1/23 - 1/29 isuta
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生きてるって何だろ?生きてるってなあに?

ゾンビ問題

今週のおうし座は、『いきいきと死んでゐるなり水中花』(櫂未知子)という句のごとし。
あるいは、動物的な嗅覚で人の生き死にを嗅ぎ分けていくような星回り。

「水中花」は水の中で生きているかのように水を吸ってうつくしく花開く造花のこと。
この句はそんな水中花がたとえどんなに美しく見えようとも、しょせん造花に過ぎないことの哀れさを詠ったもの。

普通ならば「いきいきと死んでゐるなり」とまで言い切ることはできませんし、発想することさえできない人も多いはず。
それは、堂々と練り歩く”裸の王様”をみて、「王様は裸だ」と言えたのが忖度もない代わりに社会常識もない子どもだけだったのとも似ています。

とはいえ、人間のようで人間ではなく、死んでいるようで生きている、そんなゾンビのような存在は映画や漫画、アニメの世界を中心に近年爆増しています。
こうしたゾンビという存在の他のモンスターにはない一番の特徴は、その性質が伝染していく点でしょう。

つまり、仲の良かった人や、自分自身さえもゾンビになってしまうかもしれないという恐怖がゾンビには伴う訳ですが、これは情報化社会における価値観の異なる「他者」への恐れを反映したものとも言えるように思います。
確かに、ちょっとした議論や意図が通じないとみるや、有無を言わさずこちらを排除・排斥してくる存在は、まさに「いきいきと死んでゐる」のではないでしょうか。

その意味で、1月23日に自分自身の星座であるおうし座で約5カ月間続いた天王星の逆行が終わって順行に戻っていく今週のあなたもまた、掲句の作者や童話の子どものごとく、生きているフリをしているゾンビたちとは一線を画す生命力を取り戻していくべし。