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見直し派の論拠
 会議では26年から導入されるレギュレーションは基本的に尊重するものの、今後も継続して審議していくことが決まった。電動モーターの出力比率を上げられなくて苦しんでいるPUマニュファクチャラーたちが、レギュレーションを見直すためにさらなる話し合いを希望しているからだ。そのひとつが25年限りでホンダと袂を分かち、26年からフォードと組んで独自で開発・製造したPUを搭載することになっているRBPTだ。クリスチャン・ホーナー代表はこう弁明する。

「このままだとストレートの途中で電気エネルギーを使い切って、突然失速するようなケースが出てくるかもしれない。それは絶対に避けなければならない」

 現在の方法で電気を作って使用するだけだと出力比率を50%まで上げられず、1周の途中で電力エネルギーが切れる。それを回避するために出力比率を下げてほしいというのが新レギュレーション見直し派の狙いだと考えられる。だが、現在とは異なる方法で電力を作り出す方法はすでに確立しており、それが今回のレギュレーション変更の肝となっている。

 21年限りでF1参戦を終了したホンダが再参戦する最大の理由は、この電動パワーが50%に引き上げられたことに魅力を感じ、挑戦しがいがあると判断したからだ。新規参入してくるアウディも同様の立場だろう。21年以来、5年ぶりのコンストラクターズチャンピオンを目指すメルセデスは、すでに新しいレギュレーション導入に向けて多くの資金と技術を注入し、開発面で一歩リードしていると言われている。

 このまま新しいPUが導入されれば、現在のPUが導入された14年から数年間、メルセデスが勝ち続けたときと同じような状況が起きるかもしれない。ホーナー代表はそう警鐘を鳴らすことでレギュレーションを変更し、不利な現状を打開しようと目論んでいるのかもしれない。