20代で600億円を動かした男が木造アパートで焼死するまで 「兜町の風雲児」が語った田中角栄、女性アイドルとの関係

 いまからちょうど70年前、1954年の1月31日、一人の「風雲児」が生まれた。

 中江滋樹――名前を聞いて、懐かしいと思われるのは昭和世代だけだろうか。

 バブルという「狂乱の時代」の前夜に一世を風靡。「投資ジャーナル事件」で逮捕され、2020年に66歳でこの世を去った中江滋樹氏。

 亡くなる3年ほど前、最盛期のエピソードを自ら語った貴重なインタビューをご紹介しよう。

 田中角栄を始め政財界に幅広い人脈を誇った「風雲児」が明かした秘話とは――。
(本記事は「週刊新潮 別冊〈昭和とバブルの影法師〉2017年8月30日号」に掲載された内容をもとに再構成したものです)

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 中江滋樹。63歳(2017年時点)。
あの時代に暗躍した、いわゆるバブル紳士たちのなかでひときわ若い。
しかも、いわゆるバブル景気は通説では1986年に始まったとされるが、中江が「投資ジャーナル事件」で逮捕されたのは85年だった。
のちに凶悪事件を引き起こす新興宗教の教祖を彷彿とさせる、年季が入ったかのような風情は、実は、そのとき31歳にすぎなかった。