教諭の前歯折る保護者
 「(体罰を)やったんか、やってへんのかどっちや」
 小学生の子供を持つ同県内の父親は25年11月、担任の教諭にこうすごみ、顔を数発殴った。
教諭の前歯が折れ口の中も切れ、全治約3カ月の重傷を負った。
 事の発端はこの2日前、教諭が保健室にいた、この児童の相手をしていた際の出来事にさかのぼる。
 2人は保健室でアニメのまねをして遊んでいた際、児童が転んでしまった。児童は痛がらなかったが、
後日、母親が教諭を自宅に呼びつけ「頭にたんこぶができている」「体罰とちがうんか」と怒鳴った。
ちょうどそのとき、父親が帰宅。同じように怒って、教諭を殴った。
 その後、父親は傷害容疑で逮捕、同罪で起訴され、今年2月に神戸地裁支部で懲役1年6月、
執行猶予5年の有罪判決を受けたが、事態はそれで収まらなかった。
 教諭は3月、大けがを負わされた上、暴行によるストレス障害に苦しんでいるなどとして、
慰謝料など約220万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。
父親は請求を認め、父親に請求額と同額の支払いを命じる判決が言い渡された。

理不尽要求、現場は悲鳴
 理不尽な要求を訴える親たちを「モンスターペアレント」と命名した教育研究団体「TOSS」代表の
向山洋一氏は「無理難題を延々と要求し続ける親もいるため、業務が滞ってしまう学校が少なくない」と指摘する。
 向山氏が知人の教諭らに実態を聞くと、色々な事例が寄せられた。
 中学受験をしている子供が塾で中学の内容を勉強しているから、小学校でもそういう授業を受けさせろ
▽子供の朝食を作る時間がないから、登校時間を遅らせろ▽子供が学校でボール遊びをしていたら、
けがをしたので慰謝料を払え▽子供がクラスメートから「死ね」と言われたので、指導がなっておらず、
土下座しろ−など、このような要求が一部の保護者から寄せられるという。

向山氏は「連日、昼夜関係なく電話したり学校に来て要求することが多く、現場は悲鳴を上げている」と明かす
(後略)