もう15年かぁ…
最近コイツを見るとしみじみ思う
当時はちょっと背伸びして買ったっけ
嬉しくて意味もなく日本海側まで行って海を見て、その日のうちに帰ってきたり
嫌なことがあって何も考えずに走らせていたら、え?という所まで行ってたこともあった
その間日本には震災もあり、色んなことが決して当たり前じゃないんだと思い知る一方で、いつも当たり前の様に走ってくれたコイツ…
デートの時でも、雨の日も風の日も快適に走ってくれた。

「ずいぶん乗ったなぁ。」
ふと独り言の様につぶやいたその時
「達也さん、達也さんよね?」
「あ…」
「このソニカ、まだ乗ってたのね。」
「助手席なら空いてるぜ。君の後は誰も乗ってないよ。ハハ。」
「達也さん、ソニカ乗ってる時は別人みたいに生き生きしてたわね。あなたの心にはいつもソニカがあった。恋人同士みたいに見えたわ。私はそこには入れてもらえなかったわね。」
「ふふ、そうかい?そんな風に見えてたとはな。久しぶりに乗るかい?相変わらず調子いいぜ。」
「ちょっとアンタ、そら私のセリフや!アンタはソニカに乗ったらいっつも大事に手入れして自分の世界に入って、私はそこに入れてもらわれへんかったやん!」
「いや、せやけどあそこには入れたやんけ。お前もオイル消費ごっついから、ワシのピストンリングでかき出しきれへんかったがな。」
「何を高校生みたいなこと言うてんの。アンタはいっつもソニカばっかり乗って、私にはたまにしか乗れへんかったからさすがに愛想尽きてアンタのことソニカにあげたけど、アンタがたまに私に乗った時の爽快ツアラー感が忘れられへんから、いまだに私独り身やねんで!」
「な、何をアホなこと言うてんねん。高校生の会話はお前やないか!」
「ここでおうたが100年目や!今日という今日は乗り逃げさせへんからね。アンタのその2個並んでるDOHCと真ん中のターボチャージャーが焼き付くまで絞り取ったるさかい、覚悟しいや。ホンマに何が私の後は助手席空いてるや。聞いたで、この悪さばっかりしてきたターボチャージャー、休む暇無いくらいあちこちで花びら大回転状態やったって!ホンマにもう憎らしい!」
「おえ、ちょお、どこ掴むねん!アホか、人に見られるやないか!」
「今さら体裁も無いもんや。聞いたで、ラブホの受付のバイトやってる知り合いに。アンタは車はいつもソニカに乗ってるけど、女はいつも違うのに乗ってるって。世間なめたらアカンよ。珍宝達也さんがまた来てくれはったわ、て言われてるの知らんやろ?バレバレやねんから。さあ、早よ私のこと乗せてエエとこ連れてって。ソニカから降りたら私に乗るんやで。私もガソリン満タンやからね。私の航続距離長いの覚えてるやろ?オイルもよう出るから、久々にアンタのオイルリングでかき出してもらうからね。さーあ、楽しみやわ。いーひっひっひっひ。」