード
【思考】
1.フランドールに忠誠を誓い、その理想を叶える
0335創る名無しに見る名無し垢版2013/01/11(金) 02:44:18.60ID:1AD/w6PK
投下乙
断片的だった姫様と二人の関係がよくわかる話だった
そして何気に加山△

相関図もGJ
0336創る名無しに見る名無し垢版2013/01/14(月) 04:05:40.26ID:wVsQCxLs
水萌と勇が異世界人で魔王やフランツや加山など殆どが同じ世界の住人だったのか
確かにそのほうが辻褄が合うな、永遠ちゃんマジボッチwというわけでもないのか
0337創る名無しに見る名無し垢版2013/01/14(月) 04:12:59.26ID:wVsQCxLs
あ、でも水萌ちゃんて確か昔全国指名手配されてて資料を真奈美さんが持ってたような…
異世界から来たといってるけど実は日本から瞬間移動してきただけだったりして
0344スリラー ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/17(木) 01:12:58.13ID:SFgp0HRH
「確認しておくけど、こっちの言ってることはわかるんだよね?」

猪目道司は自分の殺した少女に話しかける。
その声に反応して少女の形をしたなにかはグルリと首を傾けた。

「ほら、ゾンビ映画とかだとゾンビって理性なくなって『あーあー』言ってるイメージじゃない?
 お嬢ちゃんの場合はどうなのかなぁって」

忠実に従うゾンビという実に都合のいい手駒を得たものの、それがどの程度使えるのか把握しておかないと話にならない。
知能がなければ最悪、手駒どころか邪魔になる可能性すらある。

「とりあえず、しゃべれるのかな? だったらおじさん返事してほしいんだけどなぁ」
「――――ええ、言語は正確に理解できます」
「ぉお」

返答がきたこととその声色に驚く。
返ってきた声は元となった少女の声色ではあるのだが、どこか無機質で無感情だ。
機械的、というより昆虫的。それまでの少女らしさは感じられない。

「じゃあ、いくつか聞いておきたいんだけど。
 君は、そのぉ、覚えているのかな。自分がどんな状態なのかとかさ」
「殺害された金山純子の肉体とスキルカード『ものまね』をベースとして、スキル『ネクロマンサー』の力でゾンビとして蘇らせた、といったところでしょうか?」

探るような問いかけに淀みなく答える。
質疑応答くらいならば問題ないどころか、認識は正確すぎるくらいに正確だ。
殺された事すら認識しているのか。

「なるほどなるほど。そこまで覚えているんだね。
 ちなみに誰に殺されたのかとかも覚えているのかい?」

少しの間。
相変わらずの平坦な声で少女は答える。

「私が殺された事を恨んでいるのかもしれないと考えているのでしたら、ご心配には及びません。
 殺されたのは金山純子という個人であり、同じ肉体を有しているというだけで私とは別物です。
 私はあくまで主人(マスター)に従う従者(サーヴァント)ですから、反逆はあり得ません」

マスターと来た。言動には元の人格の影響が見える。
意図を察せる知能もある。最低限の状況判断はできそうだ。
そしてその言葉を信じるならば後ろから刺される心配はなさそうではある。
0346スリラー ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/17(木) 01:14:34.95ID:SFgp0HRH
「記憶とかってどうなってるんだい?
 その子の記憶を君は覚えてたりするのかい?」
「いえ、肉体は共有していますが、脳から情報を引き出すことはできません。
 あくまで私はスキルカードですから、私の見聞きしたことしか把握出来ません」
「じゃあその子を演じることはできない?」

その言葉に少女は切り替えるように目を閉じる。

「ふん。なめるんじゃないわよ。そのくらい余裕よ!」
「ほぅ、こりゃすごいね」

さすが『ものまね』のスキルを基にしたというだけあって、その再現度はたいしたものだ。
世辞抜きで、感心する。
多少の差異はあるのだろうが、おそらく親兄弟でもなければ見分けは付かないレベルだろう。
少なくとも昨日今日出会っただけの関係では違和感も感じないだろう。

