日米の政策対話・研究の停滞を憂える声が広がってい
る。財団法人・日本国際交流センターの調査によると、
1990年代後半以降、米国では日本研究専門家が大
幅に減り、今や「日本の存在がかすんでいる」という
◆代わって中国研究が盛んになり、米国会議員の訪問
件数でも日本は中国の後塵(こうじん)を拝する。相対
的な日本の国力低下に加え、景気低迷に伴う日本政府
の対外情報発信事業の削減や民間交流の縮小などが影
響しているようだ◆深刻なのは、鳩山前政権発足以降
の誤った「政治主導」による日米関係の迷走や、若い
日本人の内向き姿勢との悪循環に陥っていることだ◆
複合要因を抱える日米交流の先細りを、いかに食い止
めるのか。一つの方法とされるのが日米議員交流の再
活性化だ。67年に始まった「下田会議」にちなんで、
「新下田会議」を来年日本で開くことも検討されてい
る◆日米関係を悪化させた鳩山前首相にも、一肌脱い
でもらいたい。議員活動に未練たっぷりで、政界引退
を撤回したのだから。例えば、財源難に直面する政策
対話事業に、巨額の「子ども手当」の一部を回しては
どうだろう。

(2010年11月29日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20101128-OYT1T00833.htm