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みどころ解説
GAFA課税、3案が対立

 主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)
の最終日に出される首脳声明では、
巨大IT企業への「デジタル課税」ルールについて
2020年の合意をめざした「作業計画」が
承認される予定だ。
 「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる
グーグルやアップル、フェイスブック、アマゾンなど巨大IT企業
に対する法人課税には、
これまで各国とも手をこまねいていた。
こうした企業は主にネット上を取引の場としており、
法人税を課す上での国際的な原則である
支店や工場などの「物理的な拠点」が
存在しないからだ。
 各国とも
利用者がいる国が課税できるようにする方向では
一致している。
G20で話し合ってきた作業計画も、
20年1月までに課税ルールの大枠について合意し、
年内に最終合意することをめざす。
 問題はその先だ。3案が対立している。
 課税に特に積極的な欧州が支持するのは、
SNSの書き込み数などを根拠にして利用者がいる国が課税する、
英国の案だ。
GAFAはすべて米国を拠点とし、
欧州は多くの消費者やユーザーを抱えているのに課税できない不満があった。
 ただ、自国のIT企業を「狙い撃ち」された形の米国は
強く反発する。
そして、多国籍企業が事業を展開している各国での
ブランド力や顧客データといった「無形資産」を利益の源と評価して、
課税する案を示す。
IT企業以外も適用範囲なのが特徴だ。
 さらに、インドも、
その国での売り上げや資産、従業員数などに応じて
課税できるようにする案を唱える。
新興国が支持しており、無視はできない。
 現実には、IT企業群を抱える米国が賛同するルールでなければ
意味がない。
だが、米国案に寄り添いすぎれば、欧州などの反発は必至だ。
今後の各国の実務者同士のやりとりで詳細は詰められるが、
着地点は見えていない。