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澳門で会ったカジノの達人の話をゆっくら語るスレ
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2021/03/20(土) 23:02:35.98ID:9t3Rwk6Q
スタンレーホーの時代からマカオのカジノには行っているが
カジノが外資に解放した2000年代全般ころから
俺は思い切ってカジノツーリストは卒業して
思い切って専業ギャンブラーとして常打ちを始めた

海外カジノ生活デビューした輝かしいスタートだった
2005年当時は、マカオで家を買うと永住権が貰えたので
金をはたいて中古マンションを買って永住申請してマカオに永住権を得た
本土の中国人が殺到したので、マカオ政庁は2006年にこの制度を廃止は

買ったのはコタイ側のイミグレ近くのコンドミニアムだ
退職金と貯蓄で買ったが、年代物でボロい建物だったが
今は勝った値段より評価額は上がっている
マカオじゃ家を売っても、建て替えが予算的に難しい
地価が上がっているから、安く建てるにはジュハイに建てるしかなく
あんな警察国家に住むのはまっぴらごめんだ





0002三連単7−4−3
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2021/03/20(土) 23:03:07.97ID:9t3Rwk6Q
マカオの外食費は東京より少し高いという気はするが
グルメじゃないから気にしない
ただ、ラーメンに出前一丁を使われるのは並行する
店の飲み物はあまり口に合わないので
セブンイレブンでコーラやビールを買う。青島ピールもジュハイビールも
上手い。これは、駄一次世界大戦までドイツがビール工場をこの周辺の地に持っていたため

まぁカジノにしかいないから、住まいの不満は気にならない
海が見えるが、特に嬉しい風景ではない
近年は、鉄道の敷設工事やイミグレの改修工事などでうるさい
が、家にあまりいないので気にならない
だが、どんなに大勝ちしたって、必ずこのコンドに帰ってくる
コンプでホテルには泊まらない。その点、俺はケチな方だ

コンドからカジノはそんなに遠くはない
チャリならすくだし、歩いても運動に丁度いい距離だ
俺が「達人」と出会ったカジノはギャラクシーカジノの
オークラの日本レストランで会った時だ
彼は年は50才中ごろで、周さんと言った
骨の皮で折れそうな体をしていた
俺はというと、120キロから30キロ減量したばかりの飢えの虜だった
血圧が190に近づいていて、待ったなしだった
0003三連単7−4−3
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2021/03/20(土) 23:05:39.50ID:9t3Rwk6Q
周さんは広東人で、片言の日本語を話せた
90年代に日本に働きに来てたらしい
子供たちは大学を出て、みんな一人前になったらしい
奥さんとは離婚したそうだ
一日中カジノでゲームしていて、家には帰らないから仕方ない
自業自得だ

周さんの腕はすごい
俺も自分は相当に経験はあるほうだし勝てると自負していたが
周さんはレベルが違った
だが、周さんには致命的な弱点があった。「ギャンブル依存症」である
抜群の読みとベットアップの決め方が卓越していた
負けを挟みながらも、淀みなく、取れる手をモノにしていた
コツコツと辛抱強く、朝から深夜近くまで粘ることもある

ゲームはほとんどバカラだったが、私がルーレット党だから
付きあってくれることもたのにあった

周さんにとって、種線をコツコツと貯めていくのは
大勝負をするための「労働」なのである。博打ですらない。勝つのだから

ところが、コツコツ貯めた金のオールインの結果は
悲惨が多かった。そもそも周さんの勝率は良くないから
平均的な配当の調整力で勝っていた。だから、一本を仕留める才覚はない
「周さん、大勝負せずにコツコツ貯めていけば、ひと財産作れますよね」
そう言うと周さんは
「この金が必要な時は、勝負はやらないさ。でも、金が必要ないなら、オールインしてもいいだろ?」
0004三連単7−4−3
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2021/03/20(土) 23:07:51.17ID:9t3Rwk6Q
周さんは強い打ち手だった
ところが、大勝ちにこだわる持論を持っていた
博打の金は、勝ったり負けたりするのがいい
コツコツ勝った金をひたすら貯め込んだら、賭け金は当然上がっていく
それは、本当に勝つ必要がある金かと自問すれば
そんなはずはない。そんな賭けは本物じゃないんだ、と周さんし言う
「落ちたり、上がったりを楽しんでいるんですね」と聞くと
周さんは珍しく、少し怒ったような顔で言った
「博打に負けて楽しむ奴なんているかよ。こっちは大金全力で張ってんだ」
「その金を貯め続けて、ハイローラーになれるのに」と言うと
「100万ドル持ってる奴が、1万ドルで千ドル稼いだって嬉しくはない」
「100万ドル蓄えることは出来る。だがそうなったら、全力で行くしかない」

