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★「荷物車」「郵便車」の違いについて。
これは旧国鉄というか鉄道院、鉄道省のころから車両区分として「旅客車」
の小区分として明文化されていたと思われますが、百科事典でも客車の分類
として存在します。くだいて言えば「郵便車」は「もっぱら郵政省職員が
乗務して郵便物を輸送するために必要な設備を有する車両」というところ
でしょうか。荷物車は、国鉄が引き受けた小荷物、手荷物を輸送するための
もので、車体側面に「荷物」の標記がありました。
★小荷物と郵便小包
小包とは、ここでは郵便小包を指し、これは郵便局に差し出されたもので、
郵便物のひとつですから郵便車で運ばれました。たしか当時は6Kgまでしか
差し出せず、それより重い荷物は宅配便が普及するまでは国鉄小荷物による
ところが多かったようです。
★用途の原則と例外
前項で郵便車に小荷物を載せて云々と言いましたが、誤解のないよう説明
しますと、荷物車は手荷物、小荷物、郵便車は郵便物、旅客は客車が原則
なのは当然です。しかし、イレギュラーなケースも出てきます。
・郵便車に小荷物
これは郵政省所有車の全室郵便車ではあり得なかったと思いますが、スユニ
など半室郵便車では行われていました。先に国鉄所有車は何しても勝手と
いうような表現をしましたが、小荷物車が全般検査で入場した場合など、
郵便運用の間合いで待機している半室郵便車を使用して郵便室にも小荷物
を積載していたのを見ました。また、郵便車を運行していない支線にキハユニ
を運用して小荷物輸送する場合も郵便室を遊ばせておくことはなく、荷物室
ともども使用したわけです。これは国鉄所有車である限りいちいち郵便局に
ことわる必要はないでしょう。ただし、区分棚など不要な設備があり使い
勝手はよくなかったでしょう。
・荷物車に郵便物
これも専門的ながらいくつかのケースがあります。まず郵袋を小荷物として
国鉄に託送するケースがまれにあって、その場合は荷物車に小荷物といっしょ
に積まれ国鉄が扱います。次に、本来は半分の車室で郵便車を運行している
ところ、年末などの郵便物増加で、国鉄に「拡張契約」して荷物室も使用
させてもらうケース、あるいは、郵便車が検査で入場した代車として荷物車
があてがわれ、荷物室にも郵袋を積むことを余儀なくされるケース。荷物車
のほか普通座席車の代用もよくありました。これの使い勝手たるや、経験した
者でないとわからない苦労の連続でしたが、長くなるので割愛します。
こういったケースでの代用は興味を持って見ていたので、飯田線などで荷物
扉からも郵袋が出てきて喜んだものでした。今でもそのシーンを見れるDVD
があります。