フィンテック、市場の成長期待が高まる一方で
8割以上が「聞いたことがない」


矢野経済研究所は2015年7月から1月にかけて、国内のフィンテック市場に関する調査を実施し、その結果を3月10日に発表した。

 フィンテックとは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、IT技術と金融サービスを融合させた新しい金融サービスの総称。
先行するアメリカではさまざまな金融サービスが登場して大きな市場に成長しているが、日本でもフィンテックを用いた金融サービスが定着しつつある。
小さな機器をスマホに取り付けるだけで簡単にカード決済ができる「楽天スマートペイ」や、ブロックチェーンの取引管理技術を用いた仮想通貨「ビットコイン」などはフィンテックの1つ。

 矢野経済研究所の発表によると、2015年度の国内のフィンテック市場規模は33億9,400万円、2020年度には567億8,700万円まで拡大すると予想している。
同社によると、2015年度のフィンテック市場をけん引したのは「クラウド型会計ソフト」と、お金を借りたい人と投資したい人をインターネットで結びつける「ソーシャルレンディング」。
ソーシャルレンディングは東京オリンピックに向けて不動産市場で盛り上がりをみせており、銀行融資が難しい不動産開発の案件を中心に拡大すると予想している。

 このようにフィンテックは成長が見込める魅力的な市場ではあるが、その認知度は全体的にはまだ低いようだ。株式会社マクロミルは2月4日から5日にかけて、
全国の20代から60代の男女1万名を対象にフィンテックに関する調査を実施し、その結果を4月5日に発表した。

 それによると、85.1%の人が「フィンテックを聞いたことがない」と回答し、「名前を聞いたことがある程度」が11.6%で、「具体的な内容まで知っている」と答えた人は3.3%にとどまった。

 一方、フィンテックに関連した金融サービスの認知率を調べると、パソコンのネットバンキングは80.1%の人が知っており、51.5%の人が利用した経験を持っていた。
また、スマホのネットバンキングを知っている人は49.7%で利用経験者は18.2%、暗号通貨を知っている人は20.4%で利用経験者は1.0%、アプリを使った決済・送金サービスを知っている人は18.3%で利用経験者は2.8%だった。

 政府も銀行法を改正して金融機関によるITベンチャーへの出資を促し、フィンテックを中心に金融サービスの拡充を進めようとしている。
これから成長が見込める分野だけに、今後の動向に注目が集まる。


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