これは病気だなと、それ以上はもう説教かましいことは言わなかったし
彼も、私の忠告をむしろ諭すように、私に丁寧に説明してくれたのである

周さんが達人なのは、積み上がるチップを一目で圧倒的な説得力がある
賭け方も観察した。どのようなメソッドを用いているのか、自分の手法とも比較した

周さんは強いが元金だけ残して、増やした分は1勝負で全賭けする
そこで勝つためだけに、資金の準備をしていただけなのである
これは博打、これは博打ではないという、明確な線引きがあった
0005三連単7−4−3
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2021/03/20(土) 23:09:21.86ID:9t3Rwk6Q
達人は強いから勝てるけれども、目指しているものは大金を得る事ではなく
博打で大勝負することなのである
だから、周さんの身なりも生活も質素だ。誰もハイローラーとは気づかないだろう

物欲とは、物に対する欲と金銭欲を指すそうだ
しかし周さんは物にも、金銭欲にも乏しかった
彼はただ、大勝ちだけを目指していた。それは欲は満たされていたから
見たこともない大勝負をやってみたいという願望が強かったのである
これは凡人に分からない世界だ
何のために博打を打つのか、分からない
客の少ない時間やテーブルを周さんは好んだ。喝采を望んだわけでもない

達人は無欲の人だった

私は達人の腕を学びたいと思った
達人に全乗りすれば勝てる。だが、それではなぜ勝てるのか分からない
また、俺もそれなりに研究しつくしたギャンブラーである
体系的なベット理論を学ばねば、意味がない
0006三連単7−4−3
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2021/03/20(土) 23:13:02.77ID:9t3Rwk6Q
達人がそのように賭けるのには意味がないらしく
予想して当たるもんじゃないよ、という
予想して当たらなくても、予想をする。そういう情熱というかモチベは
どこから来るのが
何を求めているのか、ついに分からなかった

だが、俺が理解出来なかったことと、俺が失敗するかは別の話だ
そう強がったものの、俺は致命的なミスをしてしまい、もはや自暴自棄になっていた
俺は達人に残った金を渡し、全乗りさせてくれと言った
彼が失敗したら、澳門を去るつもりだった。俺は達人に賭けた

達人は俺のなけなしの5千ドルを5万ドルに増やしてくれた
そして彼は、20万ドルを1手オールインして、負けた
負けても、達人の懐には常に種銭があった。また、つましい宿や食を取る余裕もあった

