赤い横浜ナンバーのアウディが止まり、男女が降車。男の顔は彫りが深く、ちょいアゴヒゲを蓄え、年は30前後か。
女はセミロングで、知的な雰囲気を漂わせるモデル体形の美人。
二人とも長身で、絵に書いたような勝ち組だ。
一方、その脇には沼津ナンバーの薄汚れたねずみ色の軽自動車。
中から、パッとしない全体的に薄汚れた四十前後のキモ男。
なぜかリュックをしょっていた。
若い女はもちろん、男の俺さえ、近寄るのは避けたくなる雰囲気。絶対に一生。結婚できないタイプだ。典型的な負け組。
奴はアウディの二人がターミナル連絡橋に向かって歩いていくのを忌々しげに見つめ、何かブツブツ呟いていた。
｢都会人は死ね、リア充は死ね｣と
