橙「桃さん」
桃「はい、橙さん」
橙「あちらをご覧ください」
桃「あれは色無氏ですね、どうやら読書中のようですが……と、緑さん?」
橙「先ほどからあの位置をキープしてます」
桃「色無氏の視界には入らない背後でありながら、ぎりぎり手が届きそうな距離をキープしてますね」
橙「それだけではないのです、よくご覧ください」
桃「色無氏が手だけ伸ばして何かを探してますね、おそらく少し離れた位置にあるお菓子をとりたいようです」
橙「はい、手だけ伸ばしているので届かないことに気が付いていないようです。ですが」
桃「おっと、緑さんお菓子の入った器を色無氏の手の届くところにさりげなく移動しましたね」
橙「はい、先ほどからずっとあの調子なんです」
桃「なるほど、見事に呼吸が合ってますねー」
橙「何より恐ろしいのはお互いに読書に集中したままということです」
桃「それは、由々しき事態ですねー」

無(おい、あの二人なにやってんだ?)
緑(知らないわよ、ずっとこっちを見ながらぶつぶつ言ってるんだから)

青「ただいまー、ってみんなしてなにしてるの?」
空「おねーちゃんおかえりー、えっと……みんなで読書会?」
青「私に聞かれてもね」

無(おい、緑。何で俺たち囲まれてるんだ?)
緑(……さぁ、みんなここで本読みたいんじゃないの?)