周さんには、過去にカジノから出入り禁止になっていた
俺がその「栄誉」に預かれないのは、技術的にまだまだと言う事だろう

BJ以外のカジノゲームにも上手い下手は存在する
だから、勝ち過ぎる人は、出禁にならない賭け方をしなければならないという訳だ
上達し過ぎるのも、考え物だね

だが俺は幸いに事に、カジノに汲々とさせながら、辛うじて勝ちを逃げ伸びている
そうしいもう少し上手くなれるのなら、カジノもそう悪くない場所だと思えてくる

仕事のように博打をして、成果としての時給に満足できれは、もう言う事はナシだ。
0007三連単7−4−3
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2021/03/27(土) 10:07:28.70ID:JrhsLSwp
周さんがギャンブル依存症になったのは貧乏な時代が長かったかららしい
色々と生活面での我慢が続いた。家族を養わねばならない
周さんは養子で、年老いた養父母がいた。また、困っている親戚もいた
出稼ぎ労働者だった周さんは当てにされていたのだ
自分の食い扶持を削ってでも、周さんは送金していたらしい
東京で暮らしていた時は、風呂付のアパートは借りられず
銭湯代も高かったから、部屋で湯あみをしたそうだ
「いったいどうやって?」
「台所にガス給湯器を付けてね、体が入るほどの大きなビニールの袋に入って、袋の中でシャワーを浴びるんだよ」
すごい工夫だ。日本人には考えもつかない
周さんの節約は貧乏とか言うような、そんないじけたものじゃない
自分から貧乏を取りにいくような、俺がそれを選んだ、というもののふのような決意があった
子供を大学に出して独立すると、周さんは博打にのめりこみ始めた
養父母も亡くなり、妻には自分で生きて行けと言ったそうだ
0008三連単7−4−3
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2021/03/27(土) 10:08:18.09ID:JrhsLSwp
周さんは老年に達して、初心者として博打を始めたのではない
周さんは若い頃からカジノ賭博に親しんでいた
私はハインリッヒ・シュリーマンのシュリーマン旅行記 清国・日本
という本を読んだことがある
シュリーマンは中国人の貧しい人たちが驚くほど博打好きであると
本書で述べている所が印象に残った
食うや食わずの苦力たちが、その日の稼ぎを全て賭場で溶かしてしまっても
ケロっとしている
周さんもそういう感じだ。飄々として達観している
だが、周さんは家族のために働いていた30年は、賭け事をしなかったという
その代わり、丁半博打の練習は毎日、欠かしたことはなかったそうだ
それが周さんの楽しみだったのか? と言えばそうじゃない
自分が自由になった日のことを想像しながら
練習をして勝ち方を研究するのが周さんの密かな楽しみだったのだ
周さんの博打好きは、まさに純粋だった
つまり、贅沢する金が欲しくて博打がしたいのではない
賭けたい、という欲が凄まじいのだ
それはやはり、どこか屈折した部分はあると思う
本当は金が欲しかったはずだが、何十年も我慢してきたせいで
周さんはとうに、物欲とか様々な欲望を失っていた
というよりも、欲望を発生させる「装置」が破壊されたのだと思う
0009三連単7−4−3
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2021/03/27(土) 10:08:50.91ID:JrhsLSwp
痩せっぽちの周さんは、懐に100万HKDを携えながら
水とエッグタルトで腹を満たすと、足早にカジノへと消えて行く
賭けることのみによって、周さんは栄養補給できるかのように見えた
周さんは、小さい賭けでは満足できない
喜びを感じられないのだ
だが、周さんは達人だから、小さい賭けで勝って種銭を作らないと
大きな賭けは出来ないという道理は知っているし、そのように実行もできる
私は、周さんのように卓越した賭け方は出来ないし
何と言うか、私は私で周さんのような賭け方ではモチベーションが保てない
また、丁半博打で勝つというのは、俯瞰して体系的に勝つことだから
1つ1つのゲームに勝つ事には意味がなく
「平均化して勝つ」ことがスキルの有無を決定するからだ
部分的に周さんのやり方を取り入れることは出来ない
自分の手法を磨くか、自分を捨てて、全て周さんの方法と同期するかだ
他人のやり方をツギハギ状に寄せ集めて手法を作ろうとする人は
研究熱心だけれど、そういう方法では勝てるようにはならない
0010三連単7−4−3
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2021/03/27(土) 10:09:56.05ID:JrhsLSwp
緒半博打とは一筆書きのようなもの
自分の経験と判断の積み重ねのみで得た方向性が、ズバッと一直線に
あたかも赤外線照準レーザーのように先を照らしていて
1つ1つのゲームの結果などお構いなしに、ただひたすら、その方向に向かって
賭け続けていく結果がプラ転なのである
1つ1つのゲームの予想に唸っている便秘気味のギャンブラーでは勝てない
向かう先はどこまでも伸びていて、目先のことは重要ではないのである
正確に言うと、それは重要だけれども
例えば、時速60キロで走るクルマは1秒間に何メートルも進んでしまうから
目線を先にもって行かないと意味がないのにも似ている
1つ1つのゲームの結果が重要なのは、それは言うまでもないが
手法としては、それを予想するのは意味が無いのである
丁半博打は、いかにも小回りの利くオートバイのように見えるだろうが
実際は、ゆっくりと回頭する止まらない巨大な「船」なのである
そのように見立てて、賭けてゆかなければならない
A氏のように飛び、B氏のようにハンドルを切り、C氏のように車体を倒し
D氏のようにアクセルを吹かし、E氏のようにブレーキングする
そんなツギハギでは乗り切れない
切れ味の積み重ねではない。そういう考えは、即、期待値マイナスの罠に落ちる
確率通りに収束してしまうのである
私は私の船の動かし方として、どうしても、一部逆張りを必要とする
逆張りの上に築いてきた手法だから仕方がない。その方法から離れるわけには行かない
一方、周さんの手法は順張りオンリー。フルビットトレンドベット
恐ろしく辛抱強いメソッドだ