「じゃあお嬢ちゃんはそのまま紀夫くんを追ってもらえるかな」
「いいけど、あんたはどうするの?」
「おいちゃんは、別の用事を思い出したんでそっちに行くよ。
 用事が終わったらすぐに追いつくつもりだけど、紀夫くんに関しては――――もう殺せそうなら殺しちゃっていいよ」

手駒は手に入った。
肉壁にしかならないデブなんて今となっては邪魔なだけだ。

それにコレはゾンビのスペックテストも兼ねている。
精神面は分かった、では肉体面は?
よくあるゾンビ映画のようにリミッターがハズレたりするのだろうか。
例えそうじゃなく失敗したとしても、猪目とファンガールもどきの関係性を知るものがいない以上、猪目の悪意が露見することはない。
ファンガールがゾンビになって猪目がそれを操っているなど、まともな発想では想像もつくまい。
露見する可能性としては、ファンガールもどきがゲロった場合くらいのものだが、これまでのやり取りからその心配はなさそうだと判断する。

「わかった。やってみる」

その指示になんの躊躇いもなく応じる少女。
人格をまねていてもその本質はあくまで猪目に従うスキルカードである。

「ああそうそう」

別れ際、思い出したように猪目が言う。

「ところで、お嬢ちゃんの事はなんて呼べばいいのかな?
 純子、ちゃんだっけ? それともファンガール? 『ものまね』ちゃんの方がいいかな?」

■■■■■■■■■■■■■■■■■
0347スリラー ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/17(木) 01:17:10.59ID:SFgp0HRH
「お、あったあった」

猪目が探しもの、それは聖澤めぐるの死体である。

スキル『ネクロマンサー』。
ゾンビを生み出すこのスキルに。必要となるのは肉体となる綺麗な死体と、人格となるスキルカード。
殺害方法も絞殺であるため死体は外傷もなくきれいなモノだ。
まだ死後5時間程度のため死斑も血管外へ出ていない。
更に、都合のいいことにスキルカードを1枚余らせている。
というより、この少女から奪い取ったものなのだから、ある種この少女を動かすには御あつらえ向きだろう。

「返すよ、お嬢ちゃん」

そう言って、スキルカードを少女の死体の上に落とす。
もともと使い道がなさそうなスキルだったし、惜しくもない。

【給仕募集】

このカードをベースにしてこの少女を甦らせる。
指定した相手を忠実な執事・メイドにするだけの能力。
殺し合いに役の立たない能力を支給するとは何の酔狂かと思ったが、こういう酔狂に使うのならば悪くない。

「ちちんぷいぷい、あぶらかたぶらっと」

適当な呪文を唱えると、ビクンと、二度と動くはずのない少女の体が震えた。
赤い唇は青く染まり、元より白い肌はさらに白く。不気味なまでに白い。
可憐な顔はそのままにただ不気味さだけが張り付いている。

ムクリと立ち上がった少女は、両腕でスカートの裾を摘まんで、やうやうしく首を垂れた。

「おはようございます、ご主人様」

【一日目・朝/C-6 林】
【猪目道司】
【状態】健康
【装備】S&W M10(5/6)
【スキル】『未来予知』 『ネクロマンサー』(浸食率0%)
【所持品】基本支給品、不明支給品2〜4 、予備弾薬(48/48)
【思考】
1.生き残って自由になる。
2.メイドゾンビと共に、先行したゾンビを追う。

※以下、【ネクロマンサー】によって生み出されたゾンビ
【メイドちゃん(聖澤めぐる)】
【状態】ゾンビ、外的損傷無し
【装備】なし
【スキル】『給仕募集』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本.【ネクロマンサー】所持者に従う。

【一日目・朝/C-5 平原】
【ファンガール・M・J】
【状態】ゾンビ、外的損傷無し
【装備】果物ナイフ
【スキル】『ものまね』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本.【ネクロマンサー】所持者に従う。
1.紀夫の元に向かって殺せそうなら殺す
0348スリラー ◆BUgCrmZ/Lk 垢版2013/01/17(木) 01:20:24.52ID:SFgp0HRH
短いけど投下終了

ゾンビが思考して喋れるのは、復活近いのでちょっとどうかと思いましたが、意見あればどうぞどうぞ
レスを投稿する


ニューススポーツなんでも実況