インターネットを多用する大学院である。履修の中心となるスタイルは
ウェブベースでの学修が中心になる。スクーリングも組み込まれて入る
が、学習者が物理的に移動する必要の負担は極小化されている。ウェブ
上で試験を行なうシステムも導入済みだ。

注目すべきは、海外からの入学者に門戸を開いていることだ。国内で教
材等を受け取れる住所と、学位費引き落とし用の国内銀行口座などが必
要となるが、ウェブベースの学修は海外でも続けられる。すなわち海外
赴任の可能性がある社会人であっても、中断することなく在学し、履修
を継続できるのである。

人間学というカリキュラムは目を引く。必修となっているのは『人間学
特講』『死生学特講』『老年学特講』『グリーフケア特講』『ターミナ
ルケア特講』などからなる人間学系の科目。設立母体から来る仏教・思
想系の科目は、心理系、保健・福祉系科目と同様に選択科目として配置
された。最終的には『特定課題研究』で、修士課程を修了することにな
る。

『生老病死』の問題に取り組む宗教系の大学院として捉えることも出来
るが、むしろ医療や福祉で解決しきれない問題を宗教・思想・心理学を
駆使したアカデミックレベルで考える大学院といった意味合いで理解す
るほうが、一般的な社会人の認識としてはしっくり来る。

最近、東京大学が中心となって提唱している「死生学」へのアプローチ
に、宗教的な立ち位置から切り込める大学院としても、注目できる存在
である。オンビジネスの大学院には見えないだろうが、教養として大学
院を修める必要を理解している人なら、この大学院の設立の意味は深い。