0011三連単7−4−3
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2021/03/27(土) 10:10:31.98ID:JrhsLSwp
博打好きな人は私が知る限り、ガマンが苦手な悦楽主義の人しかいない
だから、一番有利な方法は何かとか、最短距離は何かとか、そういうことを計算する
だが、丁半博打は船の操縦でないと長期的かつ持続的に勝てないから
短期的には合理的な方法が、長期的に見た場合に全く真逆であることは珍しくない
周さんはどんなに水面下に沈んでも動じない
そういう局面を経て次の局面に進むことを熟知しているからだ
まさに中国四千年の知恵である
私は焦るから駄目だ。焦ることを知っているから逆張りとロスカットを行う
それは周さんの目には長期的に見れば、遠回りしているに過ぎない
しかし、長期的には最速でも亀になるのは短気な人間には難しいものだ
丁半博打は、長い試行回数を経て、自分の力で「アタリ」をつけていかないと
全体のゆっくりとした丁半博打のうねりの範囲を肌感覚で理解することが出来ない
そういう意味で、手法は知識とは似て非なるものなのである
こうやるんだよ、というのはツギハギでしかない
1つのアプリの使い方にいくら習熟したところでパソコンのシステムは理解できない
そういう細切れの知識は短期的にですらほとんど意味がない
知識とは振動のようなもの。航行するにあたっての異常を知らせるものだ
平坦に言うと「やめとこう」のサインでしかない
人から教わって知識のほとんどは、勝てる知識ではなく、負けない知識なのだ
こういう時はやめとけ、という経験則でしかない
ルックは重要だけれども、ルックしているだけでは儲からない
やはり知識ではないのである。こう進んでいくべきという方向性とはイコール
こう進んではいけないという、表裏一体のものだから
知識として断片的に人から教わるのではなく
全体像を自力で会得する方が近道であり、ノビシロがあり、結果的に安定している
けれども、果たして誰が周さんのように30年も素振りが出来るだろうか
シミュレーションで勝てないうちは、本番でも持続的には勝てない
だから、勝てるようになるまでは賭けても遠回りなだけなのである
本番の味をしめたら、誰だってつまんない練習を積む事なんか出来やしない
それは私が経験したことだから、絶対に100%そうなのである
0013三連単7−4−3
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2021/05/19(水) 05:20:45.83ID:dN+LpekV
周さんとの友情は続いていたが
周さんが病気がちになってからは、マカオで会うことは少なくなった
一昨年、ウラジオストクアルチョムのクリスタルが最後だったか
どんな病気かは教えてはくれない
他人(ひと)に弱みを見せないのがギャンブラーだ
コロナ禍で周さんは抜け目なくマカオに渡っていたことを私は知らなかった
マカオのカジノは一時期、厳しい入場規制を敷いていた
PCR陰性証明書をQRシステムを使ってスマホ提示しないとカジノに入れないのだ
私はマカオ永住権があるが周さんは持っていない
それで周さんはカジノに顔を出しておらず
私はマカオに周さんが戻っていることを知らなかった
マカオはコロナ対策が進んでいて中国に住むよりも(たぶん日本に住むよりも)安全なのだ
病気に心配のある周さんがマカオに潜伏しているのは納得できた
その日私はスタジオ・シティ・マカオのオープニングにメルコから招待されていた
マーカーを切って貰おうと列に並んでいると、見覚えのある禿げ頭があった
周さんだった
0014三連単7−4−3
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2021/05/19(水) 05:22:23.24ID:dN+LpekV
私はしばし懐かしい周さんとの邂逅で旧交を温めた
体の調子はいいらしい
オープニングイベントのバイインは50万香港ドルからとマカオの相場的には減額されていた
コロナへの配慮か
周さんの持ち込みも50万香港ドルだ。いかにもこの人らしい。無駄な金は持ち込まない
私は50万ドルと、緊急のための25万ドルだ。普通の展開なら使わない
周さんは30才ぐらいの青年を連れていた。周さんの甥御さんらしい
リウ君と言う。細身で中国人にはめずらしくはにかみ屋だが
周さんによればなかなかのバカラの打ち手らしい
向こう張りしたら痛い目にあうぞと脅かした
私のひどい広東語の問いにリウ君は苦戦しながらも丁寧に答えてくれた
謙虚な好青年だ。こういう人物からは学ぶことが多い
私たち3人は観光客が行かない裏通りの薄汚い(だか旨い)四川料理の店に入り
回鍋肉をジュハイビールで長し込み、大いに飲み大いに語らった
0015三連単7−4−3
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2021/05/19(水) 05:24:21.16ID:dN+LpekV
私たちは一応シノバックを打っていたが、あまり効果は期待はしていない
周さんは「マカオではみんなが検査をこまめに受けるしかないだろう」と言っていた
マカオはまだ変異株が深刻な状態にはなっていないが
個人的には時間の問題ではないかと思っている
しかし、まだ時間がある。この、「まだいける」というのがギャンブラーの発想だ
いける所まではリスクテイクして、もう無理と思ったら未練なく逃げ出すのだ
さて、宴もたけなわ、私は周さんに最近のカジノ成績を聞いてみた
周さんはいつものように淡々と、「まぁそこそこかな」とだけ言った
まぁこの人にこの手の話をしてもしょうがない
私はリウ君に話を振った。もしも、若い感性でバカラの勝ち方でも会得しているのなら
ここだけの話として教えてはくれまいか、と
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2021/05/19(水) 05:25:45.92ID:dN+LpekV
周さんは興味なさそうな顔だったが、リウ君は酒で上気した顔で
「おじさん(周さん)はね、なかなか教えてくれないんですよ」と不満げに言った
そりゃそうだが、君はなかなかの打ち手と聞いたぞ、と言うと
リウ君はまんざらでもなさそうな顔だ
私はリウ君の御説を拝聴することにした

