「あーっ、ぼっちゃま、火を使うのは危ないからおやめなさい」
「大丈夫だよ、ポール 湯煎をするから強火じゃないし」
「ぼっちゃまはお国の宝ですから、何かあったら爺は心配で心配で…」
「まったくポールは心配性なんだから 大丈夫だよ」
彼の名前は七仔(チーザイ) 母親の記憶はほとんどない
小さい頃はその風貌と内気でおっとりした性格から、いじめられたこともあった
しかし、ある時から国の宝と言われるようになり大事に育てられてきた
七仔の家には世話係がいる
家の事を仕切ってるのは主に執事のポールだ
他にばあやのマリー、コックのセバスチャン、運転手のタナカがいる
内気で恥ずかしがり屋の性格は、相変わらずだ
家の中では普通に話せるのに、外に出ると急に引っ込み思案になってしまう

もうすぐバレンタインデー
七仔は自分でチョコレートを作ってみたいと思った
うまくできたら、小雅ちゃんのおばちゃんとシンコおばさんにあげることができたらいいな
自分を気にかけてくれているささやかなお礼だ
小雅ちゃんとシャン子ちゃんには、苦いチョコレートはまだ苦手だろうから甘めに味付けした方がいいかな
そう思いながら作業に取り掛かった