非正規教員、7人に1人 財政難で毎年増加し10万人超
2010年10月23日

 各地の公立小中学校で、正規採用の教員ではない常勤講師や非常勤講師が増え、
昨年は約10万5千人と全体の15.1%を占めた。文部科学省の調査でわかった。
この7年間で約3万7千人増えており、こうした「非正規教員」が7人に1人を超えるまでになっている。
財政難の自治体が、安い給料で済む非正規の採用に動いているためだが、任期が限られ、
「教育活動の水準を保てない」と懸念する声が上がっている。

 文科省によると、全国の非正規教員のデータがあるのは2002年以降で、
同年(5月1日)の人数は約6万8千人と教員全体(約67万3千人)の10.1%だった。
以後、毎年増え続けており、09年は約10万5千人に。全体の15%を占めるまでになった。

 内訳をみると、正規採用の教員と同じようにフルタイムで勤める常勤講師は02年の約4万1千人から09年には約5万7千人と38%増加。
授業時間だけ勤務するなど、パートタイムで働く非常勤講師は02年の約2万7千人から09年には約4万8千人と8割近く増えた。

 非正規教員の増加の背景には、少人数指導や35人以下学級を進めるため、
給与のより安い教員で頭数をそろえようという自治体側の姿勢がある。国の規制緩和が後押しした。

 文科省は、1クラス40人を標準とした学級編成を01年から都道府県レベルで弾力化。
続いて06年には市町村も、自前で教員を雇えば少人数学級にできるようにした。
また04年、教員給与の半分を負担していた義務教育費国庫負担制度を緩め、
国の計算した総額内なら、給与や人数を自由に決められるようにした。
自治体側は人件費を抑制する動きを加速させ、非正規の採用が拡大した。

 自治体側には「今後、少子化が進んで教員の数が過剰になっても、任期の限られた非正規教員を抱えておけば人数調整がしやすい」という思惑もある。

 ただ、非正規教員は「次年度も雇用されるあてがなく、学校側が人事などの計画を立てにくい」「特に非常勤講師の場合、
児童生徒とのかかわりが細切れになり、生活全体を踏まえた指導ができない」といった問題が指摘されている。

ttp://www.asahi.com/edu/news/TKY201010230163.html