彼が言うにはバカラ賭博には4要件が重要ということだ
1.出目の経験則 2.勝負勘 3.損切り 4.短期集中

1の出目の経験則とは、ハンドでいちいち迷わないことらしい
この時はこう賭けるとか、この時はケンするということを、あらかじめ固定する
それを決定するには出目に対する十分な観察や検証が必要だが
経験則で一度決めたベットルールは決め打ちするらしい
例えば、ツラには逆らわずに順張りするとか、この局面だけは例外的に逆張りするとか
出目の形に対して、どう賭けていくかは一切変えないことが重要らしい
私は少々異議を唱えたかったが、まずは最後まで話を聞くとしよう
0017三連単7−4−3
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2021/05/19(水) 05:27:23.34ID:dN+LpekV
2の勝負勘とは賭量、つまりベット額を決めるのは知識では限界があるということらしい
これは察するに、ベットアップのタイミングのことだろう
どういう時にベットアップするのか? 何回ベットアップを続けるのか?
これを決め打ちにしてしまうとシステムベットになってしまうから
システムベットにすれば確実に最後は負けてしまう
バカラがギャンブルである以上、システムという確率とか科学には限界があるから
勝負ハンドでどう戦うかは経験を積んで勝負勘を磨くしかありませんと
リウ君は言った。私は、それはそうだが、勝負勘と言ったってロジックはあるんでしょ?
と聞くと、リウ君はかぶりを振り、いやここは理屈ではないと思うのですが…と思案気
周さんはポーカーフェイスでイエスでもノーでもない
リウ君は大まじめに、バカラはビギナーにとって運が100%だから期待値の分だけ負けます
そして、おそらく勝てるギャンブラーなら99%が運
残り1%の要素を使って、負の期待値を凌いでいくゲームだから、確率に左右されない世界が大事なんです
と言った
0018三連単7−4−3
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2021/05/19(水) 05:28:56.82ID:dN+LpekV
はてさて? 確率に左右されない世界とは。このあたりは西洋と東洋の違いだろうか
まぁリウ君には話を続けて貰おう
3つの目の要素が損切りだ。これは私も全面的に賛成だ。周さんも初めて「そうだな」と頷いた
損切りとは、運の悪い連敗を止めたり、取り返しベットで資金がパンクするのを防ぐ
いわばギャンブラーの生命線である。株と違ってカジノゲームは塩漬けできない
リウ君の持論は、損切りが最も難しく、一方それ自体は難しいことではなく
資金のパンクも一種の損切りなのだという。だから、持ち込んだ金を全部溶かすのもいい
持ち込む金をあらかじめ制限しておけば、結果的にそれが損切りになるから
でも、それでも敢えて次に繋がるような負け方
そういう姿勢がギャンブラーには必要だと思うんです、とリウ君は言った
うん、やはり謙虚な人だ
損切りは精神論ということらしい。やけっぱちで負けるような賭け方は
次の戦いに活かせない。負ける時でもしぶとく負けたいんです、とリウ君は言った
周さんは聞いているのかいないのか、地蔵のように目を閉じている
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2021/05/19(水) 05:31:08.44ID:dN+LpekV
私の損切りに対する考えは、精神論とはちょっと違う
損切りはスキルだと思うのだ。バカラを予想して当てるというのはスキルではない
例えば、ツラを切らないのは、乱数は必ず偏るからであり、偏りに逆らっても仕方ない
ツラの偏りを取って勝ち逃げを戦法とする賭人は多いが、これには私は疑問だ
ツラは基本はルックハンドだろうと思う。そこは勝つでも負けるでもないポイントだ
それは最終的に順張りしても平均化してしまう部分だし、逆張りはほぼ有り得ない
勝つ予想は出来ない。だが、なるべく負けない予想は出来るし
それが出来ないとカジノでは生き残れない
言い換えれば、ここは勝てると思うとしたら、それはスキルではなく運頼みであり
ここは負けそう(だし負けたらどうする?こうしよう)と判断するのが技量だ
負けていく先の先まで考えていく、どれだけそれを考えられるか
ギャンブラーの引き出しには、その時にどれだけ手を打つための道具があるかということだ
だが、次に繋がる負け方をするというのは概論的にはその通りだろう。言うは易しだが
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2021/05/19(水) 05:34:29.32ID:dN+LpekV
4つ目に重要なのは短期集中ですと、リウ君は言った
すると周さんは「それは違うな」と言った。確かに周さんの賭け方は短期集中型ではない
周さんは長期戦だ。何時間もバカラテーブルに座っている
時には延々とケンを繰り返す。取り返しベットも賭けない
だから観ているだけでは周さんの戦略はイマイチつかめない
「いや、僕は未熟だから短期集中でないと平常心が保てないんです」とリウ君は弁明した
「そうだ。お前は平常心が足りない。そこが弱点なのだ。だが、それを克服できる賭人なんてほとんどおらんからカジノは繁盛しているんだ」
熱くなったら負けるし、でもビビってたら勝負できずにやっぱりジリ貧だ
科学的にどう計算したっていずれは期待値に収束してしまうが
