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コロナ後の出張、恒久的に最大36%減か
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 出張と言えば、セールス担当者が既存顧客を回ったり、新規顧客を開拓したり、または会議や
見本市に出席するなどのイメージが一般的だが、それは全体像には程遠い。セールスや顧客の
獲得(約25%)、会議や見本市(約20%)、それに既存顧客のサポートや「プロフェッショナ
ルサービス」と呼ばれる分野(法務、コンサルティング、調査)を加えても、出張の約3分の2
をカバーする程度だ。
 多様な情報源や調査から得たデータを綿密に調べたところ、出張に関する思い込みを一部修
正する必要があると気づいた。例えば、20%を占めるのが社内の会合や研修で、これらはオン
ライン・セッションに切り替わる可能性がある。また約5%を占めるのが飛行機での通勤だっ
た。コロナ後にリモートワークが定着すれば、これは減少するとみられる。上記2分野の出張
は40〜60%がテクノロジーで代用される可能性があると推定した。
 一方、セールス目的の出張は減少率が0〜20%にとどまると予想。また会議や見本市のため
の出張は、すぐ回復する公算が大きい。顧客に会い、取引相手を見つけ、競合他社の状況を把
握するための効率的手段と見なされるからだ。技術サポートなどの分野はより減少幅が大きい
だろう。出張に代わるバーチャルな訪問が可能だからだ。
 われわれは分析結果を業界関係者(航空会社幹部や業界団体、法人向け旅行会社など)と一
緒に吟味した。そのフィードバックを元に一部を見直し、また確証を得ることもあった。
 最悪のシナリオ――出張全体の3分の1以上が消えるという――であれば、航空業界に劇的な
変化が起きるだろう。「それは途方もない数字だ」とバルダンザ氏は言う。「36%が現実に起
きれば、米航空業界にとって本当に大問題だが、私には真実味のある数字だ」
 アメリカンやデルタ、ユナイテッドなど米航空会社のほか、ルフトハンザやブリティッシュ
・エアウェイズ、シンガポールなど外国の航空会社も、ビジネス客を事業の中心に据える。
どの路線を運航し、いかにスケジュールを組み、どのような機材で構成するか、さらには豪華
な空港ロビーや新ターミナルへの投資などにも影響する。航空各社のマイレージプログラムは
高額利用者に特典を与えることを目的としている。
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