武田教授が幻冬舎から出している『原発事故、放射能、ケンカ対談』という、武田と副島の対談?の本。
これのP52にいいこと書いてある。

科学というのは必ず進歩していきます。
私が名古屋大学で物理の講義をしているとき、14回までは普通の講義をし、
15回目に必ず、「今まで私が14回講義したことはみんな嘘だ」と学生に言います。
なぜ嘘かといったら、万有引力だって、ニュートンが生まれる前は「地下の悪魔が引っ張っている」と言い、
アインシュタインが生まれるまでは「質量に比例する」と言い、今は「エントロピーだ」と言っています。
万有引力という物が落ちるということですら、この500年間に説明が3回変わっているのです。
ということは、これから500年の間に説明が変わらないということがおかしい。説明は必ず変わる。
けれども私は、とりあえず皆さんをニュートンの肩の上にのせるものだと話します。
既知の知識があることは必ずしもマイナスじゃない。だから、ニュートンの肩の上から学生たちは遠くの
景色を見るのだけれど、見た景色は、おそらく半分ぐらいは間違った景色だと伝えます。
それが人間の進歩というものだから仕方がありません。
「私は14回、今までの物理体系のマチガイを講義したけど、あなたたたちはわれわれのつくった物理体系の間違いを明らかにしてください」という講義をいつもしていました。

先日もあるテレビの放送で、「武田先生は原発の将来をどうお考えですか」と聞かれたので、
私はこう言いました。
「私は将来は議論したくない。なぜなら、科学というのは将来を議論できない学問である。
現状までは説明できるが、現状の先に何があるか分からない。
けれども科学は世界の片隅で、まったくわれわれが考えもしない新エネルギーが明日にでも発明されるかもしれない。
現在の知見の延長線上だったらこうだと思いますが、おそらく間違ってます、という言い方しかできない」と。
これはいつも私が学生に講義している内容と同じです。