期待値以前に、博打打ちのパンクは早い。平常心を失ってオールインするからだ
つまり、資金量の豊富なカジノは期待値分の儲けを客相手に総合的に得ることはできるが
客は資金不足の絶対法則によって、期待値以上に負けていくのである
その両者の鞘を抜くのが周さんのような達人だ
そして、いまだギリギリぶらさがっている私のような人間か…
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2021/05/19(水) 05:36:21.91ID:dN+LpekV
「ですがね、おじさん。集中力が続かないのなら、短期ゲームの積み重ねに徹するのが正解でしょ」
リウ君の問いに周さんはまたもやダンマリである。狸親父である
店のオヤジがラストオーダーを告げに来たので
私たちはビールとポートワインとポルトガル風の焼き豚料理を注文した
リウ君のバカラ戦略を整理してみよう
賭け方はあらかじめ固定してベットコントロールに神経を専念する
平常心を失わぬようゲームセッションは8デックまでで休憩を挟む
そして損切りだが……
リウ君は過渡期にある。私もそうだ。これが最終形ではない
試行錯誤を繰り返しながら、日々検証して、旧いしがらみを切り離していく
多くのギャンブラーはしがらみと一生付き合いながら、つがらみを楽しみ抜くのだが
そういう人たちが多くいなければカジノは成り立たない
「私はこう思う。周さん、間違ったら言ってくれ。バカラは実は単純なゲームだ。だが、何がどう単純なゲームなのかを理解するのが複雑なんだ。単純に考えてもバカラがいかに単純なゲームかを理解するなんて出来はしない」
「単純だとしても勝つためにはやはり複雑に考えなければならないということですか」
リウ君は言った
「いや、ゲーム自体は本当に単純ということだ。でも、例えばダランベールマーチンゲール法という複雑なメソッドを持ち込んだら、より負けやすくなる。どこに賭けたら賭けるか、そういう類の必勝法を探しても負ける」
周さんが薄目をあけた
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2021/05/19(水) 05:39:29.83ID:dN+LpekV
「バカラゲームは予想は無理だという当たり前の理屈をまず素直に受け入れる。損切りせずに賭け金を増やしていけばドツボに嵌ることはド素人だって知っている。そういう当たり前の事実をまず当たり前に受け入れて、まるで玄人しか知らない秘策があるなんて考えをまず全部捨てろという事なんだな。そういうアホな賭け方は常識的に人間らしく普通にやらない。すると、後は何が残されるか? チップ管理だけだよな。集中するのはそれだけ。これだけ考える単純なゲームがバカラの正体というわけさ。そうだろ、周さん」
周さんはワインをしこたま飲んで、すっかり出来上がっていた
それでも賭けのことでは判断を誤らないのが周さんだ
「資金管理とか、ベットコントロールとか、マネーマネジメントとか…」
周さんのろれつはいよいよ怪しくなってきた
「いかにも複雑そうな話だが、実際複雑じゃないのか?」
「僕もそこは、そんなに単純な話じゃないと思うのですが」
リウ君も怪訝そうだ
「だから、バカラの単純さに辿り着くまでが複雑なのさ。鍵を作るまでが大変」
私も酔いが回ってきたようだ
「確かに、不完全な鍵だから、それを複雑に運用するしかないんでしょうね、たぶん…」
そう言いながらもリウ君の目は希望で星が輝いていた
その夜はそれでお開きとなった
周さんのメルコイベントのカジノ成果は大勝ちを狙って撃沈
だが、結局最終日までに元金だけはキープした
リウ君の活躍は目覚ましかった
私は、と言えばいつもと何も変わり映えしない
チマチマとした利を重ねて今場所を終了した
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垢版 |
2021/05/19(水) 05:42:16.20ID:dN+LpekV
無理な勝ち目標を立てなければバカラは単純さで勝てる
だが、そんな勝ちで満足できるのか? そこが大いなる問題だ
「バカラの複雑さ」の集大成なしに大勝ちなど不可能だ
運だけに頼っていたら金はいくらあっても足りない
私は等身大の勝ちで良しと、見切りをつけた
それ以上の勝利を狙うと複雑になるから追わないと決めたのだ
バカラが単純で決着する範囲だけを狙う。それ以上は狙わない
上がりは少ないが、少なければ少ないほど、その手は固くなるから
上がりの率を下げて、賭金量が潤沢になればなるほど勝負は有利になり
単純なものになる
ギャンブルだから絶対はないのは当たり前の話
幸いな事にバカラは戦争と違って、8回討ち死にしても9回勝利すれば利益は残る
勇気になんて要らない
強いて言えば、鮮やかな勝利を諦める勇気さえあれば、バカラは生き残れる
それもごく単純な手法で
だが、ギャンブラーの性は、カジノで栄光と虚栄を求める
それを求めないような人は最初から博打なんかやらない
0024三連単7−4−3
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2021/05/19(水) 05:49:29.14ID:dN+LpekV
自分のシノギはカジノしかないと考えるような特殊な人間はごくごく少数しかいない
だから、僕は(あるいは私は)彼らとは違うなと思っても、それはいたって自然なことなのである

