扶助には2系統あります。
馬の生理に直結するものと、単なるお約束なものとです。
イヌにオスワリさせることを考えてみてください。掛け声は何語でもいいのですから任意なお約束です。
手振りは、たいてい、高い位置で用います。高所を注目すると背中がすこし苦しくなり、座ると楽になるのを利用しています。
舌鼓の使い分けは任意の扶助ですから「そのクラブの流儀」次第です。他方、舌鼓は推進、口笛は停止や下方移行なのにはアル程度の生理的な基盤があると考えられます。

以下は自分ならこうする・・・です。
ウォークで左に曲がるのなら、右首にレーン触れ、左脚をやや前で踏み込み、左坐骨に少し荷重、左脚で円弧の大きさを指示、右脚やや引いて、曲がる分だけ遅くなるを規正するだけの圧迫。
左信地旋回(軸が前肢か後肢かは問わず、湾曲の内外も問わない)なら、レーンやや強く引き騎座はやや後ろ荷重、右頸にレーンを触れ、右脚やや前で肩が右に逃げないように壁を作り、左脚をやや引いて圧迫し後躯を右方に押しやる。
ワンハンドレーンの調教不十分なら反対姿勢となるかもしれません。

駆歩発進はレーンをやや緊張させ、出したい手前の反対に拳を移し、体はやや後傾し、出したい手前の反対の坐骨に荷重し、出したい手前の反対の脚をやや後ろで使う。出したい手前の脚は前後そのままで、反対の脚の圧が逃げない壁とする。

駆歩発進は前記の斜体扶助と側体扶助の2つの考え方があります。
お約束としてはどちらでもよろしい。内方脚のお約束で出るならそのように。
生理を考えるなら側体であろうと。
「ウエスタン・ホースバック・ライディング」p83-84
「今村馬術」p97-99
「フィリス氏の馬術」p124-132
に、共通している点が鍵です。大勒を使うウェスタンは実は古典と近いんです。

脚を前後させずそのまま押すのは単に推進の増加です。ウォークからジョグ、ジョグからエクテンドトロットへの上方移行とか。

お尻を沈ませると、馬は背中の後ろのほうに重さを感じます。リュックサックがずり落ちた時みたいに。生理的なブレーキであり、それをさらにお約束で強化してあることが多いのです。
踵を使うのに慣れると、拍車履いたときに最初からやり直さないといけなくなります。
野外で楽に乗り降りできるポニーに脚の長いひとが乗る場合、拍車は必須です。
強い推進にも必要です。マ、大元は、馬にもコート着せていた騎士のやり方ではありますが・・・。いずれにせよ将来は拍車をつけること前提で練習しましょう。
ロープが維持できないのは、乗り手がグラグラしていて馬の邪魔をしている(幼児が背中に張り付いていたら走れますが、暴れられたら前後に振られて走れない)、推進扶助が足りない(体が安定して「身体各部の独立」が得られないと正しい扶助は不可能)ということでしょう。
いっそのことギャロップで練習するという手もあります。

前掲のウエスタン教本は、日本の事情に合わない箇所も多いですし、私の好みからするとお上品すぎ、正しい脚の位置が後ろ目すぎますが、ちゃんとしたものなのは確かです。
お近くの図書館に行き、おそらく所蔵はないでしょうから、「他館からの相互貸借で探してください」と依頼されるのがよいでしょう。