ワンルーム投資では、新築当初の利回りは4%でも、利回りが高めのエリアで「中古なので6%」という
「地域相場」を求められる。すると利回りが1.5倍になるわけだから、価格は33%下がる。
なかでも気をつけたいのは、新築の投資用マンションだ。不動産投資で最も損をする
新築ワンルーム投資の実態を説明しよう。新築ワンルームは購入直後に価格が3割程度も落ち
その後も年平均3%程度は売却価格が落ちていくことを覚悟した方がいい。
築年の古い中古ワンルームに価格200万円、表面利回り20%などがあるのは
資産価値の下落の激しさを証明している。
流通価格が大幅に下がるわりに、賃料は比較的緩やかにしか下がらないために
築年が進むに連れて利回りが高くなる。このへんのことを購入前にきちんと
説明してくれる相手からでないと投資するにはおぼつかない。
では、気になる実質利回りなどの事業収支をシミュレーションしてくれる不動産会社は安心なのか。
実際は、収支計算に落とし穴があることが多い。
あり得ない設定もあるので、そうした例を紹介しよう。
・想定賃料の設定が高く、現実的でない
・賃料はいつまでも下がらない、もしくは上がる設定になっている
・購入した価格より、売却する価格の方が同額か高い前提になっている
・不動産の管理や修繕にかかる必要経費がまったく、あるいは十分に考慮されていない
・税引き前のキャッシュフローで収益が計算されて、その分が「年金になる」と言われる
ここで大切なことは、投資マンションは当初に利回りがほぼ決まっていて、表面利回り10%と言われても
手取りベースの利回りは3%程であるという現実だ。この利回りも、不動産管理のマネジメント力を
発揮しないと実現できない。
こうした状況なので、不動産投資で失敗した人は本当はかなり多いが
書店には「成功体験談」しか並ばない。「儲かる本」でないと売れないし失敗した人は本を書かない。
だから、本当のリスクを教えてくれない本を読んでも勉強にはならない。
読んで不安を解消したつもりになり、結局は読者も失敗する。