ギャンブラーという人種は、どのような勝利であるかが一番大事な事で
純利益なんてものは結局のところ、オマケのようなものでしかないのだから
0025三連単7−4−3
垢版 |
2021/05/29(土) 15:51:53.74ID:zLYlNn65
明日はニッポンダービーだ
出来れば競馬場で見たかったが、東京は緊急事態宣言延長でそれどころではなさそうだ
ネットで馬券だけ購入しよう
香港競馬は有名だが、マカオの人たちも何気に競馬は好きだ
いや、好きだからこそ、マカオには競馬場は作れないね
ちなみにアメリカにはホースレーシングとカジノを併設したレーシノと呼ばれる賭博場がある
私が思うに、競馬ファンにカジノゲームやらせたら、完全にカジノギャンブルに気を取られる
競馬デーはやはり、ひねもすのたり、一日中のんびりと競馬予想に専念しないといけないね
0026三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 15:52:46.76ID:zLYlNn65
さて、PCR検査を受けた帰り、LRTの車内でリウ君に声を掛けられた
マカオは狭い。というかマスクしててよく分かったな
周さんはどうしているか聞いてみると、MGMでかなりやられているとか
ヤッパシ…
しかし、負け切らないのが周さんのすごい所である
小さな種銭があればコツコツと増やすこともやれる人なのである
それにしても暑い
「青島ビールでも飲みに行くか」
「いいですね」
リウ君もヒマ人だから二つ返事だ
良さげな店があるとかで僕らは排角で降りる
マカオのLRTはコイン型のトークンという変わった切符を使う
僕らは何となく田舎臭い細道を通ってガレージのような店に入った
店中はエアコンがよく効いていた
0027三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 15:53:59.96ID:zLYlNn65
「やぁ暑かったね」と言うがリウ君はきょとん顔だ。暑くないのである
さすがに軍隊経験があるだけある。私とは鍛え方が違うのだ
飴色にパリパリに焼いたアヒルの肉料理を肴にビールを流し込む
緑色のビール瓶を何本も空ける。愉快だ
僕らカジノ賭人は、一応は世情の話題について話はするものの長続きしない
話は飽きませず、カジノに行ってしまう
どこのジャンケットがいいサービス始めたとか、誰が大勝ちしたとか大損したとか
ハイローラーや鯨の話題とか、一周回って、またどこのカジノのコンプがいいとか
僕らは延々とループしながら、ゲラゲラと笑っている
いったい何がおかしいのか、他の酔客も怪訝そうだが、おかしいんだから仕方ない
0028三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 15:55:25.79ID:zLYlNn65
さて、私は7周ぐらいした所で周さんの話を切り出した
「昔、周さんがこんなことを言っていたよ。予想を当てて喜んでいるうちが一番楽しいと」
「ほほう」リウ君が身を乗り出す
「僕は一応、真剣に予想して賭けているんですけどね」
「うん。私もだ。だけど、周さんに言わせれば、予想はスライディングしながらやるものらしい」
「滑りながら? 負けながらということかな?」
「そういうことらしいね。確かにバカラは決め打ちで当たるわけがない」
私はやきとんの2串注文した。リウ君は鶏肉とトマトのスパイシーな煮込みを頼んだ
「クルマのドリフトじゃないけど、滑りながら態勢を整えて進行方向を当たる的なのはありますよね」
リウ君はスポーツカーが好きだ。いいクルマにも乗っている。ルノーのアルパインとかいうやつだ
「そうそう、アレはわざと滑らせてるわけだけど、バカラの場合は最初から滑らせるしかない」
「バカラでグリップ走行は無理ですもんね」
そうなのだ。バカラは決め打ちで予想なんて絶対に無理なのだ
いや、当たりにくいということじゃない。約1/2の確率なのだから、ポイポイ当たるのだ
でも、このハンドは絶対来るぞなんて確信なんか持てない。確信なんか簡単に砕け散る
僕らに出来る事は、ある流れの中で、何とかハンドのどれかを当てたいね、という筋だけだ
それがバカラの核心部分なのである
0029三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 15:57:20.56ID:zLYlNn65
5ハンドも連続して持っていかれたら、それは連敗の轍に嵌ってるわけだから
確率の絶対に逆らっても仕方ない。というか5連敗も大き目なベットで負けちゃ駄目なのだ
ギャンブラーは必現する局面には、こうべを垂れて潔く打たれるしかないのである
出来れば、ざっくり負けちゃ駄目だ。後でロスカ分を取り戻すのが大変だから
でも、それはそれで、時には賭けに出なくちゃ生き残れない
損小利大というシステムを信じてしまったギャンブラーはやはり負ける
確率を追いながらも、どこかでシステムを切らないと「確率的に」やられるからだ
「周さんのスライディングベットは実に鮮やかだった」
私は、自分もあのような賭人になりたいと思って精進してきた
「何で、おじさんは大勝ちにこだわるでしょうね」
