【高プロ】「長時間労働助長、高年収の人以外も適用」弁護士らが街宣、過労死NHK記者の母親も涙の訴え(志葉玲)
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20180322-00082996/

 安倍政権が進める「働き方改革」の柱の一つ、「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)。
高収入の専門職を、労働基本法による労働時間の規制の対象から外すというものだ。この「高プロ」に反対する市民グループの
街頭アピールが、先週17日、東京都・新宿駅前で行われ、弁護士や「東京過労死を考える家族の会」のメンバーらが、
「働く人々の命を守って」等と訴えた。

〇高度プロフェッショナル制度とは?
 「高プロ」について、安倍晋三首相は「高度な知識、技術を持つ専門職の自律的に働きたいというニーズに応えて、
意欲と能力を十分に発揮できるよう、めり張りのある効率的な働き方を可能とする観点から設けるもの」と国会で説明(今年2月13日、衆院本会議)。
経団連も繰り返し、「高プロ」の導入を求めている。だが、労働時間の規制の対象外となる「高プロ」は、今でさえ過労死・過労自殺の原因となるなど
社会問題化している長時間労働を、さらに助長するものではないかとも懸念されている。

〇適用範囲は高収入の人以外にも拡大
最低賃金引き上げや長時間労働是正を訴える若者グループ「AEQUITAS(エキタス)」が、17日に新宿駅前で行った街頭アピールでは、
日本労働弁護団事務局次長の中村優介弁護士が発言。「高プロ」の危険性を指摘した。
 「残業代などの割増し賃金は、コストをかけることで長時間労働の抑制させようという趣旨で、労働基準法は割増し賃金という制度を設けているのです。
労働時間規制の対象外となると、会社・使用者側は文字通り、時間に関係なく、労働者を働かせることができるようになります。
政府は、働いた成果が評価される制度だと説明しますが、それは歩合給など、現在の制度でもできることです。ですから、『高プロ』を導入しよう目的はただ一つ。
使用者側が、労働時間規制外で労働者を働かせようというものにほかならないのです。このような法律が成立したら、
長時間労働の助長につながると言えるでしょう」(中村弁護士)。

また、今回の法案では「平均年収の3倍」と、「高プロ」は高年収の労働者のみを対象にしているが、中村弁護士は、高年収以外の人々にとっても他人事ではないと警鐘を鳴らす。

「10年前、『ホワイトカラー・エグゼンプション』というかたちで、『高プロ』と同じような制度が画策されていた時も、経団連が求めていた年収要件は400万円でした。
とりあえず法案を通して、その後で年収要件を緩和するということは目に見えています」(同)。