「母ちゃーん、風鈴もう吊してもいーい?」
「最近は風鈴の音も、ご近所迷惑になるって言うからね、明日の朝にしようね」
「じゃあ明日の準備、他にする事なーい?」
「そうだねぇ。あ、押し入れから扇風機を出しておかなきゃね」
「うん!小雅がする!」

スススーッ、ガサゴソッ。

「よいしょ!」
「大丈夫かい?」
「大丈夫だよ、母ちゃんは座ってて」
「ありがとう小雅、ちゃんと回るかどうかも確かめておいてね」
「はーい!」

カチッ、ブウウウウン。

「大丈夫だよ、ちゃんと回るし首も振ってるよ」
「良かった良かった、それもだいぶ古いからねえ」
「ワ゛レ゛ワ゛レ゛ハ」
「ん?」
「ウ゛ヂュウ゛ジンダ」
「ちょっと小雅、やあだもう。アハハハハ」
「だってー。アハハハハ」

「そうだ、小雅、さっきの風鈴を持ってきてごらん」
「風鈴?どうするの?」
「まだ明るいし、お家の中だし、ちょっとだけね」

母ちゃんの宝物の中国風鈴が、扇風機の風で、シャラリシャラリと優しい音を奏でました。