技工士は天国だな!


残業200時間超、ブラック過ぎる「建築士」の今耐震偽装から十余年、課題は山積している
「今の事務所で働き始めて2年ほどになるが、月の残業時間は200時間以上」――。
関東に住む20代男性はそうこぼす。彼が所属する「事務所」とは、設計事務所のことだ。
一級建築士はすべての建物を扱うことができるため、
建築士としてのキャリアのゴールには一級建築士を置くのが通常だ。
ところが、その一級建築士を目指す人数が減り続けている。
一次試験(学科)の受験者数は、直近20年間では1999年の5万7431人をピークに、昨年には2万6923人と半分以下にまで減少した。
その上、「一級建築士のうち約6割が50代以上。後継者不足が懸念される」(日本建築士事務所協会連合会の居谷献弥専務理事)と焦りを隠さない。冒頭の男性は「初めに面接に行った個人事務所で提示された月給は10万円。
これではさすがに働けないと今の事務所に所属しているが、
それでも月給は額面でも20万円を切るうえに、ボーナスもない」。
加えて厳しい労働環境がのしかかる。

建築士の労働環境には構造的な理由もある。一般的な戸建て住宅の場合、
国土交通省告示による報酬基準はあるものの、およそ建築費の1割が
設計料の相場感として存在する。
ところが実際には「1割ももらえることはほとんどない。せいぜい6%くらい」(ある一級建築士)。

4000万円の家に対して設計料が400万円だとしても、基本設計から工程監理まで
結局、1年以上物件に張り付かざるをえないこともあり、当然事務所は火の車だ。
建設会社の中にはその後の受注を見込んで「設計無料」を掲げる会社もあり、
顧客も見積もり無料の感覚で設計の依頼をかける例も多いという。
むろん設計だけで食べている設計事務所にとっては受け入れられない話だ。