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■イージス・アショアの配備問題も放送予定に含まれながら放送されず
 さらに、7月30日には、陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」2基の配備費用について、防衛省が4664億円になるという見通しを発表したが、
『報ステ』は、これまでイージス・アショアの配備問題を継続して特集してきたにもかかわらず、その日の放送ではまったく触れようともしなかった。
なお、イージス・アショアについては「“地上イージス”配備候補地の今」という企画が、8月2日の放送予定に含まれていたが、9日現在になってもいまだ放送されていない。

 また、8月2日の放送では、他局の報道番組から一周遅れとも言うべきタイミングで、ようやく杉田議員のLGBTヘイト問題を扱ったが、
じつはこの日は、自民党が「今後、十分に注意するよう指導した」などと公式見解を初めて発表した日。同日には安倍首相も「多様性を尊重するのは当然」などとコメントしている。
 ようするに、そうした自民党と安倍首相の“いいわけ”とセットにすることで、はじめて『報ステ』は番組内で取り上げたということらしい。
事実、西日本豪雨災害をめぐる「赤坂自民亭」の問題を振り返っても、TBSなどがいち早く報じるなかで、『報ステ』だけは1週間後の7月17日になってようやく紹介したのだが、
その日もやはり、安倍首相が同日の参院内閣委員会に出席して「いかなる事態にも対応できる万全の態勢で対応にあたってきた」と答弁したタイミングだった。

こんどはテレ朝の報道局関係者が首を傾げて言う。
「杉田議員の件に関しては、現場からも『これはおかしいんじゃないのか』という声が漏れていると聞いています。
現場のスタッフは7月27日の自民党前での抗議デモの模様をはじめ、関係者への取材もしっかり進めていたのですが、放送されたのがそれから1週間も後になった。
普段は政府批判のデモをあまり取り上げようとしないNHKですら、デモ当日にその光景を報道していたにもかかわらず、です。上の“配慮”が働いたと思われてもしかたがない」(テレビ朝日政治部記者)

 もちろん、現場は懸命に抵抗を続けている。
8月6日の広島の原爆記念日の放送では、小川彩佳アナは現地へ向かい被爆者たちを取材。核禁止条約をめぐる政府の姿勢について批判的なアプローチで、その取材の模様はかろうじて放送された。
また、長崎の原爆記念日である8月9日の放送でも、スタッフが複数の被爆者にインタビューをし「なぜ首相は挨拶で核禁止条約に一言もふれないのか」
「毎年同じようなことを言って、前進させようという気が少しも見られない」という日本政府、安倍首相への怒りの声を伝えた。