「うむ…」私は、それについてはすでに述べているので語らない
0030三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 15:58:47.87ID:zLYlNn65
私のレベルだと、5手以内で何とか勝てればいいなと思いながら利を重ねたり
損失を減らしたり、増える減るの揺らぎを繰り返しながら、上がっていく
私の言葉を使えば、それはシェイクということになる
リスクを振って振って振り落として、いくばくかの利益を砂金のように残すやり方だ
だが、周さんはもっと上のレベルに到達しているから
そのレベルで、何か大きなことを考えているに違いない
歴史に残るような大勝ち? でも、そんなことに意味はあるのだろうか
0031三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 15:59:23.96ID:zLYlNn65
「ああ、例えばこうやって、飲めるくらいの金が残ればいいのかな」
「遊んで稼げる程度に?」
「うん」
バカラの予想はスライディングベットしかないのは結論だ
独立した一手一手の勝負ではないのである
私は勝負手という言葉に対して甚だ懐疑的だ
その代わり、勝負ゾーンというのはあると思う
なにしろ、私のステージでは、勝負ゾーン内でのベットを取る以外に策はない
だが、周さんレベルにまで熟達すれば、何か私には見えないものが見えるのだろうか
0032三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 16:00:11.24ID:zLYlNn65
「リウ君はおじさんレベルの達人になりたいのかい?」
「いや、それは望んでいませんね」リウ君はニヤリと笑った
ホントにこの青年は老成している。まぁ、破滅的な周さんの勝負スタイルを見てれば
そうなって当たり前か
「安定して勝てるようになれればいいですよ。仙人みたいな能力なんて要らないです」
「リウ君は見切りがいい。見切りがいいから勝ち方も華やかだ。だけど」
リウ君は恥ずかしそうにうつむく。やっぱり自覚してたんだな
「コツコツ勝てない、そこが僕の課題なんですよ」
「そもそも、そういう勝ち方したいの?」
「いや、何ともそれは…。リスクを取り過ぎている自覚はあります」
「リスクヘッジがリウ君は上手だから、逆に勝負に前のめりになってしまうんだな。才能があるがゆえの。周さんに似ている」
リウ君は黙ってしまった
0033三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 16:02:11.92ID:zLYlNn65
バカラは、少々不器用なぐらいの方がいい時もある
だが、ピンチを脱する瞬発力は、やはり周さんやリウ君流でないと得とく出来ない
ここがバカラの奥深い所だ
私は突破力がないことを自覚しているから、小さい賭け方(賭け金が小さいという意味ではない)しか出来ない
どこか、手が縮こまってる。でも、だから慎重に大負けを回避も出来る
リウ君は器用で突破力があるから、大技で負けを一気に取り戻せる瞬発力があるから
ヤバい局面でも臆せずに逆噴射を噛まして鮮やかな差し切り勝ちを収める
あるいは、沈む。でもそれは勝算内の沈みだから別にいいのだ
分かりやすく言えば、大き目なバイインで小さく勝ち上がる私に対して
リウ君は小さなバイインで一気にチップを膨らませる。まぁスゴイのである
スゴイけど、私には怖くて真似は出来ない。そういう勇敢さがどうにもないんだな
私たちは店を出た。口には出さないが、僕たちはカジノに行きたくてウズウズしている
リウ君が飲むペースを抑え始めたあたりで、ああ、やりたいんだなと気づいた
「ギャラクシー行こう」
0034三連単7−4−3
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2021/05/29(土) 16:02:33.44ID:zLYlNn65
僕らはもうバカラのことで頭が一杯だ
だが、ただのギャンブル依存症ではない。いや、マカオではそうでもないか
いつだったか、私たちのバカラテーブルで
二十歳前後のアイドルみたいな幼なさの残る少女が
大玉でバカスカ当てている場に出くわしたことがある
この子の凄いのは「時々休んでいる」点である。休むとはルックやベットダウンのこと
ここは止めとこうとか、ここは攻めようという基準が、彼女にはあったのだ
それでもあの爆発的な連勝は運だろう。だが、実に鮮やかな大勝利だった
隣の中国人が苦笑しながらポツリと「天才美少女戦士だね」と呟いた
「戦士?」私はその言葉が妙に引っかかった
戦士なら、いつか倒れることもあろう。戦場なのだから
そんなバトルフィールドに私は同席したくはない。もっと言えば
私は他人の張りに絶対に影響を受けない不器用さを持つ
でも、別に、勝ってる賭人には乗ればいいし、堕ちてる人には逆張りしてもいいのだ
だけど…
私は、そもそもカジノで戦士にはなりたくないのだ
だから、私は私の歩幅で、小さくても「恒星」でありたいと思って賭けている。
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