<自民総裁選>仙台などで論戦も迫力不足 地方の熱気いまひとつ
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 自民党総裁選(20日投開票)は最終盤に入り、連続3選を目指す安倍晋三首相(総裁)と石破茂元幹事長は、仙台市など地方で論戦を繰り広げた。
政権運営5年9カ月の実績を掲げる首相に対し、石破氏は地方創生や経済政策で安倍政治への批判をにじませる。
短期決戦に加え、首相優位が揺るがなかったことで地方を巻き込む熱気には欠けた。
論戦は尻切れとんぼの印象が強い。


 青葉区の繁華街で16日夕、両氏が並ぶ最後の演説会があった。

 首相は「有効求人倍率は全都道府県で1倍を超えた」「生産農業所得はこの18年で最も高水準」と地方を意識して並べ立てた。
最後は「自衛隊が誇りを持って任務を全うできる環境をつくる」と9条に自衛隊を明記する改憲に意欲を示した。

 挑む石破氏はアベノミクスによる企業業績改善が、可処分所得上昇に結び付かない現状を指摘。
「東北にしかない技術や特産品はたくさんある。それを最大限に生かし雇用と所得を上げる。地方経済を伸ばし日本を支えよう」と訴えた。

 論戦が始まった10日、両氏が党本部で表明した20分間の所見には対照的な戦略が浮かび上がった。

 安倍氏は経済、教育、農業、地方創生、憲法に関しそれぞれ約2分ずつ充て実績を誇示。石破氏は地方創生に半分の10分を割いた。
議員票で優位に立つ首相に対抗し、地方の党員票に活路を見いだす意図だ。

 それでも論戦が盛り上がりに欠けるのは、「つっこみ不足」や「逃げ」が目立ったからだ。

 日本記者クラブで14日にあった討論会で石破氏は「民主主義が機能するには不都合な情報も公開すべきだ」と迫った。
ただ、「森友、加計」の言葉はなく、切り込む迫力に欠けた。

 首相は記者から森友、加計問題を問われ「国民の疑念は当然。謙虚に政権運営に当たる」と語ったが、責任を突かれると国会答弁と同じフレーズを繰り返した。

 首相陣営は地方票でも石破氏を上回ろうと、支援する国会議員や党支持団体への圧力を強めている。

 首相を支持する東北選出の議員の一人は「東京の陣営から『お宅の県は接戦と聞いたが、何をやっているのか』と電話が来る。優勢の陣営とは思えないかなりの締め付けだ」と言う。

 石破氏陣営は地元の鳥取や高知、島根などでリードを保つが、首相陣営の組織戦に防戦に追われる。

 仙台市の街頭演説に参加した議員は「地方創生に懸ける石破氏の意気込みは伝わるが、首相の実績は別格。横綱相撲になるだろう」と自信を示した。