ダイハツの軽自動車「ミラ トコット」。
ミラ ココアの後継とは言え、格安軽自動車「ミラ」をベースとした派生車種。
既に生産終了した女性向けの「ミラ ココア」の実質的な後継車種です。
世の中的に「夫はミニバン、妻は軽」と言う世帯が多くあります。
「家族用の車」と違って、「ほぼ女性しか乗らない」ことを前提に、
軽自動車を購入する場合も多いので、それに合わせた車を用意していると言う訳です。
同じ流れで作られた車だと、同じダイハツのムーヴ キャンバスがありますね。
まぁ、燃費で良いイメージのついたミラ イースと比べると、
単に安いだけで商用車のイメージすらある、素のミラを残すメリットが無いと判断したのでしょう。
しかも、ミラは2013年以降CVTだと、3ドアしか選べなかったので、乗用車目的で売る気はありませんでした。
商用車として考えても価格差が無ければ、3ドアにメリットは感じない人が多いと思います。
軽自動車なんて、サイズもエンジンも似たり寄ったりで、バリエーションが限られますから、
ミニ四駆のように蓋を載せ替えて、見かけの車種を増やす訳ですね。

ミラ トコットは派生車種とは言え、独自のフロントフェイスを与えられています。
目が、ギョロっとして見えませんか? ミラ ココアや、ムーヴ キャンバスの流れを汲む、
大きめの丸型ヘッドライト自体は良いのですが、内部のLEDヘッドランプが小さすぎることと、
その周りに、10年前に流行ったイカリング状のパーツが付いたことで、
出目金や爬虫類のような飛び出た目、あるいは仰天した目を連想させるような顔になっています。
ムーヴ キャンバスも大概ですが、フロントのデザイン要素が多いので、そこまで気になりませんでした。
ミラ トコットは、デザイン全体がシンプルなことで、
殆ど唯一のデザイン要素である、ヘッドライトが目立ってしまっているように思います。
ヘッドライトを除けば、ミラ トコットのデザインはスッキリしています。
以前の女性向け軽自動車にありがちだった、「カワイイ」を強要するかのような、
ゴテゴテしたデザインが無く、良く言えばシンプル、悪く言えば安っぽいデザインになっています。
女性向けと言えども好みが分かれそうですが、好みが分かれるのは、どんなデザインにしても同じでしょう。
ミラ ココアとは「狙いを変えた」と言った所ですかね。

プロモーションカラーに使われている淡い緑のボディ、どうも軍用車っぽさが否めません。
軽自動車を購入する場合に、実際に乗る人が女性な場合が増えたこともあって、
ダイハツのラインナップは、ターゲットとする性別が明確に分かれるようになりました。
軽なので、どれを選んでも走りや安全性は劣りますが、軽を買う人は深く考えません。
軽自動車と言う一区画の中で微妙な差を付けて、
ユーザーを獲得しようとしている訳ですから、他社種との差別化が必要です。
「燃費が良く装備も一通り選べて、デザインも良い上にスタート価格が安い」なんて、
全方向の車種も作ろうと思えば作れるはずですが、そんなものを作ってもそんなに売れません。
軽自動車を選ぶユーザー層は、何となく自分に合っていそうな車を選ぶ傾向が強いでしょう。
そんな、ユーザー層向けには「燃費を重視するなら、コレ」「荷物たくさん載せるなら、コレ」
「女性がメインで乗るなら、コレ」「カッコ良い系が良ければ、コレ」
「老人は、コレ」と、ターゲットを明確に区分してあげる必要があります。
ミラ イースは「燃費重視層と老人」、ミラ トコットは「女性の買い物用」と、メーカー側が区分しています。

エンジン以外に顕著に異なるのは燃費です。元々ミライースは燃費の良さをウリにした車。
同じミラ派生でもミラ トコットは、それほど良い燃費特性にはしませんでした。
燃費が違うとは言っても、一般的な年間1万キロでの年間燃料費の違いは、カタログ燃費で計算しても1万円足らず。
ミラ イースに限らず、実質燃費の違いは数千円でしょうから、見かけの燃費だけで優劣を比較するのは、ほぼ無意味です。
地球環境の為に、燃費の良い車に乗るんだ!と言う高尚な人は別ですが、
そう言う人は、そもそも軽自動車なんて買わずに、公共交通機関を利用して下さい。
結局のところ、ターゲットはミラ ココアそのままで、
デザインと雰囲気を変えたから、「ミラ トコット」と言う別の名前を与えた、と言うことでした。
ギョロっとした目と、軍用車っぽい雰囲気(緑の場合)に耐えられるなら、と言う車ですね。