(V) 高給貰ってたから失業保険も相当額貰えた
|| 長時間労働で疲れていたから、暫くゆっくりするつもりだった
それでも、当時は新聞ぐらいは読んでた
募集広告も読み流す程度だけど目にしていた
買い物に町に出た帰りに、会社説明会会場の立て看板が目に入った
何日か前に読んだ募集広告の企業だなと思って、とりあえず覗いてみることにした
かなり広い部屋にすでに多くの人々が長椅子に座って待っていた
後ろで様子を見ていると、同年輩のかなりいかした風情の若い男から声を掛けられた
話しているうちに気が合い、空いている椅子に座って話し続けようとしたが
二人並んで座れる席は一番前にしか残っていなかった
何を話し込んでいたかは覚えていない
時間が来たのか年配の係りの人が出て来て話し出した
「実は今回の募集は、工場での玉賭け作業要員です
希望なさる方は別に面接室を用意しておりますので、そちらに移動してください」
そんな簡単な話を聞いて待合室がざわついていると
係員は、最前列に並んでいるわれわれ二人に向かって
「あなた達のような人のための仕事ではないです」と言って引き取らせた
多分、親会社の名を看板に使った下請けの人集めだったのだね
多くの人はそのまま帰り、僅かな人が別室の面接室に移動したと思うけど
日本の高度成長突入期のお話だ